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モーツァルトの未完のオペラで、《ツァイーデ》というジングシュピールがあります。いろんなことがよく分かっていないオペラです。どういう作品か、簡単に検索なさってみてください。へーっ?と思われることでしょう。この《ツァイーデ》の題名役の女の子の長いアリアが有名で、演奏会などでも時々歌われます。私はこの録音で《ツァイーデ》の存在を知りました。80年代初頭の頃の話です。歌っているシルズの解釈は、相当にロマンチックなものです。でも、こういう節回しだからこそわかる曲の心の襞もあるようですね。興味を
オペラをより理解したい場合、舞曲のリズムには詳しくなっていた方が良いでしょう。舞曲のリズム=音の地方色そのものです。昨日、Gavotteについて書いたとき、私の頭の中にはマスネの《マノン》の主人公の追加のソロ(Gavotteのリズムで書かれています)が流れていました。「えっと、四拍子だよな。二拍子の場合もあるし・・・」などと思いながら。本当にいろんなリズムがありますね。ポロネーズがヨーロッパの宮廷舞踊にと入りれられたきっかけは、マリア・レグザンスカがブルボン王家に嫁いだことからです。こ
昔、ある作曲家の人が三拍子で作った曲にガヴォットというタイトルを付けてしまい、散々に叩かれてました!まあ、微笑ましい叩かれ方で、笑いで済んでいましたが。ガヴォットは四拍子なので、こういうことになります。初演を任された演奏家が一番面白がって作曲者を叩いてました!次に、バーンスタインの《キャンディード》の楽譜にはコミック・オペレッタと銘打ってあり、「コミカルでないオペレッタなどあるのか!」とからかいの種になりました。まあ、確信犯的につけたのでしょうか。そして、速度記号のアンダンテですが、今の
市長さんのアイデアで、託児所(保育園?)の数が3倍以上にに増えたり、子育て政策を次々と打ちだし、市役所の業務も効率化してペーパーを減らした都市が、非常に注目されているのだそうです。インターネットで検索していたら突然出てきた情報でした。自分には子供がいないのですが、この街は何となく応援したい気になって、今度、時間を見つけて訪れてみようかと。行きは、小さな電車に乗って終着駅で降りてみて・・・帰りは大きな電車に乗って帰京。その土地で何かしら食べたり飲んだり、買い物したりで、少額なりとも財政に貢献
日本人離れした太い声の名テノールさんが居て、レハールの《微笑みの国》の名アリアについて、こんな風に仰っていました。「オペレッタのこと、日本では喜歌劇といったり、軽歌劇といったりしますよね。《微笑みの国》のアリア、軽いなんてもんじゃない!もう、重いのなんのって・・・歌い終わってひーひ―ハーハー言うぐらいですよ!」声をどこまでも伸ばすかのような節回しなので、それを全力でやり続けたら、本当に消耗すると思います。この名テノールさんの言葉には実感がこもっていました。では、往年の人気テノールの歌
それは、ダントツで・・・・その1.オペレッタの解説。異稿が多く、セリフのヌケや即興的な足しがあったりしますし、資料が多くはありません。《メリー・ウィドウ》の作曲者レハールの「作品リスト」を観ると、ひきつけを起こしますよ。あまりに異版が多すぎて(!)放送でオペレッタを解説する機会がここ数年続いていて、そのたびに、胃が痛くなり、頭痛もします。でも、曲調が親しみやすいからか、そういう労苦に気付いて下さる方は殆どおられません。昨年末、ディアナ・ダムラウさんのオペレッタのアリア集の解説のご依頼
皆さまこんにちは。WCARS事務局の川上です。3月のミニ講演会にお越しの皆様、本当に有難うございました。2024年4月のミニ講演会ですが、今回は月曜日の夜になります。。4月27日(土)18時半もしくは19時より、都内のカフェにて開催予定です。90分間、ご来場の皆さまからの御質問やご感想に岸先生が回答されます。お申し込みは、これまでと同じく、WCARSのメールアドレスinfo@wcars.or.jpまで、よろしくお願い申し上げます。先生よりは「オペラに限らず、舞台芸
以前、マリエッラ・デヴィーアの歌に、茶道のお点前を連想しました。そして先程、邦人歌手さんで茶道具の国宝を思わせる歌を聴きました。批評をこれから書かせてもらいます。とても感動しました。けばけばしさのかけらもなく、品がある歌いまわし。★★北陸地方の震災の義援金について、新しいお知らせが出ていました。https://www.jrc.or.jp/domestic_rescue/2024notoearthquake.html★★★WCARS(一般社団法人国際総合芸術研究会)のブログ
Yahooのお天気コーナーに「花粉注意」と真っ赤に色付けされていて、確かに昨晩は非常にしんどく、ブログの更新も出来ないほどでした。しかし、今朝はザーザー降りで、これなら花粉は今日は大丈夫かなと思います。朝に漢方を呑み、夜に薬の服用で過ごしています。昨日、東京駅近くの喫茶店で友人と話していました。公演前に運よく巡り合うことができました。アレルギーがあってお互いに大変です。「今度、会食の席があるんですよ。どうしても出なければいけないので・・・」友人にそう話していました。大人数での会食です
大作オペラを観に行き、その批評を書くことになっているのですが(字数がまだ決定していないので、まずはメモ程度)、終演後、そのメモを地下鉄の中で書こうかなと思っていたら、いきなり、電子メールがいろんな仕事先さんから大量に来て、「どこかで座ってすぐ返事しないと!」となりました。それで、マクドナルドの看板を目にして、とりあえずホットコーヒーのMサイズを注文して客席に座りました。すると、やや遅れて、外国人客が隣に3名座りました。暫く電子メールへの返事に集中していて、10分後ぐらい、突然気づきました。
「ボサノバ」かと思っていたら「ボサノヴァ」でした。確かに、ポルトガル語です。何が驚きって、1950年代に生まれたジャンルだということが!あの名曲〈イパネマの娘GarotadeIpanema〉にしても、1962年の作なのだそうです。私は小野リサさんの歌声が好きで、時々聴いていますが、以前、テレビ番組でマルシアさんが歌っていたのも絶品でした。ところで・・・私が好きな2大ボサノヴァ風歌謡曲があります。一つはこちら。太田裕美さんの〈恋愛遊戯〉。1975年の作だそうです。誰か歌ってくれる
昔、人前で弾いた曲でもあり、今でも好きなものと言えば、まずはこれ。アルゲリッチさんは椅子に座った途端に弾き出すので、こちらも緊張します。同じラヴェルでもう一つ。ショパンだとこういった曲(及び演奏家)になります。一杯あってきりがないので選びに選んでこれら。シューマンはダントツでこの曲。ブラームスだとこの2曲ベートーヴェンだとこちら。オペラ研究家として考えてみますと・・・マルタ・アルゲリッチがマリア・カラス的なら、亡くなられたマウリツィオ・ポリーニはマリエッラ・デヴィーア的かな。全
地方出張中、ふと足もとを観たら、綺麗なカタクリの花が咲いていました。片栗粉の由来になった草ですが、野生で観たのは初めてかもしれません。こんなに大きくて綺麗な花なんだ。俯き加減で咲くのがこれまた控えめで愛らしい。この花をしげしげと眺めてから、仕事先へと急ぎました。ご来場の方から、漢詩を一つ教わりました。一貫唯唯諾従来鉄石肝貧居生傑士勲業顕多難耐雪梅花麗経霜楓葉丹如能識天意豈敢自謀安現代語訳の大要は「安易な道に流れなければ、何かしら、やり遂げられるだろう」というぐらいの
小澤塾さんの《コジ・ファン・トゥッテ》を見に行ったら、ドン・アルフォンソがロドニー・ギルフリー(いまはロッド・ギルフリーと名乗るよう)、デスピーナがバルバラ・フリットリという超豪華キャスティングでした。批評を書かねばならず、舞台そのものの印象は記せませんが、「ギルフリーもフリットリも90年代からずっと活躍で・・・」と思いながら観ていました。私はギルフリーさんの映像を2つ解説したことがあります。ドビュッシーの《ペレアスとメリザンド》とニコラス・モーの《ソフィーの選択》です。だから、割合に活動
「午前11時に」という指定であったのに、当日、午前9時半開始になり、びっくりしました。家の中の修理の話です。私は内心怒ったのです。スケジュールが崩れるから。11時がいきなり9時半になると・・・しかし、9時半にやってきた係員さんは、「修理前の状況確認」ということで、10分ほどで帰られました。なるほど!本格的な修理はまた別の日なんだ。向こうからしたら、10分もかからないんだから、ということで早めに来られたのかもしれないですし、もしくは、間に入っている係の人が時間か説明を間違えたかなにかで
《蝶々夫人》のピアノ伴奏ハイライト上演に伺ったら、主演のソプラノさんとピアニストさんが格別の出来栄えを示してくれました。私は、その会場ではなるべく後ろに座らせて頂くよう、広報の方にお願いをしています。声の響きをしっかり聴きとるには、その方が良いと思いました。つまりは、あまり大きくない会場です。しかしながら、この日の主演者さんの歌声は、こちらの耳が痛くなるほどに迫力あるもの。ピアノの表現力にもびっくりさせられました。なんの疑問も感じないのです。これまで何度も聴いてきたピアニストさんですが、今
物心ついたころから、ずっと、石井好子さんのエッセイを読んでいました。本当に、小学一年生から読んでいたと思います。ある章で「とまとはむぽてと」というタイトルがありました。トマト・ハム・ポテトの話題が並んでいます。でも、私は20歳過ぎまでずっと、「とまとは、ムポテト」と勘違いしていました。なぜ、トマトがムポテトなのだろうか?と思っていたのです。フランスでもトマトはtomate(これでトマトと発音)だと、辞書も引いて分かっているのに、それでも勘違いは続きました。自分でも、びっくりするほど馬鹿と
朝6時に目覚め、鼻をかみ、「もうちょっと寝よう」と思い・・・起きたら10時。びっくりです。家でずっと仕事をする日にしてありましたが、これだけ花粉症が酷いと、そもそも外に出られない。寝る前に飲む薬も、今夜はキツイものにせざるを得ず、と思いました。ただ、この日は焦ったからか、それとも、長く眠れたからなのか?仕事の運びは割合にスピーディーでした。フランス歌曲について書くという仕事をしていたら、「ドイツ・リートについて書く」依頼が来てしまいーどちらも同じ媒体さんからー結果、この2ジャン
イングランド国教会の宗教音楽の中で細々と伝えられてきた声種ですので、敬意を表して「英語読み」。Countertenorをカウンターテノールとは呼ばない理由です。モンテヴェルディの《オルフェオ》といえば、オペラ史黎明期の大傑作であり、オペラ史全体を見渡しても傑作中の傑作ですが、この《オルフェオ》の世界初演時には、たぶん、カウンターテナーもカストラートも参加していたと思われます(「今日、マントヴァにカストラート到着」などといった書簡類が残っている)。17世紀初頭、オペラの主役はテノールかソプラノ
観劇後すぐ自宅に帰り、批評を書き終えてから遅い夕飯を摂るべく、テレビをつけたら、ブルーレイデッキが自動録画で映画を録っておいてくれました。『最強のふたり』全然知らない映画です。でも、検索すると「『アメリ』を抜いて、日本で一番動員数が多いフランス映画」とのことです。食べながら見て、一旦止めて、また再開して・・・初心者の自分にも、この映画が映し出すパリの風景に馴染みがあるのと、出演者たちの愛嬌ある表情に心が和み、「今日はもう仕事は終わり!」と決めて、映画を観ることにしました。今日はもう仕
たまに頂く質問です。主に業界の方からのものですね。「オペラ以外の分野に興味はないんですか?」「興味はもちろんありますが、詳しくないのです。でも、歌曲や宗教曲なら、批評や解説を頼まれることは多いです」「交響曲は?」「好きですが、ただ好きなだけで、突っ込んで考えたことはないんです。経験値が低いのです」「でも好きなものはあるでしょう?何が好きですか?オーケストラ曲で」「ブラームスの1番と4番です。あと、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲とか」「ピアノ曲はどうなんですか?」「最も好きな
家に来客がある十五分前。気づかないうちに留守番電話が入っていました。「〇〇病院です。△△さんの携帯でしょうか。お母様が4回発作を起こされまして、、、」完全なる間違い電話ですよ。慌てて、かかってきた番号にかけ直し、事情を伝えて切りました。昔から、電話がかかって来るのは本当に苦手なことでした。時間を取られるからです。でも、今回は間違い電話をほっとくわけにもゆかず、急ぎ連絡したわけです。話し中が3回。4回目に通じてホッとしました。「お宅様にxxさんという患者さんおられますか?いま、
たまに・・・のことですが、「いま、なぜそれをやらねばならない?」と自問自答しながら仕事をする時があります。他に一杯仕事を抱えているはずなのに、なぜ、その案件を最優先でやるんだろう?と自問自答するのです。こういうときは、何かに憑かれているかのように、案件に突進することになります。いろいろ考えてもしょうがない、「それを最優先にした方が良い」と思わされていると感じるのみなのです。今日もそんなことがありました。あるオペラ雑誌のページを開いて、吸い寄せられるように読み始めました。本当は他のペー
ヴェルディの《ドン・カルロス/カルロ》の国王フィリップ(フィリッポ/フェリペ2世)の父親がカール5世です。オペラの中では「先帝」に当たる人です。神聖ローマ皇帝であり、スペインの国王ですが、この人はなんと、母語はフランス語であったそう。お父さんがブルゴーニュ公だそうで、生まれたのもフランダース地方とのこと。それでも、カール5世にとって、生涯の敵国はフランスでした。どんな思いで闘っていたのか?クルシェネクのオペラ《カール5世》について考えていて、「えっと・・・実在の人は・・・」と確認して、
4人の歌い手さんによる「スペイン語の歌のコンサート」を聴きに出かけました。爽やか。まずはそう思います。フランス語が霧ならスペイン語は涼風かな?とも思う。ピアノの方が達者でしたが、何でも、歌い手としての出番も多い方なのだそう。パーカッションの方もとても躍動感ある音を聴かせてくれました。あと、歌手4人の声種の内訳が、ソプラノ、テノール、バリトンとカウンターテナーという構成であったのも興味を惹きました。ソプラノとテノールの明るさ、バリトンの爽快感とさらっとした歌いぶりを感じる一方で、カウ
先日、あるものを失くしました。洗濯機の「浴槽とホースで繋いで、風呂の残り湯を吸い上げる取水口の白いプラスチックの蓋」です。何か気になるものの、どうしても洗面所の床から探し出せず、インターネットで検索しておみくじを引くという始末(!)「失せもの:遠いところから出る」となっていました。遠いところって・・・洗濯物に絡まって干している最中に落ちて地面のどこかに転がっていったとか?結果、探し出せずに10日間程。ところが、先ほど出てきました。ルチアーノ・パヴァロッティ氏に関する纏まった原稿を
放送などで「大歌手」と言えないことを、以前このブログでも記しました。文章では構わないのですが。確かに、大歌手と名歌手の違いはなに?と言われれば・・・こういう場合は、自分の頭の中だけの「明確なライン」を引いておくことしか出来ません。ベヴァリー・シルズというソプラノがいます。私は、彼女のスタジオ録音は全部持っていて、映像も幾つも持っていて、伝記を3冊も持っているという結構熱心なファンです。そこから分かるのは、シルズはミラノ・スカラ座で《コリントの包囲》(イタリア語訳詞版)で大成功を収め、ロ
講演会でお受けした質問は、調べるのに時間を頂戴する場合は、私のホームページ-オペラ研究家岸純信の『連絡板』-に回答を載せさせていただいています。日曜日の夜7時頃いつも更新されます。土曜日の講演会で出たご質問も、そちらに日曜日の夜、詳しい回答を載せますが、こちらにも簡単に記しておこうと思います。ご質問は「アルファーノの《復活》面白く拝見しました。終わり方がトルストイの原作小説と違っていたのかどうか、ちょっと気になりました。小説はずいぶん前に読んだので、うろ覚えです」といったお訊ねで
消しゴム版画家のナンシー関さん。いま、生きておられたら世相をどのように斬られたことかと思います。夜更けに突然思い出しました。生前のナンシーさんとは、ちょっとした交流がありました。亡くなられる数か月前、突然、ご自分のお気に入りの「有名人消しゴム版画」をパネルにして読者プレゼントという企画を出されました。どの版画に何人の応募があったかということを明示する(!)企画であったと思います。これ、題材にされた著名人の方からしたら結構気になる情報ではないでしょうか?確か、全部で10作品ぐらいが読者
本日、3月8日(金)の14時から18時、NHK-FMの『オペラ・ファンタスティカ』に出演し、新国立劇場でのライヴ録音、ヨハン・シュトラウス2世作曲の《こうもり》をご紹介します。私はなぜか、オペレッタの解説のご依頼が非常に多いです。《こうもり》も、ウィーン・フォルクスオーパーの来日公演に続いて確か2度目です。『オペラ・ファンタスティカ』の枠でも、レハール《メリー・ウィドー》(この演目の解説のご依頼が、これまた、非常に多い)、オッフェンバック《美しきエレーヌ》《天国と地獄(地獄のオルフェ)》、ス