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朝早くから王殿で仕事をしていたサムノムは連絡役の内官に淑儀が呼んでいるので集福軒へ行くよう命じられた。「……淑儀様が…ですか?」淑儀に会うのは東宮殿に配属を変えられて以来だ。どうして呼ばれたのかサムノムは不安で胸が押し潰されそうだった。ーどんな用件だろう…ーもしかしたらヨンに遠ざけられた事を知り、王殿にも相応しくないとお叱りを受けるのだろうか。「淑儀様、ホン内官が参りました」「通してちょうだい」部屋に入ったサムノムは淑儀の顔を見るのが恐くて深く頭を下げた。「待っていた
ヨンから思いもよらない言葉が出た事にビョンヨンは当惑した表情でヨンの後を追いかけた。「世子様っ」ビョンヨンの呼びかけも無視してヨンは「下がれ」と一言告げ書庫に入っていく。ヨンとビョンヨンの後を小走りで追いかけようやく追い付いたチャン内官は溜息をついてヨンの背を見つめた。ビョンヨンは横に立つチャン内官を見る。「一体何が?世子様はどうされたのですか?サムノムは何処に?」「ホン内官から何も聞いておらんのか?ホン内官は今王殿に遣わされている」「王殿に?!世子様が…そうされた
〈コメディ〉監督:パク・ギュテ出演:コ・ギョンピョ、クァク・ドンヨン2024年お正月、観に行って参りました。面白かったよ。まさに新年初笑い。実際のとこ、前半はあまり笑わなかったのよね。同じ列のオバ様方がマジで笑い過ぎなんだもん。そんなに面白いか?って何度も思ったぞ。いや、笑いのツボって人それぞれだし、決して否定する訳じゃないんだけど。横で(自分がそうでもないのに)物凄い温度差で笑いまくってると、こっちはちょっと冷めちゃう時があるよね、って話。言葉遊びも多かったので、韓国語
今夜のサムノムはいつになくよく喋った。そこに僅かな違和感を感じる。ビョンヨンはお代わりの器を差し出しながらそんなサムノムを観察した。「そうだ!キム兄貴は何か食べたい物ありますか?」「……食べたい物?」そういえば考えた事がない。ニコニコと笑うサムノムを見る。「どうしたんだ急に」「え?何がです?」「………」「あ、牛乳粥とかは無理ですよ?食材が手に入らないし」違和感は感じるものの、それが何かは分からなかった。「麺」簡潔に言うと先に食べ終え立ち上がる。「明
理容師資格を持つ俳優パク・ボゴム、美容室開業!1年間準備した新バラエティ番組に期待さまざまなバラエティ番組で、家事の腕前で感嘆を誘ったクァク・ドンヨンは、百人力の“シゴデキ”の一面を見せる。長い間1人暮らしをしていることから、料理から細かい修理まで、美容室にどんな困難が迫っても、何でも解決する。特に、3人は約1年にわたって『ボゴム・マジカル』を準備してきたという噂だ。美容室の場所の選定からリフォーム、インテリアまで、彼らの手がけていない箇所がないほどだ。出演作を通じた縁に始
ハヨンはヨンに向かって自ら手を差し出す。「見ているだけですか?」「…………」まぁ、非はこちらにあるのだし…と若干の図々しさを感じつつもヨンは娘の手を取り立ち上がる手助けをした。「世子様?!世子様?!何事ですか?!」旗の倒れた音と悲鳴を聞き付け駆け寄って来たチャン内官がヨンを世子と呼んだ事にハヨンは驚きのあまり目を見開く。ーこのお方が…あの世子様なの?!ー幼い頃、ミョンウンと一緒に遊んでいた時に何度か見かけた事がある。言葉も交わしたはずなのに全然分からなかった。ーま
王宮内で領議政らが密談を行う小さな部屋があり、そこに領議政、吏書判書、戸曹判書が朝から顔を寄せ合っていた。「昨夜だけで3軒も荒らされました」吏書判書が領議政に昨夜蔵を荒らされた事を報告していた。「盗賊など珍しくもなかろう、使臣団も来ておる故あまり騒ぎ立てるな」「はい…。しかし悪い予感がしてならないのです」領議政が吏書判書に目を向ける。「悪名高い豪商の蔵だけをこれ見よがしに狙う…おい、アレをお見せしろ」言われて戸曹判書が領議政の前にビョンヨンが落とした白い仮面を置いた。「
今日は朝から弓の訓練があり、いつもとは違う衣が用意されていた。「失礼します、世子様」衣を広げヨンの背後に回り着せようとする。が、ヨンは今までは着せやすいように腕を上げたりしていたのだが、今日は一切動かずサムノムは四苦八苦しながらなんとか衣を着せた。「………」俯いて衣の紐を結んでいるサムノムにチラリと目を向ける。ー昨日の事を何も言わないつもりかーー言い訳すらしないのかーそれが更にヨンの怒りを煽っている事にサムノムは気付かない。一方、サムノムも昨日の事を謝ろうにもヨンの
ビョンヨンはサムノムが自分をジッと見ているらしい視線に、やはりあの時自分に気付いていたのかと焦りが滲む。「遅くに出歩くなっ」試しにサムノムよりもずっと早く帰ってきていたと匂わせてみた。「………」ー似てるけど…よくある衣だしなぁ…ーだがそんなものサムノムには通じない。ーま、いいやー「心配してたんですか♪」確かに遅くはなったが今日は休暇だし、怒られるほど遅い時間でもない。心配してくれてたのかと嬉しくなって聞くと──「五月蝿いぞっ」どうやら虫の居所が悪いらしく怒られて
木覓山の東屋まで来たヨンは最初にサムノムが座っていた場所に腰を下ろし、しばらくぼーっと月を眺めた。遠くの空にぽつぽつと風燈が上がっていくのが見える。本当だったら今頃サムノムと一緒にこんな風に夜空を眺めたり、甘い菓子を買ってやったりと楽しく過ごしていたはずなのに。ー別にケンカがしたい訳じゃないのに…ーいつからサムノムに腹を立てるようになってしまったのだろうかと考える。「……そうだ、宴の後からだ」サムノムを消えた踊り子ではないかと疑いだしてから何かがおかしくなった。「あ!」
「キム様が頻繁に妓楼へ、しかもお一人で通われていたという事が分かっただけです。誤解などいたしません♪」再びニッコリと微笑んだサムノムにユンソンはガックリと肩を落とした。「……そうだな」妓楼で妓生の裸を描いていたとは死んでも言えない。ならば何も間違っていないので訂正のしようがない。よって認めるしかない。「それにしても遅れていらっしゃったから灯りも消えて…見る物がありませんよ?」「ひと言も言っておらぬ、風燈祭が見たいとは…」「?」遠回しにサムノムと一緒なら口実はなんでも
「サムノムは……“私の人”だ」「「?!」」ユンソンは驚きを隠せず目を見開く。しかしヨンには微塵の迷いもなかった。“私の人”特別で大事なそばにいて欲しい人。この言葉が今の自分の気持ちを表すのに最も相応しいと思ったからだ。ー今……なんて…ーサムノムは呆然とヨンを見上げていた。***ユンソンは内心で唇を噛んだ。まさかここまで直球でくるとは思わなかった。やはりサムノムが女人だと気付いているのだろうか。それでも“それ”が譲る理由にならないのは同
王宮では王が寝殿の廻廊に立ち、遠くの空を上っていく風燈を眺めていた。「あのひとつひとつに民の願いが込められているのだな…“腹一杯食べたい”“元気になりたい”その全てが余に向けられた言葉なのだ…」「………」側で控える内官の長、ハン・サンイクが王を見る。「尚膳、風燈は無いが余もそなたにひとつ頼み事をしてもよいか?」「はい、王様」「世子をよろしく頼む」「……!」「愚かな余のように折れて倒れる事の無きよう…側で支えてやってくれ」「………」なんの疑いもなく自分を信頼する王を少
戻ってきたヨンは待ちきれなかった誰かの風燈が空に上がっていくのをジッと見上げるサムノムの小さな背中を見つけ足を止めた。「………」寄る辺ないその姿が何故か切なく胸に迫る。きっと毎年風燈には同じ願いを書いていたのだろう。背後に近付くとわざと明るく「何を見ておる?」と声をかけた。驚いて振り返ったサムノムの瞳は僅かに濡れていた。「…何でもありません」強がるサムノムに少し笑い風燈を差し出す。「………」風燈を見るサムノムに笑いかけるとサムノムもようやく笑顔を浮かべた。***
特に目的もなく露店の並ぶ通りを歩いていたドッコは人混みの中をこちらに向かって歩いてくる人物に小さな目を見開いて足を止めた。夢ではなかろうか。否!あの麗しい姿は間違いなく王女様だ!ー何ということだ。風燈に願う前に叶ってしまった!ー擦れ違うその姿を目で追いながら呼び止めなければと手を伸ばし「おっ……おっ……おっ……」といつもの如くテンパって言葉が出て来ない。「“お嬢さん”!」代わりに下男が声を掛けた。「「?」」振り返ったミョンウンとウォリはドッコを見るなり驚愕に目を
「どうした、世子を窮地に追いやるのが怖いか?」男が振り返りビョンヨンを見た。もし、自分たちが清の使臣を襲撃すればヨンの立場は間違いなく悪くなる。代理執政を阻みたい領議政らはそれをヨンの失態にすり替えて非難するだろう。下手をすれば廃位に追い込まれる事態になりかねない。そんな事になったら…。「…世子様の決定を…しばしお待ちになり─」「いいか忘れるな──お前は世子の“友”ではない」言葉を遮り男はビョンヨンに現実をつきつける。「…………」“友ではない”ーそんな事
日が暮れ始めた王宮でヨンは東宮殿の廻廊に立ち青藍に染まる空を見上げる。今朝、不自然な程はしゃいでいたサムノムにヨンは何故だか違和感を覚えていた。最初は初めての休暇だからかと思っていたが、高台で泣いた時も辛い思い出をことさら明るく語っていた。生き別れた母親の夢を見て泣きながらも幸せな夢だと言う。ーあいつ…辛い時程明るく振る舞うのでは…ー「…………」ヨンは御衣を着替えると王宮を抜け出した。***祭りの中心部に向かう橋の向こう側にポツンとひとり佇むサムノムを見つけた。行
──翌日サムノムは朝早く起きてビョンヨンを送り出し、普段はあまり手の行き届かない資泫堂の掃除などをしながら午前中をのんびりと過ごした。昼を過ぎてそろそろ街に出ようと門に向かっている途中でト・ギとソンヨルに出会い2人に囲まれる。「いいなぁ休暇、俺も祭りに行きたい」「最近は皆クソ宮殿が羨ましいって言ってるぞ」口々に言ってサムノムの背中をバンバンと叩く。「イテッやめろよ~♪お土産買ってきてやるからさ」友達と楽しそうにしゃべっているサムノムをヨンは遠くから見ていた。ー随分と
ボスボスッと布団に八つ当たりしていたヨンは足元にサムノムの官衣を見つけて叩く手を止めた。腕を伸ばして官衣を手繰り寄せる。「…………」「世子様」ビョンヨンに呼ばれ官衣を手にボーッとしていたヨンが顔を上げた。寝起きだから喉が渇いてるだろうとサムノムに持たされたお茶を手渡す。ヨンは無言でそれを受け取り一口飲むと「ユンソンがここに来ていた」とポツリと呟いた。「資泫堂に?」「ああ…」7年前からユンソンがここに来た事などなかったのに何故今になって…。「サムノムに興味があるよう
「今日は太平館の件で来たのでは?」席に着いたサムノムの向かいに座りユンソンは切り出した。あの2人の言っていた通りだ。まさか単独で太平館に乗り込んでくるとは思わなかった。あの2人が心配するのも当然だ、危なっかしくて放っておけない。「あ、はいそうです、何故お分かりに?」「名簿を見ていたら不審な点があって、ちょうど調べに入ろうと思っていた所だ」サムノムはホッとした。どうやら太平館の管理はユンソンが兼務している様だ。ユンソンならきっと悪い様にはしないだろう。「ありがとう
太平館を出たユンソンはサムノムに用があって資泫堂に来ていた。だが、誰もいないらしく静まり返っている。ユンソンは資泫堂の象徴でもある大きな楠の横に佇みジッと屋敷を見つめた。“資泫堂”そう呼ばれるこの屋敷は元々ヨンの母前王妃であるユン氏の屋敷で、幼い頃ヨンとビョンヨンの3人でよく遊んだ場所だった。投壺をしたりビョンヨンの祖父が作ってくれた凧を揚げたり、ヨンの母からお菓子を貰ったり、共に勉強もした。楽しかった。あの頃はただ純粋に楽しかった。「………………」「ここに何
2018年放送「私のIDはカンナム美人」1話43分前後の全24話AbemaTVで見ました👀私のIDはカンナム美人|BS日テレ顔を成形した主人公の人生改造ストーリーを描いたロマンティック・コメディ。見えない本物の美しさを探していく若者たちの成長過程を描くwww.bs4.jphttps://s.mxtv.jp/drama/kannamubijin/チャウヌは国宝級イケメンってだけあって確かにきれいな顔してるよねでも私は全然惹かれませんねぇ演技もあんまり??ヒロインのイ
1人になったサムノムは、ヨンが読んでいた本の横の隙間に高級そうな小物入れを見つけた。なんだろうと中を覗くと金色に輝く丸薬が入っている。「?!」思わず咽せそうになって慌てて口を押さえた。間違っても吐き出すなんて勿体ない。ーご、牛黄?!これって牛黄なの?!ー口に放り込まれた物が超のつく高級品だと分かり驚くサムノム。ーわ、私の為に?!ーしっかり噛み締めねば!それにしても、最近のヨンは益々変だ。もぐもぐと口を動かしながら首を傾げる。優しかったかと思えば急に怒り出
◇きのうCSのザ・シネマチャンネルで観たのが~☆韓国映画視聴:通算513作品目【宝くじの不時着1等当選くじが飛んでいきました】(2023年)◇[ストーリー]南北朝鮮の軍事境界線で勤務している南側(韓国)人兵士がロト宝くじを手にする。抽選のテレビ中継を観ていると・・・6億円が当選!!!!!が!風のいたずらで軍事境界線を越えて・・・―「嫌なこった!知ったこっちゃない!!」と北(朝
ラブ・イン・ザ・ビッグシティ(原題:대도시의사랑법/大都会の愛し方)2024年公開の韓国映画118分○ストーリー秘密を抱えながら生きるフンス(ノ・サンヒョン)は、周りの目を気にせずに生きるジェヒ(キム・ゴウン)と大学で出会う。2人はある出来事がきっかけで、毎晩のように一緒にクラブへ行きお酒を飲むようになる。その内にフンスはジェヒの家でルームシェアすることとなるが…。お互いにかけがえのない存在となる2人の20代から30代にかけての友情を描いた作品。○キャストク・ジェヒ役キム・
まだ日も昇らない明け方、ヨンはサムノムの額に手を当てた。熱は下がり、苦しげだった呼吸も今は規則正しく繰り返されている。その様子に安堵し、笑みを浮かべた。だが、風邪は治りかけが肝心だ。やはり牛黄を用意させよう。そう思った時、サムノムが身を捩り上掛けをバサッとはね除けた。「…まったく」風邪を引いた原因は絶対にこれだ。腹でも出して寝ていたに違いない。ヨンは、はね除けられた上掛けをサムノムの頭からバサッと被せた。「…………」しばらくすると息苦しくなって「…プハ
「いいえ…幸せな夢です」「!」その言葉にヨンは目を見開いた。ー幸せ…?ー「たとえ夢の中でも…母さんに会えたのですから…」「……………」ーこんなに辛そうに泣いていても…幸せだと言うのか…お前は…ーその心をとても愛おしく思った。袖を掴んでいた手から力が抜け、サムノムは再び眠りに落ちていく。ヨンは離れたその手の平に自らの手を置いた。何故だかサムノムに触れていたかった。いつもは冷たい指先も今宵は熱い。ヨンは上掛けを肩口まで引き上げながら、かつてこの布団でサムノムと一
こんばんは🌙またまた最近は韓国ドラマがマイブームになっていて身体を壊しちゃいそうですあははハマりすぎて寝るのを忘れちゃうからねバカ…輝くウォーターメロンに続いて涙の女王を昨日見終わりましたお写真お借りしました何かと話題のキム・スヒョンさんとめちゃめちゃ綺麗なキム・ジウォンさんのドラマかなり面白かったです財閥のお嬢様と田舎者の弁護士大恋愛の末結婚するもののいつしか冷め切った関係になり…財閥一家がお祖父様の同棲相手によって落ちぶれていき
「ラオン、かくれんぼしようか」母さんはそう言って笑った。ある日を境に村を転々と移り住むようになり、1年と同じ場所に住んでいたためしがない。その頃から男として育てられ、外では“サムノム”と名乗るように言われていた。だが、何かある時は本名の“ラオン”と呼んだ。“人の多い都の方がかえって安全かもしれない”おじいさんにそう言われ、都に移り住んだ。“サムノムの戸籍は用意したから安心しなさい”母さんはおじいさんに頭を下げていた。何が“安全”で、何
王殿では王の横にヨンが控え、正面には領議政が座っている。ヨンは何を考えているのか分からない顔で座る領議政の、僅かな表情の変化も見逃すまいと目の端に領議政の姿を捉える。「王様、清の使臣が要求する朝貢品の目録です」尚膳(サンソン)が目録を広げた。「皇室に銀貨3万両、高麗人参200斤、ヒョウの皮150枚、イタチの毛の筆50本」「何故此程までに増えたのだっ」王と領議政が黙って聞いている中、ヨンはあまりの要求量に思わず口を挟んだ。「それではひと月前に比べて倍ではないか!」「代理執政