ブログ記事23件
2022年5月のブログです*アメリカの精神分析家であるオグデンさんの『精神分析の再発見-考えることと夢見ること、学ぶことと忘れること』(藤山直樹監訳・2021・木立の文庫)を読む。2021年10月の発行時に一回読み、半年後の今回、再読をする。勉強嫌いのじーじはめずらしいこと。すごく面白い本だが、なかなか難しく、どれだけ理解できたか。再読をしても、感想文を書くほど理解できているかどうかもわからないが、とりあえず今の段階でわかっているらしいことを記す。そういえば、オ
2015年のブログです*村上さんの『職業としての小説家』を読みました(なぜかマックス・ウェーバーさんの『職業としての学問』を思い出したのですが,あまり関係はないのかな?)。とても刺激的な本です。小説家としての村上さんの覚悟が述べられていると思います。もちろん,村上さんのことですから,押しつけはしていませんが…。正直に,ご自分の立場,考え,小説の書き方,体の鍛え方(長編小説を書くには体力も大切らしいです)などが述べられています。意外だったのは(意
2020年3月のブログです*松木邦裕・瀧井正人・鈴木智美『摂食障害との出会いと挑戦-アンチマニュアル的鼎談』(2014・岩崎学術出版社)を久しぶりに読みました。じーじにしては早めの再読、と思ったのですが、もう6年ぶりになるのですね。いかん、いかん(松木さん、ごめんなさい)。付箋がいっぱいだったので、少し整理をしながら読んだら、だいぶすっきりしました(?)。本当に理解できているのかな?やや心配です。鼎談相手の瀧井さんは心療内科医、鈴木さんは精神分析医と3人それ
2017年3月のブログです*村上春樹さんの『騎士団長殺し』(第1部・第2部)(2017・新潮社)を読みました。これからも読後感や印象がどんどん変化すると予想するのですが、第1報をとりあえず書いてみます。まずは、とてもおもしろかったです。じーじのこころの準備不足のせいか、エンジンのかかるのが少し遅かったのですが、途中から物語に引き込まれて、3日間で読んでしまいました(もったいない!)。テーマは重層的で深いです。あまり詳しくは書きませんが、善と悪、戦争、人
2019年のブログです*土居健郎さんの『漱石文学における「甘え」の研究』(1972・角川文庫)を再読しました。この本もかなり久しぶり。土居さんの『漱石の心的世界』(1969・至文堂)という本が文庫本になったもので、当時の定価が180円(!)という小さな本。じーじはだいぶ前にこの本をどうしても読みたくて、古本屋さんでやっと見つけて読んだのですが、今読んでもやはり読みごたえのあるいい本です。『坊ちゃん』や『三四郎』などの漱石さんの小説を精神分析の理解を参考にして解読
2022年3月のブログです*精神科医せ精神療法家の成田善弘さんの『新訂増補・精神療法の第一歩』(2007・金剛出版)を再読する。これもかなり久しぶり(成田さん、ごめんなさい)。しかも、感想文は初めて、たぶん(?)。成田さんのデビュー作である『精神科選書・精神療法の第一歩』(1981・診療新社)の改訂版だが、ご自分の文章への反省と思索がとても鋭く、びっくりしてしまう。大家はみなそうだが、本当にすごいと思う。今回の再読は、じーじの最近の研究テーマ(?)の一つであ
2019年のブログです*中井久夫さんの『精神科医がものを書くとき』(2009・ちくま学芸文庫)を再読しました。もう何回目になるでしょうか。本は付箋とアンダーラインで大変な状態。少しだけ整理をしながら読みました。中井さんが精神科医になった前後のお話や大学病院での実践などが語られます。全編を貫くのは中井さんの患者さんへのやさしい祈り。以前にも書きましたが、中井さんは患者さんの薬を手渡すときに、効きますように、と祈りの言葉をそえる、といいます。他にも、わたしも
2023年2月のブログです*またまたなつかしい本を読んでしまった。加藤周一さんの『頭の回転をよくする読書術』(1962・光文社)。じーじが持っているのは1975年発行の57版。大学3年の時に購入したのかな?ちなみに価格は500円。加藤さんに魅かれて買ったのだと思うが、加藤さんのようにたくさんの本を読めるようになりたいと思ったのかもしれない。じーじは加藤さんの本は繰り返して読む本が多いが(いくつかブログを書いているので、よかったら読んでみてください)、
2017年のブログです*日下紀子さんの『不在の臨床-心理療法における孤独とかなしみ』(2017・創元社)を読みました。日下さんの本は初めて読ませていただきましたが、少し難しかったものの、テーマが興味深く、一所懸命に読ませてもらいました。メインテーマは、心理療法における不在について、ということだと思いますが、それに伴うクライエントの孤独とかなしみ、そして、「待てる」ようになることの意味、などではないかと思います。日下さんはこれらのテーマを、ケースをもとにていねい
2018年のブログです*小児科医で精神分析家のウィニコットさんの『人間の本性-ウィニコットの講義録』(牛島定信監訳・館直彦訳、2004・誠信書房)を再読しました。これも、ものすごく久しぶりです。そういえば、ウィニコットさんのことはずいぶん引用するわりに、彼の本をきちんとご紹介するのは初めてかもしれません。いずれ、きちんとご紹介したいと思っているのですが…。さて、本書、イギリスの幼児教育や社会福祉などの大学院生に向けての子どもの発達やこころの発達につ
クリスマスのサンタさんをめぐる孫娘たちとのやりとりが数年前にあって、それがけっこう面白かったので、以下に再録します(2014年ころ、上の孫娘が4歳、下の孫娘が1歳ころのことです)。*久しぶりに孫娘たちが遊びに来ました。上の孫娘が、サンタさんがプレゼントをくれたの、といって、赤い水玉の洋服を着たシルバニアを見せてくれました。下の孫娘も、ウーウー(そうだよ!)、といいます。じーじが、サンタさんは煙突から入ってきたのかな?と聞くと、上の孫娘は、うちにはえんとつは
2024年11月のブログです*わからないことに耐えることやあいまいさに耐えることの大切さについて考えてみる。精神科医の中井久夫さんは、シェイクスピアさんの『ハムレット』を引用して、世の中には人間の力ではわからないことがいっぱいあること、そして、わからないことに耐えることの大切さについて述べている。人はわからないことがあると不安になるが、そこで安易に結論を急がずに、わからないことに耐えて考え続けることの大切さに言及し、それが希望を失わないためにも大切なことだと述べる。
2016年ころのブログです*藤山直樹さんの『落語の国の精神分析』(2012・みすず書房)を再読しました。2012年に一度読んでブログを書いていますから(すみません、なぜか(?)消えてしまいました)、おそらく今回で2回目の再読です(たぶん?)。実はこの間に1回読んだような気もするのですが、記憶があいまいではっきりしません(藤山さん、ごめんなさい)。しかし、やはりとても面白かったです。そして、いい本です。前回のブログで、「藤山さんの精神分析の概念の説
2024年10月のブログです*SNSやブログを見ていると他人を非難する人を多く見る。大谷くんですら、ちょっと調子が悪いとくそめそだ。読んでいると気分が悪くなる。その最たるものはトランプくんだと思うが、そういうふうにすぐに他人を非難する人はどういう心理なのだろう?と考える。他人を非難することで自分が優越感に浸りたいのか、他人を貶めることで自分の万能感を満たしたいのか?しかし、いずれにしても錯覚に過ぎないだろう。他人を非難しても、自分が偉くなれるわけではない
2012年のブログです*精神分析家クリストファー・ボラスさんの『終わりのない質問-臨床における無意識の作業』(館直彦訳・2011・誠信書房)を読みました。精神分析の初心者のじーじにとってはなかなか難しい本でしたが、著者が精神分析において解釈よりも自由連想を大切にしたいという思いは(それで間違っていないと思っているのですが…)、ひしひしと伝わってきました。これはひよっとすると全く的外れの感想かもしれませんが、じーじなりには、最近の精神分析が解釈よりも「もの想い」を
2016年のブログです*なぜか読みそびれていた雑誌「こころの科学」の特集号『中井久夫の臨床作法』を読みました。精神科デイケアでボランティアをしながら読んでいたのですが、久しぶりに、雑誌を読みながら、笑いそうになったり、涙ぐみそうになったりして、困りました。いい本です。それほど厚い雑誌ではないですし、値段もそれほど高くはないですが(ちなみに値段は1,800円です)、中身がすごいです。中井さんと一緒に仕事をしていた精神科医のみなさん(それぞれのかたがたが今では
2022年9月のブログです*庄司薫さんの『さよなら怪傑黒頭巾』(1973・中公文庫)をすごく久しぶりに再読した。先日、庄司さんの『赤頭巾ちゃん気をつけて』(1973・中公文庫)の感想文を読んでいたら、その続編もとても面白そうに思えてしまい、つい読んでしまった。1973年、じーじが大学に入った年だ。当時は結構、流行った本だが、今、読む人はあまりいないのかもしれない。しかし、読み返してみると、なかなか面白い小説だ。大学1年生だったじーじが熱中したのもわからないわ
たぶん2012年ころのブログです*藤山直樹さんの『続・精神分析という営み』(2010・岩崎学術出版社)を再読しました。この本も何回か読んでいるのですが、じーじの理解不足もあって、リポートをするのがなかなか難しい本で、結局、読んでみてください、いい本ですし、すごい本です、としか言えないような感じもします。しかし、それではブログになりませんので、とりあえず、今回、じーじが印象に残ったことを一つ、二つ、書いてみます。この本の中では、解釈や自由連想、遊び、反復強迫
2018年のブログです*またまたイギリスの精神分析家のビオンさんの本です。ビオン(祖父江典人訳)『ビオンとの対話-そして、最後の四つの論文』(1998・金剛出版)を再読しました。こちらもなかなか難しかったです。2割くらいは理解できたでしょうか。やや心許ない理解ですが、じーじなりに印象に残ったことを一つ、二つ。まず、投影同一化について。人が好まない自分自身の部分は、その人の外部に存在しているように感じられる、ビオンさんはそう解説します。なかな
たぶん2017年のブログですこの時に初めて詩人キーツさんの重要さに気づいたようです(2019.1記)*土居健郎さんの有名な『新訂・方法としての面接-臨床家のために』(1992・医学書院)を再読しました。もう何回目になるでしょうか。本は付箋とアンダーラインで大変な状態です。初版本はじーじが家庭裁判所に就職をした翌年の1978年に購入していますから、かれこれ40年近いおつきあいです(うちの奥さんより長いおつきあいです)。新訂本も25年のおつ
2019年2月のブログです*先日、精神科デイケアにお邪魔した時にケース検討会があった。その時に、あるスタッフさんが、メンバーさんから、調子が悪いので休んでいます、と言われた時に、無理をしないで休んでね、と言うべきか、それとも、もう少しだけ頑張ってみない?と言うべきか、あるいは、他に言い方があるのか、すごく迷う、との発言があった。無理を重ねて病気になったメンバーさんが多いだけに、難しいところだ。その時はうまい話ができなかったが、ずっとそのことを考え続けている。今、
2019年9月のブログです*このところ、沢木耕太郎さんにはまっていて、本棚を眺めていたら、『勉強はそれからだ-象が空をⅢ』(2000・文春文庫)が目につきましたので、再読しました。最近は、作家さんの執筆の順番などは無視して、見つけた順に読んでしまうことが多いのですが、一応、再読なので(といっても、記憶がなくなっているのですが)、それで勘弁してもらっています。しかし、それはそれで、また面白味があって、今の興味と年齢と経験が混然一体となって(?)、なかなかスリリングな読