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生殖医療解説シリーズのまとめサイトです。定期的に追加あるいは細分類しています。論文紹介というよりも、皆様の診療の指針や解説になるような内容を心がけておりますので、最新記事を常にという方には物足りないかも知れませんが、基本的にはリプロダクションクリニックの標準方針に則ったことを書いておりますので、リプロのやり方を知りたい方にとっても参考になると思います。最近更新が滞りがちですが、迷う局面で重要な内容はほぼ網羅されていますので、ぜひご一読ください。☆が多いものがおすすめの記事となります。
以前のブログで、理論上ではこうであるというようなことは必ずしも実測統計と一致しない(理論が実態を忠実に示すとは限らない)、ということを説明しました。理論的にはこうなるはずなんだけど、実際にには、そうではない、ということは医療に限らず世の中いくらでもあります。もちろん、実測統計も、その統計の取り方によって簡単に結論がフラフラしますので、実測統計が常に真実というわけでもありません。例えば、吉野家と松屋はどっちが美味しいか、セブンイレブンとファミマはどっちが人気があるか、スーパードライと一
皆さんこんばんは。今日は、書いてありそうでどこにも書いていない、好評シリーズ「よくある質問」③です。では早速。Q11)ホルモン補充周期で妊娠歴あり。前回は、D20で移植したので今回もD20で移植したほうがよいのでしょうか、D19で移植したら着床の窓はずれてしまうのでしょうか。A11)ホルモン補充周期に限らず、大切なのは、排卵(あるいはそれに相当する日)から何日後に妊娠したか、であり、月経から何日後に移植したかではありません。ホルモン補充周期の場合は、黄体ホルモン開始日を0日目として、胚
みなさん、こんばんは。第①回は出血の種類について、第②回は、採卵周期中の出血についてお話ししてきました。今回は、採卵周期開始についてお話しします。通常は、採卵周期開始は月経3日目くらいから開始することが多いのですが、これはどうしてでしょうか。月経3日目ごろのホルモン値のことを「基礎値」と言うなど、婦人科分野では月経3日目が1つのベースになっています。月経中のLH、FSH、E2、P4の値がいわゆるホルモンバランスのベースとなっているのは、月経1日目だと、その出血が不正出血か月経の始まりな
生殖医療は結果が全てんー・・・まあ全てではないか。。でもウェイトは大きいよね妊娠すれば感謝される結果が出なければ感謝されない以前に「逃げない」みたいなブログ書いたらまあそれはそれは反響も大きくて外来でも口々に感想を言われた感謝されるとすれば最終的に結果が出なかった時に納得行く終わり方ができた時だけありがたいことだけどしつこいようだけどなんだかんだ結局結果は大切まあそうなんだけどでも、「結果」って突然出るわけじゃなくて、勇気を振り絞
今日は11月29日、いい肉の日です。11月11日はポッキーの日、11月22日はいい夫婦の日ですが、外来でコメントして一番皆様の反応がいいのが、この日です。たいして面白いわけではないのでウケ狙いでドヤ顔で言うよりも、ニコリともせず真顔で急にと言うと、不意を突かれて笑っていただけることが多いと気づき、この言葉にはだいぶお世話になりました。ちなみに、「ポッキーの日」は、皆様、ほぼ無反応で、患者さんとクラークの冷ややかな視線がステレオで突き刺さり、寂しい思いをしました。さて、いきなり脱線してし
今日は、「卵巣刺激は、ホルモン値と卵胞発育の状況から刺激量を増減させるとうまくいく」後編です。「点と線」(ホルモン値の読み方)後編1「FSH」に言いたいことは書いてあるのですが、治療に対する理解が相当ありそうな方からも、「難しくてよく分からなかった」「途中で脱落した」とのご意見がありましたので、今日は少しかみ砕いでお話しようと思います。当院における卵巣刺激の分類は、おおむねこのような形で判断しています(これは説明会やその資料で公表したり、研究会で発表したものを簡略化したものです)
みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズ、今日は番外編です。敢えて最新すぎる内容は避け、できるだけ多くの皆さんに興味を持っていただけそうな内容を連載しています。特に、1~7は、全ての皆さんに知っておいていただきたい内容ですので、ぜひご一読ください。さて、今日は、誤解が多い、慢性子宮内膜炎と、それに似た言葉の違いについて解説します。当院に通院歴がある程度ある患者さんには毎度おなじみ、慢性子宮内膜炎検査のことを、「子宮内膜症の
みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズも、今日で第9回となりました。バックナンバーもぜひご覧ください。今日は、黄体ホルモンについて解説します。黄体ホルモンは、いわゆる天然型黄体ホルモン(プロゲステロン)と、合成黄体ホルモン製剤(黄体ホルモン類似物質)に大別されます。血液検査で測定できるのは、このうち天然型黄体ホルモン(P4)のみです。ちなみに、いきなり脱線しますが、なぜ、天然型黄体ホルモンがP4というかについては、エ
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*不妊治療5年目転院3回(静岡LC→俵IVF→RCO→RCT)採卵は21回移植は7回目(計19個)陽性→胎嚢→卵黄嚢確認→胎芽・心拍確認←イマココめーたん47歳枯葉マークです。まだカテゴリ移動はいたしません。よろしくお願いします。*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*※本日は悲しいお知らせとなります。精神的に無理な人はここでUターン願います。7w0d胎嚢11.7mm心拍・胎芽なし。↓8w0d心拍確認
みなさん、こんばんは。早いもので4月になりました。関東のお花見は卒業シーズンですが、北日本はこれからが見頃ですね。毎年、日本は縦に長いなあと思う瞬間です。さて、今日は胎児の心拍についてです。前回の記事(妊娠週数の数え方)では、妊娠週数の数え方についてご説明しましたが、一般的に胎児の心拍が確認できるのは、妊娠6週半ば~7週にかけてです。ものすごく成長が早くて妊娠5週末に心拍がかすかに見える方、妊娠8週になってやっと心拍が見える方、それぞれおられますが、いずれも頻度は少なめです。胎児の心拍は
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*不妊治療5年目転院3回(静岡LC→俵IVF→RCO→RCT)採卵は21回移植は7回目(計19個)陽性→胎嚢→卵黄嚢確認→胎芽・心拍確認→心拍なし←イマココめーたん47歳枯葉マークです。まだカテゴリ移動はいたしません。よろしくお願いします。*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*※悲しいお知らせとなります。精神的に無理な人はここでUターン願います。8w0d心拍確認胎芽2.9mm↓9w0d心拍停止胎芽1
みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズ、今日で第14回です、今夜はFSH調節法後編です。だいぶ引っ張ったので、皆さまのご期待の応えられる記事になったか非常に心配ですが、、、はじまりはじまり。前編では、視床下部下垂体系からの命令を卵巣が受けて働くことをご説明しました。要旨としては、卵巣は、脳の視床下部・下垂体系からの指令(主にFSHの分泌)により働く(卵胞が発育する、E2が分泌される)が、卵巣の働きが悪いと(卵胞発育不良、
みなさん、こんばんは。今日は妊活と食事についてお話しします。巷には、〇〇が妊娠にいい、〇〇がダイエットにいい、という情報が溢れていますが、食べ物に限らず、情報の取捨選択は本当に難しい。まず第一に、その情報の信憑性自体が疑われる場合があります。例えば、ある栄養素を絶賛し、様々な角度から根拠を示したかのように見えるサイトがあったとしても、一番下に、「でも食べ物から取るのは大変、そんなあなたに、〇〇社の△△サプリ!今なら1ヶ月分無料進呈!」とか書いてあったら、まあ一応ウソではないんでしょ
みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する生殖医療解説シリーズ、今夜も番外編です。卵巣刺激(排卵誘発方法)は、様々な施設が、色々な考え方に基づいて行っております。自然周期、低刺激、刺激周期、もちろん合う合わないが大きく正解があるわけではありませんが、国際的には刺激周期が体外受精の柱です。前回の記事では、採取できた卵子の数が多ければ多いほど、累積出産率は上昇すること、刺激周期と自然周期でも正常胚率は変わらないこと、排卵誘発剤(HMG)使用量で
ロ~ラ♪ヒデキ追悼タイトルだけでは何の話題かさっぱりわかりませんよね(笑)前回の続きです近頃、リプロ患者さんのブログでよく目にするラクトフェリン子宮内フローラを正常なバランスに保ってくれる効果が期待されるサプリです。子宮内のラクトバチルス菌が90%以上いる群と、90%以下の群に分けた時、妊娠出産に有意差が見られたとのこと。どのくらいかというと↓このくらいだそうです。90%以上:90%以下妊娠継続率58.8%:13.3%
よくある質問に、(何らかの)手術の当日の日に持病の薬を飲んでよいかとか、その薬をいつまで飲んでよいか、等の質問があります。ここで大切になってくるのが、その薬剤の半減期(薬の血中濃度が半分になる時間)とか、薬の作用時間です。今日は、不妊治療で使用することが多い薬のうち、長時間作用する薬、短期間しか作用しない薬についてお話しようと思います。まず半減期が長い薬の代表格は、甲状腺治療薬「チラーヂンS錠」です。いきなり脱線しますが、チラージンSは間違い、正しくはチラーヂンSです(英名がThyradi
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*不妊治療5年目転院3回(静岡LC→俵IVF→RCO→RCT)採卵は21回移植は7回目めーたん47歳枯葉マークです。まだカテゴリ移動はいたしません。よろしくお願いします。*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*少し過去記事。最後の移植、妊娠判定日の記録です。読みたくない人はここで閉じてください。よろしくお願いします。今日の小ネタ。クッション画像wめーたん実は自慢したいことがあります!!なんと
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*不妊治療5年目転院3回(静岡LC→俵IVF→RCO→RCT)採卵は21回移植は7回目(計19個)陽性→胎嚢→卵黄嚢確認←イマココめーたん47歳枯葉マークです。まだカテゴリ移動はいたしません。よろしくお願いします。*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*4w2dhcg71.9↓5w0dhcg613.7胎嚢2.9mm↓6w0dhcg1870.2胎嚢7.3mm↓7w0d胎嚢11.7mm心拍・胎芽なし。
こんばんは。金田歩美です。今宵はついについについに!!大トリは「まつぶーーん」こと、スーパーバイザー松林秀彦先生です。前回のブログを受けて、金田先生運動してたんですね。と松林先生からお声がけをいただきました。そして衝撃の事実、「私実は弓道2段なんですよ」。松林先生は、某市の市民大会で第3位に入賞し、翌年の市民大会で開会式の演舞(矢渡)で介添え役を務めたこともあるそうです。リプロダクションクリニックの(隠れ)体育会系がここにも…!写真提供:松林秀彦「ほとんど練習していない中での入賞に、同僚た
今日は体外受精・顕微授精における精子選別法についてお話します。不妊原因は女性・男性半分ずつが原因であるとか、卵子と精子がそれぞれ関連する、とよく言われます。実際には卵子側の要因が大きいと思われる局面は少なくありませんが、さりとて受精卵の染色体の半分は男性由来であり、精子の重要性が高いことには変わりありません。【体外受精(ふりかけ法)か顕微授精か】よく体外受精は自然に選ばれた精子だから、というような言い方をされますが、自然妊娠の場合は何千万・何億の腟内射精された精子が子宮・卵管の約1
プロテインを飲むと薬の効きは圧倒的に良くなる”この世にタンパク過剰症の人は一人もいない"とは三石先生の言葉。普通に食事をしている人は、全員軽度~重度のタンパク不足。薬の多くは代謝酵素阻害作用を持つ。○○阻害薬、○○拮抗薬、○○ブロッカー、○○インヒビター。代謝酵素=タンパク質なので、タンパク不足があれば薬は効きにくくなる。重度のタンパク不足があれば、薬は効かず副作用ばかり出る。SSRIはセロトニン再取り込み阻害薬。A)ジェイゾロフト+普通の食事、B)ジェイゾロフト+高タンパク/
各検査の特徴「上」では、母体血清マーカー検査、羊水検査、絨毛検査の特徴と、それぞれが一長一短であることをご説明してきました。そこで登場したのがNIPT(non-invasiveprenatalgenetictesting:無侵襲的出生前遺伝学的検査)、いわゆる「新型出生前"診断"」です。これは母体採血に微妙に混入する胎児の染色体を検出して検査をしていこうというものです。「新型出生前"診断"」と、あたかも確定的検査のように表現されることもありますが、この検査は、確定診断ではなく、あくま
みなさん、こんばんは。今日は新しいシリーズ「よくある質問」シリーズです。当院では、ホルモン補充周期の場合、初回来院は月経2-5日目、その次は、11-16日目に来ていただいております。初回来院の時に、「次は11-16日目のいつ来ていただいても結構です」と説明すると、それなりに高頻度で、「それはどういうことですか」「本当にいつでもいいんですか?」「いつが一番とか本当はあるんでしょう」という質問とともに、「着床の窓とか聞くんですが、それでもいつでもいいんですか」という質問があります。着
スポーツの大会等で優勝した選手が、「努力は必ず報われる」などとを言うことがある。だから皆さんも諦めず頑張ってという励ましなんだろうけれど、結論から書くと、筆者は「努力は必ず報われる」という言葉が好きではない。正確には大嫌いである(個人の感想です)。もちろん、地道な努力は大切であり、それが報われることも多いだろうし、頑張らなければ報われないことが多い、ということには寸分の疑いもない。でも、「努力は必ず報われる」なんて断言してしまうと、じゃあ報われなかった人は努力してないってことなのか、2位以
皆さんこんばんは。今日から、質問の多い「採卵周期中の出血」について連載いたします。専門的な内容の論文紹介等は、松林医師や北宅医師のブログに譲るとして、公式ブログでは、日々のリプロダクションクリニックの診療でよくある質問(実際に皆さんが一番知りたい内容)について、診療の理解の助けになるような形で、不定期で分かりやすく解説したいと思います。今日は、採卵周期中の出血についてですが、まずはじめに、女性の性器出血について解説します。性器出血には、「消退出血」「破綻(はたん)出血」の2種類がありま
今日は、リプロダクションクリニック東京の卵巣刺激についてご紹介いたします。リプロは刺激周期、とお思いの方も多いと思いますが、意外かもしれませんが、低AMH・高FSHの方に対する採卵、低刺激採卵、いわゆる刺激周期(低刺激に対して高刺激ともいう)は、同等の三本柱です。何でもやっている百貨店状態だと逆に専門店的な的な感じを感じられないとお思いと思いますが、低AMHでもふと調子が良い周期も存在し、そういう時は途中からでも刺激周期に切り替えて勝負をかけると良い卵子がたくさん取れることもあります。ある
診察の現場で、よくあるご質問なのですが、どこかに書いていそうで書いていない、知りたいけど調べても分からない、そんな内容をまとめてみました。(なお、個人個人の体質で治療方針は変わりますので、ご自身の方針は必ず医師にご相談いただくようご注意ください)Q1)自然妊娠をしたことがあるので、着床の窓はずれていないと思いますが?A1)自然妊娠をした時の胚の発育スピードが分からないので、自然妊娠歴が着床の窓のズレがない証明にはなりません。もしかしたら、D4あるいはD6で胚盤胞になって着床していれば
みなさん、こんにちは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズ、今日も番外編です。体外受精においては、自然周期、低刺激、高刺激等の方針があります。中には完全自然周期とか中刺激という用語を使う場合もあります。意外かもしれませんが、これらは、各クリニックあるいは医師が独自に表現・分類しているだけで、「こういうものを低刺激といいましょう」とか、「こういうのを中刺激といいます」という共通の明確な定義はありません。例えば、クロミッドだけを内服
みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズも第21回となります。今夜は、少し大きなテーマで書いてみたいと思います。まずは用語の整理から。受精とは、卵子の中に精子が入り、融合して細胞分裂可能な状況になる(いわゆる正常受精卵になる)ことをいいます。英語では、fertilizationです。これに対して「授精」("てへん"がつく)は、文字通り精子を授けるところまでの作業のことを言います。人工授精は、子宮内に精子を授けるから人工「