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みなさん、こんばんは。今日は、採卵計画の全容の続編です。(過去ログは、採卵計画の全容、月経前の調整はE2製剤かピルかカウフマンか、それとも何もなしか)の続編です。ちょっと飛んで今日は排卵抑制についてお話します。以前にも書いた通り、卵巣刺激には、①採卵周期開始前②採卵周期開始の時期(方法)③卵巣刺激④排卵抑制⑤トリガーの5つの柱があります。低刺激とか刺激周期(高刺激)とか自然周期とかいうのは③の区別です。ランダムスタート法や遅延スタート法は②の区別です。これに対し
今日は子宮内膜についてです。以前にも子宮内膜について書いておりますので、もしまだの方はぜひご一読ください。子宮内膜(生殖医療解説シリーズ番外編12)さて、今日は子宮内膜が薄い時についてです。一言で子宮内膜が薄いといっても色々な場合があります。では、どういう時にどういう対処をすればよいのでしょうか。①子宮内膜を薄くする状況がないか確認新鮮胚移植を予定しているのに長期多量のクロミッドを使っているような場合は見直します。②E2製剤の増量ホルモン補充周期で移植している場合、
みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズも、今夜で第15回となりました。あんまりメジャーな話題ばかり先に出し過ぎると、誰も読んでくれなくなるかなと思って温めていた定番ネタですが、そろそろ出してみようかな、ということで、今夜も「生殖医療解説シリーズ」をよろしくお願いします。そもそも、自分で出した題名に噛みつくのもなんですが、「体外受精(IVF)と顕微授精(ICSI)は、どちらが"確率"が高いか」なんて、問題設定が曖昧です
以前に「胚移植の技術」について書いたところ、「いいね」が100を超えたので、気をよくして今日は採卵の技術について書いてみようと思います。過去ログはこちら。『胚移植の技術』松林医師のブログや、他の医師ブログで解説されているこの記事ですが、以前よりこうしたデータはありましたが、なかなか信じていただけません。少し解説を加えていきたい…ameblo.jp採卵は、容易に卵巣が描出でき、膣から卵巣までの間に子宮や膀胱などのが入り込んでいなければ、比較的容易な技術です。回収そのもののイメージは、中
みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズ、今日で第14回です、今夜はFSH調節法後編です。だいぶ引っ張ったので、皆さまのご期待の応えられる記事になったか非常に心配ですが、、、はじまりはじまり。前編では、視床下部下垂体系からの命令を卵巣が受けて働くことをご説明しました。要旨としては、卵巣は、脳の視床下部・下垂体系からの指令(主にFSHの分泌)により働く(卵胞が発育する、E2が分泌される)が、卵巣の働きが悪いと(卵胞発育不良、
冬になるとよくある質問が「基礎体温が低い、上がらない」というもの。え、冬になるとってなんじゃい、と思うなかれ、ちなみに春になるとこういった質問はパタっと減ります。考えてみてください。お好みにもよりますが、夏と冬で寝室の温度なんて下手すりゃ10℃近く違うんですから、口の中の温度が影響受けないわけないです。そもそも、黄体期不全(黄体機能不全)って信用できるのか。もちろん、排卵後のP4の値が低い方はいるし、体温上がらない方もいるけど、そもそも季節によって体温違う方も少なくないし、P4は、基
今日はあまりなじみがないと思われる、排卵誘発におけるlowdosehCG療法についてお話してみます。だいぶ以前の記事(「u」の正体(HMG製剤とFSH製剤))で、排卵誘発剤の注射には大きく分けて2種類あり、HMG製剤とFSH製剤に分類されることを書きました。要約して再掲すると、HMGとは、HumanMenopausalGonadotrophinの略で、直訳すると、ヒト閉経期ゴナドトロピンです(閉経後ヒト尿を精製して製造)。つまり、HMGという言葉は、その製造方法からのネー
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*不妊治療5年目転院3回(静岡LC→俵IVF→RCO→RCT)採卵は21回移植は7回目(計19個)陽性→胎嚢→卵黄嚢確認→胎芽・心拍確認→心拍なし←イマココめーたん47歳枯葉マークです。まだカテゴリ移動はいたしません。よろしくお願いします。*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*※悲しいお知らせとなります。精神的に無理な人はここでUターン願います。8w0d心拍確認胎芽2.9mm↓9w0d心拍停止胎芽1
先天異常の、半分は原因不明、環境因子は5%、単一遺伝子異常(いわゆる遺伝病)が2割、染色体異常が25%と書きましたが、エコー以外の全ての検査は、ほとんどの場合、このたった4分の1の染色体異常にターゲットを当てています。染色体には性染色体と常染色体があり、1番~22番までが2本ずつあるのが常染色体(合計44本)、性染色体は男性がXY、女性はXXです。性染色体異常はターナー症候群(45,XO)、クラインフェルター症候群(47,XXY)、超女性(47,XXX)などがありますが、いずれも健康上決
みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズ、今日は番外編です。敢えて最新すぎる内容は避け、できるだけ多くの皆さんに興味を持っていただけそうな内容を連載しています。特に、1~7は、全ての皆さんに知っておいていただきたい内容ですので、ぜひご一読ください。さて、今日は、誤解が多い、慢性子宮内膜炎と、それに似た言葉の違いについて解説します。当院に通院歴がある程度ある患者さんには毎度おなじみ、慢性子宮内膜炎検査のことを、「子宮内膜症の
リプロダクションクリニック東京では、妊娠中の出血があった場合は、以下のようにご案内しております。①出血が月経初日より少ない場合◎妊娠中のこの程度の出血はよくあることです。日常生活はかわりなく、様子を見て構いません。②出血が月経初日程度~月経の一番多い時より少ない場合◎バイアスピリンを内服している場合は中止してください。◎仕事をしている場合は、休憩し、可能なら横になるなど安静にするようにしましょう。これで1日様子を見て出血が増えて来ないようなら、様子をみていただいて構いません。
今日は久しぶりにラボ業務についてのお話を。卵子は、採卵当日に媒精(精子をかける)もしくは顕微授精を実施し、翌日に授精確認、採卵2~3日目で分割確認(初期胚。分割期胚ともいう)、4日目で桑実胚、5~6日目に胚盤胞になります。いきなり脱線しますが、時々、初期胚のことを「しょきばい」、胚盤胞のことを「はいばんぽう」とおっしゃる患者さんがいますが、正しくは「しょきはい」「はいばんほう」です。揚げ足を取るわけではありませんが、せっかくそこまでご存じなら用語も正しく使いましょう。話を戻しま
排卵してしまったのでしょうか、というのは外来で時々聞かれる質問です。排卵の兆候として皆さまがお感じになるのは、「おりものが増えた」「お腹が痛い」「(排卵誘発中の場合など)お腹の張りがラクになってしまった」などです。では、これらは本当に排卵の兆項なのでしょうか。「おりものが増えた」は、体内のE2(エストロゲン)が増えたことを反映しています。卵胞発育→E2増加→排卵、という流れがありますので、おりものが増えたあと排卵という流れは間違いではありませんが、排卵と直接関連があるわけではなく、あ
現在、NIPTは、認可施設、無認可施設で行われています。認可施設は、日本産科婦人科学会の規制内での検査施設、無認可施設はそれ以外の施設です。認可のNIPT施設は、良くも悪くも原則として30分以上のカウンセリング、施設側にも様々な制約が課され、ハードルは高い上、検査項目や検査施設も限られますが(基本的には13、18、21トリソミーのみ検査可能)、結果説明は対面で行われ、十分な知識を有する専門スタッフによるカウンセリングが保証しています。無認可施設の開設者は、そもそも産婦人科医や小児科医ではない
今日は、甲状腺機能低下症や、潜在性甲状腺機能低下症の際に使うチラーヂンSについて、豆知識をまとめてみたいと思います。(以前の記事の再掲(パクリ)もあります)甲状腺刺激ホルモン(TSH)は、妊娠を希望する女性は2.5μIU/mL未満であることが望ましいとされています。なお、「妊娠を希望する女性ではない人」は、4.0もしくは5.0μIU/mL未満であれば大丈夫です。「もしくは」ってなんじゃ、という話ですが、実は甲状腺測定装置(測定方法)により同じ血液でも異なった検査値が出ることが広く知られ
みなさん、こんばんは。今日は新しいシリーズ「よくある質問」シリーズです。当院では、ホルモン補充周期の場合、初回来院は月経2-5日目、その次は、11-16日目に来ていただいております。初回来院の時に、「次は11-16日目のいつ来ていただいても結構です」と説明すると、それなりに高頻度で、「それはどういうことですか」「本当にいつでもいいんですか?」「いつが一番とか本当はあるんでしょう」という質問とともに、「着床の窓とか聞くんですが、それでもいつでもいいんですか」という質問があります。着
卵巣機能が低下している場合に何かできることはありませんか、という質問は毎日のように外来であります。様々な選択枝の中には、医学的根拠は比較的あるもの、乏しいもの、賛否があるもの、特定の人が推奨しているだけで賛否があるとさえ到底言えないようなもの、完全な詐欺デタラメ、など様々なものがあります。各クリニックには各クリニック独自の推奨基準があることが通例ですが、クリニックごとに言うことが違う上、それに加えてサプリメント関連会社、漢方専門薬剤師、鍼灸師、その他自称専門家が、色々なことを吹き込んでくる
今日は空胞のお話です。採卵は、またの名を「卵胞吸引術」と言い、卵胞(卵子が入っていると思われる液体の袋)に針を刺して卵子と液体を一体的に吸い、その液体の中に卵子があるかどうかを顕微鏡で確認する(検卵)する一連の流れのことを言います。以前も書いたことがありますが、卵胞1個は20mm(2cm)、卵子は0.1mmですが、例えのために5倍に拡大してみると、直径10cmの水風船に0.5mmの透明タピオカを入れて、風船にストローを刺して、中の水ごと0.5mmの透明タピオカを吸引する、みたいなミッ
さて、前置きが長くなりました。今日は1つ1つの検査について書いていきたいと思います。古典的に行われているのは、母体血清マーカー検査と羊水検査、そしてそれほど高頻度には行われませんが、絨毛検査です。母体年齢と妊娠中期の採血で調べる「母体血清マーカー検査」は、「非確定的検査」であり、確定診断ではありません。確率がどのくらいあるのかを数値化するものです。21トリソミーの検出感度は8割程度です。思ったほど悪くありません。AFP(アルファフェトプロテイン)、hCG、uE3(非結合型エストリオール)で調
「生理が来ない」というのは、一般婦人科で最もよくある質問の1つです。無月経とは、通常、おおむね3ヶ月生理が来ないことを言います。婦人科学的には、生理が遅れることはさほど珍しいことではなく、最終月経から3ヶ月以内の場合は生理が遅れているだけで病的とまでは言えない、、、のですが、とは言え、生理が遅れれば、どうしたらよいだろう、どうしてだろうと心配になるものです。私たちは、生理が遅れたという患者さんを診た場合、まず最初に妊娠しているか否かの判断を行います。私たちが産婦人科医になって最初に厳
今日は、「卵巣刺激は、ホルモン値と卵胞発育の状況から刺激量を増減させるとうまくいく」後編です。「点と線」(ホルモン値の読み方)後編1「FSH」に言いたいことは書いてあるのですが、治療に対する理解が相当ありそうな方からも、「難しくてよく分からなかった」「途中で脱落した」とのご意見がありましたので、今日は少しかみ砕いでお話しようと思います。当院における卵巣刺激の分類は、おおむねこのような形で判断しています(これは説明会やその資料で公表したり、研究会で発表したものを簡略化したものです)
今日は11月29日、いい肉の日です。11月11日はポッキーの日、11月22日はいい夫婦の日ですが、外来でコメントして一番皆様の反応がいいのが、この日です。たいして面白いわけではないのでウケ狙いでドヤ顔で言うよりも、ニコリともせず真顔で急にと言うと、不意を突かれて笑っていただけることが多いと気づき、この言葉にはだいぶお世話になりました。ちなみに、「ポッキーの日」は、皆様、ほぼ無反応で、患者さんとクラークの冷ややかな視線がステレオで突き刺さり、寂しい思いをしました。さて、いきなり脱線してし
みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズ、今日で第19回となります。番外編はあったものの本編としては1か月ぶりです。お待たせいたしました。さて、不妊治療(妊娠治療)の最終目的は妊娠成立ではなく、「無事のご出産」です。もちろん、妊娠成立が一定のゴールになることは間違いありませんが、元気な赤ちゃんが生まれて、初めて本当のゴールになります。そのために大切なのは、まず第一に妊娠成立が大前提ですが、もちろん、その後妊娠が継続でき
着床の窓についての記事をアップしたところ、ご質問がありましたので回答します。Q)自然周期で着床の窓の検査をしてずれなしの人がホルモン補充で移植しても、やはりずれなしとなるのでしょうか?自然周期で着床の窓けんさをして、ずれがなく、自然周期で移植をし一度陽性が出ています。流産してしまいましたが、その後自然周期で何度移植しても陰性が続き、ホルモン補充の移植を試してみようかと思うのですが、その場合はまたホルモン補充の周期での着床の窓の検査をした方が良いのでしょうか?とても疑問に思いメッセージをさせてい
不妊治療(主に体外受精)は、現在、原則として全額自費で行われ、助成金による公的補助により成り立っています。2022年4月から保険適応になると言われておりますが、具体的に決定していることはまだ何もなく、課題も山積している状況です。本稿では、保険適応がいいとか悪いとかではなく、実現しようと思った時に、どういうハードルがあるのかについて、保険医療財政や薬の適応症の仕組み等に触れながら幅広く一緒に考えていきましょう。不妊治療助成金はもともとの予算が150億円規模、1月からの増額で年間総額は助成金額は
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*不妊治療5年目転院3回(静岡LC→俵IVF→RCO→RCT)採卵は21回移植は7回目めーたん47歳枯葉マークです。まだカテゴリ移動はいたしません。よろしくお願いします。*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*少し過去記事。最後の移植、妊娠判定日の記録です。読みたくない人はここで閉じてください。よろしくお願いします。今日の小ネタ。クッション画像wめーたん実は自慢したいことがあります!!なんと
生殖医療解説シリーズのまとめサイトです。定期的に追加あるいは細分類しています。論文紹介というよりも、皆様の診療の指針や解説になるような内容を心がけておりますので、最新記事を常にという方には物足りないかも知れませんが、基本的にはリプロダクションクリニックの標準方針に則ったことを書いておりますので、リプロのやり方を知りたい方にとっても参考になると思います。最近更新が滞りがちですが、迷う局面で重要な内容はほぼ網羅されていますので、ぜひご一読ください。☆が多いものがおすすめの記事となります。
このブログをお読みの方でAMHを知らない方は恐らくほぼおられないと思いますが、このAMH(抗ミューラー管ホルモン)が、実は性分化と密接な関連があることをご存じの方は多くないかもしれません。ヒトの性別は性染色体により決定されます。染色体は全部で46本あり、1~22番が2本ずつ(合計44本)の「常染色体」に加えて、性染色体2本が「XX」だと女性、「XY」だと男性です。いきなり脱線しますが、染色体の表現は46,XX、46,XYと書きますが、これは、46本に加えてXXで合計48本という意味ではなく
みなさん、こんにちは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズ、今日も番外編です。体外受精においては、自然周期、低刺激、高刺激等の方針があります。中には完全自然周期とか中刺激という用語を使う場合もあります。意外かもしれませんが、これらは、各クリニックあるいは医師が独自に表現・分類しているだけで、「こういうものを低刺激といいましょう」とか、「こういうのを中刺激といいます」という共通の明確な定義はありません。例えば、クロミッドだけを内服
みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズレギュラー編としては第22回となります(トータルでは38編目)。過去ログもぜひご覧ください。さて、今日は受精について解説いたします。受精というと、本当は、減数分裂の起こり方など何回読んでもいまいちよく分からない部分を避けて通れないのですが、生殖医療解説シリーズは実践重視なので、敢えてそこは避けて通り、結局、よく見るあの記号は何を意味するのか、どういう受精結果だと結局どうなのかという