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今までにも何度か書いたことですが、経験上、ずっと気になっていたことがありました。それは、「受験生」である私が、試験について何かを発言した際の、相手方の反応です。今までの私の友人の反応は、見事に分かりやすく2つに分かれていました。ひとつは、お節介なアドバイスをしてしまった場合に反発されるならまだ分かるのですが、私が単に自分の司法試験についての見解を(あくまでも個人的見解として)述べただけで、「お前は受験生だろっ!」と怒りを露わにしてくるタイプの受験生です(怒らないまでも、苦虫を噛み潰した
今回は、数日前にいただいたご相談にお答えをする形で記事を書いてみたいと思います。数日前、下記のようなご質問(ご相談)をいただきました。こういったお悩みは、決して特定の一個人のものではなく、多くのロースクール生にとって切実な問題だと思ったので、独立したエントリーとして残しておくべきだと考えました。質問:ローの勉強と試験対策とのバランスをどう取ればいいですか?私は国立ロー既修1年目です。講義は学者が最先端・応用分野を扱うものが中心で、学術的です。もちろん、試験対策になる講義もありますが
注意司法試験まで半年を切っている方は、今はこの記事は絶対に読まないでください。初めて読む方は、試験が終わってから(受かってからor落ちてから)読んでください。なお、これから司法試験の受験を考えている方や、予備校の入門講座受講生、予備試験受験生、ロースクール受験生、そしてもちろんロースクール生には、むしろ積極的に読んで腹をくくっていただきたいです。********************以前、ロースクール進学のリスクというエントリーを書きました。そ
今回は、論文の処理手順(方法論)がどのように進化してきたのかを辿ります。ちなみに、論文の方法論には、①思考過程をパターン化したものと、②答案構造をパターン化したものがあります。以下、いちいち指摘はしませんがご了承ください。【方法論前史】司法試験の歴史で、論文の処理手順の必要性が受験生の間に広く自覚されるようになったのは、せいぜいこの十数年くらいの話です。それまでは、いわゆる「論証パターン」が幅を利かせていました。実際の採点基準が論点中心だったかどうかはともかく
本日は、司法試験の論文試験における問題文の長さから見えてくるものについて、全ての問題類型を俎上に載せて考えてみたいと思います。全ての司法試験系の論文問題を長さ別に分けてみます。①一行問題②短文問題⇒旧司(昭和)、えんしゅう本、120選など③中文問題⇒旧司(平成)、予備試験、ロー入試など(=旧司型)④長文問題⇒司法試験、演習書など(=新司型)⑤超長文問題⇒2回試験などこんなところでしょうか。(2回試験は余計かもしれませんが、いちおう入れておきたいで
前回の記事の閲覧数が伸びました。ありがとうございます!今までのなかで行政法の記事が一番人気のようです。みんな行政法が気になるのかな??さて、今日は民法です。民法は問2がかなり失敗したのであまり参考にならなくてすみません【民法】問1錯誤の問題ですね。錯誤は29年の民法改正で改正されています。今年から京大は新民法で解かなければならなくなりました。なので他大学同様に改正されていない物権法あたりがでるのではないかと思って山張ってたんですけど、まさかのまさかでしたね…でも根本は旧民法と
未修ロースクール受験を考えている方へ。基本的に、ロースクール進学を考えるなら既修を目指すべきです。結果としてどちらに行くかはともかく、少なくとも意識の問題としては、既修を目指して準備をするのが(その結果として未修なら未修に入学するのが)真っ当なロー入試対策(=司法試験対策)です。以下、主な理由をいくつか書いていきます。<理由>①未修クラスでも、学生のほとんどは実質的既修者である。未修者といっても、ほとんどの方は法学部卒です。予備校の入門・基礎講座を受講し終え
海馬に必要だと認めてもらうには、できるだけ情熱を込めて、ひたすら誠実に何度も何度も繰り返し繰り返し、情報を送り続けるしかないのです。そうすると海馬は、「そんなにしつこくやって来るのだから必要な情報に違いない」と勘違いして、ついに大脳皮質にそれを送り込むのです。古来、「学習とは何か」に対して、「学習とは繰り返しである」と言われてきたのは、脳科学の立場からもまったくその通りだと言えます。池谷裕二『最新脳科学が教える高校生の勉強法』われわれは、日常言語を用いるとき、基礎
判例百選のエントリーで、>たしかに、百選掲載の重要判例を知っていることは(特に短答では)必須かもしれません。>しかし、だからといって、百選を使用することまでが必須とは言えないと思います。と書きました。今回は特に論文試験について、もう少しこの点を突っ込みたいと思います。【論文で判例学習はどこまで必要か】論文試験において、判例学習は必須だという意見が受験界の多数説です。(論文こそ判例だ、という意見も根強いです)しかし、私は、ほとんどの方に呆れられるの
S式生講義入門憲法/自由国民社¥2,625Amazon.co.jpLECの柴田講師による主要7科目の入門書です。講義調の臨場感のある文章で、本当に講義を聴く代わりとして利用できる数少ないテキストです。知識ゼロのレベルから読めますし、説明も非常に分かりやすいです。ローの未修1年目の授業や、予備校の入門講座の予習・復習として読むと効果があると思います。もっとも、講義の類を一切受けないで、本書のみで知識のインプットを卒業できるわけではありません。本書は、いわゆる論点の部
私は記憶法というジャンル(あるいは書籍)があまり好きではありません。記憶法に絞った本はそれほど読んでいませんし、あまり読む気にもなれません。記憶法の多くは、その話のネタの豊富さに比べて、実行可能性の低いものが多いからです。エビングハウスの忘却曲線とか、言っていることは分かるのですが、いちいちそんなものに合わせて勉強できるかというと、多くの人には面倒くさすぎて難しいと思います。そんなこんなで、記憶法にかんしては、よほどシンプルなものでない限り敬遠してきました。極論すれば、記憶法は
伊藤塾の新司法試験部門の講師です。特に論文対策講義について、最もおすすめな講師のひとりです。伊藤塾でも一定の人気があるようで、たくさんの講座を担当されています。中でも、本試験分析講座が際立って良いです。論文の処理過程の部分、すなわち、・問題文から一定の生の主張が立てられるプロセス・一定の生の主張から条文が立てられるプロセスこういった、文字情報としての解答例には表れてこない思考過程の部分の説明が上手です。問題文の事情を使うスキルも高いです。「問題文にこう書いてあ
司法試験講師のランキングをしてみました。インプット部門・アウトプット部門、それぞれ10点満点です。友人3名と私の計4名(受験生2名・新司合格者弁護士2名)で意見を出し合って評価を調整しました。どの講師を受講するか迷われている人がいたら参考にしてください。なお、個々の講師の評価自体は真面目にやっているつもりですが、所詮は忘年会の余興です。あまり真に受けて怒ったりするのはやめてください。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■【インプット部門】呉(伊藤塾)
ブログを始めてから1年半、途中中断した時期を除けば、実働期間は1年くらいでしたが、実質的な更新は今日で最後です。なお、このブログ自体は、今後も(Amebaが置いてくれる間は)消さずに残しておきます。これから先も、新しい教材が次々と出版されていくと思います。長い目で見れば、試験傾向はもちろん、制度自体も変わっていくことになるでしょう。ブログで書いた内容の多くは、十年も経てばそれなりに古くなっているだろうと思います。そこで、十年後にこのブログを読む受験生に対して、いくつかメッセージを残
講師紹介は今日で最後なので、最後に友人の講師を紹介させていただきます。以前、学校の勉強と試験勉強で、根源的に試験に強いタイプとして紹介した人です。総論的な勉強法、具体的な個々の方法論、いずれもこのブログの方針と99%同じです。このブログの内容に共感していただいていた方には、間違いなくどの講師よりもおすすめできます。まず、今まで何度となく同じことを書いてきましたが、もう一度だけ最後に書いておきます。試験に限らず、およそ何か物事を成し遂げるのに必要なことは、次の2つしかありません。
伊藤塾に『基礎マスター』と『商訴集中講義』(呉講師)という講座があります。講座評をしたいわけではないのですが、これらの講座の比較から見えてきたものについて、私の感じた正直なところを述べてみたいと思います。テーマを一言でいえば、「本当に入門講座を受ける必要はあるのか?」ということになります。あるいは、予備校が用意している入門講座の類を受講せずに、全く同様の効果を潜脱的に享受する方法はないのかを検討してみたいと思います。********************私
S式1問1答法律用語問題集/自由国民社¥2,625Amazon.co.jpLECの柴田講師作成の教材です。主要7法の定義・概念・考え方といった、一言でいえば科目の基本を修得するための問題集です。タイトルの通り、一問一答形式で知識チェックができます。大学入試の問題集みたいで使いやすいです。入門講座の受講生や未修1年目のロー生が、授業と並行して本書を潰していくというのがおすすめな使い方です。論点的な知識は全く掲載されていませんが、論点以前の基本の理解・記憶をこれほ
★昨日のエントリーから(少し)続いています。【適性試験での失敗】私は、適性試験、特に読解以外の論理・分析系の問題(ちょっと前まで推論分析と呼ばれていた分野)に「超」が付くほどの苦手意識がありました。なんというか、まだ何もやっていない段階からアレルギー全開、何もかもが嫌という感じで、すでに方法論としての過去問主義が完全に確立していたにもかかわらず、適性試験については、自分自身で築き上げた方法論に背いて、過去問を一問も解かずに本試験を受けました。模試すら1回も受けませんでした。さら
今日は雑談です。少し自分のことについて書きます。先日、弁護士の友人に、私が正直に未修入学者であることなどの事実を書いているにもかかわらず、未だに私の属性を知りたがる人が後を絶たないことをボヤいたところ、その友人曰く、「その気持ちも分かる気がする」「きっとみんな、そんなわけないだろ、って思ってるんですよ」ということでした。つまり、私の方法論は、未修ロー生の常識的レベルを遥かに超えており、経歴自体に嘘があると考えなければ、普通の受験生は納得できないものだということで
★このブログは、2011年7月から2012年12月まで本体部分が書かれ、その後、約11年にわたり断続的に加筆・修正を行ってきましたが、2023年12月をもって完全に終了しました。(2024年1月1日)********************ブログのおすすめエントリーを、50個選んで貼り付けておきます。・勉強法関係・司法試験・ロースクール関係・予備校関係・その他以上の4つのカテゴリーに分類しました。タイトルの文字を大きくしているエントリーは、おすすめのものです
伊藤塾のエースです。塾生の支持が非常に高く、人気のある先生です。【インプット】インプット講義(入門講座)の分野では、受験界でNo.1の講師だと思います。全体的な講義の質は塾長よりも高いです。特に、伊藤塾の目玉講座である基礎マスター講義(他校でいう入門講座)や商訴集中講義は、全ての入門者に自信をもっておすすめできます。テキストを読み進めながら、細かくマーク箇所を指定していく講義スタイルが特徴です。この講義におけるマーク指定は、その場の適当な思い付きでなされているも
★今回の記事は、S式1問1答重要論点問題集で書いた内容の一部を大幅に膨らませたものです。書評記事からは独立させて単独のエントリーとして残しておきたい、と思って再録することにしました。【理解とは何か】ある事柄を理解しているかどうかということの意味は、実際には極めて多義的です。今回はこの「理解」というワードを、日頃使っているよりも厳密に考えてみたいと思います。勉強には様々な「理解」があり、それを身に付けるための様々な方法があります。たとえば、しっかりと基本書を読み込めることを
現在の司法試験対策に一行問題は必要でしょうか?一行問題(説明問題)という問題類型は、旧司の商法・訴訟法においてよく見られたものです。一部民法などにもあったものの、一行問題の大半は商訴からの出題でした(大昔の司法試験はほとんど全部が一行問題だったのでその時期のことは除きます)。事案処理型&論点型の出題だと、どうしても出題範囲がピンポイント型になりやすいわけですが、その点、一行問題は幅広い知識を横断的に聞くには格好の問題類型です。それゆえ、旧司時代を通じて一行問題が出題され続けていたの
伊藤塾の若手講師です。なんでも旧司に論文1番で合格された方だそうで、その実力の通り、たとえば辰已の素人っぽい新司合格者講師と比べると、インプット講義の端々に単なる分かりやすさ以上の実力が垣間見えます。話すスピードが超絶速いです。早口の講師が多い伊藤塾の中でも、一番の速さではないかと思われます。憲民刑集中講義は超おすすめです。上級者のまとめ用講座としても、ロー未修者の補習講座としても、幅広く使えると思います。
こんばんは、らみです。質問箱をゆるゆると再開しました。飽きるまでは開設していますのでゆるゆると質問してください。今日は、質問箱の中でもよくいただく質問についてお答えします。今後もブログでお答えすることがしばしばあると思いますのでよろしくお願いいたします。今日の質問はこちら!!なぜ一橋や東大ではなく京大にしたのか。これは本当によく聞かれます。入学したてのときに入学祝賀会というのがありまして、そこで有名教授の先生方とお話しする機会があったのですが、そのときも何回も聞かれまし
更新が遅くなりましたが、今日はわたしがやっていた勉強方法をお知らせします。市販の参考書等お伝えできればと思います。わたしが主に使っていた参考書&問題集はこちら・辰巳の趣旨・規範ブック・京阪神の過去問・論証スタンダード100・LECのC-book・伊藤塾の赤本予備試験用・判例百選こんな感じですかね。趣旨・規範ブックは必須ですね。試験会場に持っていくものも限られるのでわたしはいつもこれだけを持って行っていました。これをほぼ覚えればいいんですが、憲法統治や行政
たのしい刑法I総論/弘文堂¥3,150Amazon.co.jpたのしい刑法〈2〉各論/弘文堂¥3,465Amazon.co.jp学者執筆のテキスト(学者本)ですが、ほとんど予備校本のような装いです。分かりやすさの点でも、予備校本に全く負けていません。タイトル通り、学者執筆のテキストとは思えないほど記述が分かりやすく読みやすいです。内容的にみても、学者の独自見解が打ち出されている部分はほぼなく、概ね受験界通説に近いです。どの基本書をみても独自説ばっかりの刑法テ
高校時代の話です。桜蔭に通っていた知り合いの女の子がいました。彼女とは、3年生のとき友人を通してある図書館の自習室で知り合いました。今日は、その桜蔭の彼女がやっていた「スピードぐるぐる勉強法」(←苦し紛れにネーミング)について書いてみたいと思います。彼女は優秀な桜蔭生の中でも極めて学力が高く、毎回の模試で志望校欄に「東大文Ⅰ」と書き、そして毎回のようにA判定を獲得していました(A判定以外取ったことがないと言っていたような・・・)。私は、いまと違い当時は人間の地頭(=先天
司法試験・予備試験論文合格答案集スタンダード100〈1〉公法系憲法・行政法〈2012年版〉/早稲田経営出版¥3,570Amazon.co.jp通称「スタン」。主要7法が揃ったシリーズです。新旧両方の論文過去問に加え、過去問の隙間を埋める新作予想問題も多数収録されています。つまり、新司過去問+旧司過去問+新作問題というボリューム満点の問題集です。(なお、タイトルに「100」とありますが、実際の収録問題数は軽く100を超えています)予備校の過去問集・問題集の中では、答
通称「問研」。伊藤塾の基幹講座(論文マスターなど)で配布される、受講生限定のオリジナル問題集です。内容は、旧司過去問+新作問題、あとロー入試過去問も一部収録されていたように記憶しています。問題数の多さはスタンダード100並みです。全問を潰し切ることは通常は不可能でしょう。講座でも全問を採り上げることはないと思うので、講座の受講者は講師の指示に従ってメリハリづけをしていけばいいと思います。答案の出来ですが、市販の問題集と比べると非常に良くできていると感じます。スタンダー