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ブログを始めてから1年半、途中中断した時期を除けば、実働期間は1年くらいでしたが、実質的な更新は今日で最後です。なお、このブログ自体は、今後も(Amebaが置いてくれる間は)消さずに残しておきます。これから先も、新しい教材が次々と出版されていくと思います。長い目で見れば、試験傾向はもちろん、制度自体も変わっていくことになるでしょう。ブログで書いた内容の多くは、十年も経てばそれなりに古くなっているだろうと思います。そこで、十年後にこのブログを読む受験生に対して、いくつかメッセージを残
司法試験講師のランキングをしてみました。インプット部門・アウトプット部門、それぞれ10点満点です。友人3名と私の計4名(受験生2名・新司合格者弁護士2名)で意見を出し合って評価を調整しました。どの講師を受講するか迷われている人がいたら参考にしてください。なお、個々の講師の評価自体は真面目にやっているつもりですが、所詮は忘年会の余興です。あまり真に受けて怒ったりするのはやめてください。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■【インプット部門】呉(伊藤塾)
本日は完全な雑談です。・人にアドバイスする資格・人を指導する資格etc…こういった、人にものを言う資格を総称して「発言権」と呼んでおきます。こういった発言権が認められるのに本人の経験の存在を要するか否かについて、大きく分けて次の2つの考え方があると思います。1つ目は、発言内容の正当性ではなく、経験がその人の「発言権」を構成するという考え方です。つまり、経験と発言権を有因とみる考え方(有因説)です。要は、人にものを言う場合は、まず当人が
私は記憶法というジャンル(あるいは書籍)があまり好きではありません。記憶法に絞った本はそれほど読んでいませんし、あまり読む気にもなれません。記憶法の多くは、その話のネタの豊富さに比べて、実行可能性の低いものが多いからです。エビングハウスの忘却曲線とか、言っていることは分かるのですが、いちいちそんなものに合わせて勉強できるかというと、多くの人には面倒くさすぎて難しいと思います。そんなこんなで、記憶法にかんしては、よほどシンプルなものでない限り敬遠してきました。極論すれば、記憶法は
未修ロースクール受験を考えている方へ。基本的に、ロースクール進学を考えるなら既修を目指すべきです。結果としてどちらに行くかはともかく、少なくとも意識の問題としては、既修を目指して準備をするのが(その結果として未修なら未修に入学するのが)真っ当なロー入試対策(=司法試験対策)です。以下、主な理由をいくつか書いていきます。<理由>①未修クラスでも、学生のほとんどは実質的既修者である。未修者といっても、ほとんどの方は法学部卒です。予備校の入門・基礎講座を受講し終え
伊藤塾のエースです。塾生の支持が非常に高く、人気のある先生です。【インプット】インプット講義(入門講座)の分野では、受験界でNo.1の講師だと思います。全体的な講義の質は塾長よりも高いです。特に、伊藤塾の目玉講座である基礎マスター講義(他校でいう入門講座)や商訴集中講義は、全ての入門者に自信をもっておすすめできます。テキストを読み進めながら、細かくマーク箇所を指定していく講義スタイルが特徴です。この講義におけるマーク指定は、その場の適当な思い付きでなされているも
★今回の記事は、S式1問1答重要論点問題集で書いた内容の一部を大幅に膨らませたものです。書評記事からは独立させて単独のエントリーとして残しておきたい、と思って再録することにしました。【理解とは何か】ある事柄を理解しているかどうかということの意味は、実際には極めて多義的です。今回はこの「理解」というワードを、日頃使っているよりも厳密に考えてみたいと思います。勉強には様々な「理解」があり、それを身に付けるための様々な方法があります。たとえば、しっかりと基本書を読み込めることを
今日は雑談です。少し自分のことについて書きます。先日、弁護士の友人に、私が正直に未修入学者であることなどの事実を書いているにもかかわらず、未だに私の属性を知りたがる人が後を絶たないことをボヤいたところ、その友人曰く、「その気持ちも分かる気がする」「きっとみんな、そんなわけないだろ、って思ってるんですよ」ということでした。つまり、私の方法論は、未修ロー生の常識的レベルを遥かに超えており、経歴自体に嘘があると考えなければ、普通の受験生は納得できないものだということで
判例百選のエントリーで、>たしかに、百選掲載の重要判例を知っていることは(特に短答では)必須かもしれません。>しかし、だからといって、百選を使用することまでが必須とは言えないと思います。と書きました。今回は特に論文試験について、もう少しこの点を突っ込みたいと思います。【論文で判例学習はどこまで必要か】論文試験において、判例学習は必須だという意見が受験界の多数説です。(論文こそ判例だ、という意見も根強いです)しかし、私は、ほとんどの方に呆れられるの
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高校時代の話です。桜蔭に通っていた知り合いの女の子がいました。彼女とは、3年生のとき友人を通してある図書館の自習室で知り合いました。今日は、その桜蔭の彼女がやっていた「スピードぐるぐる勉強法」(←苦し紛れにネーミング)について書いてみたいと思います。彼女は優秀な桜蔭生の中でも極めて学力が高く、毎回の模試で志望校欄に「東大文Ⅰ」と書き、そして毎回のようにA判定を獲得していました(A判定以外取ったことがないと言っていたような・・・)。私は、いまと違い当時は人間の地頭(=先天
★昨日のエントリーから(少し)続いています。【適性試験での失敗】私は、適性試験、特に読解以外の論理・分析系の問題(ちょっと前まで推論分析と呼ばれていた分野)に「超」が付くほどの苦手意識がありました。なんというか、まだ何もやっていない段階からアレルギー全開、何もかもが嫌という感じで、すでに方法論としての過去問主義が完全に確立していたにもかかわらず、適性試験については、自分自身で築き上げた方法論に背いて、過去問を一問も解かずに本試験を受けました。模試すら1回も受けませんでした。さら
法律の学習は、全て条文です。法律学は条文を勉強しているだけですし、論文試験は条文を解釈しているだけです。全ては、条文に始まり条文に終わる。これが法律学&司法試験です。そして、条文の解釈とは、条文の言い換えのことです(『法哲学』P.222)。解釈に限りません。定義だって「言い換え」ですし、説明だって「言い換え」です。大雑把にいえば、小説の感想だって広義の「言い換え」といえます。問題に対する解答だって、問いを答えに「言い換え」ているにすぎません。全てはA=Bとい
今まで何度も書いてきたことですが、経験上、ずっと気になっていたことがありました。それは、「受験生」(つまりは不合格者)である私が、試験について何ごとかを発言した際の、相手方の反応です。これまで、身近な友人の反応は、見事に分かりやすく2つに分かれていました。ひとつは、私が司法試験についての単なる個人的見解(教材の評価や勉強方法などの考え方)を述べただけで、「お前は受験生だろっ!」と怒りを露わにしてきた受験生です。怒らないまでも、「不愉快な話を聞かされた」とばかりに、苦虫
通称「問研」。伊藤塾の基幹講座(論文マスターなど)で配布される、受講生限定のオリジナル問題集です。内容は、旧司過去問+新作問題、あとロー入試過去問も一部収録されていたように記憶しています。問題数の多さはスタンダード100並みです。全問を潰し切ることは通常は不可能でしょう。講座でも全問を採り上げることはないと思うので、講座の受講者は講師の指示に従ってメリハリづけをしていけばいいと思います。答案の出来ですが、市販の問題集と比べると非常に良くできていると感じます。スタンダー
講師紹介は今日で最後なので、最後に友人の講師を紹介させていただきます。以前、学校の勉強と試験勉強で、根源的に試験に強いタイプとして紹介した人です。総論的な勉強法、具体的な個々の方法論、いずれもこのブログの方針と99%同じです。このブログの内容に共感していただいていた方には、間違いなくどの講師よりもおすすめできます。まず、今まで何度となく同じことを書いてきましたが、もう一度だけ最後に書いておきます。試験に限らず、およそ何か物事を成し遂げるのに必要なことは、次の2つしかありません。
本日は、司法試験の受験予備校で用いられている入門テキストの話をします。現在、4大予備校が用いている入門講座用のテキストは以下の通りです。①伊藤塾⇒入門講義テキスト②LEC⇒セブンサミット③Wセミナー(TAC)⇒デバイスネオ④辰已⇒入門テキスト(名称よく知りません・・・)名称はどうでもいいのですが、全てのテキストに共通の特徴は、とにかく無駄に分厚いことです。民法などの大部な科目では、1000ページ前後になると思います。こういった、テキストというより辞書といったほうがいい
昨年末頃、多くの新聞に、「修習生の約2割が就職できなかった」との記事が掲載されました。ご存じの方も多いかと思います。多くの記事が揃って上記事実を最終的に確定した数値のように報じていますが、これはどこまで本当なのでしょうか。一昨年の司法試験合格者で、昨年末(≒今年初め)から弁護士として働き始めた友人がいます。現時点での「就職難」の現場を最も良く知る人物の一人といえると思います。彼曰く、彼のクラスメイトを中心とした、あくまでもその動向を把握できた100人程度の同期生に限ってい
闇屋になりそこねた哲学者(ちくま文庫)/筑摩書房¥756Amazon.co.jp戦後の混乱期、東京の闇市で働いていたエピソードが有名な哲学者の自伝です。実存的な問題意識から哲学を志し、20歳を過ぎてから大学に入学した人です。ちなみに、哲学の話はともかく、今回のテーマと関係するので少し触れておくと、実存的な危機意識や不安といったものは、何も哲学者の専売特許ではなく、程度の差はあれ全ての人間が共有する問題だと思います。著者は、本当に学びたいことができて、そこではじめて学問を志し
このブログの頻出概念である「潰す」という言葉の意味について、何人かの方からご質問を受けました。これについては、以前、コメントの返信という形で以下のように書いたことがあります。①単に頭で「覚えている」以上の、使えるレベル②頭で理解している以上の、体で体得しているレベル③100回解いても100回間違えないレベル④特定の問題の処理について質問されたとき、考えて答えるのではなく、脊髄反射的に口が勝手に答え始めるところまで内在化されているレベル要は、40度の熱で朦朧とした意識の中で寝込んでいる
<司法試験機械的合格法>論文基礎力養成講座憲法/日本実業出版社¥3,570Amazon.co.jpLECの柴田講師が執筆した論証集&問題集です。主要7科目が揃っています。【良い点】①問題数は1科目数十問程度と、潰すには理想的な分量です。②絶対に落とせない最重要レベルの論点は網羅されていると思います。③事例問題中心の編集方針はgoodです。④刑訴が実務説なのもgoodです。いまだに学者通説ばっかりの他校は見習って欲しいです。⑤論証⇒問題‐解答へとステップアップする編集
あなたがテニスをしたことがないとします。完全な初心者であれば、普通はあまり上手くいかないはずです。ラケットの握り方・振り方からして最初は違和感ありまくりだと思います。サーブも入りませんし、レシーブに至ってはボールがどこに飛んでいくか保証の限りではありません。コートの中を駆け回りながらラリーの応酬を繰り広げるなんて、夢のまた夢です。テニスの初心者がテニスをするというのは、0歳の赤ちゃんがブロック遊びをするのと同じです。頭と体(行動)が全く連動しません。完全に行動において不自由な
※2019年5月(令和元年)の投稿です。司法試験情報局の更新を(いちおう)停止してから数年が経ちました。停止後も、本文の表現を訂正したり、【補足】を書き加えたりはしましたが、個々のエントリーの主旨は変わっていません。ブログに書いたいくつかの予想の中で、当たったものもあれば、外れたものもあります。たとえば、ロースクール制度の正当性についての異見(2011年7月15日)で、ロー組が予備試験組に合格率で圧倒される(ロー組が予備組に「食い殺されることになる」だろう)と書きましたが、こ
伊藤塾の新司法試験部門の講師です。特に論文対策講義について、最もおすすめな講師のひとりです。伊藤塾でも一定の人気があるようで、たくさんの講座を担当されています。中でも、本試験分析講座が際立って良いです。論文の処理過程の部分、すなわち、・問題文から一定の生の主張が立てられるプロセス・一定の生の主張から条文が立てられるプロセスこういった、文字情報としての解答例には表れてこない思考過程の部分の説明が上手です。問題文の事情を使うスキルも高いです。「問題文にこう書いてあ
海馬に必要だと認めてもらうには、できるだけ情熱を込めて、ひたすら誠実に何度も何度も繰り返し繰り返し、情報を送り続けるしかないのです。そうすると海馬は、「そんなにしつこくやって来るのだから必要な情報に違いない」と勘違いして、ついに大脳皮質にそれを送り込むのです。古来、「学習とは何か」に対して、「学習とは繰り返しである」と言われてきたのは、脳科学の立場からもまったくその通りだと言えます。池谷裕二『最新脳科学が教える高校生の勉強法』われわれは、日常言語を用いるとき、基礎
別冊ジュリストNo.186憲法判例百選1/有斐閣¥2,200Amazon.co.jp「判例集の中の判例集」的な位置づけの百選シリーズ。実際に使うかどうかは別として、なんだかんだで買わざるを得ないような感じになる教材です。内容は、事案の概要・判旨・解説で構成されています。解説は玉石混交ですが、明らかに「石」のほうが多いです。(あるローの教授は、自分が担当したパートについて、「いい加減に書いた」と認めていました)ちなみに、タイトルに「百選」とありますが、掲載判例数は科目に
会場の真ん中に進み出て、右足を「ヒョイ」と上げる(→で、そのまま帰る)。ただそれだけの競技があったとします。右足をヒョイと上げる美しさ、俊敏さ、力強さ、滑らかさetc…競技者がどれだけ右足をヒョイと上げることに習熟しているか。競技の評価基準はだいたいそんなところでしょうか。いずれにしても、大した身体動作を要するわけではない、極めて単純な競技です。この、右足をヒョイと上げる競技で高い得点をあげるにはどのような練習をすればいいでしょうか。一番とはいわなくても、相対的に上位
民法1第3版(1)/勁草書房¥2,310Amazon.co.jp日本民法史の大権威、我妻栄先生の民法概説書です。通称「ダットサン」。ダットサンというのは、大昔の日産のコンパクトカーのブランド名だそうです。①総則・物権②債権③親族・相続の3冊組です。通称どおり、基本書よりもコンパクトな分量で民法全体が解説されたテキストです。コンパクトなので、辞書としての有用性はあまりないかもしれません。伝統的な通説(≒我妻説)で一貫して論じられています。民法テキストの中
今回は、これから司法試験の門をくぐる初心者の方のために、どうでもいい概念の整理をしてみます。いずれもこのブログでよく使う言葉です。こうして実際に整理してみると、司法試験の世界では基本書という概念が滅茶苦茶多義的に用いられていることが分かります。★基本書①受験生がインプット学習において基本とするテキストのこと【メインテキストとしての基本書】②(予備校本との区別を目的として)学者の書いた学術書のこと【学術書としての基本書】③(②の中から特に区別して)体系的に記述された学術
司法試験・予備試験論文合格答案集スタンダード100〈1〉公法系憲法・行政法〈2012年版〉/早稲田経営出版¥3,570Amazon.co.jp通称「スタン」。主要7法が揃ったシリーズです。新旧両方の論文過去問に加え、過去問の隙間を埋める新作予想問題も多数収録されています。つまり、新司過去問+旧司過去問+新作問題というボリューム満点の問題集です。(なお、タイトルに「100」とありますが、実際の収録問題数は軽く100を超えています)予備校の過去問集・問題集の中では、答