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原発不明癌の続きです。前回までのまとめは↓こんな感じ。大腸に癌がありました。病理診断の結果、大腸癌ではなく、別の臓器からの転移を疑う状態でした。でも、内科や外科的には、原発性大腸癌しか考えられなかったようで手術が行われました。手術されてきたものは、大腸には3箇所以上に癌があって(多発)、それぞれが大腸癌にしては小さめ。さらに、大網というお腹の中を覆っているカーテン状の脂肪にも、バラバラと癌が飛んでいました(大腸癌で、この状態は考えにくい)この、どう考えても大腸癌とは言い
2025年1月13日祝日月曜日、14時から大阪、心斎橋PARCO10階トークイベントやらせていただきます。申し込みフォーム(作成中だそう)もあるそうですが、ふらっと立ち寄ってもらうのも全然オッケーらしいので、お近く通られたら立ち寄ってくださいませ!乳癌検診について、忖度なしで、濃くぶっちゃけて語る予定です今回は、乳がん検診を受けるか迷ってる方向け、かなーと思います。医療ウェルネスモール「Welpa(ウェルパ)」11月19日心斎橋PARCO10Fに開業|ニュースリリース|
神経内分泌腫瘍G1、いわゆるカルチノイド十二指腸や、直腸に出来てるのが見つかって、手術をしたら、リンパ節転移があった場合、一番大事なのは、肝臓を主体に、遠隔転移が出てくるかどうか、だと思います。肝臓への転移が小さいうちに見つけられればそこを手術で取り除くような局所治療で済むので、私なら、肝臓等の、他の臓器への多発転移(たくさん散らばる)を起こす前に出来ることを、主治医に聞いて、その部分について、セカンドオピニオンを受けに行くと思います。標準的には、経過観察だと思いますが
昨日からの続き。卵巣の嚢胞(袋)で、中に類内膜性の癌ができていて、嚢胞の壁に浸潤しているけど、表面には出ていない状態。と、私が診断した症例を、確認のため部長にお回しした数日後。部長が『ねぇねぇ、これ、癌じゃないんじゃなーい?知り合いの先生に聞いてみてもいい?』と。『えっ?そうですか?構造異型ありますし、浸潤もしてますけど。。』と説明するわたし。ここで説明すると構造異型とは、癌が癌だと言い切れる証拠です。これがあれば、もしも浸潤がなくても、浸潤と同じ意味合いがあるとみな
乳房パジェット病の話をする前にまず、パジェット病とつくものには、①乳房パジェット病②乳房外パジェット病③骨パジェット病この3つがあります。①と②は、どちらも【癌】③は、【骨の病気】です。全て、ジェームス・パジェット先生という昔のドクターが発見されたので、ご自分の名前を、病名に用いられています。こういうの、わたしの感覚やと、『ないわ〜』っていつも思っちゃう。中野病とかヨリカ病ってことやんね、、、最近はないから、昔の先生の流行りかな。さて、『乳房』パジェット病は、
赤穂民報2024年12月21日付け記事赤穂民報|《市民病院医療事故多発》「膿出し切る必要」現役医師が提言赤穂民報|「赤穂市民病院に関する記事を読むたび、心が痛い」と語るのは、2019年4月から2020年3月まで赤穂市民病院に病理医として勤務した榎木英介医師(53)だ。一般社団法人全国医師連盟代表で『医者ムラの真実』『フリーランス病理医はつらいよ』などの著書があり、現在も非常勤で週1回、赤穂市民病院で働く同氏が赤穂民報のインタビュー取材に応じた。www.ako-minpo.jp《一部抜
私の乳がんは非浸潤癌なのにリンパ節へ転移した。術前の画像診断で転移がないと判断され、乳房切除時のセンチネルリンパ節生検も陰性だった。だから、手術以外の治療は一切なかった。センチネルリンパ節とは、乳房内から乳がん細胞が最初に辿り着くリンパ節と定義され、術中にこれを摘出し、がん細胞があるかどうか(転移の有無)を顕微鏡で調べる検査だ。この診断によって手術の方法が変わる可能性があるため、迅速性が求められる。この生検で摘出したリンパ節から転移は見つからなかったのに、転移した。ベテランの主治医に
病理診断に欠かせないもの、それは、ホルマリンです。人間の身体には、血液がくまなく行き届いていて、そのおかげで細胞はその構造を保っています。手術をして、人間の身体から離れると、血流が途絶えるので、その瞬間から、細胞は、だんだんと、変化していきます。そのまま放置すると、細胞は死んでしまって、顕微鏡で見ても、『これ、なんの細胞?』と、わからなくなってしまいます。そうならないために、細胞をそのままの状態で保存すること、それが【固定】です。【固定】の方法は、色々ありますが、
HPVワクチンのキャッチアップ制度ってご存じですか?2010年に始まった、子宮頸がん予防のためのワクチンプログラム。それが副作用により、国は2013年に推奨を取りやめました。そこから8年、2021年11月より、HPVワクチンの積極的推奨を再開しました。この空白の期間中、接種を受けれなかった女性への措置として、キャッチアップ制度が設けられました。はじめは、これを知って、キャッチアップ制度、広めなきゃ!と思ったんです。でもね。世の中の一般の人にわかりやすく伝えようと、調べれば調べ
小葉癌とひとくちに言っても、いろんな癌の顔つきがあります。癌細胞自体がめっちゃ小さくて、癌細胞じゃなくて、リンパ球とかの、悪くない細胞かな?と、一瞬思ってしまうことがあるくらいのものから、乳管癌だと思うくらい、大きめでしっかりした顔つきの細胞だけど、なんか広がりが気になるから、免疫染色したら、え!Eカドヘリン染まらんかったわ。小葉癌かいなー。ってなることもあります。なので、小葉癌の場合でも、乳管癌と同じく、ホルモンレセプターを見て、HER2蛋白をみて、Ki-67
生検でのグレード判定(浸潤癌の時)は、やる病理医とやらない病理医がいます。基本的にわたしはやらない病理医です。生検は、癌の一部を見ているに過ぎないので、全体像を見て判断したいのが本音です。最近の乳癌は、ERなどのホルモンレセプターや、HER2などの方が、重要視されているというのもありますが。でも、病院によっては、生検でもやって欲しいといわれるところがあるので、その場合は、PreliminaryGrading=【仮】判断として出しています。ちなみに、この時はわた
前回、日本の乳癌取り扱い規約にある、乳管癌のグレード分類について、途中まで、書きました。続きに行く前に、『グレード分類は、浸潤している部分で見ていきます』のところの説明を先にさせてください。コメントいただいて、こちらを先に説明した方が良いと思ったのです。非浸潤癌の場合は、グレード判定は、してもいいし、しなくてもいいことになっています。それぞれの病院によって、また診断する病理医によって、やる、やらないは変わってきます。私は、非浸潤癌の場合は、⭐︎核グレード⭐︎壊死の有
がん検診を2年に1回は受けていたのに、半年前に受けた検診では何も無かったのに、ある日しこりを触れて、病院へ行ったら、癌と言われた。乳がんにかかられた方の話を聞いてると、意外にアルアルな話なんですが。この場合は、アグレッシブなタイプの癌か、デンスブレストでマンモグラフィの恩恵を受けられていなかったか、どちらかです。乳がんの中でも、顔つきが悪くて、大きくなるのが早い癌があります。HER2タイプや、トリプルネガティブタイプがそれに当たります。これらは、癌細胞の増殖がものすご
以前お話しした、Ki-67。癌細胞が、増えるスピードを表すものです。ある一定の条件では、予後を予測する因子されています。もちろん高ければ、癌細胞の活動が活発です。このKi-67は、細胞の成長段階で、染まり具合が異なるとされています。薄く染まる細胞であっても、濃く染まる細胞であっても、陽性細胞と認識されます。ただ、わたしが診断している印象として、100%に近い数であればあるほど、ほとんどの細胞が、濃く染まっている印象があります。つまり、増えようとしている癌細胞の成長段階
小葉癌で大切なことは、病変範囲を決めることが難しいことを知っておく。昨日、小葉癌は、Eカドへリンという、細胞の接着因子がない、とお伝えしました。つまり、パラパラと広がっていきます。Eカドへリンを細胞膜に持っている乳管癌は、ある程度まとまって、広がります。この広がる時に、線維化といって、硬くなる成分を伴ってくることが多いです。小葉癌も、ある程度、癌細胞が集まってる部分は、線維化を伴うことがありますが、そもそも集まる性質があまりないので、線維化を伴わないで、乳房の中をパラ
『わたしが早期でも全摘を選ぶ理由』をたくさんの方に読んでいただいているようで、ありがとうございます。この中には、部分切除選んだよ、という方や、これから手術なんだよ、って方も、いらっしゃるかもしれない。どの治療方法を選ぶかは本人が決めること、とはいえ、我々医療従事者と、一般の患者さんの間には大きな壁があると感じていて。なかなか、主治医の先生とコミュニケーションが取れないと感じる方も多いと思います。もちろんわたしのような病理医と、乳腺外科などの臨床医の間など、同じ医師で
卵巣腫瘍の話の最後です。私が大学病院を辞めるきっかけのひとつになった症例(事件)のお話。私が病理専門医をとって、少し経ってから専門医を取っちゃったので、基本的に診断は独り立ち。術中迅速診断も、指導医と一緒ではなく、困った時だけ呼ぶ方式。その日は術中迅速の当番日でした。(解剖当番とか、生検当番とか、切り出し当番とかがある)『迅速プレパラート出来たよー』の合図コールが診断室に鳴り、見に行くと、卵巣腫瘍の迅速診断。顕微鏡を覗くと、『あ、癌』と見てすぐわかるものでした。臨床
すこんばんはMERRYXmas🎅ある方のブログを読み私も感じる事があったのであげさせてもらいます。膀胱癌の診断は泌尿器科で超音波検査、尿細胞診断、膀胱鏡検査なとで腫瘍が確認したところでだいたい医師から膀胱癌の告知がされます次はCTや治療と検査を兼ねたTUR-BT(経尿道的腫瘍除去術)の手術を受け切除した腫瘍は臨床技師が病理標本(プレパラート)を作りそれを病理医が生検組織診断をして、膀胱癌の根の深さや異型の高さ(悪性度)を調べてその結果から担当医が治療方針を決めますがここで治療
『疲れ目』って定義はなにかしら?なーんて。病理医で、すみません。私、病理医の中では、超貴重な、普通の人です。占いも、綺麗になれるサプリメントも、大好き人間です。さて、疲れ目。病理医なので、顕微鏡を見るのが仕事です。ぶっちゃけめちゃくちゃ目を酷使してます。そんな私のオススメは。めぐリズム。めっちゃ普通ですみません。ブルーベリー◯◯がオススメ!とか、言うた方が受け良いんですよね?言えなくてすみません。ではここで、ひとつ、ホットな医学情報を!⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
昨日からの続き専門医になりたてのわたしと、前の職場の元部長とで意見が食い違い、元部長のお知り合いの病理医にみてもらう〜となった、卵巣腫瘍。数日後、嬉々として部長が、『やっぱり◯◯先生も、癌じゃないって言ってたわぁー。書き替えていい?』と。いやいや、ちょっと待て!『癌じゃない理由を、◯◯先生から聞きたいんですが』と聞くと、『それは無理ね、お忙しいから』と。『じゃあ何か、書面で所見いただけますか?』と粘るわたし。『チラッとプレパラート見てもらっただけだから〜』と。は?!チ
神経内分泌腫瘍G1、いわゆるカルチノイド。今から数年前、一般病院で勤務してた時の症例です。自分と同い年くらいの方。直腸(大腸の最後の方、肛門の近く)の神経内分泌腫瘍G1で、その切除した検体を診断しました。断端は、『取りきれてます』とはいえない、かなり広がった状態で、さらにリンパ節にも転移(腫瘍細胞が飛んでいる状態)がありました。肝臓に転移はないよね?と思い、カルテを開きました。肝臓への転移はありませんでした。この方は、お子さんを出産されて、まだ半年ほどでした。出産後
治療の見通しはまたもや「結果次第で」になったわけですもうこのままふわっと終わりたい退院後診察、2週間後でと言われてずっと前にようやく取れたシミ取りの予約と被ったから←3週間後じゃだめですか?と聞いたらお水が溜まるから3週間じゃ遅いかなー!と言われて、そう言う理由なら致し方ないと、シミ取りを諦めて来たわけですが...案の定お水たぽんたぽん溜まってて抜いてもらいました3週間じゃ遅いかなと言われて、え、でもどうするの?!水抜くの?!注射するの?!って謎だったんだけど、
5日連続でお伝えしてきた、神経内分泌腫瘍G1、いわゆるカルチノイド。我ながらマニアックな内容やし、みてくれる人いるかな、と思いながら、書いてましたが、コメントくださった方もいて、1人でもお役に立てたなら、良かったなぁと思う次第です。最後に。⭐︎胃カメラや、大腸内視鏡を受けて、⭐︎神経内分泌腫瘍が疑われ⭐︎生検(一部とってみる検査)した⭐︎病理の結果は、腫瘍はない、という結果だったこの場合、病理所見を見てみて、『深切り』『deepcut』という文字があるかどうか、確
浸潤していることを見極めるポイントを書いていたら、浸潤癌と良性病変のことに移ってしまって、非浸潤癌いわゆるDCISと呼ばれるものについてのお話を書けてなかったので、非浸潤癌(DCIS)と微小浸潤について、お話しします。悪い顔つき細胞が、乳管の中で増えてるけど、乳管の周りに存在する筋上皮細胞が、破壊されていない状態が、非浸潤癌(DCIS)です。これと、普通の浸潤癌を見間違えることは、ほぼないです。詳しく言うと、invasivecribriformcarcinomaと
昨日のブログに頂いてるコメントにはまた個別でお返事するんですが、ひとつだけ補足。プロゲステロンレセプターについては、多分、臨床医は、『気にしてない』と思います。全く気にしてないわけではないと思いますし、エストロゲンレセプター陰性の時は気にするだろうけど、エストロゲンレセプターが陽性なら、『よしっ!』って感じで、プロゲステロンレセプターは気にしてないと思う。エストロゲンレセプター陽性なら、プロゲステロンレセプターが【陽性】でも【陰性】でも、ホルモン療法による予後改善効
乳癌の話。非浸潤癌(DCIS)と微小浸潤癌の話の続きです。例えば、患者さんの乳房に、非浸潤癌(DCIS)がめっちゃ広がってて、一部に浸潤があったとしたら、生検で取られてくる可能性が高いのは、非浸潤癌(DCIS)の部分です。割合的に。たまに、非浸潤癌(DCIS)に混ざって、浸潤してる部分が、生検に含まれてることがあります。臨床医が狙って取ってきたか、たまたま当たったかは、分からないけど。↑めっちゃザックリした絵ですみません。非浸潤(DCIS)を大きくかきすぎてしまったけど
乳癌の早期発見。セルフチェックを習慣にすると、《1センチ》のしこりが分かるようになるそうです。習慣にしてなかったら、《2.5センチ》くらいまで、育たないと無理だそう。乳癌の大きさ、2センチは、T分類がちょうど変わる、要の数字。パチンコ玉が1.1センチらしい。わたし、パチンコしないので、ちょっとオシャレなもので表すとマイクロトマトの一番大きい粒が1センチだそうです。もちろん非浸潤(DCIS)を含めて、もっと小さな状態で見つけられたら、よりいいけれど、そのためには
病理医である私が、『あなたは癌です』と言われたら、もちろんプレパラートを自分で確認しますが、それがもし出来なかったら、主治医に聞くこと一覧◯診断名浸潤癌なのか、非浸潤癌なのか普通のタイプか、変わった組織型かどうか◯癌細胞の顔つき(グレード分類)浸潤でも、非浸潤癌でも、細胞の顔つきは確認します。グレードも1.2.3と三段階ですが、特に核異型は、《2》が結構広くなると思うので、1よりの《2》なのか、3よりの《2》なのか、確認します。◯画像での広がり特に非浸潤で、グレー
数回に分けてお伝えしてきた乳管癌のグレード分類。結局このグレード分類で何がわかるのか。それは、『予後』です。◯浸潤部分の大きさ◯リンパ節転移の有無これらも予後を予測する大事な指標とされていますが、癌の顔つきである、『グレード分類』もそのひとつになっています。グレード1は予後良好グレード2は中間グレード3は予後不良基本的に上記のようになっていますがエストロゲンレセプターの有無HER2タイプかどうかなど、他にも、治療効果が変わってくる因子がたくさんあるのが乳癌で
昨日からの続き。神経内分泌腫瘍G1、いわゆるカルチノイド。診断は難しいか?というと、そうでもないです。医師国家試験レベルでも出ると思うし、『病理医になって3ヶ月です』みたいな子でも、知ってる、まあまあ有名な腫瘍だし、何より、免疫染色でキッパリ勝負がつくので、診断に迷うことはありません。神経内分泌腫瘍G1と診断がついた場合、病理診断書を確認するポイントとしては、◯免疫染色をして、神経内分泌方向への分化を確認しているか◯Ki-67が、3%以下かどうかこれらがきちんと記載されて