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たぶん2017年のブログです*北山修さんの対談本『ふりかえったら風・対談1968-20053北山修の巻』(2006・みすず書房)を再読しました。この本もかなりの久しぶりでしたが、今回は前回読んだはずなのにすっかり忘れていた(?)斧谷彌守一(よきたにやすいち)さんという哲学者を再発見(?)したことが一番の収穫です。斧谷さんはハイデガーさんの研究者ですが、ハイデガーさんはヘーゲル弁証法の正・反・合を発展させて、全体性と聖なるものの関連に気づいていたのではないか
上の孫娘が5歳、下の後娘が2歳の時のブログです*車で1時間ほど離れたところに住んでいる孫娘たちが、時々、新潟に住んでいるじーじのところに遊びに来てくれます。車から降りた孫娘たちが最初に駆け込むのが2階にあるじーじのお部屋。上の孫娘は軽やかな足取りで、下の孫娘は一所懸命に階段をのぼってきます。じーじのお部屋に入ると、上の孫娘はお絵かきやパズル、風船遊びに、下の孫娘はぬり絵やお絵かき、シャボン玉に熱中です。上の孫娘はお絵かきがとても上手になりました。かわい
2023年5月のブログです*久しぶりに再読をしたオグデン(狩野力八郎監訳・藤山直樹訳)『こころのマトリックス-対象関係論との対話』(1996・岩崎学術出版社)をようやく読み終える。藤山直樹さんの翻訳デビュー作である。藤山さんが土居健郎さんの7年にわたるスーパーヴィジョンを終えて、狩野力八郎さんのスーパーヴィジョンを受けはじめた頃、狩野さんから紹介のあったこのオグデンさんの本を藤山さんが翻訳、それを狩野さんと藤山さんが4年をかけて検討したという労作。学者さんの世界も大変だ
2022年5月のブログです*アメリカの精神分析家であるオグデンさんの『精神分析の再発見-考えることと夢見ること、学ぶことと忘れること』(藤山直樹監訳・2021・木立の文庫)を読む。2021年10月の発行時に一回読み、半年後の今回、再読をする。勉強嫌いのじーじはめずらしいこと。すごく面白い本だが、なかなか難しく、どれだけ理解できたか。再読をしても、感想文を書くほど理解できているかどうかもわからないが、とりあえず今の段階でわかっているらしいことを記す。そういえば、オ
2020年5月のブログです*川上範夫さんの『ウィニコットがひらく豊かな心理臨床-「ほどよい関係性」に基づく実践体験論』(2012・明石書店)を初めて読みました。川上さんの論文は、これまでにいくつか読ませていただいていて、そのこまやかでていねいな実践を踏まえた論考にはすごく感心させられることが多かったのですが、今回、単行本を古本屋さんで手に入れることができました(こんないい本が品切れなのはもったいないことです)。すごい本です。川上さんは、ご自分のケースを紹介しなが
2018年のブログです*ウィニコットさんの『人間の本性-ウィニコットの講義録』(牛島定信監訳・館直彦訳、2004・誠信書房)を再読しました。これも、ものすごく久しぶりです。そういえば、ウィニコットさんのことはずいぶん引用するわりに、彼の本をきちんとご紹介するのは初めてかもしれません。いずれ、きちんとご紹介したいと思っているのですが…。さて、本書、イギリスの幼児教育や社会福祉などの大学院生に向けての子どもの発達やこころの発達についての講義。深い内
たぶん2018年のブログです*アメリカの精神分析家であるクリストファー・ボラスさんの『精神分析の経験-事物のミステリー』(館直彦他監訳・2004・岩崎学術出版社)を再読しました。これもかなり久しぶりです。ボラスさんの本については、何冊かはこのブログにも感想を書いていますので、ご承知のかたもいらっしゃるかもしれません。アメリカ人ですが、イギリス独立派の精神分析を学んだ人で、ウィニコットさんやビオンさん、クラインさんなどの名前がたくさん出てきます。本書はその書
こんにちは小児科医で有名なウィニコット氏より・・・・・・・・・・・・・・・・・完璧な母親になんてなろうとせず適当に手抜きをし適当に自分の楽しみにも時間を使って失敗も多いが落第点をとらないぐらいののんきな母親が子どもたちにとっては理想的な母親である・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・とても有名どころですがウィニコット氏は子どもの発達について他にもいろいろ大切なことを教えてくださいます私たちはつい完璧な親をめざ
2015年のブログです*村上さんの『職業としての小説家』を読みました(なぜかマックス・ウェーバーさんの『職業としての学問』を思い出したのですが,あまり関係はないのかな?)。とても刺激的な本です。小説家としての村上さんの覚悟が述べられていると思います。もちろん,村上さんのことですから,押しつけはしていませんが…。正直に,ご自分の立場,考え,小説の書き方,体の鍛え方(長編小説を書くには体力も大切らしいです)などが述べられています。意外だったのは(意
2016年のブログです*小此木啓吾さんの『精神分析のおはなし』(2016・創元こころ文庫)を読みました。単行本は1999年に出ていたらしいのですが、読みそびれていて、今回、文庫本で初めて読ませていただきました。研究会などでの講演をまとめたものですが、人生全般の心理的な課題を、いくつかのテーマに分けて、細かく、ていねいに解説をされています。甘えと自立、対象喪失と喪、さらには、懐かしい、シゾイド人間や自己愛人間のお話なども出てきました。シゾイド人間と自己愛人間
生活に役立つメンタルヘルスさんのチャンネルから、「親の愛をもらえなかった人の5つの生きづらさ【心の安全基地】」という動画をご紹介します。生活に役立つメンタルヘルスさんは、精神科のお医者さんとカウンセラーさんが、情報発信されているチャンネルです。ご紹介する動画は、イギリスの精神科医ウィニコット氏が提唱された〝母親の内在化〟に関する動画です。動画の中では〝心の中のお母さん(心の安全基地)〟と呼んでおられます。視聴していただいたらわかるのですが、必ずしも〝お母さん〟である必要はなく、
2011年のブログです*藤山直樹さん(本当は藤山先生と書きたいのですが、河合隼雄さんも先生でなく、さんづけでしたのでそうします)の『集中講義・精神分析(下)』を再読しました。藤山さんの上智大学での講義です。本が出てすぐに一度読んだのですが、今回はノートを取りながら読みました。一度目に読み落としていた部分がいっぱいあって、反省でした。上巻でもそうでしたが、藤山さんはフロイトさんの原典をより忠実に、しかもより深く読み込んで、自論を展開されていますが、それは下巻
たぶん2017年ころのブログです*藤山直樹さんの『精神分析という営み』(2003・岩崎学術出版社)を再読しました。何回目になるでしょうか、じーじはこの本を読んで藤山さんのファン(?)になったのですが、いざ感想を述べるとなると、じーじの理解不足、経験不足もあって、なかなか難しい本です。今回もうまくまとめられるかな、と思いながら読んでいましたが、とりあえず、印象に残ったことを一つ、二つ、書いてみます。まずは事例がすごいです。何回よんでも新鮮です。こんなことがある
たぶん2015年ころのブログです*じーじの二つ目に活字にしていただいた論文です。今から数年前のことです。一つ目の論文と同様,家庭裁判所での面会交流の試行の経験をもとにして考察をしました。紹介をさせていただいたケースは,(プライバシーの保護のために)いくつかのケースを合わせた架空のものですが、父母同席による面会交流の試行で,実家に戻ったお母さんが久しぶりに子どもさんに会えたものの,最初は声をかけても子どもさんに背を向けられてしまうのですが,3回目からやっと子ども
たぶん2015年ころのブログです*もう10年近く前のことになりましたが,じーじの初めて活字にしていただいた論文です。当時,家庭裁判所の臨床現場で苦労をしていたことや工夫をしていたことを文章にしてみました。その頃,『臨床心理学』誌の編集長だった河合隼雄さんが,臨床現場で忙しくて論文を書けない人でも気楽に投稿をしてください,とのお誘いを誌面でされていたことがあり,ずうずうしくも拙い文章を送ってしまいました。新潟の片田舎で,中央の流行も知らずにこつこつと実践してきたことを
2017年のブログです*瀬尾まいこさんの『ファミリーデイズ』(2017・集英社)を読みました。本の帯に、著者初の育児エッセイ集、とあります。そうなのです。じーじが知らない間に、瀬尾さんは結婚をされ(!)、出産をされ(!)、子育てをされていた(!)のです。びっくり、ぽん、です(じーじが知らなかっただけですけどね)。そういえば、先日、ブログで紹介せてたいただいた『君が夏を走らせる』(2017・新潮社)の子育てシーンがいやにリアルで、どこかの保育園に観察にでも
たぶん、上の孫娘が4歳、下の孫娘が1歳のころのブログです*車で1時間ほど離れたところに孫娘たちが住んでいて,たまに遊びに来てくれます。孫娘たちがうちに遊びにくると,風船やシャボン玉,お絵かき,ぬりえ,砂遊びなどをして遊んでいます。最近,上の孫娘がシルバニアファミリーのお人形を二つ持ってきて,「おじいちゃん,おはなしごっこをしよう」と誘ってくれました(下の孫娘はお昼寝でもしていたようです)。そして,「わたしがおかあさんだから,おじいちゃんはこどもね」と,なにやらおすま
またまたウィニコット研究会繋がりで、本日もドナルド・ウィニコット(小児科医・精神分析家)の考え。「ひとりでいられる能力」についてお話しようと思います。「ひとり」と言うと、孤独に耐える力❓ひきこもり❓と連想されるかも知れません。ひきこもりの心性は、誰かといると自分の心がかき乱されて疲れる。それぐらいなら孤独に耐えていた方がマシだ…という心理。物理的に他者との境界線を作る事で、未成熟な自分をかろうじて守ろうとする。いわば究極の選択なのです。しかしウィニコットの言う「ひとりでいられる能力」とは、
上の後娘が8歳、下の孫娘が5歳の時のお正月のブログです*お正月休みで孫娘たちが遊びに来てくれました。じーじのお部屋にやってきた孫娘たちにお年玉をあげると、孫娘たちは大騒ぎ。じーじのお年玉はしぶく500円ずつなのですが、しかし、二人とも、ちゃんと、ありがとう、とお礼をいうところに感心をしました。上の孫娘は、○○のおじいちゃんが1000円、○○のおばあちゃんが1000円、新潟のおばあちゃんが1000円、新潟のじーじが500円で、全部で3000いくらかな?とまだ
2018年のブログです*田中千穂子さんの『プレイセラピーへの手びき-関係の綾をどう読みとるか』(2011・日本評論社)を再読しました。2011年に簡単なブログを書いていますが、なんと7年ぶり。この間、修士論文の引用文献にさせてもらったりして、断片的な再読はしていましたが、改めての通読は本当に久しぶりになってしまいました(田中さん、ごめんなさい)。しかし、やっぱりすごい本です。プレイセラピーをこれだけ言葉にできた本は少ないと思います。子どもの動きだけでな
2014年のブログです*尾崎新さんの『対人援助の技法-「曖昧さ」から「柔軟さ・自在さ」へ』(1997・誠信書房)を読みました。尾崎さんのことはボランテアでおじゃまさせていただいている精神科デイケアの本棚で偶然,尾崎さんの『臨床・精神科デイケア論』(1992・岩崎学術出版社)を見つけて読んでみたところ,これまでにいくつか読んだデイケア論の中で一番おもしろく読めてファンになりました。ウィニコットさんを中心に「ほどよさ」を論じているところが新鮮でした。続けて読んだこの『対
たぶん2015年ころのブログです*イギリスの精神療法家ニナ・コルタートさんの『精神療法家として生き残ること-精神分析的精神療法の実践』(2007・岩崎学術出版社)を再読しました。2010年ころに初めて読んで、今回が2回目。いい本なのに、しばらく間が空いてしまいました。精神療法家が生き残ること、は最近のじーじの勉強のテーマの一つですが、コルタートさんのこの本がきっかけとなっています。生き残ることの大切さは、小児科医で精神分析家だったウィニコットさんが、赤ち
2018年のブログです*先日、きたやまおさむさんとよしもとばななさんの対談本を再読しましたので、こんどはばななさんのお父さんである吉本隆明さんと北山修さんの対談本の吉本隆明・北山修『こころから言葉へ』(1993・弘文堂)を再読しました。この本なんとなんと20年ぶりくらいでの再読で、本棚の隅っこにあったのを見つけて、もう一回読んでみました。吉本隆明さんはばななさんのお父さんですが、じーじの世代には共同幻想論というやや難しい考えで有名だった評論家・思想家で、じーじ
2018年のブログです*ウィニコットさんの『遊ぶことと現実』(橋本雅雄訳・1979・岩崎学術出版社)を再読しました。何回目になるでしょうか。何回読んでも難しい本ですし、奥がすごく深い本で、じーじなどはまだまだどれくらい理解できているのか心もとありません。1979年発行の本で、じーじが持っているのが1988年の本、おそらく精神分析に興味を持ちだした頃に買ったのではないかと思います。その後、精神分析だけでなく、面会交流の仕事をする中で遊戯療法なども勉強し、そ
2012年のブログです*新潟大学の横山知行先生の「『正しさ』の向こうに」を読みました。いいエッセイだと思いました。ある意味、痛快な文章です(横山先生は温厚なかたですから、じーじのように過激な表現はなさっていませんが…)。エビデンスの必要性に触れながらも、エビデンスだけでは測れない大切なもの、実証的な「正しさ」だけでは測れない大切なものの存在、それを忘れないことの大切さを述べられていると思いました(間違っていないと思うのですが…)。そして、遊戯療法における「間」の
先日、「母性愛神話」の話をした時に、「マターナルデプリベーション」という用語を紹介しました。マターナルデプリベーションという言葉は、戦災孤児達の発育を調査研究したボウルビィ(1951)の言葉ですが、これが前回の投稿と同日に開催されたウィニコット研究会でも取り上げられました。何という偶然ウィニコットも乳幼児期における母性的養育者(マターナル)の剥奪体験(デプリベーション)は、本来受け取るべき母の愛を十分に享受出来なかった事への反動として、盗みや嘘、攻撃などの問題行動が出現すると述べていました。
2015年のブログです*村上春樹さんの,村上さんのこころ,ならぬ,『村上さんのところ』を読みました。すごくおもしろかったです。村上さんの読者やファンの質問に,村上さんが一つ一つ丁寧に答えるという本ですが,ユニークな質問に,ユニークな回答がとてもよかったです。中でも,個人的には,妖怪ポロンのやりとりがおもしろかったです(くわしくは本書59ページをお読みください)。村上さんの小説は,内容がけっこう重かったり,深かったりしますが,少しのユーモアや
先月から参加している「ウィニコット研究会」。ウィニコット(1896-1971)という人は、ごく初期の母子関係の重要さを述ベた、イギリスの精神分析家、小児科医です。以前にもお話しましたが、精神分析では、生まれたての赤ちゃんは、まだお母さんとの一体感の中に居て、そこから徐々に自分とお母さんは別物だと気付き、自我が芽生えていくと考えます。ウィニコットは赤ちゃんだけでなく母親も、子どもと自分との境目なく、子どもの一挙一動に敏感に反応出来る能力が高まる時期(=「母親の原初的没頭」)が存在すると考えて
2022年秋のブログです*東畑開人さんの『聞く技術聞いてもらう技術』(2022・ちくま新書)を読む。新刊!(えっへん!)。東畑さんはカウンセラーで、少し前まで大学の先生をされていたが、最近、やめたらしい(と本書に書いている)。今は開業カウンセラー。著書『居るのはつらいよ』で賞を取るなど、活躍中。今年の遊戯療法学会のシンポジウムにも出席をされて、じーじはズームで拝見したが、歯切れのいい発言をされていたのが印象に残っている。さて、本書、対話が難しいように見
子育ては親にとって最もやりがいのある仕事の一つですが、同時に最も難しい仕事でもあります。子どもの成長を見守り、必要な教育やサポートを与えることはもちろん大切ですが、それだけでは十分ではありません。子どもには自分で考えて行動する力や自信を育てることも必要です。そのためには、親が子どもに程よい愛情と程よい放ったらかしを与えることが重要です。程よい愛情とは、子どもの良いところを認めてほめたり、悪いところを叱ったり、感情を共有したりすることです。子どもは親からの愛情を感じることで、自分の価値や存在意義