ブログ記事415件
大晦日、夕食を近くの中華料理屋からの出前で、と決めて長椅子に腰掛けているいつもの甲番連中と別れの挨拶を交わしながら、私は例によって車庫のほうから出た。すぐに駅には向かわず、小郷商店を目指して道を横切り、店番の彼女に手を振った。「お父さまからいろいろお聞きになりましたか?」「はい、でも、私みたいな者で本当によろしいのでしょうか?」「ボクに他の選択はありません」「有難うございます」「八日にお邪魔するってお約束しました、そのときにあらためて…」「はい、よろしくお願いいたします」「今
私との会話についてお父上殿がどのように解釈し、彼女に言って聞かせたのか、それは判らない。まさか父と娘のあいだで夜のコトが取沙汰されたとは思えないが、彼女もハタチを過ぎた女性だ、父親のそれなりの表現や、何ひとつ案ずることはないとの私の宣言を知って、きっと彼女も晴れ晴れした心地に浸っているに違いなかった。また、夫婦生活の件は母親のほうから既にそれとなく諭されているのではないだろうか。仮に営みが可能であるにしても、出産は絶対に無理だとお父上は言った。見切りをつけるチャンスじゃないかと言わんば
「娘をデートに誘って下さったことに対して、結婚だの何だのと気が動転してお恥ずかしい限りですが、申し上げたいのは娘の体は楽観できないということなのです」「判っております」「それに…」「?」「あなたはお若い、一時燃え上がって、この先ずっと守っていきたいとか本気」「お待ち下さい」私は喋りはじめたお父上を遮って宣言してしまった。「今すぐにでも明子さんをお嫁さんに下さい」「今すぐ?」「はい、一時の気の迷いや盲目になっているわけではないことを、ご両親にも明子さんにも判って頂く
緩やかに接近してくる彼女が私に向かって挨拶言葉を発したとき、あまりにも可憐で透明な様子にたちまち心を奪われてしまい、同時に一体どこの誰なんだろうかと頭の中がグルグル回転しはじめたことは既に述べたが、タバコ屋の娘だと判ってくると、心臓の弱い女性だとのウワサが本当のことであってほしいと祈る自分がいた。こういう女性を嫁にしたい、健常でない嫁さんならばこっちの判断で好きなようにできる、私はそういう関係を望んでいるのだ。あの朝、早くもそんなことまで連想してしまっている私だった。それほどまで
「娘は無論今に至るまでその体験はありません、難しいと思います、たとえ結婚できても夜の生活ができない夫婦なんてことになるのだろうなぁと…」「…」「そんな馬鹿馬鹿しい結婚生活が判り切っていて、あなたは踏み切れますか」「…」「残酷と言ったのは、正直言ってあなたへの同情からではありません」「…」「娘もオンナだ、心臓の疾患とあの欲求は別問題です、けれど出来ない、しかし、死んでもいいから婿さんと結ばれたいと、願うかも知れない」あの喫茶店での明子の様子というのは、求婚めいた発言に狼狽してい
「娘は私四四、家内四十の時の子でして一人っ子です、ですから私はもう六十も半ば、家内だって去年還暦を迎えましたしね、あれの将来のことが不安でね…」「…」気持ちを測りかねた。年老いてゆく自分たちの代わりに面倒見てやってもらえないかというナゾなのか、変に近づいてきて余計な心配をかけさせないでくれとの牽制か。「岩瀬さん」「はい」「なにしろ娘は運動会なんか一度だって出たことはありませんし、人と一緒にスタスタ歩くことさえ出来ない、そういうことについてどう思われますか」「うまくお答え
最近、韓国ドラマはあんまり見てなかったんだけど、前に見てたドラマの新シリーズが始まりましてそれが、我が家が登録してない配信サイトでしかやってない登録してしまうよね1ヶ月は無料だから、残りの1ヶ月で全部見きれば、1ヶ月分しか払わなくていい!て事で見始めたんだけど、1週間に2話しか配信されずそれを待ってる間に1と2のシリーズの話がどんなだったか気になりまして、、、ただいま見返し中!笑それが、見たはずなのに、内容を全然覚えてない!!というわけで、初見のド
(三)暮れの二十八日、話がすっかり大袈裟になってしまったが、彼女の父親と二人だけで会うこととなった。繁華街のレストランだ。ご老人、というのが私の第一印象だった。「深田タクシー、大晦日でお辞めになるんですってね」「はい」「あとはどうなさるの?」「白紙でございます」「次を決めたうえで退職というわけではないんですか?」「はい」父親からすればこんな男は失格だ。最初のハードルでいきなり躓いてしまった。「家内から聞いたんですが、どうやら娘はあなたに憧れていたみたいで
「この世にこういう人間もいるのだ。君のことをよく知りもしないのに、君に命を捧げてもいいと思う人間もいるのだ…。これ、エンリコ・マシアスというアルジェリアからフランスへ渡ってきた歌手が歌った〈恋心〉っていう曲の一節なんです。日本でも誰か歌っていましたね」「今の今まで思ってもいなかったことで、お応えのしようがありませんが…」「あなたの心臓にダメージを与えるようなことを言ってしまいました、配慮の欠片もなくて申し訳ありません、ダメだな自分勝手過ぎて…」「いいえ、気に障ったりしているわけではござ
これだけは早いうちに吐露してしまわなければいけない、というふうな気配を見せたうえで、彼女は口を開いた。「例えば恋愛とか、結婚を…」「あなたの周りの女性たちがそれを知ったら、極めて手ごわいライバルがさっさと降りてくれちゃって、思わず胸を撫で下ろすかも知れない」「岩瀬さんってホントにお上手ですね」「真面目なあなたが、とても真面目に話して下さった、その真面目な人へ、真面目なボクが、史上最大の真面目な話をする時がやってきました」薄ら笑いを浮かべる調子で言ったのだが、彼女はしっかりと
芝居がかるのはこれからだ。けれども目の前の女性に対して、手立てとか作戦を目論んだ、いわゆる目くらましの芝居をはじめようとしているわけではなかった。「見たこともない女性が、明らかにボクに近づいてくる。あのとき一瞬後ろを振り返ろうかと思ったんです、つまりボクの背後にいる誰かが目当てなのかなと、後ろを振り返って確かめようかと思ったんですけど、それはひどくみっともないような、残念なような、時間の無駄のような気がして、しっかりその人を見据えることにしたんです」「はい」「そうしたらいきなりその人
ほんの一瞬、彼女の顔に影が走った。笑顔こそ崩さなかったのだが、私の口から出た運命的という言葉に動揺を見せたのだろうか。二人ともそのまま無言になった。もちろん気まずい空気が立ち込めたからではない。彼女は私の言い方がおどけ半分だったことを充分理解しながらも、運命的という表現に何かしら不安を抱いてしまった気配がある。それをなるべく早めに払拭してやらなければいけない。「寄り道なんてダメですよね?お茶飲んだりとか」「あ、連れてっていただけるのですか?」「ええ、お家のご両親が不安にならな
印刷業界には長くいたが、タクシー会社の勤務は初めてだった。他に仕事がない。50歳の頃、タクシー会社に入った。教育係がいい加減で、チケットの扱いなんか教えてくれない。3日目の乗務で、客にそのチケットの扱いを教わったからおかしな話。客からすれば、「何といい加減なタクシー会社なんだろうか?」と思ったに違いない。この教育係は私が3ヶ月経過した頃、売り上げで社内5番以内に入るようになると、「今度の公休日に出てくれんな」とか言う。みんな自分の都合で物を言う。冷飯食わせたことは忘れたのか?タ
タバコ関連での用事と思い込んでいたが、どうやら全く別のことらしかった。結局かれこれ五十分近くも待たされた挙句、わずか二分ほどで彼女の用は済んだ。とにかく彼女は可憐だ。少なくとも外見からは心臓にハンデを抱えている女性には見えないし、この幸せそうな笑顔は〝陽〟のイメージそのものと言ってよい。日暮里駅までの帰り道、今年いっぱいで退職することを打ち明けた。ところが驚いたことに彼女はそれすらも既に知っていた。「先々週でしたか、春子さんから伺っておりました」「そうだったんですか、春子と秋子、ア
5月頃、前に勤めていたタクシー会社を退職しました。理由はくだらないのですが、とあるホテルバスのドライバーに怒鳴られて、それはまだ良かったのですが、そのバスの中には、楽しんで来たであろう、疲れているであろうゲストがたくさん乗っていたんです。それが私には許せなくて……会社的には、聞き流せと……それが出来なかった私は、なら会社を捨ててでも言ってくると言って、辞めたんです。ダメですね……社会人にまだなれないようです
お医者さんへ行くのにいつもGoTaxiアプリを使っています黙っているとGoPayシステムでクレディットカードから代金は自動引き落とし障碍者手帳を運転手さんに提示すれば10%割引調べてみたら自動引き落としでなくて「車内決済(運転手さんに代金を支払う)」設定にしておけば市発行の福祉タクシー券を使えるはず今日は、行きは娘に送って貰ったが帰りはGoアプリでタクシーを呼んだ。これが馴染みのないタクシー会社が来ておじいちゃん運転手に障碍者手帳を示し10%
「目がとっても静かですね、褒められるでしょ?」「いいえ、一度も言われたことありません」「どこを見てるのかなぁ、世の中の馬鹿オトコたち」「岩瀬さんって面白い男性ですね」「それは嬉しいことを言って下さる、ボクはコメディアンのような思われ方をしてもらう時が、実は一番調子がいい時なんですよ」「アピールということですか?」「というよりも、自然体ということですかね」「女性にすごくおモテになると思いますけど」「ま、それなりにいろいろありましたが、つまらない人間です」「とんでもない、とっても面
この待ち時間が永遠に続けばいいと思っていた。アキコか、死ぬまで呼び続けたい名前だ、いや、オレが先に死ぬわけにはいかないか。「動物園、最近行ったことありませんか?」「小学校の低学年だったと思いますが、学校で行ったきりです」「二人で動物園へ行くっていうの、どうですか?」「はい」様子がスナオな女性だ。たちまち動物園へ私と行く気になっている。「桜の季節になったら、きっとお誘いしますから」「はい」「週刊誌に載ってました、女のコって動物園で口説かれると落ちやすいって」「本当です
喫茶店の常連。短大卒と聞いたF子は、ある時から生活に困窮しているようだった。私だったら4輪の自家用車を手放すが、彼女の事情は分からない。運転免許があるなら、教習生から入れば2種免許が有給で取れる。寮があるタクシー会社もある。ある時、私の部屋で寝泊まりしたい空気を感じたが、相手にしなかった。家賃を払えずに、部屋を追い出されたか?友達から借りたカネで自己破産し、トンズラした。ーーーーーーーーーーーーーーーー
夕べ私にオニギリをこしらえてくれた社長の長女だ。「深田さんから?」「はい」「親しくなさってる?」「旦那様がヘビースモーカーで、それでいつも春子さんがお店のほうに…」「そういえばあの人、いつもタバコくわえてるなぁ」「それで以前、ちょっとお話の成り行きで…」「そうでしたか、さっき宿直明けですかってあなたに訊かれて驚いたんです」「時折岩瀬さんがあの時間に出て行かれるのを二階の部屋から見ておりました」「するとボクは盗み見されてたワケですね」「ごめんなさい」「あなたのお名
品川駅から乗り換えるとき、人の波に乗るような歩の進め方はもちろん避けて、努めてゆっくり歩いた。「あのぉ、私の体のこと、ご存知だったのですか?」「ええ、知ってましたよ、やっぱり経理の女性です」「それで、護衛って?」「いいえ、その理由は薄いです、あなたがあまりにもステキだから、あのまま上りと下りに別れたくなかったというのが本心です」「本当ですか?」覗き込む仕草が可憐だ。疑っているのではなくて念押しの微笑みを見せた。「口の巧いオトコは信じちゃいけない、要注意ですぞ、お嬢様」「ご
二枚目を気取ると必ず仕損じる、これが私の典型的なパターンだった。目的の相手に好印象を持たせるためには二枚目を演じるのが得策だとする思い込み、いや、悪癖が私の恋愛事情を停滞させていた。ところが飲食店系の女性や人妻の前では三枚目になり切れるのだ。三枚目の特徴は守るべきものがない点で、それゆえ嘘や誇張が要らない。相手の思惑なんか一切お構いなしに、飽くまでも自己中心性を貫くことができるからである。「品川駅で国鉄に乗り換えますし、動きがとてもスローですけどよろしいでしょうか?」「ええ、判
そうだ、帰りを急ぐ理由など有りはしない。京浜急行線の普通電車に乗って、神奈川新町で特急に乗り換え、横須賀中央まで戻る。どうせ帰り着いてもレコードを聴くか、カローラを走らせて下浦海岸へでも出向くか、そんな明けの過ごし方が、何百年も前からの習慣のように自分を待っているだけのことじゃないか。「あのぉ、どうしても今朝は、あなたの護衛として一緒について行って、またこの駅まで戻ってきたいと思います、是非そうさせて下さい」「ハッ」自惚れるわけではないが、彼女の顔に喜びが入り込み、
ごく普通に外へ出かけるというふうな一般的な生活ができないハンデを、彼女は背負っているのだろうか。店先に座って店番をしている日常で、きっと親も無理をさせていないのだろう。店番のその窓越しに幾度も私の姿を捉えていたのではないか。当然私の顔もいつしか憶えてしまっただろうし、同じ町内にある大きなタクシー会社でもあり、夜勤などという内情についても何となく見聞きしていたのだろう。「時間に余裕を持って出ていらしたんでしょ?」「はい」とりわけ心臓の病というのは、五体満足な人間には窺い知れない。
毎月開催させて頂いております。みぞ部長セミナー12月の開催も決定いたしました前回の開催では過去最多の参加となるなど大好評いただいております今月の開催は12月10日(水)10:00~11:0012月22日(月)10:00~11:00の二日間となっておりますので是非タクシー会社のことを少しでも知りたいちょっと気になることがあるという方は是非ご参加くださいお申込はコチラから↓応募フォーム-タク就ナビ|タクシー業界で働くイメージを変える|三和交通「タク就
(二)車庫の出入り口から出て駅へ向かったのが六時半だった。親しくしていた運転手の殆どが乙番に所属していた関係もあって、ひと通り皆の元気な姿を見てから出た。駅まで三百メートル前後、いつものように非常にゆっくりしたテンポで歩を進めた。改札口を入ろうとしたときだ。明らかに私に近寄ってくる人がいる。天使のような頬笑みを浮かべたハタチぐらいの女性なのだが見覚えがない。すると突然「おはようございます」と声をかけてくるではないか。思わず挨拶を返しながらも心が早くも乱れた。あまりにも可憐なお嬢さん
三和交通公式YouTubeチャンネルの登録者数が22,000人を突破しました地道動画投稿を重ねてたくさんの方に見て頂けるようになりましたいつも見て頂けている方はいつもご覧いただきありがとうございますもっと三和交通のことを知っていただけるようにこれからも動画投稿を続けていきます三和交通チャンネル横浜、東京、埼玉のタクシー会社【三和交通】と申します!!!!ホームページ:https://www.sanwakoutsu.co.jp/チャンネル登録者数50
-YouTubeYouTubeでお気に入りの動画や音楽を楽しみ、オリジナルのコンテンツをアップロードして友だちや家族、世界中の人たちと共有しましょう。youtu.be「極寒に日本車が耐えれるのか?w」北欧のタクシー会社がドイツ製ディーゼル車と日本製のプリウスを導入した結果...【海外の反応】日本の技彩
こんにちは‼東京営業所の採用担当です。この度、GOPREMIUMで使用する新型のアルファードが納車されました。とてもカッコいいですよね‼カコ(*゚∀゚)ィィ!新型のアルファードでお仕事ができるのは、GOPREMIUM専属ドライバーだけです‼是非ご応募お待ちしております‼GOPREMIUMってなに?どんな仕事をするの?ドライバーさんの話を聞きたいなど、、、まずは、どこよりも詳しく説明している記事を見てくださいね‼タクシーとハイヤーの“いいとこどり”GOPR