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こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・専門知識(a)本文の初めの「擾乱」とは、とくに気象学では「気象擾乱」とよぶ場合もあり、水平規模が約10km程度の雷雨をもたらす積乱雲から台風、さらに大雨をもたらす温帯低気圧などの総観規模のスケールまで、一般的に大気が乱れる現象のことをいいます。(気象衛星センターHP:2015年10月10日03UTC赤外よりトランスバースラインの例(矢印))次に、本文を読みますと、「北側に広がる上層雲が急速に発達し、北縁に
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・専門知識(a)まず、「実況で夏日になった日のみを抜き出して」とあります。この「夏日」とは何かといいますと、日最高気温が25℃以上の日のことです。ちなみに、日最高気温が30℃以上の日は「真夏日」、日最高気温が35℃以上の日は「猛暑日」、0℃未満の日は「真冬日」、日最低気温が0℃未満の日を「冬日」といいます。そこで、表の実況で25℃以上の夏日は何日あるか見てみますと、3日~8日かけて6日間連続していることがわ
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・専門知識(a)地上気象観測における「天気」とは、雲と大気現象に着目した大気の総合的状態のことをいいます。初めに、本文を読みますと、『層積雲が全天の8割を覆っている場合は、天気は「曇」である。』とあります。十種雲形では、巻雲・巻積雲・巻層雲は上層雲、高積雲・高層雲・乱層雲は中層雲、層積雲・層雲・積雲・積乱雲は下層雲にそれぞれ分類されてます。なお、対流雲である積雲・積乱雲は下層雲に分類されます。本文にあ
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・実技1・問3㏗今回は、図8(上)に基づいて図1の初期時刻の日本付近にあるこの前線が、12時間後にどういう予想位置になるかを図7(上)の地上予想図の枠で囲った範囲内に解析せよ、という問題です。まずはじめに、12時間後の地上において予想される前線の位置を解析するには、図8(上)の850hPa面における前線の位置を解析してみる必要があります。その理由は後ほど述べることにします。今回の850hPa面における前
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・実技1・問4まずはじめに、問題に出てくる「凍雨」について、本文では簡単な解説をされていますが、もう少し補足してみたいと思います。凍雨は「あられ」や「ひょう」といった「しゅう雨性の降水」として降るものに対して、主に高層雲や乱層雲から降る「層状性の降水」で、落下の途中で雨滴が氷点下の層を通過している間に凍結し、透明で球状または不規則な形、直径が5mm未満の氷の粒として落下する現象のことを言います。これを踏ま
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・実技1・問4(5)大雪警報・大雪注意報は、大雪による災害、例えば降雪や積雪による住家等の被害や交通障害などが発生するときに発表されます。また警報とは、重大な災害が起こるおそれのあるときに警戒を呼びかけて行う予報、注意報は災害が起こるおそれのあるときに注意を呼びかけて行う予報です。今回の問題は、水戸市の例ですが、お住まいの市町村ごとの発表基準が設けられています。気象庁HPの「警報・注意報発表基準一覧表」で閲覧するこ
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・実技2・問1今回は、図1の地上天気図にあります三陸海岸から関東地方にかけてと、沿海州の沿岸から朝鮮半島の東岸にかけての2か所にいずれも沿海州北部の沿岸にある高気圧から南へ延びている周囲より気圧の高い領域について、図4の850hPa天気図に基づき、これらの2つの気圧の高い領域に関連する850hPa面の温度分布に共通した特徴を述べよ、という問題です。この先ほどから問題文にある、「高気圧から南へ延びている周囲より
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・実技1・問2(1)まず、逆転層の種類として、問題文の下枠の「接地逆転層」、「沈降性逆転層」、「前線性逆転層」について、一般知識のおさらいとして簡単に振り返ってみたいと思います。《接地逆転層》夜間の放射冷却によって地表に接する空気が冷やされて、その上にある空気より気温が下がる場合に、形成される逆転層です。特に冷気が溜まりやすい山地に囲まれた盆地で発達しやすいのが特徴です。《沈降性逆転層》高気
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・一般知識今回の設問では、気温、気圧、相対湿度、さらに水蒸気の気体定数と与えられた気温における飽和水蒸気密度の値が与えられており、これらの値から、ある空気塊における乾燥空気の分圧を求める、というものです。まず、これらの値の中に、気温・気圧・水蒸気の気体定数があることから、問題文を読んだ時点で気体の状態方程式を使うのではないかということが見え透いてきます。気体の状態方程式とは、p=ρRTp:気圧(
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・実技2まず、①②に関連する表のいちばん上の項目、「500hPa渦度極大点の地上中心からみた方角」から見ていきたいと思います。図8(上)の25日21時および図8(下)の26日21時に予想されている台風の中心位置をトレーシングペーパーで写し(赤色の×印)、図9に重ねますと、上図のようになります。この結果、25日21時では500hPa面の中心付近にある渦度極大点284×10-6/sにほぼ同位置とみることができます
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・実技1・問4(1)今回は図5(下)の29日9時および、その12時間後の図10の21日21時における館野のエマグラムを用いて、前問の①で解答した逆転層の上端付近の気温および850hPaから地上にかけての気温を比較して、それぞれの時間変化の特徴を述べよ、という問題です。問題文は短いですが、本文から2つの論点について解答に盛り込む必要があります。それは、①逆転層の上端付近の気温について、この12時間の時間変
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・専門知識(気象庁HP:表面雨量指数より)はじめに、上の図を見ながら表面雨量指数とは何かを考えてみたいと思います。一言で「地表面」といいましても、地中に浸み込みやすい山地や水はけのよい傾斜地などもあれば、アスファルトやコンクリートといった被覆に覆われているところもあります。雨が降りますと、地中に浸み込みやすい場所の地表面であれば雨水が溜まりにくく地中への浸透が多くなりますが、アスファルトやコンクリート、平
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・専門知識(a)まず本文を読みますと、「数値予報モデルで予想された降水域の位置が実際の位置から外れている場合」とあります。本文の例では降水域の位置ですが、数値予報モデルで予想された高気圧や低気圧などの位相のズレ、すなわち数値予報の時間的・空間的なズレを修正することはできません。数値予報モデルで予想された降水域が実際の位置から外れている場合は、ガイダンスもそれに合うように利用者が修正して使用する必要があります。
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・専門知識(a)まずはじめに、北日本では平年より気温がどうだったか。北日本付近に着目しますと、オホーツク海からカムチャッカ半島付近へ等高度線が大きく蛇行していることがわかります。これは偏西風の流れが南北に大きく蛇行しており、この図が7月上旬の旬平均の天気図であることから、このような現象が1週間前後かそれ以上続いたことを表わしています。この現象のことを「ブロッキング」または、「ブロッキング現象」とよんでいます。そしてこの大
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・専門知識(a)本文にありますラジオゾンデのような高層気象観測に用いる観測機器や雨量計や温度計といった地上気象観測に用いる観測機器の運用によって得られた観測値が仮に格子点の値と地理的に直近にある、あるいは一致していても、観測値がそのまま解析値になるとは限りません。これは、観測値に誤差が含まれている可能性があることや、観測値が局地的な気象状態を示している可能性があるためです。したがって、「精度が高いため」とする本文の内容
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・実技2・問1今回は、図2の相当温位・風12時間予想図を用いて、九州に接近中の台風に伴う850hPa面の風速分布の特徴を述べるのが一つ、もう一つが850hPa面の相当温位分布の特徴を述べよ、という内容です。初めに台風に伴う850hPa面の風速分布の特徴について見ていきます。問題文では具体的に、「台風中心を取り巻く風速分布」に着目して、「風速が最大となる位置とその風速値に言及」、つまり風速が最大となる位置とその
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・実技1・問2(1)今回は、前回に引き続き、名瀬の状態曲線(エマグラム)において、今度は地上にある空気塊が凝結するまで断熱的に持ち上げられたときの雲が発生する高度を答えよ、という問題です。地上から空気塊を持ち上げるとき、どこで空気塊の凝結が始まるかを知るためには、まず、問題文に「名瀬の高層気象観測地点の現地気圧は985hPa」とありますので、ちょうど気温と露点温度がスタートするところから、気温は凝結するま
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・専門知識(a)気象庁HPによりますと、予報用語としての「集中豪雨」とは、「同じような場所で数時間にわたり強く降り、100mmから数百mmの雨量をもたらす雨。」と説明されています。それでは集中豪雨の水平スケールはどの程度の規模なのか、ここからは、「一般気象学」p159の図6.27「大気の運動の時間・空間スケール」の図を見ながら考えてみます。本文にあります、「数kmから10km程度」の水平スケールの大気の運動
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・実技2今回は、問2(1)で穴埋めして完成させた表を踏まえてこの台風の初期時刻の24日21時~48時間後の26日21時にかけての構造変化について述べた文を穴埋めしていく問題です。では穴埋めに係るところを読み下していきながら考えてみます。(第1段落)「この台風は、24日21時には、気象衛星画像で中心に(ⓐ)があり、」とあります。初期時刻の24日21時において台風の勢力はどうなのかにつきましては、問1(1)の気
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・実技1・問4図11の水戸におけるウィンドプロファイラ観測による高層風時系列図によると、14時〜21時にかけて受信強度が上下の層と比較して強い層が見られることについて、これが気象レーダー観測におけるブライトバンドに対応しており、この高度を0.1km刻みで答え、さらにこの層でみられる降水粒子の形態の特徴を気温に言及して25字程度で述べよ、というのが今回の問題です。(気象庁HP:知識・解説>気象衛星・気象観測>気象レーダー
こんばんは。2021年1月31日に行われる第55回気象予報士試験の受験申請が始まりました。12月4日までとなっていますが、受験される方は早めに申請を済ませておきましょう。それでは問題を考えてみたいと思います。第54回試験・実技1・問2(1)空気塊が地上から乾燥断熱線に沿って持ち上げ凝結高度に達し凝結が始まりますと、今度は湿潤断熱線に沿って上昇することになります。今回の名瀬のケースでは、空気塊が960hPaで持ち上げ凝結高度に達して湿潤断熱線に沿って上昇するときに、
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・専門知識(a)気象レーダーは、上空の降水を捉えてそれを降水強度に変換して、広範囲を面的に連続して観測ができるという特徴があります。しかし、気象レーダーによる降水の観測は、アメダスなどに設置されている雨量計に比べると、観測の精度が高くないのもそうなんですが、地形(グランドクラッター)や海上の波(シークラッター)による反射をも降水として認識してしまうという欠点もあります。(大阪・高安山気象レーダー観測所2
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・実技2・問2今回は、図8(上)の25日21時に見られる紀伊半島から四国にかけて表現されている降水域について、降水量が多くなると予想される2つの暖湿空気に関わる要因をいずれも「暖湿空気が、」の書き出しに続けて、書き出しを含む25字程度で述べよという問題です。前問の問2(3)で温暖前線を解析しましたが、温暖前線の前面では348Kから最大357Kの高い相当温位を伴う暖湿空気が強い南から南西の風となっているのに対し、温暖前線の
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・専門知識まずはじめに、ラジオゾンデとはどういう観測機器なのか簡単に概要について触れておきたいと思います。ラジオゾンデは、気圧、気温、湿度等の気象要素を測定するセンサを搭載し、測定した情報を送信するための無線送信機を備えた気象観測器です。温度計と湿度計は、ラジオゾンデから突き出たアームに取り付けられており、気圧計や無線送信機、電池等は、ラジオゾンデの本体(白色発泡スチロールまたはプラスチックの収容箱)内部にありま
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・専門知識(a)台風は上陸しますと、地上との摩擦が増大し、また海面からの熱と水蒸気の供給が大きく減少することから、眼が不明瞭化し、軸対称性も崩れてくる形で衰弱していきます。赤外画像ではその衰弱期にある台風が示されていますが、依然として東日本を中心に白く写っている領域が見られます。赤外画像では、地表面や雲から放射された地球放射を捉えて、その放射量を測定することによってステファン・ボルツマンの法則(I*=σT
新年あけましておめでとうございます。本年も当ブログ「てるてる風雲録」をよろしくお願いいたします。第55回気象予報士試験がいよいよ今月に控えていますので、元日から早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・実技2・問1(4)今回は、図5の気象衛星赤外画像において、破線で囲っている雲域に関連して300hPaトラフを解答図に記入する、という作図の問題です。これまで54回を数える気象予報士試験で300hPa天気図にトラフを作図するという問題は多分なかったっと思いますが、
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・専門知識ポーラーロウ(ポーラーロー)は、問題文の冒頭にありますように、日本付近では冬季において寒冷渦(寒冷低気圧)に伴い、特に日本海で多く発生する中規模の擾乱で、寒気場内小低気圧ともよばれています。ではその具体的な特徴について(a)~(d)の内容を検討しながら見ていきましょう。(a)(第42回試験・専門知識・問11の気象衛星画像より)寒冷渦は上層において強い寒気を伴っていますので、これが相対的に暖か
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・実技2今回の問3(1)は図13の大牟田における気象要素の時系列図、および図14のアメダス実況図を用いて大牟田における25日の気象経過について述べた文を穴埋めしていく問題になります。それでは第1段落から文を読み下しながら考えてみます。(第1段落)「大牟田では、台風の再接近前はおおむね(①)の風が吹き、」ということで、図13の時系列図のいちばん上の風向についての折れ線グラフを見ますと、25日3時00分から6時
こんばんは。早速ですが、考えてみたいと思います。第54回試験・一般知識(a)図は横軸に温位、縦軸に気圧をとし、ある未飽和の空気塊を断熱的に持ち上げたときの温位の高度変化を実線で、周囲の大気の温位を破線で示したものです。ある空気塊が断熱的に上昇あるいは下降しますと、その温度は変化しますし、また同じ空気塊であっても気圧によって温度が変化します。そうしますと、高さの異なる複数の空気塊を単純に比較するためにその基準となる物差しが必要になってきます。そこで1000hPaという
こんばんは。今回は、専門の続きで、水戸では30日0時から9時まで雪が降り続くと予想されていることについて、この時間帯の雪水比を0.7としたときの予想される降雪量の最大値を求めよ、という計算問題です。少し問題の指示がややこしいですが、複雑な計算がもとめられているわけではありません。さて水戸での降雪量はどれだけか、次回一緒に考えてみたいと思います。」第54回試験・実技1・問4(5)※記事中の問題文及び図表は一般財団法人気象業務支援センターの了承を頂いて使用しています。16