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絵巻上巻の第14紙側:清涼殿にて清和天皇(左)に奏上する藤原良房(中央)と②広廂の外に控える藤原基経第七章『日本三代実録』における応天門の変一鈴木琢郎氏の論考についての検討『日本三代実録』を専らの拠り所として、大宅鷹取による密告(告発)後の伴善男らに対する断罪過程について精緻な分析を行った鈴木氏は、蛇足ながらの推測と断ってはいるものの、『日本三代実録』の記述から伴善男の子の伴中庸が門放火の実行犯の中心人物と判断されるとし、中庸を主犯と見た上で、その動機について述べている
さて、前回は応天門が放火により燃えてしまい、伴大納言こと伴善男の讒言により左大臣だった源信に嫌疑がかかるも、太政大臣・藤原良房の働きによって源のまこっちゃんへの疑いが晴れた、という内容でした。そして、前回日本史の教科書を引用した通り、実は伴善男こそが放火した張本人なのですが、どう語られるのでしょうか。この火事騒動の真相はこうだった。さる秋の頃に、右兵衛の舎人で七条に住んでいた者が、庁舎に出勤して、夜が更けて家に帰る時に応天門の前を通ったところ、人の気配がしてささやく声が聞こえた。廊
今日は朝から古文の資料作り。誰しも一度は学校でやったことがある、「平家物語」の冒頭部分の作成です。私立中学だと、この部分は丸暗記しなくてはなりません。学校によってはこの冒頭部分を全文書かせたりしますからね。公立は高校で書かせるところが多いかな。ちなみに、この資料は幼稚園児向けの資料です。幼稚園で展開している幼児向け「国語塾」では、中学・高校で必要と思われる古文の暗唱をどんどんやらせています。それにしても、最近の生徒さんは、古文・漢文を苦手とする子が多いですね。前はそんなに苦手意識が強
日本の歴史上で放火事件というのは大小様々に数多く存在していますが、日本史で習う放火事件で最も古いのが「応天門の変」だと思います。応天門というのは、平安京の真ん中を南北に走る大通り・朱雀大路を北上して大内裏の入り口にある朱雀門をくぐった先にあった門です。この応天門の放火事件が応天門の変です。この事件について、山川出版の日本史Bの教科書ではどう載っているか調べてみました。858(天安2)年に幼少の清和天皇を即位させた良房は、天皇の外祖父として臣下ではじめて摂政になり、866(貞観8)
これも今は昔【慣用句:この話も今となっては昔のことであるが】、絵仏師良秀【名詞:絵仏師の良秀】と【格助詞:と】いふ/あり/けり【ハ行四段活用動詞「いふ」連体形+ラ行変格活用動詞「あり」連用形+過去の助動詞「けり」終止形:いうのが存在した】。家【名詞:家】の【格助詞:の】隣【名詞:隣】より【格助詞:から】、火【名詞:火】出でき/て【カ行変格活用動詞「出でく」連用形+接続助詞:出て】、風【名詞:風】おし【サ行四段活用動詞「おす」連用形:おし】おほひ/て【ハ行四段活用動
2016年7月の記事を編集、再掲です日本史の単語集で真っ先に索引を調べた単語は「男色」「若衆」「稚児(ちご)」です教科書に載らない古典を紹介すると言っているのに、2回目にして載っている作品いっちゃいます。それは「児(ちご)のそら寝」高校生になって初めて触れる古文であろう「児のそら寝」これ何がおもしろいの?と高校生の11割が思うであろう「児のそら寝」え、それオチなの?と高校生の12割が思うであろう「児のそら寝」そもそも腐女子
鎌倉時代の説話集『宇治拾遺物語』です。たくさんの説話が収録されていて面白い作品ですが、今回は巻一の十七段「修行者、百鬼夜行に逢ふ事」です。百鬼夜行ひゃっきやこうとは夜中に妖怪や鬼の群れが徘徊したり行進したりすることを言います。今となっては昔のこと、ある修行者が摂津国まで行き着いたところで日が暮れてしまったが、近くに龍泉寺という、大きくて古びた人もいない寺があった。これは人が一晩泊まるような所ではないとは思ったが、その辺りには他に泊まることができそうな所もなかったので、仕方がないと思っ
ほとんどの方が、高校古典のいちばん最初に習った作品ではないでしょうか。ぼた餅を食べたいが周りの大人にどう思われるかも気にする、幼い少年の微笑ましい反応を描いた内容です。それでは見ていきましょう。〈お話の背景〉・児(ちご)…勉強のために寺に預けられている幼い子・そら寝…寝たふり〈本文の現代語訳〉昔々、比叡山に児がいました。一日が暮れてまだ間もない退屈な時に、僧たちが「さあ、ぼた餅を作りましょう。」と言ったのを、児は期待して聞きました。しかし、(
受験生の皆さま、ご健闘をお祈りしています。先日、鎌倉でおとずれた三浦氏一族のやぐら山肌にうがたれた坑が自然と一体化した洞穴のようにくらくてここを墓所にするとはどんな心のありかただったのだろうと疑問がわいたのでした。やぐらは右奥の黒い穴手がかりをもとめ場所は違えど鎌倉時代初期に完成したというそれだけをたよりに『宇治拾遺物語』を選んでみたら、町田康さんによるぶっ飛んだ現代語訳におったまげ!池澤夏樹責任編集日本文学全集より『宇治拾遺物語』町田康訳全集第8巻の