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みなさん、こんにちは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズ、今日も番外編です。体外受精においては、自然周期、低刺激、高刺激等の方針があります。中には完全自然周期とか中刺激という用語を使う場合もあります。意外かもしれませんが、これらは、各クリニックあるいは医師が独自に表現・分類しているだけで、「こういうものを低刺激といいましょう」とか、「こういうのを中刺激といいます」という共通の明確な定義はありません。例えば、クロミッドだけを内服
みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズも、今日で第8回となりました。バックナンバーもぜひご覧ください。今日は、新鮮胚移植と、それにまつわるホルモン動向についてお話しいたします。一般的に、新鮮胚移植よりも凍結融解胚移植のほうが妊娠率が高いと言われていますが、これにはいくつか理由があります。凍結すると胚のグレードがよくなるわけではなく、凍結融解胚移植のほうが、着床環境がよいことに起因します。①クロミッドの影響
様々な治療の甲斐があって、無事に妊娠されたあとも、不安は尽きないことでしょう。エコーの時、診察の時に、皆様口々に「大丈夫ですか、順調ですか」とご質問されます。実際には妊娠中の発育は個人差が大きいのですが、意外と知られていないのは、体外受精児の妊娠初期の発育は、自然妊娠のそれと比べて数日程度(筆者の個人的な主観だと3~4日)遅めに見えることが多いことです。体外受精児が小さいというよりも、週数算定上の差なのかも知れません。ちゃんととったデータではありませんが、現場の実感としては、胎嚢(G
みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する生殖医療解説シリーズ、今夜はレギューラ編第22回、卵巣過剰刺激症候群(OvarianHyperStimulationSyndrome:OHSS)です。さて、前回の番外編で、副作用が許容範囲内である限り卵子は採れれば採れるほどよい、と解説しました。OHSSのリスクを100%完全に回避できるならば、刺激(HMG、uFSH、rFSH)の量が増えても結果的に採れた卵子の量が増えても卵子の質は下がることはなく
何月が妊娠しやすいか、というのがよく話題になります。不妊治療をしていると、何月が妊娠しやすいか=その月に移植すると妊娠しやすい、とつい思ってしまいがちですが、自然妊娠を含んだ場合、必ずしもそうとは言えません。また、何月の出産が多いか、ということと、何月何日の出産が多いか、ということも必ずしもイコールではありません。今日は、このテーマについてお話したいと思います。この表は、筆者が昔、どこかネットから拾ってきた出産カレンダーです。結構有名なやつなので知っている方もおられると思います。
今年もあと半月になりました。今日は年末年始に治療計画を立てるプランについて解説いたします。リプロダクションクリニック東京・大阪では、12/31~1/3まで休診となりますが、培養部は元気に毎日仕事をしており、12/30まで、および1/4からは採卵・移植ともに可能となっております。そこで、12月下旬に月経が来そうな場合で年末年始に治療をされたい場合のモデルプランをお示ししますので、参考にしていただけますと幸いです。【採卵】①月経開始が12/14~12/16D2~5に排卵誘発剤を開始で
みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズ、今日で第18回となります。今夜も「生殖医療解説シリーズ」をよろしくお願いします。さて、今日は、妊活中にしていいこと、よくないことです。諸説あるものもありますが、できるだけ当院における標準的な説明に揃えて記載しています。また、根拠のリンクをちらほら貼ってありますので、合わせてごらんください。【妊活中】OK:地中海式食生活、糖質オフウォーキング等の軽い運動ノン
以前のブログで、理論上ではこうであるというようなことは必ずしも実測統計と一致しない(理論が実態を忠実に示すとは限らない)、ということを説明しました。理論的にはこうなるはずなんだけど、実際にには、そうではない、ということは医療に限らず世の中いくらでもあります。もちろん、実測統計も、その統計の取り方によって簡単に結論がフラフラしますので、実測統計が常に真実というわけでもありません。例えば、吉野家と松屋はどっちが美味しいか、セブンイレブンとファミマはどっちが人気があるか、スーパードライと一
排卵してしまったのでしょうか、というのは外来で時々聞かれる質問です。排卵の兆候として皆さまがお感じになるのは、「おりものが増えた」「お腹が痛い」「(排卵誘発中の場合など)お腹の張りがラクになってしまった」などです。では、これらは本当に排卵の兆項なのでしょうか。「おりものが増えた」は、体内のE2(エストロゲン)が増えたことを反映しています。卵胞発育→E2増加→排卵、という流れがありますので、おりものが増えたあと排卵という流れは間違いではありませんが、排卵と直接関連があるわけではなく、あ
よく、採卵を早めに、遅めに、などと言ったりしますが、質問や相談、あるいは誤解もある部分なので、今日は採卵のタイミングが早い、遅いについてお話したいと思います。刺激周期(高刺激)ではしっかり排卵抑制(排卵しないように抑える薬)をしますので、排卵しやすい体質であるか、薬が効きにくい体質とか、その周期の治療がたまたま合わないとか、運が悪い周期とか、担当医がイケてない等以外は、排卵抑制を併用しながら刺激する限り、卵胞が40mmくらいまでなら、排卵させないまま刺激を続けることができます(体質やその周
あくまでも公式ブログなので、特定の薬剤についてあれこれ書くのは禁じ手であると思ってはいるが、面白い薬なので今日はルトラールとデュファストンについて語ってみようと思います。黄体ホルモンには、投与経路の分類では、膣坐薬、筋注、内服の3種類があり、内容的には①天然型プロゲステロン製剤と、②合成黄体ホルモン類似物質に大別されます。ここで、黄体ホルモン剤については、こちらの過去ログを再掲します。①天然型黄体ホルモン(プロゲステロン)製剤基礎体温は上昇し、P4の検査結果として反映します。【膣
みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズ、今夜もよろしくお願いします。最近、番外編が多いですが、今日も番外編です。今日は便秘についてです。女性と便秘は実は切っても切れないもの。では、どんな時に便秘になりやすいのでしょうか。答えは、「黄体ホルモンが高い時」です。排卵後、採卵後、ホルモン補充周期で黄体ホルモン開始後、黄体フィードバック法でルトラール等を内服中、妊娠後などがそれに該当します。排卵後は浮腫(むく)みやすく、水分吸
知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズ、今日では番外編です。「ホルモン補充周期と自然周期の凍結胚移植はどちらが妊娠率が高いか」という、永遠のテーマをお話ししようと思います。まず初めに、相当誤解が多いので、最初に用語の整理をしておきますが、ホルモン補充周期とは、エストロゲン製剤で排卵を抑え、排卵しない形にして、黄体ホルモンは全て薬で補う方法のこと、自然周期とは、ホルモン剤の有無にかかわらず、排卵を起こして排卵後〇日後という形で移植する周期
最近、お電話やメールでよくあるお問い合わせが、「第2子希望だが、どうしたらよいか」というものです。ここでまとめておきたいと思います。前回の妊娠方法あるいは次回の予定妊娠方法によって対応が異なりますので注意してください。なお、授乳等に関する内容が一部含まれますので、お読みになる場合はご注意ください。【次回妊娠までの期間】様々な意見がありますが、出産から次回妊娠までは半年程度は経っていたほうが様々な意味で望ましいとされています(松林ブログ:出産後次回妊娠までの理想的な期間は?)。いずれに
妊活あるいは妊娠中に、風邪薬・花粉症の薬・あるいは持病の薬・何かあって病院にかかって出された薬は大丈夫か、という質問はよく来ます。前編では、「妊娠の可能性がある」とはどういうことなのか、薬を内服するにあたって大切な時期の5分類、薬を内服しても「大丈夫」とは、の3ポイントに絞って書きました。まだお読みでない方は、前編からお読みください。後編では、具体的に、どんな時期にどんな薬剤を使ってよいのか、よくないのかに迫ってみたいと思います。なお、あくまでもこの記事は、個別の体質・治療内容等は考慮して
妊娠しない原因は男女半々であり、男性と女性それぞれ検査が必要、ということに異論はありませんが、精子は自然妊娠するには足りないということなら人工授精を、それでも少なければ顕微授精、もしくは精巣内精子回収(TESE)を行えば、一定の解決をみることはできます。しかし、男性側の検査や治療は様々あり、それらをまとめたものは意外と少ないため、今日は、精子側へのアプローチについてお話してみたいと思います。下記は全て当院で実施可能【検査】一般精液検査精子のDNA損傷の有無という点では、精巣の触診・視
今日は、「卵巣刺激は、ホルモン値と卵胞発育の状況から刺激量を増減させるとうまくいく」後編です。「点と線」(ホルモン値の読み方)後編1「FSH」に言いたいことは書いてあるのですが、治療に対する理解が相当ありそうな方からも、「難しくてよく分からなかった」「途中で脱落した」とのご意見がありましたので、今日は少しかみ砕いでお話しようと思います。当院における卵巣刺激の分類は、おおむねこのような形で判断しています(これは説明会やその資料で公表したり、研究会で発表したものを簡略化したものです)
みなさん、こんばんは。今日は、前回(「点と線」(ホルモン値の読み方)前編、「点と線」(ホルモン値の読み方)後編1「FSH」)に引き続き、ホルモンの読み方、後編2です。今日はE2の読み方についてお話します。E2は、FSHほど深くはありませんが、ただ目の前の数字を見るだけでなく、薬剤との関連や、その推移を考慮して、「読む」必要があります。再掲しますが、ホルモンを読み取るために、超音波検査の結果を踏まえたアセスメントも含めた目の前の数値(点:知識から判断)と、ホルモン値の推移(線:考える
NIPT登場後、NIPTは、「採血だけで分かる」「お腹に針刺したりしない」「赤ちゃんにもリスクがない」「精度が高い」ということで、大きく話題になりました。では、NIPTの実際の流れはどういったものなのでしょうか。NIPTを受けるきっかけは様々ですが、ご夫婦の希望で自発的に受ける場合と、他の出生前診断(母体血清マーカー検査やコンバインド検査、超音波検査等)で異常があったり年齢が高い等、検査を受ける理由付けが高いと思われる場合があります。NIPTは妊娠9~10週くらいから受けることもできま
「頭痛にバファリン♪」のCMを聞いたことがある方は多いと思いますが、解熱鎮痛薬の代表格、バファリン。市販のバファリンはライオンが、処方薬のバファリン配合錠Aはエーザイが、当院で処方するバイアスピリンはバイエルが発売しています(バイエルが発売するアスピリンだからバイアスピリン)。市販のバファリンは奥が深いです。大人用の錠剤だけで5種類ありますが、ほとんど全部成分が違います。「バファリン・プレミアム」はイブプロフェン+アセトアミノフェン、「バファリンA」と「バファリンライト」はアセチルサリチル
以前に「胚移植の技術」について書いたところ、「いいね」が100を超えたので、気をよくして今日は採卵の技術について書いてみようと思います。過去ログはこちら。『胚移植の技術』松林医師のブログや、他の医師ブログで解説されているこの記事ですが、以前よりこうしたデータはありましたが、なかなか信じていただけません。少し解説を加えていきたい…ameblo.jp採卵は、容易に卵巣が描出でき、膣から卵巣までの間に子宮や膀胱などのが入り込んでいなければ、比較的容易な技術です。回収そのもののイメージは、中
リプロダクションクリニック東京公式ブログをご覧いただきましてありがとうございます。当院へまだ通院されていない方もおられると思いますので、メール等でよくご質問いただく内容についてQ&A形式で回答します。①ネットでご予約いただけます当院は予約しやすいように、ネット予約が可能です(もちろんお電話でもご予約可能です)。ご夫婦でゆっくりご相談の上、ご都合のよいところでご来院ください。②すぐにご予約いただけますご予約は、男性・女性とも、まずお電話いただきご予約の日程をご相談いただきます
みなさん、こんにちは。リプロダクションクリニック東京の大原です。おかげさまで、癒しのぼんちゃんは今日も元気にフサフサです。本日は生殖医療解説シリーズレギュラー編22として、新たなる着床の窓の検査である、ERPeak検査についてお話しいたします。世の中、人との出会いや仕事など、なんでもタイミングが大事でありますが、受精卵と子宮内膜にとっても全く同様のことが言えます。お互いが着床にとって最適な時期でなければ、うまく着床が成立しません。その一つの重要な要素に、子宮内膜の着床の窓という考えがあり
皆さんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する生殖医療解説シリーズ、今夜のテーマは多嚢胞性卵巣症候群です。あちこちに解説記事がたくさんありますが、どこまで興味深く切り込めるか、今夜もお楽しみください。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS:polycysticovarysyndrome)は、月経不順や排卵障害の代表的な原因の1つであり、全女性の7%程度いると言われています(筆者の主観だともう少し少ない気もしますが)。ここで、いきなり脱線しますが、「〇〇症候群
みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズも第21回となります。今夜は、少し大きなテーマで書いてみたいと思います。まずは用語の整理から。受精とは、卵子の中に精子が入り、融合して細胞分裂可能な状況になる(いわゆる正常受精卵になる)ことをいいます。英語では、fertilizationです。これに対して「授精」("てへん"がつく)は、文字通り精子を授けるところまでの作業のことを言います。人工授精は、子宮内に精子を授けるから人工「
みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズも、今日で第11回となりました。さて、昨日のお知らせで、ゴナピュールが、uFSH注用「あすか」に名称変更したとご説明しましたが、この「u」とは何か。今日は、HMG製剤についての解説です。まずは、基本的な解説ですが、卵巣の卵胞発育は、脳からのホルモンによって起こります。卵胞を育てるホルモンがFSH(卵胞刺激ホルモン)で、LH(黄体化ホルモン)と二人三脚で卵胞発育に関連します。悪者にさ
今日は、知っている人にとっては簡単だろうが意外と質問が多い、卵子、卵胞、空胞について解説します。卵胞は、原始卵胞(0.03mm)→一次卵胞(0.04mm)→二次卵胞(0.07mm)→前胞状卵胞(初期胞状卵胞)(0.2mm)→胞状卵胞(後期胞状卵胞)(2~5mm)→成熟卵胞(18~20mm)と変化していきます。月経中に医師がカウントしているのは後期胞状卵胞です。以前の記事(砂の中の小石)で書いた通りですが、エコーで描出可能なのはせいぜい2mm程度、卵巣のコンディ
皆さんこんばんは。今日から、妊娠後解説シリーズと題して、産科的なことも解説していこうと思います。「いやいや、これから妊娠しようと思っているところに、気持ちを乱すことを書いてくれるな」と思われるかも知れませんが、いつか来るかもしれないその日になって、あれこれ急に心配になる方も少なくありませんので、内容に注意しながら色々お話していこうと思います。今日は、妊娠週数の数え方についてお話します。基本的なことのようで知っているようで知らないことと思います。まずは産科診療の歴史からひも解いて
みなさんこんばんは。卵巣刺激法とその薬剤今日は後編です。③トリガーまず初めに、卵の核成熟についておさらいしましょう。このように、顕微鏡で形態学的に確認できる卵の成熟のことを、卵の核成熟といいます。結構勘違いしている人が多いのですが、採卵36時間前のLHサージ(トリガー)よりも前は、ほぼ全てがGV卵(超未熟卵)です。卵子の中に、核小体を持つGV(germinalvesicle、日本語訳では胚胞という)があり、顕微鏡で確認できます。卵胞が発育してくることを「卵胞が成熟」すると言っちゃっ
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*不妊治療5年目転院3回(静岡LC→俵IVF→RCO→RCT)採卵は21回移植は7回目(計19個)陽性→胎嚢→卵黄嚢確認→胎芽・心拍確認←イマココめーたん47歳枯葉マークです。まだカテゴリ移動はいたしません。よろしくお願いします。*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*※本日は悲しいお知らせとなります。精神的に無理な人はここでUターン願います。7w0d胎嚢11.7mm心拍・胎芽なし。↓8w0d心拍確認