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この映画、話題になったし、日本アカデミー賞の主演女優賞だけ取ったので気になっていました。生まれつきの障害で耳が聞こえないケイコは再開発が進む下町にある小さなボクシングジムでプロボクサーとしてリングに立ち続けていた。だがそのジムが、練習生が減っていることもあり、閉鎖されるという噂が流れている。ケイコは最近少し練習に身が入らなくなっていた。聴覚障害と向き合いながら、実際にプロボクサーとしてリングに立った小笠原恵子さんがモデルだそうだ。とても良かったです。というか
アッバス・キアロスタミ監督が1987年に撮った『友だちのうちはどこ?』は、ファジル国際映画祭で最優秀監督賞・審査員特別賞を受賞し、ロカルノ国際映画祭で銅豹賞・FIPRESCI賞特別賞、エキュメリック審査員賞特別賞を受賞した作品で、キネマ旬報年度別ベストテンでは第8位にランキングされております。ババク・アハマッドプール(役名:アハマッド)が通うイラン北部コケール村の小学校で、教師のホダバフシュ・デファイが生徒達の宿題を確認しています。アハマッド・アハマッドプール(役名:モハマッド・レダ・ネ
今週はキネマ旬報ベストテン入賞作品紹介特集週間。「ケイコ目を澄ませて」三宅唱監督2022年キネマ旬報ベストテン日本映画部門第1位作品。前作(きみの鳥はうたえる)でブレイクした三宅監督。今作もかなり話題になってしました。さてどうでしょうか?主人公は生まれつきの聴覚障害で、両耳とも聞こえない女性。加えて嘘が付けず愛想笑いの出来ない難しい性格でした。そんな彼女の唯一の拠り所はボクシング。再開発が進む下町の一角にある小さなボクシングジムで日
今週はキネマ旬報ベストテン入賞作品紹介特集週間。「千夜、一夜」久保田直監督2022年キネマ旬報ベストテン第9位入賞作。主演を田中裕子が努めています。さてどうでしょうか?物語の舞台は北の離島にある寂れた港町。主人公は海産物工場でパートで働く初老の女性。実は彼女の夫は30年前に突然姿を消し、今でもその帰りを待ち続けています。漁師の独身男は彼女に思いを寄せているが、彼女がその気持ちに応える事はなく断り続けています。そんなある日、2年前に失
『クローズ・アップ』(1990)のアッバス・キアロスタミ監督が1997年に製作し脚本も書いた『桜桃の味(TasteofCherry)』は、カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞し、キネマ旬報ベスト・テンで第6位となった作品になります。ホマユン・エルシャディ(役名:バディ)は、テヘランを車で走りながら自分の自死を手助けをしてくれる人物を探しています。その作業とは、ホマユン・エルシャディが掘った墓穴に横たわる自分に土を被せることです。彼は勧誘する人々に、翌朝自分が選んだ場所に行き、生き
このところの当ブログで、「第97回キネマ旬報ベストテン」(2023年公開映画対象)で日本映画第1位になった『せかいのおきく』(2023阪本順治監督)について書いています。江戸時代の貧乏長屋を舞台に、厠から糞尿を汲み取り農家に売る「下肥買い」の青年(寛一郎さん)と声を失った娘(黒木華さん)の恋を瑞々しく描いています。当時の下層で懸命に生きる者に、「モノクロ」「スタンダード」という映像がピッタリで、こういった人たちにもそれぞれの「せかい」があり、また「世界」はこのような小さな「せかい」を抱えた人
ひとつ前の当ブログの続きです。2月18日(日)に観に行った「第97回キネマ旬報ベストテン表彰式」(オーチャードホール)で、ベストワン作品になった『せかいのおきく』(2023阪本順治監督)で脚本賞に輝いた阪本順治監督はスピーチで、この映画の当初のタイトルは「江戸のウンコ」だったと打ち明けました。さすがにそれでは……と、最終的に『せかいのおきく』というタイトルになったわけですが、これは劇中の佐藤浩市さんの台詞によるものです。佐藤浩市さんが演じるのは、元・武士ですが今は落魄し長屋の住人になってい
ひとつ前の当ブログで、4年前の2020年に「文京シビックホール」で観た「第93回キネマ旬報ベストテン表彰式」のことを書きました。監督作の『火口のふたり』(2019荒井晴彦監督)がベストワンに輝いた荒井晴彦さんですが、監督賞は若松プロの後輩・白石和彌さん、脚本賞はかつて『大鹿村騒動記』(2011阪本順治監督)を脚本共作した阪本順治さんと、後輩ふたりにさらわれました。特に、荒井さんの本業である「脚本賞」が獲れなかったことが悔しかったらしく、阪本さんに「脚本の書き方を教えてもらおうかな」と冗談ま
80年代東京はミニシアターのブームだった。新宿のシネマスクエア、六本木のシネヴェヴァン、渋谷のシネセゾン、ユーロスペースなどなど。大手の東宝も日比谷にシャンテをオープンさせフランス映画社の優れた作品を上映していた。ヴェンダース、ジャームッシュなどなどの世界中の映画作家のインディペンデント作品が提供された。そんな中、大ヒットしたのが1987年「グッド・モーニング、バビロン」。ヒットしたばかりではなく、その年のキネマ旬報外国映画部門1位を獲得するなど、日本で高い評価を受けた。ハリウッドを舞
今日は肺のレントゲンを撮ってきた。いちおう異状なし。引き続き、強めの咳止めもらう。年が明けてから、なんだか三日に開けず、主治医の尊顔を拝している。1日だけ躁転した日、吉祥寺のジュンク堂書店でキネマ旬報を立ちよみした。ベスト10発表号。邦画1位は、阪本順治監督の「せかいのおきく」下肥のはなしである。なんと製作日数、わずか12日。上映にこぎつけるまでは紆余曲折を経た由。60代後半の阪本監督がこんな苦労をしなければならないとは…。いのちをかけて造っているとはこういうひとたちのことで
1月の映画鑑賞記録第5回です。『ケイコ目を澄ませて』2022年監督三宅唱原案小笠原恵子(『負けないで!』(創出版))感想)先天性の聴覚障害を持つ小河ケイコ(岸井ゆきの)は、昼はホテルの客室清掃員として働き、夜はボクシングジムに通って練習に励んでいた。初めての試合で勝利を収め、聴覚障害というボクサーにとって大きなハンデを克服して頑張る姿は新聞にも取り上げられる。ジムの会長荒川(三浦友和)は自身の病気やジムの老朽化により、ジムを閉鎖することを決意する。ジムのトレーナーはケイ
毎年楽しみにしているキネマ旬報のベスト・テン企画。これまでは2月下旬号の特集だったけれど、今年からは増刊号として発売された。キネマ旬報2月号増刊キネマ旬報ベスト・テンキネマ旬報2024年2月増刊キネマ旬報ベスト・テン発表号No.1938Amazon(アマゾン)主演男優賞、主演女優賞を獲得した2人が表紙に登場するのが恒例。今年は役所広司と趣里。そのほか助演、新人、監督、脚本の個人賞、日本映画、外国映画、文化映画、読者選出日本映画、同外国映画のベスト・テンなどが発表される。誌面は
実は、先日開催された「あきた十文字映画祭」でも上映があったのですが、数日前にDVDで鑑賞したばかりだったので、今回は鑑賞をやめました…大きなスクリーンで見る機会は貴重だし、阪本順治監督の舞台挨拶もあったので、かなり迷った部分もあるのですが、今回はパス…ちなみにこの映画、なんと2023年のキネマ旬報のベストワンに選ばれましたし、毎日映画コンクールでも日本映画大賞みたいなのをもらっていますし、かなり高評価されている作品ではあるのですが…まさかの「ウンチ映画」なんですよね?実は、あの「べち
このところの当ブログで、1946年、戦争による中断から復活した「キネマ旬報ベストテン」で第1位になった『大曾根家の朝』(1946木下惠介監督)について書いています。既に書いたように、この映画では夫を亡くし4人の子どもと暮す杉村春子さんの家に叔父の小沢栄太郎さんが何やかんやと介入し君臨します。次男は絵が好きで美術学校に行きたいのに戦地に送られ命を落とします。軍人の叔父の言いなりになっていた杉村春子さんがついに怒りを爆発させるのは、戦争や男性優位社会に耐えていた全ての女性たちを代弁しているようで
ひとつ前の当ブログで、戦後すぐの昭和21年の映画『大曾根家の朝』(1946木下惠介監督)を取り上げました。この映画で、戦前~戦中に母子家庭に君臨する叔父(小沢栄太郎さん)に対し、戦後、ついに母親が怒りをぶちまけます。自分の娘は叔父の利権目当てに婚約を破棄され、3人の息子のうち2人は戦死です。そんな理不尽にも黙らざるを得ない時代が終わったことを表すような「日本をメチャクチャにしたのはあなたたちのような軍人だ。出て行きなさい!」と杉村春子さんが言い放つシーンはとても感動的です。この小沢さん演じる
映画好きにとっての毎年のお楽しみ「2023年キネマ旬報ベストテン」発表されましたhttps://www.kinejun.com/article/view/34829https://www.kinejun.com/article/view/348292023年第97回キネマ旬報ベスト・テン第1位作品&個人賞発表!|キネマ旬報WEB2023年第97回キネマ旬報ベスト・テン第1位作品&個人賞発表!■日本映画作品賞(日本映画ベスト・テン第1位)「せかいのおきく」■外国映画作品賞
キネマ旬報社読者選出日本映画監督賞瑠東東一郎監督が「Gメン」で受賞された模様キネマ旬報ベスト・テン2月5日発売のキネマ旬報2月増刊2023年キネマ旬報ベスト・テン発表号に瑠東監督のロングインタビューが載ってるみたいです岸くんの作品がみんなに愛された結果だよね〜💜ここ何日か原作者のマンガ家さんと脚本家さんの間のお話を耳にしていて悲しい結果になってしまって…Gメンはほんとに勝太なのか岸くんなのかわからないほどに勝太だったし他のキャストのみなさんもほんとに素敵
今週は実話ベースの映画紹介特集週間。初日はコチラ!「夜明けまでバス停で」高橋伴明監督ベテラン監督による2020年の渋谷ホームレス殺人事件をベースにした作品。昨年のキネマ旬報ベストテン邦画部門3位入賞作です。さてどうでしょうか?主人公は45歳の孤独な中年女性。昼間はアクセサリーを手作りして売り、夜はチェーンの焼き鳥屋でパートとして働いて、別れた夫の借金を返す日々でした。苦しいながらも何とか生活をしていたのですが、コロナが起こり焼き鳥屋を一方
2022年(第96回)キネマ旬報日本映画ベスト・テン(★は個人的評価)第一位『ケイコ目を澄ませて』★★★★★★★(7/10)第二位『ある男』★★★★★★★★(8/10)第三位『夜明けまでバス停で』★★★★★★(6/10)第四位『こちらあみ子』★★★★★(5/10)第五位『冬薔薇』★★★★★★(6/10)第六位『土を喰らう十二ヵ月』★★★★(4/10)第七位『ハケンアニメ!』★★★★★★★(7/10)第八位『PLAN75』★★
https://youtube.com/watch?v=VdQ5_nDChDU&si=hiKu_Vu1xP42AYyk映画『戦場のピアニスト4K』予告編【12.1FRI公開】12月1日(金)より角川シネマ有楽町ほか全国順次公開決定第75回アカデミー賞®監督賞・主演男優賞・脚色賞受賞第55回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞2003年度キネマ旬報ベストテン外国映画ベストワンワルシャワ・ゲットー蜂起から80年。あの不朽の名作が、4Kの美しい映像で甦る1939年、...y
つるバラ裕@狭い庭ちょっと遅れとったけど階段脇でワサワサと咲いているハニーサックル@狭い庭2022年公開キネ旬ベストテン1位主演女優賞日本アカデミー賞最優秀主演女優賞その他映画祭でも賞、こりゃ観るしかない笑いあり、涙ありのやんややんやと楽しめる映画ではない耳の不自由な女性ボクサーの日々、ボクシング中心の生活淡々とトレーニングし仕事し、生きていくトレーニング中、シューズがリズミカルに床を鳴らす音パンチングボール叩く音いろんな音が溢れてる彼女には、この音
今週は2022年キネマ旬報ベストテン入賞作品紹介週間。最終日はロシア映画。「戦争と女の顔」カンテミール・バラーゴフ監督2022年キネマ旬報ベストテン外国語映画部門第9位入賞作品。加えて92回アカデミー賞外国映画部門ロシア代表。更にカンヌ国際映画祭ある視点部門監督賞&国際批判連盟賞受賞作品です。さてどうでしょうか?物語の舞台は1945年の終戦直後のレニングラード。主人公は荒廃した街の病院で、PTSDを抱えながら働く看護師の女性。彼女は
今週は2022年キネマ旬報ベストテン入賞作品紹介。三日目は大好きな小説の映画化。「こちらあみ子」森井勇佑監督2022年キネマ旬報ベストテン日本映画部門第4位入賞作。原作は直木賞作家である今村夏子のデビュー作です。勿論原作は読んでます↓デビュー作だからこその熱量を感じる(「こちらあみ子」今村夏子)|「天に月、地に山」愛知・豊橋で日本酒なら(ameblo.jp)原作は滅茶苦茶良かったから映画化は心配でしょうがなかった。さてどうでし
今週はキネマ旬報ベストテン入賞作品紹介週間。二日目は小説が原作の映画。「ハケンアニメ」吉野耕平監督2022年キネマ旬報ベストテン日本映画部門同率第6位入賞作品!原作は2014年発売の辻村深月の同名作品。当然読んでおります。アニメ全く興味のない私でも、とっても面白かった記憶が蘇ります。さてどうでしょうか?主人公は今クールの帯アニメが監督デビュー作となる20代の新人女性監督。子供の頃に天才監督と言われる王子千晴の作品を観て、監督になり
なぜかスタジオジブリ「以外」のアニメ映画のBEST3になっていました。『河童のクゥと夏休み』『おおかみこどもの雨と雪』『この世界の片隅に』『河童のクゥと夏休み』(2007年シンエイ動画)『クレヨンしんちゃん』の初期メイン監督として「知る人ぞ知る」原恵一監督の作品。スタジオジブリ以外のアニメ映画でキネマ旬報ベストテンに選ばれた傑作。「河童」を「河童」として正面から描いているのが本当に「いさぎよい」。「河童」が現代日本にあらわれたら現実問題どうなるのかという本格的なSFの側面をもち
最近、奇妙な事件が連続して起こっている。たとえば、先日、銀座8丁目にある『高級時計専門店』を襲った少年たち。午後6時ころだったというが、まだ明るい雰囲気も残っている時間帯だろう。おまけに、私が、最近、良く通っている(東京・京橋にある)『国立映画アーカイブ』という映画館からもそんなに遠くないはずだ。私が、映画が終わった後にそばを通っていて、現場を目撃したとしても不思議ではない。奇妙な仮面をかぶった少年たちが、数分間か、ほとんど衆人環視の状況のもとで、バールのようなもので陳列棚を破
ひとつ前の当ブログで、『千夜、一夜』(2022久保田直監督)の田中裕子さんの演技が素晴らしかったと書きました。主演女優賞を獲れば、主演男優賞の沢田研二さんとツーショットで「キネマ旬報ベストテン号」の表紙を飾ったのになあ……と思いました。その『千夜、一夜』で田中裕子さんが演じるのは、小さな漁村でひとりでひっそりと暮らす中年女性です。このあたり、『土を喰らう十二ヵ月』(2022中江裕司監督)で沢田研二さんが演じた作家と共通している感じもありますが、妻を亡くし遺影を置いて暮らす作家(沢田研二さん
ひとつ前の当ブログで、『土を喰らう十二ヶ月』(2022中江裕司監督)の沢田研二さんが「日本アカデミー賞」の主演男優賞にノミネートもされなかったことに納得がいかないと書きました。「日本アカデミー賞」には、以前から不可解な選出が目立つ(当ブログ4月23日~24日参照)ので、今に始まったことではないですが、近年「反政権」的な曲を歌っている沢田さんを意図的に排除した可能性はあります。何しろ、今やテレビ局はじめメディアは政権を横目でうかがうような「委縮」機関になっていますから。一方、沢田研二さんは「
このところの当ブログで、沢田研二さんが主演された『土を喰らう十二ヵ月』(2022中江裕司監督)のことを書いています。原作者の水上勉さんを思わせる作家ツトムが山中で、穏やかに丁寧に暮らしを営むのですが、沢田研二さんの力の抜けた「自然体」の演技が絶品でした。僕は、この映画を昨年(2022年)11月18日に鑑賞したのですが、観終わって即「今年の主演男優賞はジュリーで決まり!」と思ったのでした。映画自体、最近の日本映画に珍しく「大人」の映画で味わい深い好篇だし、それは沢田さんの節度ある演技あってのも
4月19日の当ブログで、4月14日の夜、NHK『アナザーストーリーズ』で「高倉健が国民的名優へ飛躍した名作『幸福の黄色いハンカチ』秘録」を観たことを書き、そこから高倉健さんや山田洋次監督のことを連続して取り上げてきました。その番組の中で、『幸福の黄色いハンカチ』(1977山田洋次監督)が「第1回日本アカデミー賞」を受賞したことも映し出されていました。僕も、この授賞式はテレビで観ていました。『幸福の黄色いハンカチ』は、最優秀作品賞、最優秀脚本賞を獲得、俳優陣も主演男優(高倉健さん)、助演女優(