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一方屋敷では・・・内々だけで、ウンスの懐妊の祝いをしたはずがどういう事か、市井の民の間にもウンスの懐妊が知れ渡っていた。夜が明け、ヨンとチェ尚宮が皇宮へ出仕した後から、屋敷の門の前にはウンスの懐妊の祝いを持参した市井の民が長蛇の列を作っていた。その様子に、ウンスは嬉しいやら、困ったやらなんとも言えない表情を浮かべる。「困ったわね・・・お祝いしてくれるのは嬉しいけど・・・贈り物を受け取るわけにはいかないわ・・・」「しかし、奥様・・・断っても、断っても民が祝い
ヨンは、ウォンソンの様子見にチェ尚宮の部屋へと足を向けた。『叔母上・・・』扉の前で、ヨンが声をかけると元気なウォンソンの声が返ってくる。「ちちさま!!」その声が聞えると同時に部屋の中から、ウォンソンが飛び出してくる。『ウォンソン!飛び出してきては、危ないではないか。』ヨンは、飛び出してきたウォンソンを抱き留めると、抱きあげる。「ごめんなさい・・・ちちさま・・・でも、ちちさまに、すこしでもはやくおつたえしたくて・・・」ウォンソンは、ヨンに抱かれながら告げる。『ん?父
ヨンは、ウンスが落ち着いていることを確かめると、ホッと胸を撫で下ろす。『とりあえず、衣を着替えてまいります。』ヨンはウンスに告げると静かに立ち上がる。ウンスの頬をそっと撫で、微笑む。『俺が、戻るまで大人しく待っていてください。』「もう・・・ヨンったら・・・ウフフ」ウンスも、柔らかな笑みを浮かべた。ヨンは、素早く衣を着替えると書斎の前で待つ、パソンとミョンウォルの所へ急ぐ。『待たせた。早速、話を聞かせてもらおうか・・・』ヨンは、ウンスを待たせていることもあり、パソンと
ヨンに手をひかれ、ゆっくりとした歩調で義父母の墓前に到着するとウンスは、その場に跪く。そして、墓に手を触れそっと目を閉じた。ヨンとミョンウォルは、その様子をじっと見守っている。その時、暖かな優しい風が墓の周りを通り抜ける。「あっ・・・」ウンスの亜麻色の髪が風に乱されなびく。『ウンス・・・?』「ヨン・・・お義父様とお義母様・・・そして・・・あの時の吾子・・・フォンが・・・」ウンスは、懐かしい人たちに会うような眼差しをしている。『ウンス・・・』「ヨン。も
夕刻。ヨンが屋敷に戻ってくる。チュホンから降り、屋敷の中へと足を進めていくとパソンが駆け寄ってくる。「旦那様。おかえりなさいませ。お出迎え出来ず申し訳ありませんでした。」パソンは、珍しく額に汗しながらヨンの前でお辞儀をする。『如何したのだ?そのように、汗をかいて・・・』ヨンは、ウンスが待つ居間へと足を進めながらパソンに聞く。「あ、はい・・・市井の民が持ってきた奥様ご懐妊の祝いの品を、整理しておりました・・・」パソンは、汗を拭きながらヨンに答える。『汗を
崔・喧(チェ・フォン)・・・紅巾の乱の際、徳興君の魔の手にかかりこの世に生まれいづることが出来なかった吾子その吾子が、時をこえて、ヨンとウンスの子として、再び、生を得た。「崔・喧(チェ・フォン)・・・フォン・・・漸く、私たちのところに帰ってきてくれたのね・・・」ウンスは、ヨンが記してきた命名の書と腕にだく、生まれたばかりの男の子を交互にみながら、一筋の涙を流す。「ははさま・・・?」「はぁちゃまぁ~」ウォンソンとユリは、ウンスの涙にもらい泣きそうになる。「あ・・・