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訳・柴田元幸白水社1998年8月第1刷発行2016年1月第6刷発行250頁第一部天才的なからくり人形師の物語「アウグスト・エッシェンブルク」第二部女性を主人公に日常生活の中に生じた危機的瞬間を扱った3篇「太陽に抗議する」「橇滑りパーティ」「湖畔の一日」第三部少年たちが雪を素材にさまざまな形態の芸術品を作り上げる「雪人間」少年が失われたペニー・アーケードを求めて現実のペニー・アーケードを空しく彷徨う「イン・ザ・ペニー・アーケード」幻想の中
久しぶりに(でもないか)書店に行ったら面白そうな本があちこちで目について。■スティーヴン・ミルハウザー「木に登る王三つの中篇小説」木に登る王:三つの中篇小説Amazon邦訳が出る度につい買ってしまうスティーヴン・ミルハウザー。特に「復讐」という中篇が面白そう。■「人生は生きがいを探す旅神谷美恵子の言葉」人生は生きがいを探す旅神谷美恵子の言葉(単行本)Amazon神谷美恵子さんには勝手に優等生的イメージを持っていて、それほど興味を惹かれたこと
11歳天才作家の伝記の形をとった妙な小説です。最後にガツンとやられました。読んでいる途中に退屈と感じても、最後まで読まなければこの小説の面白さの大半が欠けてしまいます。アメリカのコネチカット州の郊外に少年天才作家がいました。名前はエルヴィン・マルハウス。惜しいことに11歳で夭折しました。伝記を書いたのも11歳の少年ジェフリー・カートライト。1943年、伝記の著者は天才作家の隣家に生まれ、天才作家エドウィンの誕生から死までを文字通り隣りでつぶさに観てきたのです。◆
スティーヴン・ミルハウザー著『エドウィン・マルハウス』(河出文庫)を読みました。**11歳の誕生日にこの世を去ったエドウィン・マルハウス。エドウィン誕生の八日後から、常に彼を側で見ていたジェフリー・カートライトは彼の短い生涯を克明に記録した伝記を書いた。エドウィンの好きだったアニメや漫画やオモチャ。好きだった女の子。命を削るように書いた小説。そして凄惨な死。明るく楽しい子供時代。けれど光り輝くほど、暗く、陰鬱な部分が浮かび上がる。ダークで濃密な子供の世界を描いた作品。*