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「アタシが持っていくのよ!」「いや、私よ!」と厨房が姦しい。「喧しいっ!なんだなんだお前達は〜」屋敷用の厨房を一手に任されている厨師が怒った。見ると点心が載った盆を奪い合いしている。「諭坊ちゃまが里帰りされて今西跨院にいらっしゃるんです!今からおやつをお持ちするんです」「なんで奪い合いしてるんだ?」女子は年配から幼いのまで一斉に目尻を下げ頬を赤らめ身体をくねらせた。厨師はどん引いた。「気持ち悪いぞ、お前達…!」「だってぇ〜諭様ってね〜!」「ね〜っ!」謹習書院で研鑽を積み郷
とうとう柳兪君が四川に行ってしまう日になりました。お勉強の時間が終わると柳兪君をみんなの前に呼んで曹覚文先生がおっしゃいました。「この宗塾の出身である事を忘れず、国家の繁栄に尽くせる人材となれるよう日夜勉学に精励するのだぞ」柳兪君は「お言葉を胸に刻み御期待を裏切らないよう励みます」と、挨拶しました。挨拶が終わった後もわたしはわざとグズグズしていました。柳兪君は帰ってゆく一人一人と挨拶をしていました。最後に暖暖だけが残って二人だけになりました。「柳兪君、謹習書院に行っても暖暖のこ
金峯山寺(きんぶさんじ)蔵王堂の仏像や建築物に夢中になって、いつしか時間が昼過ぎになっていることを忘れ、月美結貴さんから、𠮷水神社に参拝する時間がかなりギリギリであることを告げられた僕ですが……10秒ほど思案したものの、何とかなるんじゃないかという気がして、「速攻で、𠮷水神社を参拝してしまいましょう」と月美さんに提案しました。この時間に追われる展開、まさに僕のいつもの人生パターンです。こういう時には、考えるよりも早く行動してしまうに限ります(笑)月美さんも「𠮷水
床の間の脇でよく見かける「付け書院」。こちらの古民家は、取込付け書院です。何のために作られてきたのでしょうか。由来は、桃山時代頃に遡ります。付け書院(つけしょいん)の原型は貴族や僧侶の私室に作られた出窓上の出し文机(ふみづくえ)で、開口部に障子を入れ、机を造付けにして読書の場所として使用されていました。桃山時代以前は私室的な小室に設けられていて表向きの広い部屋にはなく、また必ずしも床や床脇棚と近接して作られてはなかったが、鎌倉時代末期以降実用を離れ、座敷飾りの一部となり