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私は中島敦が大好きです。『山月記』『名人』『弟子』『李陵』などの小説を書いた作家です。NHK「ラジオ深夜便」の『絶望名言』でも紹介し、それが書籍化された『絶望名言2』(飛鳥新社)にもそれが収録されました。その『絶望名言2』を、なんと、中島敦のご長男の中島桓(たけし)さん(87歳)の妻の中島敏枝さん(86歳)がお読みくださって、私宛にお便りをくださいました。とても感激しました!そのお便りの中には、桓さんへの聞き取りによって作成された、貴重な資料も入ってお
「本は読まないわけではないですけれど、一般的に名作と呼ばれるものはあまり読んでいないと思います」母親が新しくできた洋菓子店で評判になっているワッフルを買ってきたというので居間に入った私の耳に、聞き覚えのある声が飛び込んできた。映画の宣伝の番組にタクが原作者として出演していた。ミーハーな母親は主演をする若手の俳優がお気に入りらしく、番組に間に合うように家に帰ってきたようだった。「高校の国語の教科書で『山月記』を読んだ時も、虎に変身する男ということで『タイガーマスク』が頭の中を走り回ってい
前回からの続きです。今日は、『山月記』の中に出てくる漢詩について、お話しします。ご存じの方も多いと思いますが、『山月記』は、『人虎伝』という、中国の小説を基にして書かれています。(『人虎伝』の成立年代等については諸説あるようです。)小説中の漢詩は、この『人虎伝』に出てくるものです。かつての親友袁傪に出会った李徴は、自らは岩陰に身を隠しながら袁傪と会話を交わします。その中で、人間であった頃に作った漢詩を袁傪に朗誦して聞かせ、伝録してほしいと頼みます。最