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明日の3月8日(金)の14時から18時、NHK-FMの『オペラ・ファンタスティカ』に出演し、新国立劇場のライヴ録音、ヨハン・シュトラウス2世作曲の《こうもり》をご紹介します。実は、喜歌劇《こうもり》は、「楽譜通りに演奏されないオペラ(オペレッタ)」の典型例であるのです。現在の上演と、楽譜本来の在り方がどう違うのか、番組の後半で詳しくご紹介します。お時間おありの方、お聴きいただければ幸いです。新国立劇場公演喜歌劇「こうもり」楽曲一覧喜歌劇「こうもり」第1幕ジョナサン・マクガヴァン(
その昔、転寝しているときにラジオからこの曲が聴こえて来て、慌てて跳び起きました。私が聴いたのは、キャスリーン・バトルの83年ザルツブルクのライヴです。私がこの曲の解釈者で好きなのは、メゾソプラノのアン・マレー。この動画の歌いぶりも気になります。これがフォーレの処女作なのだそう。感じ入ります。ただし、この伴奏には少し疑問符が。なぜ、途中からテンポを煽る?そこに何の意味がある?★★北陸地方の震災の義援金について、新しいお知らせが出ていました。https://www.jrc.or.jp
「女優という単語は使わないでください」現場でそう言われれば、従うしかありません。「女性の俳優」と言い換えたり・・・でも「女優」なら所有時間2秒もかからないのですが、「女性の俳優」だと3秒以上かかります。朗読の際には、なるべく、「簡潔に伝わる表現」にしたいので、「女優」が使えないのは本当に痛いのでした。言葉で長く説明しても、口頭では、しっかりとは伝わらないのです。「大歌手」も使えない言葉です。大じゃない歌手と大歌手の違いを説明できないからだそうです・・・うーん、確かに。公演実績などを積み重
一年に何度か、行かせてもらうホールです。日曜日の《ばらの騎士》もじっくりと聴かせて頂き、見させてもらいました。瀬田の唐橋から遠くに観るびわ湖。対岸の山の雪も見えました。京阪電車の石場駅からホールへと向かう道の途中にある表示板です。三木稔さんのオペラ《源氏物語》の解説のご依頼があったとき、「そういえば、石山寺も何度か行ったし、このボードも何度も目にしているし・・・」と思ってお受けしました(が、12000字を10日間でと言われ、目を剥きました!)。京阪電車に乗る際は、石山駅から乗ったり、膳所
普段、それほど暖房を使いません。一日中部屋にいたとしても、4時間ぐらい使うほどです。温かい方が良いには決まっていますが。昔、転勤でロサンゼルスにいたころ、本当に温暖で助かっていました。クリスマスイヴに知り合いのホームパーティに呼ばれたときに、暖房がかかっていた記憶がありますが、それ以外、覚えが無いのです。それぐらい、暖房は使わないものでした。でも、借りていた部屋で一度、「寒いな」と呟いたことがありました。そこでようやく気付く。なんと、うちの部屋の暖房設備は故障していたのでした。その時
《カルメル会修道女の対話》の批評を書くべく、席に座っていました。論文集を持参してチェックしていました。この演目は曲目解説もたびたびやり、批評も何度もやっていて、楽譜は頭に残っているので、論文集でも普段開かないページを主に読んでいました。すると、「プーランクとマリア・カラス、それからカラスの当時の夫のメネギーニ氏」の一枚が。大作曲家と大歌手のツーショットは幾つか遺されていて、どれも、マリア・カラスが、ミラノ・スカラ座で上演された《カルメル会修道女の対話》を見に行った時のものであることは間違
新国立劇場のバレエ部門のシーズンラインアップ発表会に出かけました。芸術監督さんが、記者さんの質問にこんな風に回答されました。「(若手育成に関して)練習回数を増やすよりも、本番を一回でも多く務めてもらえるように・・・」確かに。本番の緊張感が、「人を伸ばす」最大のエネルギーと、門外漢の私でも思います。ただ、ある一人の若手の本番の回数が増えるということは、その分、他の誰かの本番の回数は増やせないわけで、そのジレンマに苦しんでおられるようすが窺えました。だから、「いろんな若手を積極的に起用する」
東京二期会さんの《タンホイザー》、一瞬、セットが上手く開かなくて、ソリストの第一声が聴こえなかったものの、次の瞬間には無事開き、思わず「ああ、良かった」と言いそうになりました。演奏中に!生の舞台にはいろんなことがつきものです。そういえば、先日、《タンホイザー》のDVDを、講演会にお越しの方から頂きました。「いろいろ整理したいと思いまして、宜しければ・・・」と仰って下さり、有難く頂戴しました。家に帰って所蔵リストと比べると、「あれ、このソースは既に持っていた」と分かり、次の瞬間「そうか、日
皆さまこんにちは。WCARS事務局の川上です。2月のミニ講演会2回にお越しの皆様、本当に有難うございました。岸先生から「初めてお越しになる方もいらっしゃって、とても有り難く、感謝申し上げます」とのことです。それでは、2024年3月のミニ講演会ですが、今回は月曜日の夜になります。。3月18日(月)18時半より都内のカフェにて開催予定です。90分間、ご来場の皆さまからの御質問やご感想に岸先生が回答されます。お申し込みは、これまでと同じく、WCARSのメールアドレスinfo@
ブルーレイデッキが録画を勝手に録ってくれて、「世界ふれあい街歩き」というテレビ番組を見ることができました。夕食を摂りながら。画面を見るというよりも、耳で聞きながら時々目を走らせるというぐらいでしたが、俄然、注目せざるを得ない場面が出てきました。オペラ・コミック座の内部が紹介されていたのです。衣裳アトリエの作業の模様も放送されました。「来週《ゼミールとアゾール》の舞台があって、そのために衣裳を大急ぎで完成させなければならなくて・・・」アトリエの責任者さんの言葉が耳に飛び込んできました。
珍しいオペラの解説を書き上げたので早速編集者さんに送りました。すると、その編集さんから折り返し質問が来ました。私は初め、そのご質問の意味がうまく読み取れず、一回間違えてしまったのですが、最終的に気づいて、回答を詳しく書いて送りました。実は、編集者さんの質問は「神話のエピソードに関するもの」私が把握していたのは「神話を題材としたオペラの内容」で、神話が伝える場所とオペラの場所設定がずれていたのです。「そうか・・・この台本作家さん、気にせず設定変更するもんな・・・」自分がこれまで解説し
冷たい雨が降る中、久しぶりに横須賀芸術劇場まで出かけました。小ホールのヨコスカ・ベイサイド・ポケットで開かれたコンサートを批評させてもらうためです。演奏は上々で、良い批評文が書ければと思っています。しかし、帰りがけ、何をどう間違えたのか、普段とは全然違う階段を下りてしまい、未知の出口に辿り着きました。そこには、催事のポスターがたくさん貼ってありました。すると、私の目の前に突然、中学生ぐらいの制服姿の-でも、明らかに中学生の制服ではない-少年が現れ、数あるポスターの中の1枚をしげし
新国立劇場オペラパレスで上演中のバレエ《ホフマン物語》のプログラム(無料配布のものです)に、「音楽の解説」を寄稿させて頂きました。公演は今日の25日(日)までだそうです。バレエ《ホフマン物語》の音楽は、現代作曲家の人が非常に凝って作っていてーオッフェンバックの歌劇《ホフマン物語》のアントニアの幕のひとつのテーマと、ジュリエッタの幕のひとつのテーマを同時に鳴らすとかーとても面白く聴きました。判じ物のような構成になっていましたので、分かることだけを原稿に書いたら、字数がそれで尽きてしま
指揮者クリストフ・ルセはこんな人です。手兵の演奏集団レ・タラン・リリクと共に、様々な時代のオペラを演奏するようになりました。「なりました」というのは、もともとはバロック音楽の演奏家であったからです。そのルセ氏が海外のオペラ雑誌のインタヴューに応えていました。「今度、ウィーンでサリエリの珍しいオペラをやるんですよ」インタヴュアーの人のちょっとした勘違いで、その「珍しいオペラ」がフランスものにように読めるのですが、実際はアントニオ・サリエリが、イタリア語の台本に作曲した一作です。タイトルは
朝日カルチャーセンターさんでプッチーニに関する講演会をやらせて頂きました。ご来場の皆さま、オンラインの皆様、本当に有難うございました。一点、講演中に言い忘れたことを思い出しましたので、こちらに記しておきます。昨年、プッチーニの私信を一通お持ちの方からのご依頼で、内容を訳してお伝えするということをやりました。イタリア在住の知人に読んでもらったのですが、「字が読めない!」と嘆かれることしきり。悪筆の類でしょうか。それで、その手紙に出てきた単語の中に、「インシュリン」という一語がありました。
ソプラノ、エリカ・ケートの独特の響きに注目してみてください。ひと癖ありますが、庶民的な良さを感じます。コントラルト(メゾソプラノと名乗るときも)、エヴァ・ポドレスの声の可能性を思うと、「人間って本当にいろんな人がいて!」と感嘆するのみです。もうひとつ、ポドレスを。テノールのロックウェル・ブレイクは、私が大好きな歌手ですが、彼の声音を受け入れない人も多い。私が好きな理由は「声楽テクニックのある種の頂点」であると思うからです。バスのエンツォ・ダーラも私が大好きな歌い手さんです。この人の
仕事を零時過ぎに終えたのですが、youtubeの検索で、レシピの名人のサイトや、動物のサイト、植物栽培のサイトなどザッピングしていて、眠いのに止められません(!)この項は後で書き足すかもしれません。頭が全く働かないのです。ちなみに、頭については「いつも働いてない」のかもしれず、「いつも以上に全く働かない」とでも書かねばならないでしょうか。動画から、いろんなことを学ばせてもらっています。★★北陸地方の震災の義援金について、新しいお知らせが出ていました。https://www.jrc
「・・・は、~~で・・・」などと書いている際に、あれ?と不思議に思うことがあります。ちょっとした勘のようなものです。自分で書いた文章を、自分で不思議がるわけです。本当にそうかな?と一瞬、不思議がります。なので、その一行をそのままにしておいて良いかどうか、検証を始めます。すると、99%、それが間違っているのでした。今日も、「初演されてから徐々に世評が高まった」と書いて、??と思い、よくよく調べてみたら、初演から10年以上、なぜか顧みられなかったことが分かりました。そこで文章を書き直す
この適当な写真は、左側が黒い楽譜、右側が赤色の楽譜。サイズが全然違います。しかしながら、どちらも、同じ演目の楽譜なのです。仕事にはいろいろな種類がありますが、目下のそれは「この2冊を比較する」ことです。毎日毎日、いろんなところからいろんな仕事が持ち込まれます。「やりたい/やりたくない」ではなく、「出来る/出来ない」で選択するしかありません。この場合、「時間のあるなし」は、ときに、無視せざるを得なくなることも。この仕事の場合は、どうしてもお願いしますというご依頼が来た時、たまたま、拙宅に
頂き物のお菓子がありました。今日は午前中に講演会、午後に公演批評、夜にインタヴューという3つの仕事。移動に次ぐ移動で昼飯を食っている暇もないのです。インタヴューを終えて、お菓子を一つ摘まむ。美味しい、としみじみ思う。チョコレートがけのクッキーのような逸品です。「お菓子って、貰うものかもしれない?」と思う。自分で作る人は別として、売っているお菓子は「人に贈呈するためのもの」なのかもしれないと感じたのです。いろんなお菓子を頂くことで、新しい味を知ります。見た目の美しさもあるとはいえ、
仕事先から仕事先に移動する際、新宿三丁目で降りて歌舞伎町を突っ切り、西武新宿駅へ突進しました。夕方とはいえ、人は猛烈に多い。透き通るような肌をした女の子たちが、こちらを不思議そうに眺めます。「急ぎ足過ぎるのかな?時間余り無いし」と自分では思う。人いきれという言葉がありますが、人の心のいろんな渦が、周囲とどんどん絡んで膨れているような感を受けました。その中で突然、昔何度か行ったことのあるとんかつ屋さんの看板が目に入る。猛烈にほっとする<=日本語としておかしいのかもしれませんが。
2月22日(木)10時半から12時まで、朝日カルチャーセンター新宿教室で、見逃し配信ありの特別講演会を開催します。題して、「プッチーニ没後100年オペラ界の『直木賞路線』を探る」というものです。https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=5903209先ほどまでレジュメを書いていましたが、この講演会については、ある名場面でどうしても終えたいと願っていまし
知人宅に作業の手伝いに行き、1日が終わりました。作業後、隣のビニールハウスになりっぱなしのパッションフルーツが気になり、「頂いて良いですか?」と訊ねたところ、快諾して貰えました。何でも「隣のビニールハウスは12月まで他人にお貸ししていたところなので、いま成っているパッションフルーツは誰のものでもないんですよ」とのこと。枝から10個ぐらいもぎましたが、検索してみると「勝手に落ちてしわしわになっているぐらいの果実の方が甘い」とのこと。そこでさらに3個ほど、落ちて皺が出てきているものも貰って帰
お世話になっている知人のご実家の手伝いを、1日かけてやらせて貰うことになりました。「たぶん、十数年ぶりの休日なんですよ。朝5時に出て一日中作業なので」先日のミニ講演会でもそんな風にお話ししたぐらい、私にしてみたら、かつてないイヴェントです。その作業のため、長靴を買いにゆきました。本格的な作業なので、長靴も30cmぐらいの高さのものを買う。飛田給(とびたきゅう)という駅に初めて降り、そこから歩いて店まで行きました。この飛田給という名前がとても不思議で、由来を検索してみると、「飛田某さん
いろいろ仕事で録音などを聴く中で、一人、久しぶりに聴いて感激した人が出てきました。パリ生まれのテノール、ジェラール・フリードマンGérardFriedmann(1926-2009)です。この人は脇役が多かったのですが、いつ聴いても歌い回しが素晴らしい、上手いとしか言いようがない。フリードマン氏の歌を知ったのは、1980年のことです。当時の私はまだ高校2年生で、今ほどの経験も知識もないわけです。当たり前ですが。しかし、この人の上手さは感じ取りました。「楽譜に対して余裕を見せる歌」なので
講演会でご質問があり、その場で、ウィーン国立歌劇場に関する日本語の本の1ページを拝読したら「2012年から2013年シーズンのドイツもの:グルック《アルチェステ》、モーツァルト《フィガロの結婚》《ドン・ジョヴァンニ》・・・」となっていました。なので、受講者の方も、そのくだりを読まれて混乱されたわけです。ドイツもの、とオペラで言えば、ドイツ語の台本に作曲されたオペラです。ドイツ人が創ったものではないのです。オーストリア生まれのモーツァルトも、ドイツ人のグルックも、イタリア語を必死に学んで
「いつも行くところではなく、新しいところに行ってみられたらいかがですか?」こんな助言を受けました。確かに、頭の閉塞状況を打破するには、全く違う経験をすべきでしょう。この3日間ほど、小澤征爾さんの話題を出しているのも、私にとっては「新しいこと」なのです。普段、あまりお名前を出さない指揮者さんでした-闘病生活を送っておられるから、実演になかなか接することが出来なかったので-ので、弔意を込めて、いろいろ振り返ってみるのが良いのかと思ったのです。それで、小澤征爾さんと小説家の村上春樹さん
オペラでは、まずは、こちらの音源。全曲は長いので、せめて、序曲だけでもいかがでしょうか?それから、こちら。残念ながら商業発売されていないもの。映像ですので、歌手たちの演技も観られます。講演会でも何度か紹介しました。マエストロは、思いのほか、いろんな演目に取り組んでおられました。★★北陸地方の震災の義援金について、新しいお知らせが出ていました。https://www.jrc.or.jp/domestic_rescue/2024notoearthquake.html★★★WCAR
VerozaJapanさんよりの電子メールで訃報を知りました。指揮者、小澤征爾さん、2月6日に心不全で亡くなられたとのことです。まずは、心よりご冥福をお祈りします。マエストロ小澤におめにかかったことはありませんが、なぜか、街中で偶然出会うことがありました。いちばん強烈な思い出は、小田急電車の中で10分ほど隣り合わせになったときのこと。下北沢駅が地下に潜る前の話なので、相当前のことですが、記憶に強く遺っています。改めて、ご冥福をお祈りいたします。★★北陸地方の震災の義援金につい
講演会で、ロバート・ウィルソンが演出したモンテヴェルディの《オルフェオ》を紹介したら、皆さん興味津々でご覧頂きました。基本スタイルは常に同じ。動きを極度に抑え、時々シンボリックな所作をやらせるので、お能のような静けさが舞台に漂います。私は以前、ウィルソン演出の《アイーダ》のDVDを解説したことがあるのですが、あの〈凱旋の場〉でゆっくりゆっくりと歩いてゆく人々の姿を目にして、何とも言えない不思議な気持ちにさせられました。ロバート・ウィルソン(ロバートの相性ボブで、ボブ・ウィルソンとも)は、1