山下久美子には「総立ちの女王」、「総立ちの久美子」と言われた時代があった。80年に「バスルームから愛を込めて」でデビューし、瞬く間に全国のライブハウスや学園祭などを席巻。観客を熱狂の渦に巻き込み、1曲目から総立ちが日常となった。当時は、女性アーティストで、そんな芸当をできるものは少なく、いたとしてもカルメン・マキや金子マリくらいだったが、それをポップなフィールドで体現していたのは彼女くらいだろう。彼女が元祖といわれる由縁でもある。山下久美子は亀井登志夫や西岡恭蔵、佐野元春、大沢誉志幸などのポップ