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★★★2-5黒い車に先導され赤い車が後に続く。大きな正面玄関のすぐ脇に車を停めると、玄関を入って少し進んだ所にある部屋に通された。大きなガラス越しに手入れの行き届いたトピアリー、色鮮やかな花壇や噴水が見える。部屋の奥にある大きなデスクと革張りの椅子が、いかにも大富豪の執務室といった趣で、中央には大きなソファがローテーブルを挟んで向かい合っていた。「こちらでお持ち下さい。お口に合うか分かりませんが、そちらのドリンクと食べ物をご自由に」ジョルジュは退室し、一人残された
★★3-3どうやら伯爵は籠城作戦をとるらしい。「朝は食欲がなくてね、レディ一人でどうぞ。朝一番なら数量限定の特製クロワッサンが有るってさ」そう言って、伯爵は未だに寝ている。一人でレストランホールに行く分には、確かに何も起こらない。平和な朝だ。きちんとした身なりの上級乗客に交じるのは、普段着の自分には少々場違いな気もするが、朝食は一日の原動力。そんな理由で抜くことはできない。「おはよう!クッキー」ホールにクッキーの姿を見つけた。限られた人員。乗務員は一人何役もの業務をこなすようだ。
漫画の後半を読むと、確かにアルバートさんはキャンディに恋心のようなものが芽生えているようです。しかし残念なことに、旧小説やファイナルではそのくだりはバッサリと欠落し、揺れ動く微妙な男心と、プロポーズかと思わせるセリフは全てカットされています。本筋と関係ないから切り捨てることができる、という解釈もできますが、少なくとも旧小説まではページの都合上だと個人的には思います。そこでまずは漫画に登場する、アルバートさんの感情を軸に時系列にしてみました。記事内では、老眼の負担軽減の為(笑)アルバ
★★★6-11昨日アルバートの仕事部屋でキルトを試着していた時の出来事だ。「これは鷹ですか?それとも鷲?」テリィはバックル中央に刻印された紋章に気が付いた。「鷲だよ。スコットランド移民である先々代が好きだったようだ」「スコットランド移民?(ああ、それでキルトなのか・・)」「鷲も鷹も同じタカ科なんだが、一般に鷲の方が大きくて、翼を開いて飛ぶ姿がとても美しいんだ。飼いならすこともできるほど頭が良くて、食物連鎖の頂点に君臨しているとも言われている」「だから貴族がこぞって紋章に使いたがるわ
★★★1-6瞳に靄が掛ったような朝を迎えて出勤したキャンディは、朝からため息ばかりついていた。腫れぼったいまぶたと充血した眼。明らかに昨日より重症だとマーチン先生は思った。気力なく待合室を掃いているキャンディを見て、朝一番の患者が言った。「あれは恋煩いよ」おせっかいなベテラン主婦の勘だという。「確かにその辺も絡んでいそうだが・・―」恋の相談に乗ることなど、六十歳を超えたマーチン先生には逆立ちしてもできそうにない。「さて、診察を始めるとするか。ステラおばさ―」マーチン先生がため息
「ねぇ、キャンディ、ものすごく顔が赤いわ。なんで、そんなに真っ赤になるの?」アニーが長い睫に縁取られた美しい瞳で、まじまじとキャンディを見つめた。キャンディは無意識に両手で頬を隠す。「アルバートさんは、いつ南米から帰ってくるの?って尋ねたのよ。そんなに真っ赤になるような質問じゃないでしょ。変なキャンディ!」ポニーの家の暖炉の部屋。幼い子供たちをお昼寝させてからのティータイム。ポニー先生とレイン先生は、村の婦人の集いに出かけていた。「もしかして。」アニーがわかったわ、と言うようにいたずら
レイクウッドへ___。大おじさまに会ったらなんて言おう!まっさきにニールのことを取り消してもらわなきゃ。そして、そして。今までのお礼をたくさん。感謝をこめて。キャンディは、大おじさまに何から話そうか、何を尋ねようか、道中ずっと考えていた。話したいことも尋ねたいことも山盛りで、頭の中はぐちゃぐちゃ、まだ何も決まっていない。でも・・・。ふと・・・。本当に大おじさまに会えるのだろうか?そんな不安がわき、キャンディはレイクウッドが近付くにつれ、もうすぐ夢にまで見た大おじさまに会えるとい
丘の上のカムアウトはいつか?丘の上の王子さまのカムアウトのシーンは、漫画とファイナルでは違います。漫画ではアーチー、アニー、パティと一緒にポニーの家を訪問し、その後丘の上のシーンになります。ファイナルのアルバートは「ある日突然・独りで(正確にはジョルジがいる)」ポニーの家にやってきてカムアウトします。下巻291~ですから2年後とも3年後とも解釈できそうなのです。実際そのように解釈する人もいるようです。そこで、検証してみました。キャンディとアルバートの往復書簡は、手
★★★1-7いつもより一時間ほど早い帰宅だ。まっすぐ帰る気持ちにはなれない。キャンディはポニーの丘に寄り道をして久しぶりに木登りでもしようかと考えた。大人になってからその機会はめっきり減っていた。常に時間に追われる二足のわらじを履いた生活は、些細な気分転換の時間さえ簡単には許してくれない。「わぁ・・、いつの間にかこんなにきんぽうげと白つめ草が・・」もうすぐ一面に白い絨毯を敷いたような、一年で一番美しい季節を迎える。頬をかすめる風はまだ冷たいものの、湿った心が少しだけ軽くなった
6章⑭「すっぽかした授賞式」のスピンオフです。本編を未読でも読める話になっていますが、6章まで読了されていない方には壮大なネタバレになりますのでご注意ください。★★★「残念だわ、クリスマスのミサが終ったらパーティをするのに。カートライトさんもジミィも来るのよ?」キャンディは不服そうに口を尖らせながら、アードレー家のエンブレムが誇らしげについた黒塗りの車のハッチバックをあけた。「うわっ!ありがとう、アルバー・・大おじさま!!」大量のプレゼントの箱が顔を出すとキャンディの表情は一変し
★★★1-8その夜、キャンディは淡いピンク色の便箋と封筒を取り出した。返事を書くのは至極当然なのに、アルバートから言われるまですっかり忘れていた。机の前に座ってはみたものの、文章が何も思い浮かばない。ペンを持つ手が石膏のようにかたまり、眼だけが便箋の線とひたすらにらめっこしている。「あ~、もう!おしゃべりと手紙は得意なはずなのにっ・・!」キャンディは無意識にとめていた息を一気に吐き出すと、ベッドに身を投げた。「ダメダメっ!とにかく手紙が無事届いたことだけでも知らせなきゃ、きっと待っ
SONNET1章の中書き1章をお読みいただきありがとうございます♡少し話がのろのろしていますが、物語を思い出すための準備運動だと思っていただけたら。1章の中盤まではキャンディの心の動きを延々と書きました。「あのひと」と再会するまでの空白の10年間のキャンディ側の心情です。もちろん二次小説なのでブログ主の主観も入っていますが、ファイナルの文章を吟味した上で導いたものなので、妄想が暴走しているわけではありません。ただし皆さんとは(特にAファンには)受け取り方に相違があるかもし
★★★4-15一緒に住んで分かったことがある。テリィはかなりの読書家だ。帰宅が早い日は、夕食が済むなりカウチで読書に耽っている。「ふぁぁぁ~、・・おやすみなさい。先に休むわね」「あ、ごめん、もうこんな時間か。直ぐ行くよ、部屋で待ってろ」仕事と家事で疲労困憊のキャンディは、『直ぐ』を一秒も待てない方が多かった。雨の休演日は、ひねもす書斎に籠っていることもあるテリィ。先週は古語辞典を片手に難読そうな古書と格闘していたが、青天の今日はそんなことは無さそうだ。「テリィー!テリィー
★★★1-4思い出ごと封印したあの日からちょうど六年が経つ。引き出しの鍵はずっと閉められたままだ。あれ以来、一切の邪念を捨てるようにテリィとスザナの幸せを祈ってきた。ブロードウェーのスター、テリュース・グレアム。もう手の届かない存在。それが今のテリィ。――ぼくは何も変わっていない突然手紙の文字が頭に浮かんだ。「・・あ、そうか。手紙が来たんだったわ。昨日――」あれは夢だったかと一瞬思ったが、確かに封を切った覚えがある。朝起きた時、机の上には確かに白い封筒が置かれていた。「・・
★★★2-6それは先ほど眺めていた、緑の瞳を持つ女性の肖像画だった。「ローズマリー・ブラウン。歳の離れた僕の姉だ」歳が離れていると言われてもテリュースにはピンとこなかった。二十代に見えるこの貴婦人がアルバートさんの姉だという事だけを頭に入れた。「姉は幼いアンソニーを残して若くして亡くなった。ばらを愛する優しい女性で、自慢の姉だった」「亡くなった・・?アンソニー・・?」どこかで聞いたことがある名前―・・・。少し考えてテリュースは思い出した。夭折したキャンディのばらの君―なんども
★★★1-3テリィの演じるハムレットは瞬く間に評判になり、劇団創立以来の大ヒットを記録した。秋の公演に続き冬の公演、春の公演と延長が決まり、役者として順調にステータスを築き上げていく様が、手に取る様に分かった。大人びた顔つきや一回り大きくなった体格からは自信も垣間見えた。テリィのお芝居を観ることが決して叶わない夢だと分かっていても、自分が応援団長にでもなったかのようにテリィの活躍が嬉しくて、記事を目にする度心が躍った。ハムレットの初演から一年あまりが過ぎた頃、世界を巻き込んだ戦争が
★★★2-7『―・・ああ、それから、ばら園に寄って行くといい。この回廊をまっすぐ進み、突き当りを右に曲がれば裏庭に出られる。そこにばら園があるから』別れ際、アルバートからばら園に寄って行くように促された。断わろうとしたが、ばら園はローズマリーとアンソニーが造り、今はキャンディが折をみて世話をし、今朝も立ち寄ったのだと聞かされ心が動いた。暗い回廊を進む。回廊には歴代アードレー一族と思われる人物の肖像画が規則正しく飾られていた。よく見ると、名前のプレートの横に没年が記載され
「男アルバート①②」の検証から、ブログ主の意見を書きます。ハイ、主観ですファイナルに描かれていない部分あのひと考察に於いては、漫画とファイナルで異なる部分はファイナル優先なのは当たり前ですが、ファイナルに描かれていない部分はどうするのか?🙄ファイナルでは、シカゴ編が描かれていません。漫画のシカゴ編のアルバートのグイグイ発言があったと仮定するのとしないのとでは、妄想に大きな差が生まれそうです。個人で妄想するには自由でしょうが、「考察」としては、漫画の表現をどこまで採用したら
フォロワーのゆ○さんに言われてハっと気付いたことがあります。ああああああああ・・・相変わらず浅い人間です、私は皆さんは、とっくにお気付きかもしれませんが記事にしたいと思います。○ゆさん、いつもありがとうございます🙇♀️NYのテリィとシカゴのキャンディは文通していました。スザナに隠された手紙もありましたが、それは劇団宛ての手紙。※下巻218テリィのアパート宛てに出した手紙は、無事に届いたはずですよね?手紙の束は、今は象嵌細工の宝石箱の中に収め
『あのひと』とは関係がない、ファイナルと漫画の相違点をご紹介します次はテリィ以外の項目をチェック。誕生日はアンソニーが決めてない?©水木杏子・いがらしゆみこ画像お借りしましたキャンディの誕生日は、アンソニーがばらをプレゼンとした日だと思っていませんか?データによるとキャンディの誕生日は5月7日。コアなファンなら誰もが知っています。漫画やアニメでは、アンソニーは本当の誕生日を知らないキャンディに「次に僕と会った時が君の誕生日だ」と言って別れ、新種のばらが
これって引っ掛け?ファイナルは推理小説ではないので、素直に読むのが一番だと思っています。しかし「こんなあからさまな文は、かえって怪しい。引っ掛けにちがいない」と疑ってしまう人も少なくありません。どの部分が怪しいのか(笑)抜き出してみます。Aファンにとって引っ掛けと感じる部分①本棚にあるシェークスピア全集②エイボン川の町に住んでいる③スザナの死④テリィから手紙シェークスピア全集があるからってテリィとは限らない。どこの家にもあるよ。エイボン川は世界中にある。ス
当ブログには、アメンバー限定記事がございます。アメンバーの申請には、前提条件としてアメーバー会員登録が必要です。ブログを始めるつもりがない方でも、登録できます。※無料ですAmebaヘルプ|*****はじめての方へのガイドhelps.ameba.jp※言葉が似ていてややこしいのですがアメーバ―会員(アメブロの会員)アメンバー(限定記事の読者)は違いますのでご注意くださいアメンバーを希望される方へコメント欄に当ブログの感想を添えてご希望の
今までの考察を受けて、個人的なイメージをまとめてみました。あのひとの謎かけには全て答えていますので、宜しければ一読ください。ある程度の検証と主観が混ざった長い物語時系列スザナが死亡した後にテリィが手紙を書き、その後再会し、キャンディが30才前後に結婚しイギリスへ移住したと思っています。※三章の手紙の順番は、出来事の時系列と解釈こちらの記事参照★ファイナルで大幅に加筆されたテリィへの恋心。破局した二人が密かに想い続け、その成就を描くことで『真実の愛の物語(ファイナル
★★2-9どこか気が抜けた様子のステラおばさんが、「・・あなたの気持ち、わかるわキャンディ。恋って苦しいわよね」とクッキーも喉に通らないといった様子でお茶ばかりすすっている。その横でアンはクッキーを頬張りながら、いつにも増して騒がしい。「顔と声だけで食っていけそうな人っ!!超絶なのっ!あんな美形は全米中探してもいないわ!!」「アンってば、しゃべるか食べるかどちらかにしてちょうだいっ。困った時の救世主は、五割増しで見えるみたいね。ホント、親切な人が通り掛ってくれてよかったわ。マーチン先
キャンディ雑談マシューさん郵便配達員のマシューさんは、アニメオリジナルのキャラです。太っていて、髭があって、郵便局員の制服を着て、大きなバッグを斜めにかけて。いかにも漫画に登場していそうですが、いませんでしたマシューという名前は「赤毛のアン」に登場するマシュー・カスバートから拝借したのかな?キャンディ♡キャンディは、アンの要素がたっぷり入っていますよね。緑の瞳、そばかす、学院生活の黒板エピソード・・・ポニーの家の屋根ポニーの家の屋根が緑色なのは、グリ
いつも私のつたない物語を読んでくださって、ありがとうございます。忙しい日常の貴重なお時間の中で訪れてくださること、深く深く感謝しています💕ブログの向こうにいらっしゃるみなさまをいつも感じております💕キャンディキャンディ物語。少女の成長物語であることは周知の事実ですよね。過酷な運命にも打ち勝ち、自らの力で人生を切り開いていくひとりの孤児の少女。そこには、数多の苦難、愛、出会い、別れが散りばめられていて。アンソニーとの淡い初恋。テリィとの激しい恋。気がつけばそこにあるアルバートさんとの
アルバートさんに恋心が芽生えなかった理由少し前の記事で[イライザとキャンディの共通点]というブログタイトルの中で【ウィリアム大おじさまだということを、丘の上の王子さまだったことより先にキャンディが知ったことに大きな意味があると私は思っています】と書いたことの意味を今回は書きたいと思います。結論から申しますと、書いたままのことですが、【ウィリアム大おじさまということを丘の上の王子さまよりも先に知ったからこそ、恋心が芽生えなかった】と私は思っています。あ、もちろん私の主観ですよ、いつもな
水木さん、探してたら水木さんには関係ないけれど、(ああ、原作者の水木さんではありませんw)こんなものを発見。これは・・・・キャンディキャンディの最終回。単行本全9巻の最終回はニールと結婚させられそうになったけれど、大おじさまによって婚約は解消されキャンディはポニーの丘に帰りたいという。そしてそこには一足先にポニーの丘に到着していたアーチーパティ、アニー。歓迎会を開きましょう、というポニー先生の言葉にアルバートさんを探しに行