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2021.1.31一日一季語狐(きつね)【冬―動物―三冬】本物の狐はこんと鳴きませぬ島雅子見た目や動きなどから犬と猫の中間にも例えられるキツネ。でもその鳴き声は多種多様で、状況に応じて使い分けているそうです。童謡などでも、狐は「こんこん」と鳴くというイメージが強いです。しかし実は、猫に近い鳴き声だという。アメリカのキツネの救助団体「SaveafoxRescue」によると、おしゃべり好きなキツネたちはその外見からは想像がつかない鳴き方をするという。ただ、交
2020.6.8一日一季語栗の花(くりのはな)【夏―植物―仲夏】山門や栗の花散る右左寺田寅彦*2020.6月板橋区にていかにも俳句らしい、写生の句。「天災は忘れたころにやってく」といったのは寺田寅彦さんです。言わずと知れた物理学で多くの業績を残された科学者です。俳句との出会いは、熊本の五高に在学中(明治32年、卒業)に英語の講師として赴任してきた夏目漱石と出会い、漱石から俳句を学んだことからだという。寺田寅彦の俳句は独自の世界を持つ独創的な情緒溢れる句
2018.04.17一日一季語松の緑摘む(まつのみどりつむ)【春―生活―晩春】緑摘む池の中より梯子立て青柳志解樹青柳志解樹(あおやぎしげき、1929年1月24日-)は、長野県出身の俳人。。1953年、林邦彦を知り、加藤楸邨の「寒雷」に投句。1957年「鹿火屋」に入会、原コウ子に師事。1979年「山暦」を創刊・主宰。1992年、句集『松は松』で第32回俳人協会賞、2014年『里山』で第3回与謝蕪村賞を受賞。2018年『冬木の桜』で第5
2018.05.12一日一季語紫蘭(しらん)【夏―植物―初夏】紫蘭咲いていささかは岩もあはれなり北原白秋*2018.05.09横浜にて1885年(明治18年)柳川藩御用達の海産物問屋を営む旧家(現・白秋生家)に生まれ。1904年(明治37年)に早稲田大学に入学。学業の傍ら詩作に励む。1909年(明治42年)処女詩集「邪宗門」を発表。2年後、詩集「思ひ出」を発表。名実ともに詩壇の第一人者となります。その後も、「東京景物詩」「桐の花」な
2019.4.10一日一季語杉菜(すぎな)【春―植物―晩春】つくづくさびしいと杉菜見てゐる人北原白秋童謡「からたちの花」などで有名な北原白秋(きたはらはくしゅう)は、童謡以外の詩、短歌、校歌、新民謡、それに俳句でも多くの作品を残しています。俳句について白秋は室生犀星を相手に、次のように語っているそうです。「発句は形が短いだけに中身も児童の純真が欠かせない。発句にはそれと同時に音律の厳しさがある。七五律はちょっと甘い。五七律をこころみてみたい」。白秋の
2018.07.01一日一季語祇園祭(ぎおんまつり《ぎをんまつり》)【夏―行事―晩夏】鉾紅し嫁に来し日の衿の色関戸靖子*ネットのフリー画像です祇園祭行きたい・・・1931年(昭和6年3月29日)滋賀長浜に生る。1948年坂本春甕に師事、下村槐太を知る。1953年「鶴」入会。第十六回風切賞受賞。1974年「泉」入会創刊同人。第一回飛石賞受賞。「声」主宰。俳人協会評議員【傍題季語】祇園会(ぎおんえ《ぎをんゑ》)祇園御霊会(ぎお
2019.6.27一日一季語結葉(むすびば)【夏―植物―初夏】祝・春燈800号結葉や脈々と継ぐ師の余情小局昭夫歴史有る句誌の一つ、「春燈」の800号(平成25年7月号)に対する挨拶句。季語の持つ、力強い生命力が結社の繁栄をと継続をたたえている。「春燈」は、安住敦(あずみ・あつし)と大町糺(おおまち・ただす)が、久保田万太郎(くぼた・まんたろう)を擁立し、戦後の混乱のさなかの昭和21年1月1日に創刊されました。久保田万太郎、安住敦、成
2019.12.19一日一季語アロエの花(あろえのはな)【冬―植物―初冬】アロエ咲く島のくらしに富士一つ行方克己今日は伊豆、富士市へと出張をした。海岸線には松の木が、街路樹として植えられていたのと、松の木の根元には、アロエの花が盛りだった。雪を被った富士の白さと、アロエの花のオレンジ色がいい対比でした。【傍題季語】花アロエ(はなあろえ)、アロエ咲く(あろえさく)*花アロエは、別の種類の植物があるので、使い方には気をつける必要がありそう
2020.7.16一日一季語蜜豆(みつまめ)【夏―生活―三夏】蜜豆や美女といはれし婆二人清水保甘味処へは、老いも若きも女性の姿なら似合いますね。私にとっての、蜜豆の記憶は、缶詰を開けて食べた子供の頃の思い出。姉と半分づつにして食べるくらいの、めったに食べられない贅沢品。さくらんぼは一つしか入っていない。色の付いた寒天とともに、いつも取り合いになったように思います。*2020.7上野にて【傍題季語】餡蜜(あんみつ)【季語の説明】賽(さい)
2018.08.10一日一季語盆用意(ぼんようい)【秋―生活―初秋】倍々に百味を刻む盆支度能村研三能村研三(のむらけんぞう、1949年2月17日-)千葉県出身の俳人。能村登四郎の三男として市川市に生まれる(兄二人は研三の出生以前に死没)。東洋大学を卒業後、市川市役所に勤務。1971年、父の主宰する「沖」に入会。福永耕二から手ほどきを受け、登四郎、林翔に師事。1976年、「沖」同人。1992年、『鷹の木』により第16
2020.4.4一日一季語風光る(かぜひかる)【春―天文―三春】風光るこはさぬやうに嬰抱きて都筑智子*2020.4.3御殿場平和公園より春は自然界の息吹を特に感じる季節だと思います。太陽の光を受けて心地よく吹くそよ風。生まれたての嬰児の頬を優しくそよいでいるのでしょう。首も据わっていない嬰児を抱くのは、本当に気を遣います。壊さぬようにの措辞はこうした雰囲気を表現しているのだと思います。【傍題季語】光る風」(ひかるかぜ)「光風」(こう
2019.02.14一日一季語杉の花(すぎのはな)【春―植物―初春】桜咲き杉の花粉もしづまれり右城暮石*2019.2.12NHKより近年は、「花粉症」が春の季語として認められ始めました。しかし、花粉症は、杉の花粉だけでなく、人によっては、ヒノキの花粉、カモガヤの花粉、更に、秋のブタクサの花粉にも悩まされる方もいるようです。イネ科やイチョウ科の植物の花粉は厳寒期以外はほぼ通年飛んで花粉症を発症させているようですから、季節感はないことになってしまいます。
2019.4.19一日一季語楤の芽(たらのめ)【春―植物―仲春】山刀伐(なたぎり)の太き楤の芽朝日出づ池田義弘*2019.4.18山梨桔梗屋さんにて鉈切り(なたぎり)とは、料理で、野菜の切り方の一種。大根などをなたで削るように回しながら薄めの乱切りにする。本来はなたで切る方法で、粗い切り口になるため、味がよくしみ込み、煮物や漬物に向くとされる。ということです。この句では、山刀伐という勇ましい字による、視覚的な効果が著しいと思います。
2020.4.16一日一季語二輪草(にりんそう)【春―植物―晩春】一輪の揺れを伝へて二輪草角川照子*2020.4.15板橋区赤塚公園近くにて演歌歌手・川中美幸のヒット曲でも知られる二輪草(ニリンソウ)。板橋区の群生地でも白い花を咲かせています。ニリンソウは、まず1輪咲き、遅れてもう1輪咲くそうです。唄の歌詞にもある、夫唱婦随そのものですね。句のように、一輪の揺れをお互いに感じる。擬人化に近い表現のようにも思います。【傍題季語】鵝掌草(
2020.5.28一日一季語花茣蓙(はなござ)【夏―生活―三夏】花茣蓙に息もらしたる魔法瓶辻桃子*2018年浅草駒形どぜうにて日本に魔法瓶が輸入されたのは1907年(明治40)9月。1907年(明治40)10月22日付の東京朝日新聞で、東京帝国大学理学博士の飯島魁(いさお)が記者との対談で初めて「魔法瓶」と表現した、とされている。飲み物の温度を長時間キープできる「魔法瓶」。お湯を大量に沸かして魔法瓶に入れておけば、再度お湯が必要となった際
2018.05.05一日一季語朴の花(ほおのはな《ほほのはな》)【春―生活―初春】夕空のいまが火の時朴の花永田耕一郎永田耕一郎(1918~2006年)札幌の俳誌「梓」(現在終刊)を主宰した。「既成の概念、自分の固定観念で句を作らない」ということです。「俳句に観念は必要だが、観念をいかに具象化させることが大切だ。そして、物を見るときはつねに新しい目で見ないといけない」「思いは深く、しかし言葉は分かりやすく」「俳句はことがらを述べるのではなく、ことがら
おはようございますみなさまお変わりありませんか?2023年飛ぶ龍の如く(己書作品)パワーを感じるお花ウキウキパワーのぞうさんモビール季節を感じる優しい花早いもので皐月になりましたねということで月初めのお楽しみカレンダーを紹介しますまずはコチラ歳時記カレンダー日々季節が移り変わっているのが本当によくわかります次はコチラコウペンちゃんには毎月癒されています最後はコチラ己書はかわいい絵と素敵な言葉が好き写真ちょっと曲がっていますね笑あ
2020.5.18一日一季語夏の蝶(なつのちょう《なつのてふ》)【夏―動物―三夏】信号青渡るよ夏蝶まつ先に三輪静子*2017年撮影遮る者のない青信号、元気に飛ぶ姿は夏らしい景ですね。ある研究では、蜜蜂と揚羽蝶の色に対する見え方には、多少の違いがあるという。団体生活で蜜を求める蜜蜂より、単独行動の揚羽蝶の方が、色をより多く感じ取り、蜜を求めて飛んでいるのだそうです。また、別の研究で、蝶には、花がどのように見えているか、紫外線が映る特殊なカメラの画像から
2019.7.11一日一季語夏薊(なつあざみ)【夏―植物―仲夏】山姥の通ひし道や夏薊堀江恵子昨日見事に咲いている夏薊を見つけたのは、埼玉県は熊谷の山近くの遊休地。人が入ることの無い、敷地内には、雑草が生い茂り、虻や蜂も飛んでいました。この句の、山姥の通ひし道。やはり、人里離れたところなのでしょう。【季語の説明】「夏-植物」の季語薊はキク科アザミ属の総称。薊は種類が多く春から秋にかけて花が咲いているが、夏に咲く薊を夏薊と呼んでい
一日一季語2018年04月28日アカシアの花(あかしあのはな)【夏―植物―初夏】花アカシヤ湖に向ひて沐浴する松本澄江*2018.04.26川崎平塚八幡宮にて松本澄江(まつもとすみえ)大正10年3月25日東京生まれ。昭和16年「ホトトギス」初入選。昭和26年「みちのく」創刊同人。昭和29年「若葉」入門、同人。昭和30年「みちのく賞」受賞。昭和60年「風の道」創刊主宰。師系、虚子、風生、梧逸。平成13年「国際文化栄誉賞・社会文化功労賞
2020.2.27一日一季語霞(かすみ)【春―天文―三春】霞より漁船の帰る下田港赤羽正行*2020.2.26伊東付近霞というのは、霧・靄・煙霧などで遠くの景色がぼやけている(=かすんでいる)様。やや文学的な表現で、気象学用語ではないのだそうです。霧に包まれた海の中から、漁船がぬっと現れたような驚きを感じました。【傍題季語】春霞(はるがすみ)朝霞(あさがすみ)夕霞(ゆうがすみ《ゆふがすみ》)遠霞(とおがすみ《とほがすみ》)薄
2020.6.6一日一季語辣韮(らっきょう《らつきよう》)【夏―植物―三夏】辣韮を洗ふ指紋の薄るるまで秋千晴*2020.6.4都内のスーパーにて辣韮の下拵えをしているのでしょう。大きめのボウルに辣韮を入れ、流水にさらしながら洗います。手で軽くもむようにすると、土と一緒に大まかな皮も取り除かれます。これを繰り返し大量に洗っているような様子を句から感じました。【傍題季語】薤(らっきょう《らつきよう》)らつきよ【季語の説明】ユリ科の多年草。秋
2020.2.20一日一季語ミモザ【春―植物―初春】花ミモザ聖母は永遠に子を抱きて荒井千佐代*2020.2.17伊豆にてイタリアでは三月八日の「国際女性デー」の時期に咲くミモザの花をシンボルとして、男性が女性にミモザの花を贈ることが習慣になっているという。女性の日に相応しい花であり、聖母にも相応しい。作者を、沖、時代から存じているが、敬虔なキリスト信者です。【傍題季語】花ミモザ(はなみもざ)【季語の説明】マメ科の常緑高
2020.5.27一日一季語蠛蠓(まくなぎ)【夏―動物―三夏】まくなぎの阿鼻叫喚をふりかぶる西東三鬼*2020.5.24板橋区赤塚公園にて作者の自註がある。「門の傍に楠が一本立つてゐてそれに添つて地上十尺の所にいつもまくなぎがかたまつて猛烈に上下してゐた。その微小な蟲共は全く狂つてゐた。然し彼等が生命を持つてゐることは疑へない。生命を持つものの大叫喚が聞こえないのは人間の耳が不完全だからだ」阿鼻叫喚とは、阿鼻地獄と叫喚地獄。またはただ阿鼻地獄のみをさす
2019.7.5一日一季語百合(ゆり)【夏―植物―仲夏】お見合の如向き合ひし百合二本三上冨佐子大きく開く艶やかな顔立ち、濃厚な香りも漂わせ、すらりとした茎に咲く印象的な百合。存在感のある花だと思います。この句では、そんな百合の花が向かい合って咲いている。ただそれだけの景であるのだが、お見合いの如くの比喩が、面白い。擬人化した途端に、百合二本が恥ずかしげな二人の姿を現している。【傍題季語】鉄砲百合(てっぽうゆり《てつぱうゆり》)
2020.5.16一日一季語植田(うえた《うゑた》)【夏―地理―仲夏】雨注ぐ植田千枚見下せり大内恵*2020.5.14静岡県御殿場付近にて米は国民の主食であり、食文化の基礎です。江戸時代の各藩はコメの生産量で表され(石高制)、税もコメ(年貢)。より多くの米作りのため、日本中に田が作られました。傾斜地ではより多くの田を作るために、棚田がつくられ弓形の不整形耕地ができました。急傾斜になるほど1筆は小さくなり,いわゆる千枚田となります。作者は、こ
2019.4.29一日一季語昭和の日(しょうわのひ《せうわのひ》)【春―行事―晩春】男らが乳母車押し昭和の日出口善子平成19年になってから、名称が変わった季語。そのせいか、例句、歳時記の掲載などが極めて少ない。この句では、乳母車という表現になっているが、この言葉自体が、昭和を感じる。現代では、ベビーカーであろう。男らが押す景は、現代の景でもあるようだ。【季語の説明】四月二十九日。昭和天皇の誕生日だったが、平成元年に「みどりの日」に変わり、平
2020.4.14一日一季語春落葉(はるおちば)【春―植物―晩春】春落葉いづれは帰る天の奧野見山朱鳥:2020.4.12赤塚公園にて野見山朱鳥の第1句集「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)」には「曩(さき)に(川端)茅舎(ぼうしゃ)を失ひ今は朱鳥を得た」と虚子の序文がある。病床で俳句を詠みはじめた。俳誌「ホトトギス」の巻頭句には、朱鳥29歳の作品がある。火を投げし如くに雲や朴の花この句では、大きな風景のなかに、瞬間をしっかと見据えた朱鳥がいます。写生に
2021.2.7一日一季語薄氷(うすらい《うすらひ》)【春―地理―初春】会ひたくて逢ひたくて踏む薄氷黛まどか会いたくて逢いたくてしかたないのに、会いに行けない人がいました。早春、水たまりに張った薄い氷を靴先で戯れに踏みながら、会いたいという思いを持て余すばかり。好きになれば、その想いのまま、何のためらいもなく会いに行ける人もいるのでしょうが、私には、どうしても会いに行く勇気が持てず、その薄氷の手前でとどまったまま。春先にうっすらと張った氷のように、ほんの少し
2019.5.31一日一季語あやめ【夏―植物―仲夏】あやめ見や女船頭歌ひだす鷹羽狩行*2019.5.30水郷佐原あやめパークにて園内をあやめ見の小舟が行き来する、水郷佐原あやめパーク。女船頭さんのこんなサービスもあるのかしら。「おんな船頭唄」(おんなせんどううた)は、1955年にリリースされた三橋美智也のシングル。三橋の初ヒットとなる(B面)。1956年には日活から同名のタイトルで映画化されており、三橋も劇中に艶歌師・三田道也役で出演。現