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『館』シリーズとはまた違う、綾辻小説の魅力が味わえる四篇。諧謔的でアイロニックな「心の闇」、虚実が綯い交ぜになる「夢魔の手」、奇想のミステリー「どんどん橋、落ちた」、ホラー味を帯びた「再生」。趣向に富んだ四篇であり、改めて『深泥丘』シリーズの世界は好きだと思ったし、「夢魔の手」のインパクトもやはり出色でした。なお、四篇とも既出であり別の篇集・中篇集に収録された中の一篇なので、身も蓋もないことを言えばそれらを持っていれば敢えて本書を手に取る必要はありません。もっとも、逆に『館』シリーズしか読んだ
心の中に鬼がいて、心に闇が訪れる。心の中に菩薩がいて、光を届け、寂光へ導いてくださる。心の闇を照らす妙法、その光。闇に堕ちないように、谷底へ転落しないように、過信せず、慢心せず、朝に夕に御題目を唱えて、御題目を離さず、ご信心から離れず、生きてゆくことが大切。信心修行は油断してはならない。続けなくてはならない。やったり、やらなかったり、したり、しなかったり、来たり、来なかったり、ではダメだ。油断すれば、闇が訪れる。力を抜けば、谷に堕ちてゆく。恐ろしい世の中に、複雑な心を抱えて生きる私た