ブログ記事114件
「きみの背にほくろの星座見つけたり世界が終はるならこんな夜」(橘夏生/歌集『大阪ジュリエット』)キャンディの背中には、星座のようなほくろがある。ウェイヴのかかった長い髪に見え隠れするそれは、宛さながら水瓶から滴り落ちる雫……。初めて肌を合わせた夜、格別な夜、夢にまでみた夜──。真っ白なシーツに揺蕩う湯上がりの金の糸。消え入りそうに震える白い肌。自分を求め、ゆるゆると伸びてくる細い腕。狂おしいほど焦がれた瞬間。絶望の最果てで巡り
※凍玻璃(いてはり)/ガラスに付いた水蒸気が凍りつく現象のこと。何を叫んだのか、キャンディは憶えていなかった。玄関のドアを開け放ち、階段を縺れる足で駆け上がり、寝室のドアを開け放ち──。幾度、彼の名を呼んだのか……。バスルームから飛び出してきたテリィは、キャンディをきつく抱き止め、彼女を椅子に座らせて、両肩を強く摑んだ。落ち着け──と。その間も、両手で顔を覆い、いやいやと泣きじゃくりながら首を振るキャンディにテリィは尋ねる。「キャンディ、もう一度よく見
長い考察が苦痛な人の為に、要点だけをドライにまとめた「あのひと考察・総集編」です。※2010年発行の「小説キャンディキャンディFinalstory」を「ファイナル」と表記します。はじめにファイナルでは、キャンディのパートナーは「あのひと」と平仮名で書かれ、「愛する人」の意味で使われています。但し海外版では「Thatperson」や「He」の文字が充てられているケースがあります。しかしThatPersonは「あそこにいる人」の意味なので、名木田先生が意図する「あのひと」とは
Gorse(ハリエニシダ)花言葉/屈従。不変の愛。初めてのドイツでの公演に、テリィも参加することが決定した。期間は一ヶ月。演目は、『ロミオとジュリエット』。「君も一緒に行くだろう?」当然のように、彼が訊く。わたしは躊躇なく頷いた。あの人がわたしを離さないように、わたしもあの人から離れない。それは──十年の月日を経て再会し、一緒に暮らし始めてから、二人の間で交わした暗黙のルール。中世と古代が入り混じったような街並み、二本の尖塔が圧倒されるほどに聳え立つ
ピンポンパンポーン・・・。『キャンディ』と『オル窓』の類似点・第二幕をお待ちのお客様へ劇団三頭身、鋭意稽古中です。・・・嘘です現在、当方専属・素人絵描きの進捗が大幅に遅れております。理由何のスイッチが入ったのか、第一幕を上回るイラストを描き出した。理由その枚数は、現在7枚だ。その上、あと1枚描く予定だ。理由殆どの色塗りが終わっていない。しかし、塗らないと気が済まない融通の利かない性格だ理由背景や服のデザインなど、やらなくても良い細部に
P・Sテリィ......好きでした。これは、別れたテリィに書いた(出さなかった)手紙の文末に添えられた言葉です。下巻277この言葉は過去形なのでテリィのことはもう好きではないテリィを諦めたと捉えるも良しテリィを必死で忘れようしているテリィがまだ好きなのね・・と捉えるも良し各々想像力が発動するスレーズだと思います。なのでこの言葉を深追いするつもりはございません今回注目したいのはこの言葉の位置です!!あ
テリィは……テリィは、優しかった。前にも後ろにも進めない、精神的にも肉体的にも追い詰められた状況で、キャンディの言葉は、テリィの箍を敢え無く外した。自分の口から零れた言葉にキャンディ自身が戦慄する前に、荒々しい吐息が彼女の口を覆い、たちまち息ができなくなった。テリィはコートを着たままのキャンディを抱き上げて、倒れ込むようにシーツに沈んだ。分厚いコートが折り重なって床に落ちる。それから──世界は二人きりになった。音が消え、景色が消滅した。
あの日以降──、アレクセイ・ミハイロフに関する続報は無い。テリィの言葉に従い、キャンディは全ての新聞から目を背けた。自分の目で事実を確認するまでは、余計な情報には近づかないと決めたのだ──。人の心は壊れ易い。たったワンセンテンスに翻弄され、ずるずると自我は崩壊の一途を辿る。新聞でも雑誌でも、通りすがりの言葉でも。いつまでも消えてくれない耳障りな振り子のように。一瞥で歩き去る者と立ち止まったまま動けない者。逆境に立ち向かえる者と崩れ落ちてしまう者。強靭な者と脆弱な者。
シルヴァー、あなたがほしい。あなたがほしい。これはみんなあなたのせいよ。けれどあなたを責めるわけにはいかないわ。あなたにとっては、わたしなんか存在していないもの。(生きた肉の感触はもしかしてあなたにはぞっとするものだったのじゃない?)でも、あなたといっしょにいたわたしはきれいだった。あなたがいっしょにいたひと晩と何時間か。わたしはきれいだった。前には決してそうではなかったのに。【TheSilverMetalLover:TanithLee】
Afterallthatwe'vebeenthrough(僕たちには色々あったけど)Iwillmakeituptoyou(きっと埋め合わせをする)Ipromiseto(約束する)Andafterallthat'sbeensaidanddone(結局のところ)You'rejustapartofmeIcan'tletgo(君は僕の一部なんだ離れられないよ)Couldn'tstandtobekeptaway
『あのひと』とは関係がない、ファイナルと漫画の相違点をご紹介します次はテリィ以外の項目をチェック。誕生日はアンソニーが決めてない?©水木杏子・いがらしゆみこ画像お借りしましたキャンディの誕生日は、アンソニーがばらをプレゼンとした日だと思っていませんか?データによるとキャンディの誕生日は5月7日。コアなファンなら誰もが知っています。漫画やアニメでは、アンソニーは本当の誕生日を知らないキャンディに「次に僕と会った時が君の誕生日だ」と言って別れ、新種のばらが
今さら・でも―キャンディキャンディいつもアクセスいただきありがとうございますブログを最初から読む二次小説を最初から読む11年目のSONNET目次Finalstoryの考察を読む草ネタを読むDearforeignCCfansアメンバー限定記事を読むアメンバー募集はこちら★ブログ主の日常ブログ「井戸端会議場」はココをポチ※井戸端会議はお休み中です小説キャンディキャンディFINALSTO
抱き締めて。顔を見せて。それからひとつ、キスをください──「テリィ……」キャンディの声は震え掠れる。「どうして……?」「鳥になって飛んできた」テリィは悪戯っ子の表情を浮かべ、キャンディを見つめた。「羽の音が聞こえなかったかい?キャンディ」(羽搏きは聞こえたけれど……)キャンディは、未だ現(うつつ)と夢幻の狭間にいた。もっと強く抱き締めて。もっと近くで顔を見せて。それから熱い、キスをください──「まさか返事を書く前に、手紙を出した本
(このまま放したくない……)背後からキャンディを抱くテリィの両腕はいつまでも緩まない。(離れたくない……永遠に)「もう……行くわ、テリィ」キャンディは決意を絞り出した。テリィは重い躰を引き剝がし、「駅まで送る」そう言った。「いいの……。遅くなるとスザナが不安に思うから」「送る!駅まで」「だけどスザナが……」「今は彼女の名を呼ぶな!」テリィは掠れた声で叫んだ。「送らせてくれ……頼む」「テリィ……」キャンディは、やむを得ず頷いた。外は頬
──好きなやつはいるのか?──ええ、いるわ。この中に。ふたりしかいないピアノ館で、背中を向けたまま彼女は言った。余りにも唐突で、呼吸が止まる。(……まいったな)俺を遣り込められる人間は、後にも先にも君だけだ。部屋の中は、あっという間に彼女の匂いでいっぱいになった。足元がぐらりと揺れる。俺はよろめいた振りをして、よろめいた振りをして……君が振り向く。手を後ろで組みながら。はにかんだような笑みを湛えて。「ここも世界の一部、でしょ?」(ああ…
★★★5-13病院に入ると、一人の女性から声を掛けられた。「あの、RSCのジャスティン・グレイスさんですよね?」面倒だったのでその場は人違いだと言ってかわし、直ぐにサングラスと帽子で顔を隠した。粗方の事情は分かったとはいえ、ジャスティンにはどうしてもキャンディに確認したい事があったのだ。どうして別れ話を受け入れたのか―やんごとなき事情とはいえ、駆け落ちするほど愛していた男を諦め他の女に譲った。そして一度は自分の元を去った男を―・・、他の女を選んだ男を許し、再び受け入れた。納得でき
FSより30代のキャンディの回想シーン下巻236テリィにいきなり背後から抱きしめられた強く、ほんとうに強くーーもうすこし……このままで……テリィの声。わたしの大好きな深みのあるテリィの声。あのときほど時間が止まって欲しいと願ったことはない。私の首筋を伝わってきたテリィの涙の冷たさ。そしてーわたしを抱きしめたテリィの胸の熱さは今もわたしの中で激しく脈打っている。30代のキャンディが、16の時に抱きしめられた時のテリィの胸の熱さを思い出して、今もテリィの胸の熱さが激しく脈打って
本物の高次元神というのは自分とは夫婦の関係性です。上下関係ではありません。そして愛のメッセージを伝えて来る存在です。龍やら稲荷(キツネ?)やらが出て来る霊界のスピリチュアルと違って高次元(真実)のスピリチュアルというのはとても素敵でロマンチックな世界です。ある日昔の曲ばかりの音楽番組をかけていたのですが、TVは見ていなくて他のことをしていました。その時に合図があったのでふとTVに目を向けると城みちるさんが「イルカに乗った少年」を歌っていました。城みちるさんという方は昔のアイドルですよね
一晩中……彼は私を抱く。季節の移ろいを感じると。水仙の蕾が綻び、向日葵が空に笑い、りんどうが夏を乗り越え、クリスマスローズが馨る神聖な夜に。何があなたをそんなに不安にさせるの?尋ねてはみたけれど、彼はただ黙って息つく間もないほど私を貪り、私の名を呼び、私に溺れ……一晩中──泣いた夜も確かにあった。拭っても拭っても、夜が、悲しみの扉を叩く。あの慟哭が嘘のように、不思議なくらい、今は心が凪いでいる。耳のあわいを通り過ぎる微風。
部屋は広いダブルルームだった。高い天井には華やかなシャンデリア。ダマスク柄のダークグリーンの壁紙。アードレー邸の部屋を見慣れているキャンディでさえ、その豪華さに溜息を漏らすほどだった。けれども、3シーターのチェスターフィールドソファにも、マホガニーの丸テーブルの周りにある三脚の椅子にも二人は座ることはなかった。ドアの鍵をかけた直後──キャンディはテリィに抱き締められ、その場から一歩も動けなくなる。火のような口づけが落ちてきた。冷え切った躰が一瞬で熱くなる。口を挟む隙も与えら
目次は、既に本編を一読した読者の為の詮索用です。あの回だけ読みたいという時にご活用ください副題はネタバレをくらってしまう可能性があります初見の方はこのページを飛ばしモノローグへFINALSTORYの考察は考察へブログ主の草ネタブログは井戸端会議場へ目次11年目のSONNET∻☆・∻☆…∻☆・ロミジュリ読みは濃いピンク字です1章手紙①10年振りの手紙②ハムレットの招待券③出さなかった手紙④待合室で⑤スザナの死⑥妊婦の
夜です。「ねえテリィ、初めて逢った時のことを憶えてる?」キャンディは上目遣いに夫を見つめた。「勿論。憶えているさ」テリィの脳裡に、船上での出逢いが鮮烈に蘇る。「あれは強烈だった」「強烈ですって?」キャンディは眉を吊り上げた。「その言葉、そっくりそのままお返しするわ」「あの頃に比べたら、随分薄くなったんじゃないか」テリュースは、妻の柔らかい桃色の頬に触れる。「もう、そばかすの中に顔がある、なんて言えないな」「テリィ!思い出させないでっ」「そんなに膨れるなよ。風船
「それで──ニューヨークへはいつ来られる?」その台詞は、仕事も何もかも捨ててついて来い──と同義だった。テリュースは煙草に火をつける。「仕事の引き継ぎと挨拶が済んだら──」にも拘わらず、まるで用意していたかのようにキャンディは即答した。「その日の夜行に飛び乗るわ」煙草を持ったまま、テリィは黙った。「この一週間がなかったら、迷わずついていったかも」今日はその最後の夜である。これ以上休暇は延ばせない──公演に穴をあけてしまう──ぎりぎりの。「でも、やっぱりそれは不義
フォロワーのゆ○さんに言われてハっと気付いたことがあります。ああああああああ・・・相変わらず浅い人間です、私は皆さんは、とっくにお気付きかもしれませんが記事にしたいと思います。○ゆさん、いつもありがとうございます🙇♀️NYのテリィとシカゴのキャンディは文通していました。スザナに隠された手紙もありましたが、それは劇団宛ての手紙。※下巻218テリィのアパート宛てに出した手紙は、無事に届いたはずですよね?手紙の束は、今は象嵌細工の宝石箱の中に収め
※夜這い星……流れ星の異名。二週間はちょうどいい……と、唐突にテリィが言った。「あの時は無我夢中で余裕が無かった。その上、十年間待たされた」「やめて、テリィ」キャンディは身を躱そうとする。「そんなことをして、いったい何の意味があるって言うの?」「意味がないことをする──それが休暇の、いや、人生の醍醐味だと思わないか?キャンディ」「意味が分からないわ」「分かるよ、すぐに……」テリィが耳元に息を吹きかけるように囁くと、途端に腕の中の彼女の力が抜けて
※投稿日は生誕祭当日ではありません目に映ってたけど、見てなかったよこれは、我らがT・Gが5月祭の時に放った最強フレーズです。バッチリ見ているのに、しらを切っていますね。しかし、この目に映ってたけど見てなかった現象は、よくあることです。例えばアーチーの誕生日いつなのか、ご存じ?知らない?誕生月は知ってる?知らない?私も知らない。興味もございません。でも、本当はみなさん知っているのです。だって、ほら
「おはようございまぁす」背後から、拍子抜けするほど呑気な寝惚け声が聞こえた。しかし、テリィにとっては、それはまさしく天使の声であった。「どうしたの?テリィ。なんだか顔が強張っているみたい」座ったまま微動だにしない夫を、半分だけ開いた緑の眼でキャンディが見つめる。「いや……おはよう、キャンディ」テリィは妻の姿だけを視野に収めようと、無理に首だけを回転させた。ぐき……っ。「いててて……ッ!」「ちょっと!大丈夫?テリィ」キャンディは慌ててテリィに走り寄る。
DearforeignCCfansWarmWelcome.ItisoneofCandyCandyfansitesinJapan.(❁´◡`❁)Therearemanyfansreadingthissiteandispackedwithalotofinformation.Unfortunately,JapaneseLanguageisdifficult,thusIthinkthatevenify
昨日まで……いや十年の間、独りで眠りについていたのが嘘のような夜が明けた。がっしりとした大胸筋は隙間なく背中に重なり、同様に、発達した二本の上腕二頭筋に雁字搦めにされている。(わ、私ったら、ここは病院じゃないのよ……)キャンディは、今の状況にまるで相応しくない、色気も何もない専門用語を思い浮かべた自分に呆れ果てた。それにしても──(テリィは、こんなに逞しかったかしら?十年前は……)十年も経っていれば変わっているのは当然だ。十代から二十代──青年期における身体的成長は
スザナの訃報を知ったのは、いつになく底冷えのする朝だった。冷たい手に息を吹きかけながら、いつものように新聞を開いた時である。それは天からの雷(いかずち)のようにキャンディの頭上に落ちてきた。同時に、当然ながら、テリィのことが頭に浮かんだ。あの晩──私とテリィは、墓場まで持っていく秘密を共有した。言葉には出さない、無言の誓約。翌朝、駅で別れた以降の彼の消息を彼女は知らない。どうやって病院へ戻り、どのようにスザナに説明をして、その後二人がどんな暮らしをしてい