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砂塵が舞う校庭。関有美子と分かれたひかるはマジ女の校門を跨ぐ。その瞬間、方々から視線を向けられる。歓迎ではなく敵意。目を向ければ、焚かれたドラム缶を囲う女達が鋭く睨んでいる。ゆらゆらと紫煙が立ち昇っていた。ひかるの方から視線を切って、歩いていく。チッと舌を鳴らす音が聞こえたが、無視する。こちから喧嘩を吹っ掛ける理由がない。ここで乱闘などすればひかるへの心証は更に悪くなる。無益な喧嘩はしないに限ると、さらされる視線の中を進み、校舎の中に入っていく。清潔感の欠片もない校内にはあるべき下駄
「ふわぁ〜」麗らかな春の陽気に当てられたひかるが小さく欠伸する。昨夜遅くまで漫画を読んでいたせいで、やや寝不足気味で、瞼を擦りながら、閑静な住宅街を進む。昨日とは違い、今日は視線を感じない。生徒会は手を引いたと推測する。監視しているのが本人にバレた以上、そのまま継続する訳にはいかない。完全に手を引いたとは思わない。恐らく別の形でアプローチしてくる筈。回りくどい手を使わず、正面から来てくれると助かるが、そうもいかないだろう。どちらに転ぶにせよ、生徒会とぶつかるのは時間の問題だとひかるは考え
ヒラヒラと色彩豊かな翅が揺れ、宙を羽ばたく。それを円な瞳が追い、捉えると、小柄な体躯が跳躍を見せ、前足を伸ばす。迫る気配を察知した蝶が翅を動かして、更に高く飛ぶと、空を切る前足。華麗に石畳に着地すると、すぐに蝶を追って走り出す。それをベンチから見ながら、ひかると天が微笑む。「あの子野良猫?随分綺麗だね」「それが私が定期的に手入れしてるからだ。ただアイツが野良かどうかは怪しいな」「え?」「ここは“猫神”を祀る神社。アイツはその生まれ変わりだと言われているんだよ」本当の所は分からない
「どうして私の指示を無視したのですか?」生徒会長潮紗里奈の寒々とした視線が4名の生徒を射抜くと、4人が額に冷や汗を滲ませ、頭を深々と下げる。「すみません。奴に監視してる事がバレ、気が動転してしまい会長の指示を無視する形になりました」「成程。そういう時こそ私達に指示を仰ぐのが普通なんですがね……」潮の言葉は冷たく、鋭い。長い睫毛がかかる瞳は黒々とし、いつもの温かさはない。刺すような緊張感に、松田里奈、上村ひなのの両名は壁際に立っている事しかできない。「我々生徒会は弱き者を守る為に拳を振る
『ーーもう、ここには来ないから』マジ女2階の一角にはテーブルや椅子が並べられた休憩スペースがある。すぐ近くには自動販売機も設けられ、そこでひかりはぐったりしていた。どうしてあんな事言ってしまったのだろうと、どうやら教室での発言を悔いているようだ。勢いとはいえ、言ってしまった以上教室にはいけない。でもKILLERZにはお肉をもらったお礼をしなくてはいけないので、どの道行く事になる。ただ受けた恩は早く返せが森田家の家訓なので、どうしようと眉を八の字に歪める。仮に教室に行き、増本達と関わった事
「……アイツ、強かったな……」1年C組。静かな教室内に響く山口陽世の声。表情は曇り、紙皿に盛られた肉に手をつけず、脇に積まれた雑誌の上に置く。「そうだね、思ってた以上に強かった」隣で陽世の言葉に同意したのはスマホを弄る森本茉莉だ。“マジ板”に綴られたひかるへの誹謗中傷の数々に、不快そうに眉を顰める。「……皆、好き勝手言いやがる」「しょうがねぇよ。まさかアイツが“テッペン宣言”したなんて思わねえだろ。入学式に出てねぇんだぞ?アタシ達」「そういう事じゃねぇ。“テッペン”とる気もねえくせ
空は晴れ模様。心は曇り模様。1年C組を後にしたひかるは少し沈んだ顔で人気のない渡り廊下を歩いていた。“迷惑なんだよ”。あのひょろ長生徒の言葉が頭から離れない。“テッペン”を目指す事の何がいけないのだろう。生徒会に目をつけられるから?だとしても対象はひかるだけの筈。関わってこなければ済む話。つまるところ気に入らなかった訳だ、ひかるが“テッペン宣言”した事が。ひかるは撤回するつもりはないし、諦めるつもりもない。“テッペン”からの景色を見る為にここへ来たのだ。それを捨て去ってしまえば、マジ女
「行ってきます!」靴を履いたひかるが見送りにきたシロとクロの頭を撫で、玄関を開ける。心地よい空気が頬を摩り、晴天が迎える。リュックをしっかりと背負い、柵を越えてマジ女に行こうとしたひかるだが、不意に視線を感じて後ろを見る。「……」当然誰もいない。気のせい?と首を傾げ、歩き始める。やはり背中に視線を感じる。誰かに見られるような事をしたつもりはない。気味悪さを覚えつつ、取り敢えず学校に行く事にした。満開に花開いた桜の花弁が舞う校庭。菓子袋が砂と一緒に風で宙に浮き、拉た自転車が放置され、
「ただいま〜」ひかるが玄関を開けると、マットの上にちょこんと座る2頭の仔犬がいる。白色と黒色の毛を持つ豆柴だ。2頭はキラキラとした円な瞳を向け、小さく短い尻尾をフリフリと振っている。「今日もいい子にしてた?」朗らかな表情を浮かべ、甘えてくるシロとクロの頭をわしゃわしゃと撫でながら言う。シロとクロが前足をひかるの体に乗せ、鼻息荒げに激しい愛情を見せると、ひかるが苦笑する。「おかえり、ひかる」「お婆ちゃん、ただいま〜」リビングかは歩いてきたのは妙齢の女性。ひかるの祖母に当たる志穂だ。靴を
「あれ、ゆいぽんは?帰っちゃった?」「いや、屋上にいるんじゃないかな」マジ女最上階にあるラッパッパの部室に戻ってきた齋藤冬優花の問いに答えたのは、長身かつ美少年ような整った顔立ち、暗緑色のスカジャンにロングスカートを穿いた土生瑞穂だ。「なら後でいいか。先に皆に伝えておく事があるから手を止めて」「むーちゃん一旦中断やね。何かおもろいことでもあったん?ふーちゃん」「む、今良い所なのに……」地雷風メイクが施された可愛らしい顔立ち。ピンクゴールドに染められたド派手な髪を背中に流し、右耳に6つ
カリカリと万年筆を走らせ、報告書を作成してる女性がいる。綺麗に染め上げられた茶髪を腰の辺りまで伸ばし、制服の上から白色のファーコートを着用してる。首元でオダマキを模したネックレスが揺れ、腕には生徒会と綴られた年季の入った腕章、胸元には竜胆のコサージュ。彼女はマジ女3年にして、生徒会長を務める潮紗理菜だ。「会長。報告したい事が2つあります」「何でしょう」万年筆を動かす手を止め、顔を上げる。黒髪ロングに愛らしい顔立ち、蓮が刺繍されたブルゾンを制服の上から羽織り、胸元には竜胆のコサージュ。生徒
入学式が終わり、殆どの生徒が帰り、静まり返った廊下を歩く1人の女性。茶髪を背中に流し、制服の上から背に帽子を被る髑髏が描かれた白いライダースジャケットを羽織っている。首元には黒色のチョーカーに加え、髑髏を象るネックレスを下げ、ロングスカートの裾を靡かせながら歩く後ろ姿からは只者ではない空気が漂っていた。彼女の視線の先には音楽室があり、上部に“軽音楽部”と書かれた段ボールが貼り付けられ、“新入部員募集中”と綴られた紙がドアにあり、女性がため息をつきながら、紙を剥がし、ドアを開けた。「……お帰
「お、“マジ板”更新されてる」1年C組の教室に5人の少女が七輪を囲んでいた。彼女達は入学式には参加せず、ここでのんびりと焼肉に興じていた。七輪の上ではハラミやタンといった様々な部位肉が焼かれ、煙が辺りに立ち込め、空腹をそそる匂いを漂わせている。「あ?何だよ、“マジ板”って」ハラミをタレにつけて、頬張る黒髪の少女。首に鋲付きのチョーカーをつけ、髑髏が描かれた黒Tシャツの上から背にジョリーロジャーの刺繍が施されたジャージを羽織っている。両手首にも鋲のついたブレスレットを装着し、腰にはや
「ーー皆さんにはこの学校で多くを学び、成長していってほしいと思っています」眠い。ただひたすらに眠かった。馬路須加女学園の入学式が行われている体育館では、校長の野島百合子が挨拶していた。しかし誰1人としてその言葉に耳を傾ける事なく、友達と喋ったり、スマホを弄ったり、音楽を聴いたり、思い思いに過ごしている。それを咎める教師もおらず、館内は混沌とした空気に包まれていた。そんな中で、通路側の席に座り、リュックサックを抱いた森田ひかるは今にも眠りそうな勢いで、頭を揺らす。野島の落ち着いた話し声と
「森田ぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」雪がしんしんと降る3月。雄大な河川敷に響く女達の怒号。濃い紫色のセーラー服を着た“尾張第二中学校”の生徒達が1人の少女を取り囲み、殴り倒されていた。少女はこの場にいる誰よりも小柄だ。それを生かして前後左右から繰り出される攻撃を躱し、口元を緩めながら迎撃する。雪でぬかるんだ地面をものともせず、首から下げたペンダントを揺らし、少女の拳が次々に女達の頬を打ち抜く。速射砲のように疾く、刃のように鋭い一撃は喰らえば視界は鮮血で染まり、駆け抜ける衝撃で膝が折れ、その場
「ーーお前達のような事を何というか知ってるか?バカという。それは勉強ができない意味ではなく、人が生来持つ頭の良さ、所謂地頭、お前達は地頭が悪い。私が言ってる事は分かるな?」「……はい」「宜しい。では続けようーー」上ノ区・マジ女では1年No.2山崎天による説教が行われていた。ガン商と揉めた生徒達を正座させ、腕を組んだ天が冷ややかな目で見下ろす。教室には夏鈴、増本、大沼、幸坂の姿もあり、全員が険しい顔で生徒達を見ていて、押し潰されそうな程、重い空気が流れている。「何故揉めた?ウチとガン商の
「まずは状況確認といこうカ」丸垂女子商業高校3階にある音楽室にはガンタ連合総長吉田綾乃クリスティーを含めた幹部達が顔を揃えており、ただならぬ空気が漂っていた。「昨日の夜、上ノ区・修羅通り付近にて、ウチの生徒がマジ女生と揉め、口論の末に喧嘩となり、互いに軽傷を負ったみたい」ガン商一の情報通であり、ガンタ連合親衛隊長の中村麗乃の言葉に皆が顔を顰める。副総長の佐藤楓が乱暴に頭を掻く。「“不可侵協定”の事を知らねえ筈がねぇ。っとに面倒なことしてくれたよ」相手がマジ女じゃなければわざわざこうして
頭が揺籠のように揺れている。誰もその事を気にせず、各々がしたい事をする。声が響き、足音が鳴っていた。そんな中でウトウトしていた少女が勢い良く机と一緒に床に倒れ込んだ。けたたましい音に流石に周りも目も向ける。「寝てない!寝てないから!」「誰も何も言ってないが」ばっと顔を上げた少女、森田ひかるの謎な弁明に返答したのは雑誌を読む、茶髪ロングストレートに“マジ女”の制服、ロングスカートを穿き、首から欠けた勾玉のネックレスを下げた少女、山崎天だ。「……眠そうだね、ひかる」「眠い。メッチャ眠い
「ーー第1回夏休み何やるか選手権〜〜!!!」レイが拳を高々と突き上げながらテンション高く宣言するも、さくら達は今ひとつ乗りきれず、気まずい空気が流れてしまう。「あれ、何か元気ないね、皆。お腹でも痛い?」「違いますよ、レイ。貴女が何も説明しないからこうなっているんです」首を傾げるレイにあやめが厳しい口調で言う。それで漸く気付いたのか、レイがあっと声を出し、説明を始める。「特に説明することもないんだけど、要は夏休みに皆がしたいことを発表するだけ!1番良かった人のしたい事を皆でしようって感じ
『さっきはありがとね〜』ガン商1年4組の教室で、スマホを見ながらウエハースを口にする。画面にはひかるからのメッセージに加え、シロとクロの写真が表示されていて、カメラ目線の2頭の愛らしい姿に口角を吊り上げるさくら。「何見てるの?さくちゃん〜」ひょこっと横から顔を覗かせ、スマホ画面を見ようとするは茶髪ツインテールの少女、矢久保美緒である。「ちょっと見ないでよ、美緒」さくらがスマホの画面を下にして言うと、矢久保があっさりと身を引く。さくらを“推し”ている彼女はさくらが嫌がる事はしない。「美
瞳が揺れる。黒曜石よろしく輝きを放つ瞳は内側からせり上げる不安で大きく揺らぎ、スクールバックの持ち手をギュッと力強く握り、辺りを見回す少女、遠藤さくら。さらさらとした手触りの良さそうな艶めかしい黒髪を背中に流し、卵のようなふっくらとした骨格に配置された目、鼻、唇は全てが完璧で、誰もが美少女というであろう顔立ちになっている。そんな彼女は今、“橋”を渡ろうとしている。達磨上下大橋と呼ばれる大きな橋を。向こう側にあるコンビニに行きたいのに、只ならぬ緊張感を抱くさくら。(……大丈夫だよね?)
バチバチと蛍光灯の灯りが弾ける。薄汚れた廃れたバーのカウンターに1人の少女が座っている。淡いピンク色のパーカーに黒色のリュック。フードの奥から覗く双眸は一点を捉えたまま動かない。目線の先には黒板があり、そこにはびっしりと文字と写真が貼られ、それを見ながら思案しているとカップラーメンの蓋が剥がれないように置いてある砂時計が落ちきり、それを退かし、蓋を捲る。割箸で黒板を見詰めながら麺を啜り上げる。濃厚味噌の謳い文句に偽りなく、胃袋にガツンと来る濃縮された味、ただ少女は表情を変える事なく無表情
episodeofガンタ連合エピローグ③「だから“ベマーズ”だって言ってんでしょ!」「いやいや“ポラリス”だから。昨日の“キレイ”さんのピッチング見た?あのキレッキレの【ファイアウィンドミル】。今年はいつになく仕上がってる。間違えなく優勝だよ」「はあ?“ななまる”投手の【四蝋投(スーロートー】だって例年よりもキレが増してる。去年の日本代表で大会出場した経験が活きて、更に伸びるだろうし、打率3割超えの“マルキュー”選手だっている。間違えなく優勝はベマーズ」「打率3割ねえ……去年は確か
episodeofガンタ連合。エピローグ②追記。本日の15時に今回登場させられなかったキャラクターを描いた小説、エピローグ③を更新しますので宜しくお願いします。鏖殺連との激闘から1週間が経過した。3日前に賀喜遥香が目を覚まし、様々な検査の末に今日、漸く面会できるようになった。「はいかっきー。リンゴ剥けたよ」「ありがとう、さく」綺麗に剥かれたリンゴに爪楊枝を伸ばそうとする賀喜。しかし真横から伸びてきた爪楊枝がリンゴに刺さり、奪われてしまう。標的を失った賀喜の爪楊枝が虚しく空を刺す
episodeofガンタ連合エピローグ①「こコ?」「そうここらしいよ、“M”によれば」「そう、カ……」遠藤さくら達が“鏖殺連”と激闘を繰り広げている同じ頃、福神商店街の外れた通りに建つ廃ビルの前に数名の人影がある。至極色の特攻服を羽織る吉田綾乃クリスティー、通称“クリス”とガンタ連合の幹部達だ。彼女達はとある情報屋からここに“鏖殺連”を引き寄せた元凶がいるとのこと。とはいえ“M”とはメールでのやり取りしかしておはず、それが正しいものである証拠もない。ただこの先に賀喜を、若手達
episodeofガンタ連合後編③薙ぎ払わられた薙刀が女達を弾き飛ばす。さくらと矢久保を背にしてあやめは、薙刀を振るって女達を殴り倒していく。「これから進みますが決して私から離れないように。それと美緒、万が一の時は貴女が盾となってさくらを守ってください。オタクでしょ?肉壁になりなさい」「そんな事言われなくても分かってる!!!」「ええぇぇぇ。大丈夫だよ、私も戦うから」「ダメ!さくちゃんのその手は人を殴る為にあるんじゃない!」肉壁発言に軽く引き、困惑するさくらをよそにあめは進ん
episodeofガンタ連合後編②「もういいか?」「いつでも」掛橋が軽く地面を蹴って、構える。ボクシングでいうアウトボクシングに近いスタイル。一方女はだらりと両手を下げたまま、ジッと掛橋を見ていた。1秒、2秒、3秒と時が過ぎていく。張り詰めた重い空気がただ流れ去っていく。林は真剣な表情で見守りながらその時が来るのを待つ。20秒が過ぎた頃、掛橋の体が揺れる。長髪が尻尾のように後方に靡き、高い瞬発力で一気に女との間合いを詰めると、肩を揺らす。風を裂く左拳が放たれる。速く、鋭い一撃
episodeofガンタ連合後編①宵闇に覆われた空の下、無数の人影がある。目の前には雄大な敷地を金網で取り囲み、巨大な建物を有する灰原工場がある。かつては繁栄し、巨額を生んだと言われているが、時代と共に需要が減り、廃れ、今では不良少女達の溜まり場と化し、そんな場所に賀喜遥香を痛めつけた者達がいる。「クリスさん達は別行動するとのことです。博士によるとかっきーを襲撃したのは“鏖殺連盟会”通称“鏖殺連”と呼ばれる地方組織です。手段を選ばず人を攻撃する狂った組織とのこと」濡羽色の特攻
episodeofガンタ連合中編「うん。今休憩中だよ。それで何かあったの?」達磨街・下ノ区にある単車や車の修理を専門とするお店の喫煙所で、早川聖来が煙草に火をつけながら清宮レイの電話を受けていた。「え?かっきーが?嘘でしょ。私を学校に来させる為に言ってるんじゃないでしょうね」危うく落としかけた煙草を寸前の所で掴み、紫煙を吐き出しながら怒気の孕んだ声で言う。電話越しでレイが本当なんだよと慌てている。「それで、誰にやられたの?」『それを今さぁちゃん達に調べてもらってる。まだ情報が
episodeofガンタ連合前編。「ぐふっ………ぐふふふ。たまりませぬ。たまりませぬなぁこれは」達磨街・下ノ区にあるヤンキー高校丸垂女子商業高校通称“ガン商”の1年4組に不気味な少女の笑い声とかしゃかしゃとシャッター音が響いていた。純白のセーラー服にミニスカート、黒髪をツインテールに結い上げた可愛らしい少女、ガン商1年矢久保美緒が机上に両腕を乗せ、寝ている少女の顔をシャッターに納め、至福といわんばかりの表情を浮かべる。「あやめちゃん。あれ、何してるの?」「オタ活という名の盗撮です