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夜明け前に見る夢は正夢煉獄前域(アンティプルガトーリオ、Antipurgatorio)の境界に着いた時、煉獄時間は「夜が登る歩みを二歩進めて、すでに三歩目もその翼を下へ向けていた(『煉獄篇』第9歌7~9)」、すなわち間もなく午後9時になろうとしていました。ここまで連れ立って歩いて来た5人(吟遊詩人ソルデルロ、ニーノ判事、ルニジアーナ領主クルラード2世、ウェルギリウスそしてダンテ自身)が、草の上に腰をおろしました。ところが、肉体を持っていた(原文は「アダムのものを身に着けていた:chem
第7環道の到着時刻煉獄門を通過する時、門衛天使によってラテン語の「罪」を意味する「ペッカートゥム(Peccatum)」の頭文字「P」を七つ額に刻まれた巡礼者ダンテは、第6環道を出る時には一つの文字だけになっていました。そして、煉獄最後の第7環道へ向けて出発しました。『神曲』の地獄は闇だけの世界で、天国は光だけの世界なので、現世の時間はありません。しかし、煉獄は現世と同じ時間が使われているので、『煉獄篇』の中ではところどころで時間を示唆する表現が挿入されています。第25歌の冒頭の三
1300年ボニファティウス8世日は暮れかかり、夕靄がこめて、地上の人や動物は解き放たれたが、ただ私だけひとり、旅路の困苦と哀憐の苦悩にたいして、戦いの備えをかためていた。(『地獄篇』第2歌1~5、平川祐弘訳)昼間は森の中をさ迷ったダンテは、ウェルギリウスの説得で地獄を通り抜ける覚悟をしましたが、しかしもう一つ「生身のまま」冥界に行くことができるのか躊躇いがありました。確かにアエネアスは生きたまま冥界に行って帰って来ました。しかし彼はローマ帝国の祖と言われているほどの偉人ですが、ダンテは並
衣笠貞之助監督が1953年に撮った『地獄門』は、カンヌ国際映画祭で最高賞のグランプリ、アカデミー賞で名誉賞と衣裳デザイン賞を受賞した、菊池寛の戯曲「袈裟の良人」を映像化した作品です。信西と後白河天皇に清水将夫(役名:藤原信頼)と源義朝が反旗を翻した平治の乱の最中、武家の長谷川一夫(役名:遠藤盛遠)は、平康忠の命で後白河上皇と上西門院に変装することを志願した女官の京マチ子(役名:袈裟)を宮殿から逃がす任務が与えられます。清水将夫演じる源信頼と源義朝が率いる軍勢の攻撃を受け意識を失った京マチ