念願の仕事への異動を内示され燃えていたのに一転して、リストラにより退職を余儀なくされる二十四歳のヒロイン。さまよい、自分を見失い、”自分探しの旅”の末に彼女が見つけた大目標は「司法試験」。思えば二十年前、同じように”自分探しの旅”に出た父は未だ帰ってこない。”形の無いもの”に人生を賭け日常性を拒否した父と、その父を許し、認め、待ち続けている母。その二人に各々の複雑な思いを寄せながら同居している祖母二人。そんな微妙なバランスのうえに成り立っている家族に、今波紋が投げかけられる…。【作】井上由美子【