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(10)「あの、これ」と言って、耕一はすぐさま、手にしていた紙袋を差し出した。「なんですか」「パンです」「パン?」「ええ。持ってきました」持ってきましたと言うのも変だと、自分でも思った。が、薬を買いに来たわけでない。怪しまれないよう、とっさに差し出した。もう引っ込められない。「別に頼んでもないけど」「いえ、これ、買って来たもんです。あげます」「上げます、言われても」不審な顔をしながら、おばあさんは両手で受け取った。「あのう」「何でございましょう
昨日の夕方「毎アル・ファイナル」の横浜公開初日から家に戻り、恒例の母の水分補給中のこと…。そうなんです〜〜私のことが分からず今まで何回も私の顔の認識不能はあったけれど、初めて撮影できちゃった。喉も渇いていて、マグカップに経口補水液を立て続けに3杯もそんな母の前で撮影しながら、変顔をしてみると…。「あ、娘だ」だって。喜ぶべきかどうか。「母が私の顔が分からなくなっちゃって〜〜」という〈自分語り〉をしている場合じゃないですよね。本人が不安マックスなんですから。しかし、我が家は、水