銀塩フィルムが写真の記録媒体であった頃、プロでない僕らアマチュアはなんでもかんでも撮るということはなく、撮影する被写体は選んでいた。というより、そうせざるを得なかった。当時のフィルムの価格はリバーサルフィルム(カラー)が最も高く、ネガカラー、モノクロフィルムの順であった。相対的に安価なモノクロフィルムでさえ、バシバシと撮るということはなかった。フィルムは貴重という意識があったのである。だから、本命の被写体しか撮らないということも普通だった。例えば蒸機現役時代には、両数が多く全国どこでも見られたD