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尾西線の電車の中から、成幸は飛ぶように萩原駅のホームに降り立った。改札口の時計は、一時十分をさしていた。土曜日なので、高校は昼までなのである。改札口に立っているのは、顔見知りの若い駅員だった。「やぁ!」と気軽に声を掛ければ、それだけで楽に出入りが出来る。しかし成幸は、ポケットから定期券を取り出して、おもむろに駅員に示した。定期券は、萩原、名古屋間で、その淡い青色の券には、赤い字で「学」と言う字が記されてあった。昭和三十五年四月、成幸が名古屋市内にある私立愛知学院に入学した時、初めて買っ
萩原銀座の商店街が、もうすこし切れる辺りで、ようやく少女に追いついた。「あっ」成幸の姿を認めて、少女は自転車の速度を遅らせた。「君って随分早いんだな。俺も自転車じゃ相当に飛ばす方だけど、君にはとても追いつけないよ」成幸は笑った。そこは「正瑞寺」と言うバスの停留所辺りだった。停留場のすぐ前に、正瑞寺という寺がある。ささやかな鐘つき堂を持っているだけの、ほんの小さな寺だったが、幼い時、成幸は日光川にザリガニを取りに行った帰り、今西や斎藤と一緒に、良くこの境内で遊んだものである。「久し振り
秋が深まった。成幸の部屋も窓からは、一面の稲穂が見え、それが全て美しいい黄金色に揺らめいている。この一週間ばかりというもの、成幸は今西に会っていなかった。何となく懐かしくなって、彼は自転車を取り出した。今西の家は、萩原の駅を左に見て、更に百メートルほどまっすぐ行ったところにあった。成幸は自転車を降り、勝手を知った窓際で今西の名を呼んだ。「マコちゃん!マコちゃん!」窓が開いた。しかし中から顔を出したのは今西ではなく、彼の母親だった。母親の表情を見て、成幸は立ちすくんだ。彼女の目から
長い間二人はそこに座っていた。成幸は自分の家の事や、仲良しの友達である、斎藤昇や今西誠の事を少女に話した。少女は、自分の家がP町にあり、父親が早く亡くなったため、一家で織物の内職をして、生活を支えている事を、少しずつ少年に語った。「偉いんだなぁ、君って」成幸は、少女に初めて会った日、自転車の荷台に角ばった荷物を一杯積んでいたのを思い出した。それは、内職用の機織りに違いなかった。「偉くなんかないわ。私、どうかすると、綺麗な着物とか、流行のスカートとか靴とかが、無性に欲しくなる事があるの。旅
2020年6月20日先週も来た飛騨街道の萩原宿なんですが、今週もまたまた来てしまいました。先週は雨だったけど、この日は青空です。お目当ては・・・・活文社のお隣にある和菓子屋さん「かつぶん」なんですよ。飛騨街道萩原宿の名物和菓子「あねかえし」を買うためです。5月と6月だけ販売される、2か月限定の新草の蓬餅なんですよ。やっぱり、この日も売り切れですね!!「おすわさま」も売り切れとは、凄い人気です。でも、私の分は、予約してあるから大丈夫!!3日前までに予
今日発売のサンデー28号に掲載されているFILE1075「風の確保」の感想です。本日2回目の更新、1回目の記事はこちら『サンデー28号コナン情報』こんにちは今日発売のサンデー28号やサンデー公式サイトに掲載されているコナン情報です。今週号は「名探偵コナン」シリーズ解決編です来週は休載で、再来…ameblo.jp※アメンバー記事は1回目と2回目の間(一つ前)にUPしています。※記事の一番最後に「シェリーのひとりごと」の画像を追記しました(6月11日)