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2024.08.06追記そうそう。書き忘れていました。夏休みといえば読書感想文。作中に折木が書いた『走れメロス』の感想文があります。感想には違いないけどそう思うに至った経緯、考察がまとめられています。いかにも折木っぽいといいますか今風おたく感があって一読の価値ありかと。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー前回の『黒牢城』がおもしろかったので本の返却に一抹の寂しさを感じ同じ米澤先生の本を借りようと、図書館の書棚にあったのがこの本でした。タイトル
昨日の続きです。伝統ある古典部の再生(承前)伝統ある古典部の再生④で千反田えるが自分の必殺技に気づいたところで終わり、再開の⑤からは千反田えるが(わざと)折木奉太郎に詰め寄る場面から。しかし今千反田が書いてると、つまり「小説『タッチ』」と同様に過去を振り返って書いてるとして、小説内に「17日振り」という地の文を書きました。やるべきことなら手短にテレビシリーズでは第一話のBパートになっている音楽室の謎のピアノの話、そして秘密倶楽部の話です。私がこの章で試したのは千反田がどこ
先月の10月5日から上げ続けてきた私の古典部シリーズSS、千反田えるが折木奉太郎と約束を取り付けた「事情ある古典部の末裔」まで書き終え、さすがに私も一服したくなりました。実際、「ぼっち・ざ・ろっく」のタイトルを回収した回、「次はどこへ行こうどこまで行こう思えばきっとどこだって行けるよ」で終わった原作第4巻、アニメ第二期の『ヤマノススメセカンドシリーズ』に似た状況と思ったから。私自身も『タッチ』のSSを再開したいと思うようになり、これからは気分次第、不定期の投稿にしたいと思います。
あやふやな情報です。でも今のところわたしが言える精一杯です。そこから何を紡ぎ出してくれるのか、折木さんはどこまでわたしのおぼろげな思い出をはっきりとした形にしてくれるのか、わたしは期待したのです。その気持ちの甘さは十分自覚した上で。折木さんは意外に余裕のある表情でした。「お前の伯父は撤回できないことを話した。泣かせてしまっても今の話は噓だったと言えないような」「わたしもそう思いました」折木さん、ちょっと感心した表情をしました。わたしはちょっと残念に思ってしまいました。でもふと、それは当
「告白といえばそうかもしれません。わたしは折木さんに頼みがあるんです」わたしは正面を向いていましたが最初は折木さんを見れず、ウインナーココアの湖面に目を向けていました。でもこれではダメです。わたしは両腿のあいだで組んだ両手に力を籠め、目を上げて折木さんを見つめます。真剣なまなざしで、しかし根底には古典部で見せる明るさを失わないように。「本当なら私だけの問題です。お願いできる筋合いではありません」わたしは間を開けます。それに耐えられなかったのか、あるいは常にないわたしの気迫に押されたか、
わたしはメニューを見て、注文を取りに来てくれたこのお店のマスターに、「ウィンナーココアをお願いします」と注文しました。「素敵なお店ですね」話のきっかけ作りとしてわたしは限られた場所から柔らかな光が入る、座る人がそれぞれのテーブルに集中できる店構えを気に入ったことを告げました。しかし折木さんの反応は、「ウインナーココアか…」「どうしましたか折木さん?」「よくそんな甘いもの飲めるな」「女子ですから」「男、女は関係ないだろう」わたしの持論を言う前にちょっと反撃します。「折木
わたしが行動を起こしたのは愛なき愛読書の件が解決した一方、肝心の古典部のバックナンバーの手掛かりがないとわかって落ち込んだ気持ちで玄関口へ行く道すがら、廊下をわたし、折木さん、福部さんの古典部の三人、そしてすぐ後に古典部に入ってくれる摩耶花さんと歩いてる時です。わたしは福部さんと摩耶花さんを前に歩かせ、お二人の目を忍ぶようにその後にわたしと折木さんが歩くように仕向けたのです。もともと福部さんは摩耶花さんからアタックされてるし、わたしは折木さんを行動的にさせるいい薬とお思いになっているみたいで、
それに対して折木さんは、「中を見ればわかる」と答えて下さいました。そこにあった、並べて置いてあったのは本を持った女性の肖像画だったのです。女性と言っても濃紺のセーラーカラーにそれより薄い同系統の色のリボン、つまりわたしや摩耶花さんが着ている神山高校の女子の制服を着ていたのです。そして手に持っているのはいずれも…。「本の使い道はあれだ。二年D、E、F組の合同授業」そして折木さん、「あの装丁なら絵のモチーフにぴったりだ」タイトルはぼかされていますが大きさといい表紙の色といい金の装飾
「なるほど、これじゃ表も裏もわからないね」「ま、折木。知恵を絞ってもそんなところよ。私とふくちゃんだってさんざん考えたんだから」またしてもの福部さんと摩耶花さんの連携プレーをお聞きする間、わたしは『神山高校五十年のあゆみ』、摩耶花さんが多分何気なく持ってきた大判で立派な装丁、金の装飾までされてあるそれに、何かのにおいを嗅ぎつけたのです。「何、千反田さん」折木さんや福部さんが言うには、まるで犬のようだったと。福部さんはさらに「尻尾まで生えてたよ」なんて言う始末。尻尾は冗談としても、千
「ちょっと考えてみましょうよ、折木さん」わたしはまたそっぽを向いて文庫本を読もうとしている折木さんに我が校の学校史、開いた頁のままに差し出したのです。わたしは折木さんの背後から右の肩越しに顔を入れたのですが、折木さんの背中にわたしの胸が当たったのかも知れません。でも幸い伸ばした腕のお陰で福部さんや摩耶花さんにはわからなかったようです。実際はどうだったか改めて折木さんに訊いているのですが、わたしと折木さんの秘密にしておきます。「面白そうじゃないですか」そしてわたしは折木さんが解決した地学
「殆ど事後承諾だったけどな。カンヤ祭?」「神山高校文化祭の俗称だよ」「里志。お前が考えたんじゃないだろうな」「総務部の先輩が言ってたんだ」そして摩耶花さんも。「漫研でもカンヤ祭って言ってるわ」でもカンヤがどう書くか、みなさんわからないようでした。そして摩耶花さん、わたしのために話を戻してくれました。「千反田さん、文集は書庫にあるかもしれないけど」そう話を切り出してくれたのです。続けて書庫の鍵は司書の先生がもっていらしていること、しかし会議で30分ほど待つことになると言ってく
「よう奉太郎、奇遇だねえ。相変わらず仲がいいじゃないか」福部里志さんです。福部さんとの初対面は地学準備室でわたしと折木さんが初めて言葉を交わしてる時、わたしがのぞき見している人を見かけ、折木さんがつまみ出した時でした。その第一印象は冗談を好んで言い、初対面でも軽口を叩ける人。この時もそうです。別に狭い神山高校、友達と図書室で出会うのも特別なことでもないのに、さも奇跡のイベントのように言ってのける。もっともそう言える福部さん、友達としていいなと思ってました。「さすがは鏑矢中ベストカップル!」
「やめよう、手間がかかり過ぎる」折木さん、そう言うと思ってました。ですから即座に反応するのです。「文集でなければダメなんです」「文化祭に一枚かみたいなら模擬店とかもあるだろう」自分は参加しないためのアイデアです。それはわたしも先刻承知、ですから折木さんに言ってあげたのです。「神校文化祭は伝統的に模擬店中止です。それに文集のための予算も出て、顧問の先生に頼まれていますから」これは折木さんに背後から詰めよった時の台詞です。あくまで柔らかく、お願いするように言いました。勘のいい折木さ
折木奉太郎殿前略わたしはいまベナレスにいます。ちょっと遅れたけど、高校合格おめでとう。結局、神山高校だったわね。無事高校生になったあんたに、姉として一つアドバイスしてあげる。古典部に入りなさい。伝統ある部活よ。そしてわたしの所属していた部でもある。聞いた話だと、我が古典部員は現在ゼロ。今年入部者がいなければ消滅するそうなの。古典部OGとしてそれはあまりに忍びないわ。奉太郎、姉の青春の場、古典部を守りなさい。名前を置いておくだけでもいいから。どうせ、やりたいことな
そしてなぜ折木さんが、わたし達三人が四階の下の踊り場に来る途中、廊下でわたしに出身中学を訊いた理由がわかったのです。べつに男二人女一人で連れ立って歩くのが気まずかった訳ではなかったのです。折木さんはこれから展開する自分の推理をよどみなく語るため、事前にわたしの出身校を聞きたかったのです。この点に関しては推察できなかったわたしの完敗でした。このわたしの情報は折木さんによる推理のため、わたしを納得させるために必要だったのです。「要するに慣れの問題だ」そう折木さんは切り出しました。「俺たち一
「折木さんがどうして人目につく掲示板をあやしいと思うのかわからなかったんです」わたしはその壮観ともいえるポスターの込み具合で納得したのです。「これだけたくさんあれば無許可の掲示物も目立ちません」木を隠すなら森です。でも折木さんの考えは違っていたのです。「いや、悪い。ここの掲示板がこんな状況だってこと、忘れてた」折木さん、素直でした。見栄を張って「それもある」と言っても良かったのに。多分一つ大噓をつこうとしている折木さん、それ以上の嘘を言って心の負担をさらにかけることを望まなかった
前回まででわたしと奉太郎さん、この時はまだ折木さんですね、の考え方の違いが明らかになりました。わたしだって今回のような取っ掛かりがあれば、折木さんがわたしを騙そうとすることに見当を付けられました。でも折木さんは前回の地学準備室の密室の件にしても、伊原摩耶花さんの初登場となる次回の愛なき愛読書の件にしても、錯綜した少数の情報から的確な関連を見出し、それしかないと言える結論を導き出すことが出来るのです。しかしわたしは自分と関係のない事柄については偏見になる恐れから、平場から思考の取っ掛かりを判断す
「まずだ、」そう折木さんが福部さんに水を向けたのは、総務委員会管轄の掲示板の数を教えてもらうためでした。さすがにデータベースを自認する福部さんも数を覚えている訳ではありません。指折りして確かめます。わたしもそれに倣い、右手親指から追っていきます。福部さんの説明を聞きながら。それによると一般棟の二階から四階は二ヶ所、一階はそれに加えて保健室と職員室の前。ですから6足す4で十ヶ所。連絡通路の一般棟側と特別棟側に一ヶ所ずつ。ですから二ヶ所。特別棟は各階に一ヶ所ずつ。ですから四ヶ所。
昨日の分はちょっといただけませんでした。神山高校時代を小説にしていく古典部シリーズ、あるいは氷菓、これまでは自分で書いて及第点だったのです。でも昨日の「やるべきことなら手短に④」、わたし自身の気持ちの移りようはよく書けたと思うのですが、『秘密俱楽部の勧誘メモ』、女郎蜘蛛の会のミステリーについてはわたしに興味がそれほど持てなかったためか、福部里志さんの独演会の魅力を台無しにしてしまいました。省略の仕方が悪かったのか、地の文で説明すればよかったのか、わたしの小説書きの課題です。でも今は物語を止め
福部さんの話をお聞きしながら、わたしは折木さんから警戒されてると察しました。でもそれはわたしにとって嬉しいことだったのです。まさか自分のお姉さんが差し金とは思いもよらなかったでしょうが、「やらなくてもいいことならやらない。やらなければいけないことは手短に」という折木さんの思想信条を脅かす存在とわたしを認めてくれたこと、そしてそう帰結するだけの論理展開をなさったことに、わたしは嬉しくなったのです。ですから福部さんの独演会を余裕をもって楽しく聞くことが出来ました。「やつらは実在する。活動目的は不
「まだいらしてたんですね、折木さん」そう言ったわたしの声は、折木さんがそこにいるのは当然といった調子だったと思います。「千反田、お前の教室は隣だ」「そうですね」そして福部さんを見て、地学準備室で取り組んでいた書類を手渡したのです。「福部さん、申請書書けました」「お疲れ様」「千反田、里志に用ならD組だろう。行ったのか?」「いえ」わたしは折木さんに自信をもって言い返したのです。「宿題のことで福部さんが折木さんに茶々を入れるのはわかってましたから」「なっ…」折木さん、咄
福部さんが地学準備室を辞してからしばらく経ち、わたしは総務委員会に提出する部費追認申請書を完成しました。後はこの書類を福部さんに手渡すだけで、今日のわたしの神山高校での用事は終わります。私の家はここから自転車通学を申請するほど距離があるのですが、今日はもう一つお楽しみがあります。それは帰りがちょっと遅くなってもやってみたい、わたしにとってうきうきすることでした。その期待を胸にわたしは地学準備室を出て鍵を閉め、教室のある一般棟への連絡通路を渡ります。その前に連絡通路は三階だけなので、地学準備室の
「あら福部さん」「こんにちは千反田さん」「折木さん一緒じゃなかったんですか」「奉太郎は宿題やってるよ」「まっ」わたしは笑ってしまいました。ここはわたしたちが部室として使っている地学準備室。わたしは神山高校一年生、古典部部長千反田えるとして、部費申請追認書を書いています。わが古典部は部員ゼロで新年度が明け、今はわたしと折木奉太郎さん、福部里志さんの三人がいるだけです。そして部活をするからには部費が要るということで、わたしが部長としてそのための書類を書くことにしたのです。そして顧問の
「千反田、いつこの部屋に入った?」「感覚的にはわたしが入ってすぐ折木さんが入ってきました」折木さんは不審げな顔です。「わたしは窓を開けて外を見ていましたから、多分三分ぐらいです」「そうか」それでひとまず納得してくれたようでした。「他に何かないか」「何かと言われましても」口を利くのが初めてだから、私の言葉丁寧すぎます。「何でもいい」それならと、わたしはちょっと前から気づいてたことを言ってみたのです。「さっきから足元で音が聞こえるんです」「音?」これは福部さんの言
やっと福部さんを含め、地学準備室での折木さんとの出会い、会話に戻ることが出来ます。前回はは10月11日ですから18日振りになります。わたしとしては奉太郎さんとの恋の行方を先に示したいと思ってしまい、このような構成になってしまいました。これこそわたしの悪い癖、先走りの典型ですね。それでも上杉達也/タッちゃんの台詞をアレンジしたわたしの独白を記し、満足することが出来ました。ですからわたしが叫ぶように言った台詞、「わたし、気になります!折木さん、考えてください!」から始めたいと思います。それで
わたしはまずブラジャーを腕に通した後、ホックを嵌めずにショーツに手を出します。そして奉太郎さんに声をかけるのです。「奉太郎さん」悪魔のように、飽くまで優しくです。そう、わたしは省エネ主義の奉太郎さんにあらためて性愛のエネルギーを注入し、どこまで燃えあがるか見たいと思ったのです。わたしは手に取ったショーツの端をそれぞれの手で掴み、左足、右足とその股ぐりに通す穴に入れます。そして見せつけるようにゆっくりと、恋人の奉太郎さんに見られながら奉太郎さんを見ながら引き上げるのです。そしてショーツの腰
ふと目が覚めると窓のカーテンが閉め切っていなかったのでしょう。隙間から光が差し込んでいます。わたしは脇からカーテンを開けて窓を少しだけ開き、朝の光と風を浴びます。わたしと奉太郎さんが愛を確かめ合った翌日の朝、わたしが受け取った感覚は奉太郎さんとわたし、二人の未来を祝福してくれたようでした。わたしは光と風を浴びた後で上体を起こし、隣でまだ安楽の中にいるわたしの恋人に目を向けました。直接のふれあいこそわたしが奉太郎さんの男性を口で愛しただけでしたが、わたしと奉太郎さんは確かに愛の交歓をし、名実とも
奉太郎さんとわたしは手をつないで私のベッドで並んで横になっています。これでわたしと奉太郎さんとの恋人の戯れは終わっても良かったのです。前回記した分だけでわたしへの奉太郎さんの情欲はわかりましたし、奉太郎さんへのわたしの愛欲も伝わったはずなのです。ただし一点、奉太郎さんへの体力を慮ったため、わたしが抱えている劣情を十分伝えることが出来ませんでした。でも奉太郎さんは察してくれたはずなのです。わたしと今の全身の裸を見せ合った時、わたしがどれだけ奉太郎さんとの性愛を望んでいるかを。目は充血し頬はほ
わたしはそのまま奉太郎さんの男性を口に含み、奉太郎さんの精力の源を飲み込みます。決しておいしい飲み物ではありません。でもわたしに新しい命を宿らせる細胞が入った液体、本来注がれる場所がだめなら口で受け止めるのが当たり前と思ってました。別に誰に教わったという訳でもありません。ただわたしもその手の小説を読み、女の子が好きな男の子の精液を口で受け取る場面に感動したのです。そしてわたしが実際に出来たこの時、その時の女の子の気持ちがわかったような気がしたのです。それは男の子が喜んでくれた喜びであり、男
「奉太郎さん、えるです。開けてください」わたしは外開きのドアにぶつからないように引いて待ち、奉太郎さんを笑顔で迎えたのです。「重かったろう。持つよ」わたしは素直にトレイを奉太郎さんに託したのです。わたしたちはまずダージリンを飲みます。まだ暑い日が続いていますが今夜は湯船に入ってなかったので、窓を開ければ涼しい風が気持ちよく感じられます。そこでわたしは熱い飲み物を流し込み、敢えて身体を熱くさせようと思ったのです。ベッドに並んで座ったまったりとした時間、これが恋人の甘い時間なんだと改め