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自宅に戻るとヨンとウンスはエコー写真を見ながら、お腹を撫でていた。まさか、俺が父親になるなんて、考えてなかったよ。私も。子供はできないと思ってたから。どうして?結婚すると思わなかったから。あっ!ヨン?プレゼントは何がいい?もう、一生分のプレゼントを貰ったよ!この子達。ありがとう。ウンス!私ね、お母さんに愛された以上にこの子達を愛するわ。俺は?馬鹿ね…。ヨンは、特別よ?明日は?休むか?大丈夫よ。ヨンの近くに居た方が安心だし、休める場所もあるから!それに明日は
ソン・ギは、念入りに計画を立てた。まずは、医者に見えるように、白衣とスタッフであると言うネームストラップやプレートを用意した。しかし、それは、全く別の物だった。既に先を読んでいたヨンがテマナに変えるようにと操作していた。王様はちっこいから、余計目立つよね?そうだな。皆んなには、知らない振りをして貰って、話し掛けて貰うとするか?身代わりを運ぶとしても、車椅子を使うはずだし、ストレッチャーは、大き過ぎて無理だと思うけど、一応ストレッチャーも車椅子も細工した物を側に
ここは花街。夜ともなれば賑わいをみせる一角も、昼は化粧の香りと女たちの笑い声に溢れているが、今日に限って野太い声が混じって聞こえる。その声の持ち主はトルベ。于達赤テジャンの密命を受け、”男女間に起きた気の効いた小噺”を入手し終えたばかりだ。ようやっと肩の荷を下ろした槍つかいは、女たちを相手に、その返礼とばかりに気分よく話し中であった。「…で、散歩中の其奴らの片方が、オレらって毒もってるんか?って尋ねるから、もう一方が、そうだ、と答えると、本当かい?って片方が何度も訊いて
チェ・ヨンとその私兵テマン、于達赤からは槍使いトルベと当たり負けしないホンドク、そして国子監の斎生チョモ。以上五名が碧瀾渡へと向かったのは十日ほど前。五日かそこいらで戻れるはずが、とある事情で足止めを食らっていた。「テジャン、雨も止んで入り江は静かなのに、何故未だ船が着かぬのでしょう?」ホンドクが焦れたように云えば、于達赤にインターンとして帯同しているチョモが空を見上げて風向きを確かめる。「雲の流れが変わったようです。テジャン、どう思われますか?」「二三日後には着くだろう
于達赤プジャンとは…実力を持ってして信頼を勝ち取ってこそ名乗れるもの・・・ペ・チュンソクという男は心からそう思っていただから…「テジャン!某、思いきってぶち壊す所存。まずはこのチュンソクを、一兵卒に戻されますよう」驚いた。目の前の男が、役を外してくれと頭を下げている。ほう、そうきたかチェ・ヨンは寝台から降りてしゃがみ込む。頬杖をつきながら目の前の男を見つめると、長いこと身じろぎひとつせず、額を床にこすりつけるようにして伏している。
「無いっ…無いわ〜アタシのマオミィぃぃぃ〜(猫咪)」名無しの絶叫が、市井中の安眠を引き裂いた。☆「行かない。ぜーったいにおことわりよぉ。あの子はね、今の季節アタシの大事な相棒なんだから(´༎ຶོρ༎ຶོ`)」「けどさ名無し、あんた以外の誰が妓楼の内偵ができるのさ?女将とも顔馴染みだろう?戻るまでに必ず見つけておくからさ、ほら、この通りだ」昨夜の事情を知らないマンボ姐がいくら取りなしても、名無しはテコでも動こうとしない。名無しのマオミィ(Pinterestからお
「今、頷いた?それってもしかしたら…OK?あ、OKっていうのは了解って意味なんだけど、わたしの見間違いとかじゃ…」上目遣いでチェ・ヨンの顔をのぞき込み、どうにも疑わしいといった体だ。ところが、目を閉じて一呼吸おくと、イタズラそうな顔つきに変貌を遂げている。「于達赤テジャン、確かにこくりってしたでしょう?頷くの、ちゃーんと見たもの。武士に二言はないのよね?だったら明日の朝、わたしとデートよ」片方の手を腰にあてがい、身振り手振りをまじえた喋くりに、チェ・ヨンは笑いを堪え
おはようございます!半分寝ながらスマホいじくっていたところ…どうやら未公開状態に😹時間設定を変更しました。再び通知が届いてしまった方、申し訳ありません!ここ最近、チェ・ヨンはおかしな夢ばかり見る。奇妙な体験をする夢で、悪夢とはかけ離れたものだったが…「テジャン、余計なことかもしれませぬが…もしや、眠れぬのですか?」チュンソクが声をかけるほど、チェ・ヨンの目の下にはくっきりとしたクマが見てとれる。「これか」目の下を指で触れると、確かにぷっくりと腫れていた。
話しはその日の午前に遡る。武閣氏二名の護衛と共に王の牧場に着いてすぐ、医仙が一頭の白馬を見つけると、乗ってみたいと強請ったのだ。「そこいらあたりを一回りしてくるだけだから、大丈夫よ。ね?お願い!」「…わかりました」ヨンヒが渋々と云った体で答えるが、彼女の手はすでに一頭の馬の手綱を掴んでいる。併走するつもりなのだ。万が一落馬でもされたら…それこそ一大事になるのは火を見るよりも明か。ところが、王宮からここまでノンストップで走り通した直後の馬は、鞍をつけ終えたばかりの白馬に
そもそもの始まりは、長らく独り身だった文官が、王に婚姻の許可を得るために話した内容だ。「昨年の花咲く頃、妻となる女子と出逢いました。年甲斐もなく一目で心惹かれ、一年をかけて、此度ようやっと返事をもらえたのです」花の種をまき、水をやり、芽が出れば愛おしく、双葉が揃えば語りかけ、そうやって育んできたのだと。その話に、王は心うたれた。王妃との出逢いは秋の日であったが、今はちょうど花咲く頃。ならば、未だに妻帯していない官使たちに場を設けてはどうか、とまで。国の礎が固まらない
前の記事で、※4を忘れました(´・ω・`)追記してますので、すでにおわかりかとは思いますが、念には念をそしてまたもや自爆です今日は目出度い日だ。テホグンの五年越しの想いが成就した日なのだから。…なのになんで目から水が、後から後から出るんだよ。トルベさん…笑ってください。俺、泣いてるんですよ。一生忘れませんから俺…あの日のこと。新入りの于達赤が部屋にいるって騒いで、テホグンを部屋に連れてきた時…可愛らしかったですよね、医仙さま…みんながやんややんや押
空にはこんなにたくさんの星があるってのに生涯、運命の相手に出逢えぬ輩もいて、出逢えてるのに結ばれぬまま別れちまうことだってあるそれでも、テジャンにとって運命といえる女人はあの方お一人だ肩で大きく息をつくと、トルベは下を向く。テジャン…このままじゃあまりにも切なすぎますって☆いつもは何かと騒がしい男が珍しく寡黙である。ここ数日、チュンソクはチェ・ヨンから渡された「忠勇衛(チュンヨンウィ)」の草案を読み解くのに忙しく、夜練も朝練もトルベに任せきりだ。
王と、チェ・ヨンを含む十二名の于達赤と、合図を待って加勢したアン・ジェ率いる禁軍によって征東行省が制圧されたその直後のこと。王と王妃の命により、于達赤に新たな隊員が加わった。しかし、約百名の男達の実力はといえば…「半分以上はどうにも使えねえ」(byトルベ)もはや急造部隊といったところか。「だからこそお前らの力で何とか使えるようにするんだろうがっ」とチュンソクからゲキが飛ぶ。だが、武術の上達は本人のやる気と日々の積み重ねが必須。「そりゃそうですが…」と口を開いた槍使いに向かって
列を成した男達は、ざっと見ても二十人は越えている。皆一様に顔を耀かせて見えるのは、医仙への想いを胸に抱いているからだろうか。そう思った途端、口の中がカッと熱くなり、チェ・ヨンの喉仏が上下に数度立て続けに動いた。喉に刺さった”焦燥”という小骨が、次第に大きさを増してゆく。雷功を放ちそうになるのを辛うじて抑え、きつく手を握ると指先が切られたように痛んだ。皆、医仙さま目当てでして未婚の男が想いを寄せた女人に告白する特別な日あってたまるかっ!「トルベ、経緯を説明し
ウンスに見送られ、チェ・ヨンが王宮に向かっていった。まったく、締まりのない顔をしおって…緩みっぱなしじゃないかどう見たって夫婦(めおと)だよ気配を悟られぬよう庭に回り込んだチェ尚宮だが、言葉とは裏腹に満面の笑みを浮かべている。万が一、医仙が残ると言ってくれたら…「人を致して人に致されず(※)だ。どれ、屋敷に手でも入れておくか」まずは水回りだばすたぶなるものをつくらねばな典医寺に職人を入れた際の資料がどこかに…それと、風水!!!”気”の流れを良くして、一
1352年@ウダルチ兵舎昨夜の大雪がまるで嘘のように、陽がさんさんと降りそそぐ朝。于達赤テジャンが横たわる寝台に、医仙さまが屈み込んでいる。☆「チュンソクさんから朝帰りだって聞いたわよ。熱が高いんですって?鬼の錯乱ね」それを言うなら”撹乱”だ「唇が乾いてるってことは鼻が詰まってるでしょ。咳も出てるから喉もやられちゃってる?」「すぐに…ケホっ、治ります」「今日は一日この寝台で過ごしてください。テジャン、これは主治医の命令よ。いつもちゃんと寝てないで
西暦1352年@チェ・ヨンが去って直ぐの典医寺「バッタマメ?コオロギマメ?キリギリスマメ?…どれも違うわ。虫の名がついた豆…これは確かよ。なんで虫なの?ってソウンに訊いたもの。で、検索した…間違いないわ」なのに、今ひとつピンと来ないのだ。覚えるときだってリマインドプッシュを使って目を閉じてたし…最近アレコレ思い出さないようにしてたから…サビついちゃったとか?キャロブとは一体どういうモノなのか…その疑問にヒントをくれたのはチェ・ヨンだ。あの時、ウンス
于達赤三十五名が年跨ぎの警邏(けいら)を終え、兵舎に戻った。二日の間、皆一睡もしていない。夜が明ければすぐに朝練だ。少しでも寝ておこうと横になる者達から離れ、トクマンは鉄瓶を手に中身を口にする。喉がカラカラだったのだ。すっごい緊張したぁ〜くちびる、割れちゃったかな俺、乾燥に弱いから…憧れるよなぁ、テジャンのツヤツヤのテカテカ…☆トクマンが湯飲みを手に顔をしかめている。新兵を隊に迎えてからしばらく、目を輝かせながらブイブイと先輩風を吹かしていた若い于達赤が
トルベに報告ができたのは、トクマン自身の殿居が明けてすぐのこと。「トクマン、見てきたことを出来るだけ正確に、且つ詳しく、だ」「はい。ええと、ひとつしか無かったんですけど…おかしいんですよ」「寝台は一つって意味か?」「そうなんですけど、その…自分が気になったのは枕です」「どうおかしい?」「一つの寝台に、普通枕は真ん中に置かれますよね?」「だな」「それが、端に寄せてあったんです」トルベはピンときた。これは、恐らく二人で一つの寝台に横になっているのだ、と。
急な編成変えのため、トクマンは今夜の殿居を申しつかることに。未だトルベへの報告が出来ていないのが気がかりだが、役目なのだから仕方がない。チョナ、今夜も便殿にこもられてる元からの勅旨を受け入れなければ、戦になるんだろうか…こんなに緊迫した情勢だってのに、トルベさんはなにを考えてるんだか…『天界から医仙さまをお連れして、テジャンは変わったろう?』『まあ、そうです。医仙さまに腹を刺されて死にそうになったり、医仙さまと行かれた江華島で反逆の濡れ衣を着せられて投獄されちゃったり、賄
ふふふ・・・またまた続きます『あの娘』シリーズ♡そして今回は色男トルベさん登場です!娘の警護につくことになったトルベさん美しい医仙の警護じゃないから、少し拗ねてます(笑)時期は・・・チャン侍医と最初に結ばれる少し前からになりますーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー俺たちの隊長が王命でくぐった青い光の渦そこから連れてきたのは、二人の天界の女人だった一人は《医仙》と王から呼び名をいただいた方この方は医術の腕は、まさに天界級!!!高麗一の腕を持つチャン侍医でさえ諦めた王妃様
◆杉本貴司『ホンダジェット誕生物語、大空に賭けた男たち』を読み解く※要旨・「家族にも極秘」を指示され、和光研究所の一室で研究が始まってから約30年。実際に本物の翼やエンジンを作った経験は皆無というエンジニアたちが、専門書を頼りに開発を始めた。まさに手探りだった。ホンダはなぜ空を目指したのか。高い壁をどう乗り越えたのか。・本田宗一郎が生涯の夢として参入を宣言してから半世紀。二輪車メーカーとして出発したホンダがジェット機参入という壮大な野望を実現させた過程をひもとく
暗い回廊、ヘウォルの居室の前に直立不動で立つトクマンとソジュン迂達赤兵舎からヘウォルの居室までの移動中に、チュンソクから下された通常の護衛では有り得ない指示の訳を聞かされたトクマンは、ヘウォルを案じると共にモヤモヤとした心持ちに苛まれていた前を向いたまま徐にトクマンがソジュンに声を掛ける「なあソジュン、如何して副隊長に為らなかったんだ?」ソジュンも前を向いたまま、面倒臭そうに答える「何だ今更、怖じ気付いているのか?」ソジュンは役目中にも関わらず上役であるトクマンに敢えて敬語を使わず吐
ヘウォルはウンスが部屋を出て行った後、ウンスの言うとおり少し横になろうと寝台に向かった寝台に横になったものの、やはりなかなか寝付く事は出来ずころころと何度か寝台の上で寝返りをうってはみるが、その内に着ている衣が皺になるのでは…と、どうでもいい事まで気になり始める衣装棚に用意された衣には手を付けず、ウンスと伴に選んだチマチョゴリを身に着けていたヘウォルは寝台から立ち上がると付いた皺を伸ばすようにパンパンと衣を叩き、また円卓に据えられている椅子に座ったそのまま卓に突っ伏して目を閉じるヘウォル
乾いた地面蹴る様に、此方へと向かい来る足音。男か?その足音から唯ならぬ気配感じたスクは、直ぐ様、椅子から立ち上がる。カタンと椅子の動く音。その音と同時に、スクは椅子に腰掛けるウンスを翻然、自分の背後、まるで庇う様に彼女を自分の背中で隠してしまう。「な、何?」スクの行動に驚いたのか、思わず椅子から立ち上がったウンスが、彼の背後から問いかける。すると、スクはそんなウンスへと振り返り様「しッ」と、自分の口元人差し指を当てながら、彼女に口を閉ざすよう促していた。背は低からず高からず。
週末恒例の番外編です♡リオンの女人姿に驚くトルベさん(笑)そしてもちろん、あの方も♡ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー「隊長!医仙様とリオン様が王妃様の坤成殿(コンソンデン)におられるとか・・・警護はどういたしますか?」「坤成殿の中は武女子(ムガクシ)に任せるとして、お前とトクマンはすぐそばにいろ」「「はい!」」・・・・・と、いう事で、俺=トルベとトクマンは坤成殿の扉の前で警護する事としたまあ、あの医仙様とリオン様の御二人が、同じ所でじっとされているとは思えないから
稀覯(きこう)なことがあるものだと、迂達赤達は驚いていた。普段から風貌整えよと、口うるさいはずのあの男がと。其れは、迂達赤だけに限ったことではなく、宮中の其処彼処で「その男」を目した女官、内官果ては重臣に至るまで、皆、一応にすれ違い様、我が目を疑う様に振り返ってしまう程であった。その男、迂達赤テジャン、チェヨン。其の日の彼の姿は、軍装鎧姿は何時もの事だったのだが、その上の彼の髪が。何時ものチェヨンならば、長くなった髪を結わえ額に帯巻いていたのだが、結わず巻かずの態であったからだ
・・・科学的な事は一度頭に入ると絶対に忘れないんだけどね。大人の拳ほどの大きさの生阿片を持ち帰ってきたウンス。典医寺に戻り、チャンビンの顔を見るなり、そう言葉し、阿片の精製を始めたと云う。あれから、半月ほど花畑にいたウンス。その間、迂達赤テジャンはと云うと・・・。「事」あった日から丸二日は、ウンスに寄り添う様に傍におり、それからは、任務に就いては、あの場に戻り、また、あの場から任務に戻りを繰り返していた。それは、三日を開けずに、ウンスと夜を共に過ごした事に他ならなかっ
9歳くらいから1人で生きてきた。幼い俺が山で、何をどうやって生きてきたのか?山は俺に何でもくれた。寂しいのは平気だった。何故か、大人が人間が怖かった。怖いものを避けるのに、山は格好の住まいだ。でも・・・一人になって一番困ったのは、腹が減る事だった。其れで知った。生きるのは餓えとの闘い。俺は5年もの間、独りで闘い耐えていた。其れが終わったのは、13か14歳だった。「か」が付くのは、最初に一人ぼっちだと知った時「まだ、9歳くらいだろうに。」と通りすがりの大人が口にしていたか
暮れ行く中ですら気づいた。砂塵舞い上げ、此方へと迫り来る馬の姿に。「馬だ。馬がくるぞ!」門楼の上階の兵が大声を張り上げていた。『何だ!』開け放たれた門の両側守る門衛の兵が、上の兵士の指差す先の其の光景に、思わず先程点けたばかりの篝籠の松明を手に、馳せ来る方向を照らしていた。「号牌でもあればなぁ。」馬上馳せながら、トルべ。柄にも無く小胆な言葉漏らしてしまう。高麗時代に中国の制度を真似て始まったされる「号牌」であったが、上手くいかず何時の間にか廃止されていた。だが、次の瞬