「横浜に行ってみようか?」と妻が提案してきた。山下公園に行って中華街でランチを食べようというのである。私は、むむ、横浜か…と一瞬迷ったが結局同意した。横浜は、若く、未熟で、愚かであった(今も大して変わらないが)私が初めて故郷を離れて暮らした街である。若き日を過ごした街はたしかに懐かしく、人を惹きつけて止まないものだが、そこを訪ねることで甦る記憶は、必ずしも甘く美しいことばかりとは限らない。何といっても18歳の世間知らずが大都市で一人暮らしをするのである。中にはその年ですでに老成したしっかり者もい