ブログ記事10件
アントニオ・ネグリの臨時増刊号(5月発売)の「現代思想」をアマゾンで購入した。ネグリが死去したのは昨年12月のことであった。コミュニズムが終わったといわれているなかで、一人気を吐いていたのがネグリであった。マルチチュード(多様性による多数派の形成)の思想家である。青木耕平氏も礼賛文を書いているが、僕からすれは、カール・シュミットの決断主義の極左版で、前衛党のレーニン主義に毒されている面が強過ぎて、あまりにも暴力的で付いていけない。政治的思想史については疎いので、いい加減なこ
散歩をするのに、何気なく手に取ったのはスビノザの『国家論』(畠中尚志訳)。歩きながら頁をめくると、ぐいぐい引き込まれてしまった。真面目に熟読しなければ、という思いがしてきた。左翼のアントニオ・ネグリのマルチチュードを理解するには、欠かせない書物であるからだ。ネグリのマイノリティによる多数派の形成という思想は、スピノザの『国家論』の「第一章一五節」を念頭に置いているのではないだろうか。「人類に固有なものとしての自然権は、人間が共同の権利を持ち、住みかつ耕しうる土地をともども確保し、自己を守
岸田首相は何も理解していない。多様性とかマイノリティーを重視するというのは、アントニオ・ネグリに代表される現代の革命思想である。教条主義的なマルクス主義は衰退したが、それに取って代わったのがマルチチュードなのである。その日本での紹介者である的場昭弘の『マルクスを再読するー<帝国>とどう闘うか』を読んだことがないのだろうか。的場によれば「帝国」というのは、ブルジョワジーとプロレタリアという対立の図式が消滅してしまったシステムを指す。その典型がアメリカである。そこでは革命の主体はプロレタリアで
『<帝国>』や『マルチチュード』で帝国主義論を講じたイタリアの政治哲学者アントニオ・ネグリが2023年12月15日、90歳で死去した。マルチチュードという大衆の団結に期待を託す哲学だが、本人は本の出版時に醸し出された平和なイメージから離れた人生を送った。北東イタリアに生まれマルクスやベネディクト・デ・スピノザ(1632~77)の哲学を研究。故郷パドバの大学教授になり、共産党外で自律的な(アウタルキア)労働運動「オペライスモ」を志向した。しかし、イタリア半島を震撼させた極左集団の赤い旅団への
政治哲学者アントニオ・ネグリ氏死去欧州を代表する左派知識人12/16(土)23:30配信政治哲学者アントニオ・ネグリ氏死去欧州を代表する左派知識人(朝日新聞デジタル)-Yahoo!ニュース配信よりアントニオ・ネグリ氏=2013年、東京都港区イタリアのANSA通信によると、欧州を代表する左派知識人として知られるイタリアの政治哲学者アントニオ・ネグリ氏が15日、フランスのパリで死去した。90歳だった。グローバル企業や国際機関が権力を持つ世界秩序を論
三島由紀夫は今日の我が国の姿を予知したがゆえに、自らの死によって、危機に対処する生き方を示したのではないか。三島の『文化防衛論』に収録された「反革命宣言」の文章は、あくまでも少数者に徹することで、国の大本を示そうとする決意が表明されている。驚くべきことに、その当時の三島は、アントニオ・ネグリらのマルチチュード(多様性に立脚した群衆)の運動が、多数派を形成するという危機感を抱いていた。その分析は見事であった。「彼らは最初、疎外をもって出発したが、利用された疎外は小集団における多数者となり、
人類が直面している危機というのは、道徳を否定する人たちが登場したことである。彼らは理論武装をしており、保守派としても本腰を入れて対応しなければ、その流れを押しとどめることはできない。フロイトは自我について、意識の領域の自我、無意識の領域のエス及び超自我として構造的に把握していた。無意識を問題にしたことで、性的なリピドーとしてのエスを、どうコントロールするかが、精神分析学における大きな課題となった。人間が本能の赴くままに生きることは、文明とは無縁であり、超自我というものが設定されたのは、
読書室アントニオ・ネグリ=マイケル・ハート著『アセンブリ:新たな民主主義の編成』岩波書店二0二二年二月刊【ワーカーズ六月一日号より転載】○二000年の『〈帝国〉』出版以降の著作を振り返りつつ、全四部構成で全十六章からなる全約四百六十頁の本文に、五つの「呼びかけ」と「応答」を織り込み、『〈帝国〉』で初めて問題提起した〈マルチチュード〉概念を一層深化させ練り上げて出来した本である○時代の画期となったネグリ=ハートの『〈帝国〉』二000年、ネグリ=ハートの『〈帝国〉―グローバル化の世界
『わたしの名前は・・・』アップリンククラウドで全世界対象に10日間限定(2020年5月7日10:00~2020年5月17日23:59)で無料配信されている「わたしの名前は・・・」を観た。世界的に有名なファッションデザイナー・アニエスべーがアニエス・トゥルブレという本名で初監督した2013年制作の作品。おしゃれな映画なのかな、と思って見始めると、これが思いがけずかなり重いテーマを扱った内容だった。13歳のフランス人の少女セリーヌは両親と妹、弟との5人暮らし。父親は失業中で、母親
「ネグり、日本と向き合う著アントニオ・ネグリ」を読む著者詳細アントニオ・ネグリ、市田良彦、伊藤守、上野千鶴子、大澤真幸、姜尚中、白井総,毛利嘉孝、三浦信孝(訳)帯広告表原発から領土問題日本の危機をどうとらえたか?日本の知性はどう答えたか?裏世界の知性と日本の知性がぶつかり合う!序アントニオ・ネグリの現在・・・・伊藤守Ⅰ「東アジアの中の日本」と向き合うネグり×姜尚中Ⅱ「3・11後の日本」と向き合うネグリ×市田良彦×上野千鶴子×毛利嘉孝Ⅲ原発危機からア