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「海炭市叙景」は佐藤泰志が1988年から90年に掛けて書いた短編集。海炭市(函館市)に住む18人の群像劇です。各話の登場人物たちは僅かに影響与え合いながら、それぞれが独立した物語です。全編の背景として揺るがない山は函館山に違いなく、山あってこその人々の生き様のようです。函館山は燦然と輝く観光地だけれど、始まりは炭鉱でした。函館山が意外にも札幌の藻岩山より大分低い、300m級の山であることに今更のように驚かされます。低いけれど街の中心にあって市民の心に聳え立っている。人々を描いて、街の