物語は、四人姉妹の三女雪子の見合ひ話を主題として進む。冒頭幸子と妙子の会話で、雪子の見合ひが話題になるので、勢ひ私達は、まづ幸子と妙子の性格と姿を知る。幸子が「決して猫背ではないのであるが、肉づきがよいので堆(うづたか)く盛り上つてゐる幸子の肩から背の、濡れた肌の表面へ秋晴れの明りがさしてゐる色つやは、三十を過ぎた人のやうでもなく張りきつて見える」とその肉体を表現されるのに対して、妙子は、専ら会話によりその性格を知らされる。「なんぼぐらいもろてるのん」「その人、仏蘭西語出来はるのん」「財産は」「