デリーからジャイプールへの道は、舗装もされていない片側一車線の荒々しい一本道だった。埃っぽい風が窓の隙間から忍び込み、救急車なんて夢物語だと私は思った。事故でも起こしたら、それで終わりだ。そんな不安が頭をよぎる中、車はガタガタと揺れながら進んだ。2時間ほど走ると、畑とも野原ともつかぬ、草木すらまばらな乾燥した平野が地平線まで広がっていた。デリーですら、当時は高層ビルらしいものは見当たらず、バンコクの喧騒とはまるで別世界だな、と私は内心で比較していた。やがて田舎町を抜けると、砂漠の中をさまようよう