ブログ記事157件
車が喫茶店の裏側に着くと、柊さんにも手伝ってもらいながら荷物を運び出した。懐かしく思えた自室。服を脱いでタンクトップ姿になると床に座り膝を抱えた。今でも理佐が発した声が耳からこびり付いて離れない。「理佐…っ、理佐ああーーっ」ノックをしようとした柊は、聞こえてきた泣き声に切ない表情を浮かべてその場を後にした。夜、目が覚めて遅いお風呂に入った。初めて一緒にお風呂に入った時は恥ずかしかったな。だめだ。ずっと理佐の事ばかり考えてる。離れなきゃな…。頭までお湯に浸かった。お風呂から上
「友梨奈…大丈夫…?」ひとしきり泣いた後、理佐が身体を離して顔を覗き込んできた。「…ん」「…友梨奈…貧血起こして倒れていたんだってね」「…血、飲んでたんだけどね。身体に合わなくなったのかわかんないけど…」ただでさえ肌は白くて不健康に見られるのに。なんて思っていたら、チャイムが鳴った。私が身体を離そうとしたら理佐がぎゅっと抱きしめて離してくれなかった。「理佐…?」「友梨奈…」後頭部を引き寄せられて唇が重なった。薄く開いた唇に理佐が舌をねじ込んで絡められた。「は…っ」呼吸の
「早く控え室に戻って!」友梨奈を抱き上げてマネージャーの指示に従って控え室に入った。不協和音を歌った後は必ず友梨奈は意識を飛ばす様になった。メンバーが椅子を数個並べてくれて友梨奈が寝れるようにしてくれた。そこに友梨奈を寝かせて青白い顔を浮かべた頬を撫でる。するとゆっくり目を開けて耳を塞いで叫んだ。「いやあああーーーーっ!」パニックを起こす友梨奈。私は慌てて肩を揺さぶる。「平手!平手!!」「もうやだ!嫌だ!!」「平手!!聞こえる?!平手!!」「っ...理佐...?」我に返
友梨奈は相変わらず私の胸に顔を埋めて眠っていた。あれからちょっと眠れて時計を見ると12時を過ぎていた。私は口に手を当てて欠伸をした。そろそろ起きるかな、なんて思いながら身体を起こす。友梨奈の手が私の服をぎゅっと握り締めていて、可愛いけど致し方ない。「友梨奈...」「...ん...」「起きて。もうお昼だよ」「お昼...?」「うん」友梨奈は目を擦って私の服から手を離すと起き上がる。寝癖で所々ピョンピョンと髪が跳ねてる。それすら愛おしい。「ご飯食べよっか。なに食べたい?」「
「理佐...自分で出来るよ...?」恥ずかしくてどうにかなりそう。今、私は理佐に身体を洗われていた。「だめ。言う事聞きなさい」鼻歌交じりに理佐は容赦なく身体を洗う。「よし!じゃあ流すね」泡を流してもらうとすぐに浴槽に浸かった。そして先輩も入ってきたので膝を抱える。「友梨奈の身体、白くて綺麗」「理佐だって...」口端に貼っていた絆創膏が取れているのに気付いて剥がす。すると、「おいで?」「へ...?」腕を広げて「ん?」と理佐は微笑む。「...お邪魔します...」赤い顔を
朝、アラームが鳴り目をうっすら開いた。理佐も目覚めたようで二人して微笑んでおはようと呟いた。理佐は起き上がり、洗面台に向かう。私はまだ布団から出ずに微睡んでいた。「…ゴンノスケ〜…」ベッド脇に置かれたカワウソのゴンノスケを取ってぎゅうっと抱きしめる。「こーら、友梨奈。ゴンノスケより学校の支度!」「ああー…ゴンノスケ…ごめんね」理佐にゴンノスケを奪われて脇に置かれたゴンノスケの頭を撫でて起き上がった。洗面台に立って顔と歯を磨き、薬を塗って私服に着替えてテーブルに置かれていた眼帯を
理佐の手を引いて中を見渡すと色んな種類のウエディングドレスが飾ってあってどれも綺麗だった。「お母さんー」「ねる、来たのね」「うん。こっちが平手友梨奈ちゃんで、で、渡邉理佐ちゃんでーす」「いつもお世話になってます。ねるの母親です」私達は緊張した面持ちで頭を下げた。「じゃあ理佐ちゃんのウエディングドレス決めようかしらね」「えっ...あ、」「行っておいで理佐」ねるのお母さんに連れられて2階に行く理佐の後をねると一緒について行った。椅子に座って待っているとねるのお母さんが綺麗なドレス
目を覚ますと腕の中で理佐が気持ち良さげに寝息を立てていた。私の服をぎゅっと握りしめて。もう離れないよと小さく呟くと、友梨奈...と名前を呼ぶ理佐を抱きしめ直してまた再び眠りについた。「な、友梨奈」「...ん?」「学校行く時間だよー」「嫌だ...」「あーわがまま友梨奈」腰を跨いで座る理佐をうっすら見上げる。「時差ボケ半端ない」「でも学校行かないと」「...理佐がちゅーしてくれたら起きる」「また出たわがまま友梨奈」理佐は角度を変えて唇にキスをしてきた。私は後頭部を引き寄せて
「友梨奈...友梨奈」「...?」「お粥出来たよ」「...食べる...」熱はあるけど食欲はあるから大丈夫かな。気怠い身体を起こしてお盆に乗せられた容器の中には梅干し入りのお粥。「理佐...ありがとう...」「お礼なんていいの。彼女だから当たり前でしょう?」自分で言って恥ずかしそうにしている理佐に柔らかく微笑んで、「いただきます」と呟き食べ始める。お粥の熱さに思わず「あっふ」と眉間に皺を寄せて言った。「ふーふーしないからだよ」貸して、と言われ理佐は器を持ってベッドに座ってスプー
あれから数日経って、私は休日に紅茶を飲みながら読書をしていた。小説を目で追いながら読み耽っていると、インターホンが鳴る。こんな朝から誰だろうと受話器を取ろうとしたら画面に理佐が映っていた。私は受話器を取らずにそのまま玄関に向かい、鍵を開けた。「友梨奈っ」「わっ!」扉が開き、急に抱きついてきて思わず声が出てしまった。「...なんで抱きしめてくれないの?」「あ、ごめん...」両手を上げて固まったままの私に理佐は不服そうに呟く。上げたままの両手を下ろして理佐の背中に手を添える。「
結局先生は戻って来ずに学校が終わると、私とねるは下駄箱に向かいスニーカーに履き替えた。汚された上履きは邪魔だから鞄に詰め込んだ。それから日の当たらない場所を探して座った。「あ、理佐」「...」部活仲間とグラウンドにやってきた理佐は終始にこにこと笑って談笑している。私達には気付いてはいないようだ。なんか...妬ける。また知らない感情が胸をチクチクさせる。妬けるって、なに...?膝に顎を乗せて一人唸っているとねるがそれに気付く。「てち、どがんしたとー?」「...何にもない..