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一つまえにイサ外伝を更新しております********三年目突入の本編一作目にウォルゲスの憂鬱をお届けしました不安や心配を抱えたチェヨンの姿は皆様の目にどんな風に映るのかちょっとドキドキしながら描きましたそしてその続きのぎんなん実りてイサの境遇にチェヨンを重ねイサのオモニの境遇にウンスを重ねましたタンが大変な目に遭った時ご心配いただきお気持ちうれしかったですイサやチェ侍医というharuが紡いだオリキャラを見守っていただき気にかけていただき心揺さぶる存在
爺や父上が亡くなられたとはまことか?イサは戦を切り上げ島に戻って来た残念ながら死に目には会えず父親の亡骸の前でじっと佇んでいるだけのイサ涙は人前で見せてはならぬと育てられてきた爺やはそんなイサを不憫に思い目に涙をためた安らかにお逝きになりました最期まで若様を案じてお出ででした及ばずながらこれからはお屋形様に代わりこの爺が若様をお守りいたします爺やは決意する命に代えてもお守りしようとイサはまだ十三歳だった病弱だった母親とも幼き頃に死に別れ唯一の肉親
え?今なんて言ったの?朝早く王宮の邸を訪ねてきたチェ侍医とイサを前にしてウンスは困惑の顔をしてチェヨンを見つめたチェヨンとウンスは先ほどまで仲睦まじく布団の中にいたがへジャに侍医様がいらっしゃいましたと起こされて急ぎ身支度を済ませて奥の間に現れたところだった途中で甘い時が途切れチェヨンは少し不服そうな顔をしてチェ侍医を出迎えて言ったやはりそう決めたかこんなに朝早くわざわざ来ぬでもよいものをお見通しでしたかチェ侍医は微笑んだ侍医の考え
王宮のチェ家から屋敷に帰ったチェ侍医とイサは言葉少なくそれぞれの部屋に別れた外は風が強く明日の朝には庭の片隅にある銀杏の木から落ちたぎんなんが地面にたくさんこぼれていることだろうチェ侍医は窓から銀杏の木を眺めしばらく逡巡してからやはりそうしようとイサの部屋の前に立ったイサちょっとよいか?はいチェ先生扉を開けたイサの目元が濡れていた声を出さずに泣いていたのだろうチェ侍医はそれには触れず話があると告げ部屋に入るとイサの前に座って静かに話始めた
知らせを聞いて王宮の邸にへジャとオクリョンが飛んできたのはウンスとタンが昼寝を始めて少しばかりしてからだった無事だと知らせを聞いても顔を見るまでは心配でへジャは閨の前で警護をしている武閣氏に涙ながらに訴えたお気持ちわかるわ私たちもあの場でどうすることも出来なくても苦しい思いをしたものヘミが労うように言ったそれにしてもなぜこんなことに?さあ?上護軍様への恨みなのか医仙様への恨みなのか私たちも詳しいことは
がらんとした典医寺の休憩室を後にしてウンスはタンを連れてチェヨンと一緒に集賢殿へ向かった奥で少し休んでから王妃様の所へ伺おうと思ったのだきっとお心を痛めているはずそれでなくても悪阻で体調が悪いと言うのに・・・ウンスは気にかかった集賢殿ではパク・インギュが心配そうに待ち構えていたそれで?ことは収まりましたか?ああ間者は死んだが他に怪我人はいないチュンソクとテマンを追っ手に差し向けた状況を見て戻ってくるであろうインギ
川のほとりにある旅籠の主人は出て行ってすぐに戻って来た泊まり客の男達を驚いたように出迎えた皆様どうされました?商談が上手くいかなかったとか?男達は主人の問いには答えず宿を引き払うから前金を返すように告げた元国の商人だとおかしな訛のある言葉で主人に言っていた一番年配の男の姿はなかったカネ払いのいい長逗留の上客で旅籠にとっては有り難い客余計な詮索はしなかったのだが昨夜の夕飯時その年配の男の方から思いがけないことを尋ねられたのを思い出したチェヨン将軍と
イサタンを連れて下に降りてろチェヨンはイサに言った嫌だいいから行けウンスがタンを待っているタンの無事を確認させてやってくれ俺はこいつと対峙せねばならぬのだだけどイサはチェヨンを見たチェヨンは大丈夫だとイサにタンを渡したタン下でオンマが待っている顔を見せてやれ頭をなでるとタンがウンスを呼んだおんまぁ〜〜よいかイサ下で役人に何を聞かれても知らぬ存ぜぬで通すのだウンスのため典医寺のためだと思って耐えろチェヨンは小声で伝えイサは頷いた
一瞬の出来事だった王妃様の回診から戻って来るといつもウンスはタンのいる育児室を覗いてから診療室に戻るタンはそれを覚えていてその時刻になるとウンスを出迎えるために中庭に出たがった今日は回診の時間がずれ込んでいることをジュヒは知らなかったそれでいつも通りにタンの手を引き中庭に向かった周りには衛兵がいて武閣氏も数名鉄壁な守りのはずそれが突然空から数名間者が降って来て一人がジュヒのみぞおちを一撃思わず怯んだ隙に初老の男イサの爺やはタンを抱きかかえあ
診療室の窓からチェヨンとイサが見えウンスは診察の合間に駆け寄ったあれ?ヨンまだいたのねイムジャこそまだ王妃様の所へは行かぬのか?いつもなら坤成殿にいる時刻典医寺にウンスがいて驚いた顔でチェヨンが尋ねたええチェ先生が仮眠を取る間患者さんを診察しようと思ってほら今咳や喉の痛みを訴える患者さんが多いから今日も診療室は満員御礼よ町医者では手に負えない重症患者は勿論だが高官や兵士それにその家族も典医寺に通って
互いに視線をそらすことなくまるで対峙しているかのようなチェヨンとイサその合間でチェ侍医はぽつんと言ったイサ上護軍に本当はまだ伝えたいことがあるのではないか?チェ侍医の穏やかな微笑みはイサの心を揺らす己の道・・・それがわからないからもがいているんだ氷の中に閉ざされたような息をするのも苦しいようなそんな感覚生まれついて勝者のチェヨンにはわからないだろう?俺が?生まれついての勝者?首を振るチェヨンにイサは畳み
チェヨンはイサを見据えた俺が来たわけがわかるな?イサは頷いたああ昨日王宮に現れた間者のことだろ?チェ侍医は二人の会話をじっと聞いている見慣れぬ飛び道具を残していった高麗でも元の物でもない他の国の間者に間違いないチェヨンは懐から飛び道具を取り出しイサの前に置いた手裏剣倭国の密偵が使う武器だそうか倭国のものかしてイサは其奴らと関わりがあるのか?まっすぐ問うチェヨンそれが知りたいのか?あると言ったらオレを斬るのか?イサはチェヨンに挑んだ
医仙様聞きたいことがあるんだ皆がいなくなり仮眠を遠慮するチェ侍医をなんとか休ませ休憩室を出ようとした時イサがウンスを呼び止めたなあに?でもチェ先生も眠るとこだし診療室で話を聞くわよ私は構いませんがイサは医仙様と二人の方がよいのか?いやそう言うわけじゃでもチェ先生には耳が痛い話題かな?チェ侍医とウンスを見比べてイサは言った医仙様さえよろしければ私は構いませんイサの話を聞きたいですし私も構わないけどチェ先生に聞かれて困る話?って医術のことではないわね
カーンカーンと小気味よい音と皆の笑い声が典医寺に響いていたイサは早朝に出仕したにも関わらず考えあぐね王宮の中を彷徨いやっと典医寺に戻って来た処あらイサ今朝はゆっくりねチェ先生がいないから屋敷で羽を伸ばしていたわねウンスはイサを出迎えからかうように笑ったえ?まあイサは苦笑いした典医寺の休憩室に人が集まり皆楽しそうに笑っている輪の真ん中にはタンがいて小さな木槌を手にして赤や黄色や青に塗られた木製のおもちゃに目を輝かせていたあ!それイ
なんだか幸せな夢を見た大きなゆりかごに揺られているようなそんな気持ちのいい夢ウンスはふっと目を覚まし辺りを見回したえっと?ここは?ああ王宮の邸に泊まったんだったと思い出す隣にいるはずのチェヨンがいないあ!昨夜はいつの間にか眠ってしまった期待させておいてかわいそうなことをしたかもウンスは起きがけの回らない頭を回しながらぼんやり思ったヨン?起きたか?うんどうしたの?ああ人の気配がしたゆえ外の様子をなえ
チェ侍医は康安殿へ行ったきり戻っては来なかった典医寺で待っていようかと思ったが夜遅くなるだろうからと屋敷で休むようにとサラに言われたチェ先生を此処で待っていてもしょうがないわそれよりも屋敷でちゃんと寝て明日に備えるのよ今日は育児園でも大活躍だったって医仙様おっしゃってたわよオレは別に何もしてないけどただ言われた通りにしかまだ何も出来ないし習うより慣れろよイサ君は細かいことにもよく気がまわるし判断も的確修練を積めばいい医者に
薄暗い夕暮れ時チェヨンが饅頭屋から戻ってすぐに王宮では騒動が起きていたあろうことか間者が忍び込んだのだキ・チョルのもとにいた音功使いのチョヌムジャや火功使いのファスイン達が紛れ込んで以来のことだったこのところのチェヨンの厳しい鍛錬の成果が現れ城壁の中に入るや否や間者は取押えられ大事には至らなかったがもしかして市井からウンスについて来たのやも知れぬとチェヨンは憂慮して今宵は王宮の邸泊まりを決め帰り支度のウンスのもとへ念のためにとチェヨン自ら迎えに来た
医仙様行ってしまわれたなぁ王妃様へのご報告してくださるかなぁ見送りながらオ・アムが呟いたああ大丈夫だろうさ医仙様がおっしゃられたんだアムよりずっうと年下のイサの方がすっかり年上のように答えた饅頭屋の前に残ったのはアムとイサそして饅頭を頼まれた武閣氏そこでおもむろにアムが切り出した典医寺に戻らなくてもいいかな?僕屋敷が王宮と反対方向でこのまま失礼したいんだがイサ医仙様にうまく言っておいてくれないか?
ねえどうしてわかったの?まさか!後をつけてたとか?あ!スリバンでしょう?ジホやシウルに見張りを頼んだのね饅頭屋の前で確保されたウンスは久しぶりにチュホンに揺られながらチェヨンに尋ねたまさか?そのような面倒なことせずともイムジャの考えそうなことくらいわからぬようでは夫は務まらぬだって昔は私の考えていること理解できないって言ってたじゃない?それは出会ってすぐの話二年近くもイムジャだけを見て来たのだそっかうふふそっかぁウンスはなんだかうれしそうに頷い
育児園には銀杏の木があった黄色く色づいた実がたわわに成り熟れた実は地面に落ちて踏まれ独特の匂いをかもしているア・オムは明らかに面白くなさそうな顔をして育児園について来たチェ侍医について行けば王様のお側に上がられるそれが何が悲しくて育児園の餓鬼どもの面倒か?と顔に書いてあるイサは興味津々な様子イサにとってはほぼ初めての外出典医寺とチェ侍医の屋敷を往復する毎日で都に出ることはまずないから見るもの聞くもの珍しいようだ出発の際にはチェヨンの腹
二晩続きで幸せな夜を過ごした翌日の昼下がりウンスは育児園に向かう準備をしていた都にある育児園は親が家業や病気で子を養育出来ない時の天界でいうところの一時預かりの保育園でありまた戦などで親を失った孤児達が暮らす施設の一面も備えていた王宮にも影響力のある豪商チャン・デホの財力で作られた育児園は娘のキンスが切り盛りしているが子供は増えるばかり増築増床を重ねているタンの警護に当たるジュヒの息子コハクや通いの女中ミヒャンの娘ミホもここの世話に
甘えん坊のタンは両親と久しぶりにゆっくり夕餉を食しご機嫌な夜を過ごしていた今夜はヘジャの得意な海鮮汁今が旬のクル(牡蠣)や魚からいい出汁がでて柔らかめに炊いたご飯にかけてクッパにすると米粒に出汁が染み込んでタンは喜んでお椀を空っぽにしたそれから風呂の段になりタンは自分も一緒に入るとチェヨンの足にしがみついて離れないゆっくりウンスと風呂に浸かろうと目論んでいたチェヨンだがタンに根負けしてその夜は久しぶりに三人で湯浴みをした忙しさもあり最近タンと湯浴み
庭園でウンスと別れたチェヨンは集賢殿に戻った一足先に康安殿から戻っていたパク・インギュがほっとした顔で迎え言った王様のご許可が降りて何よりでしたそうだなだがまだ都堂(トダン)がある気を引き締めてかからねばトダン会議は高麗の最高議決の場チェヨンもそのトダンの一員だそうでしたなんなら義父に根回しいたしましょうか?インギュの義父は文官最高位だがチェヨンは断った小賢しい真似をするなと言うたであろう?計画を粛々と進めればよいはあ集賢殿では上奏を受け国境のさ
食べ物で機嫌が直ったの?ウンスは苦笑したがタンは上手にお茶を飲み卓に積まれた菓子に目を輝かせていた食いしん坊は母親譲りいつもは育児室で過ごし滅多に典医寺の皆と顔を合わせることもないタンは人見知りをするかと思ったが堂々としたものであの手厳しいトギすらタンの表情に魅入られているようだったさすが上護軍の御子息すでに風格がありますねいつの間にかちゃっかりみんなのいる診療室にいて話の輪に入っていたオ・アムとイサアムは歯が浮くようなことを言ってイサを呆れさせ
坤成殿からの呼び出しを受けてウンスは出仕して典医寺につくや否やサラと武閣氏とともに王妃様のもとへと急いだ部屋の中ではチェ尚宮が心配そうに王妃様の背中をさすっているおお医仙参ったか王妃様は昨夜から少し咳き込まれておるのじゃ悪阻もひどいと言うのにおいたわしいご様子でこんこんと咳き込む王妃様ウンスが診ると喉が少し赤く腫れており脈は相変わらず滑大脈だったサラの診断も同じで悪阻の症状は重いまま寝不足もあって顔色も悪い公主様の時とは
輿に揺られて向かう王宮への道は紅色や黄色に木々の葉が色づいているタンはチェヨンの膝の上に立って窓から移りゆく外の景色を眺めていた冷たい風がタンの柔らかな髪をふわふわとなびかせたウンスは朝からたんまり作ったケランマリ(卵焼き)に我ながら良い出来だと満足気螺鈿細工の小ぶりなお重に鮮やかなケランマリを詰め悪阻で食欲のない王妃様に一口でも召し上がって貰いたいと言う姉の心境で膝に抱えているタンはすっかり気に入ったケランマリの匂いに鼻をひくつかせウンスに言った
明け方目を覚ましたウンスはじっと自分を見つめているチェヨンの視線に気づきどぎまぎとして目を伏せたチェヨンが腎虚になってからひと月ぶりの夫婦の契りそれは想像以上に甘美な夜月夜に照らされたチェヨンの美しい顔を思い出しそれから自分の中に溢れるチェヨンの生命力に昨夜の出来事が夢ではなかったのだとほっとしたおはようもしかして?寝てないの?いや眠ったぞ先ほど目覚めイムジャを眺めておったところだチェヨンはウンスの額に口づけて笑いそれからおずおず尋ねた久方ぶり