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君の前では、かっこいい速水真澄でいたかったけど、君の前では、かっこ悪い俺しか出てこない・・・君が、愛しすぎて・・・熱愛発覚スクープの記事なんて、どれだけ見てきたことか。握り潰したものもあれば、己の思惑で、書かせたこともある。真澄にとっては、ビジネス上のイメージ戦略のひとつでしかない。これだって、今度始まるドラマの話題作りにはもってこいのgossipだ。主演の二人の真夜中のデート。寄り添う二人の横顔・・・。「どうされますか?内容的にも大したことないですし、タイミング的には悪くあり
12月24日クリスマスイヴ。クリスマスなんてどうでもいい・・・この季節が巡るたびに、彼、速水真澄はそう思って生きてきた。〜あの子と一緒にはいられないクリスマスに何の意味があるというんだ〜それでも、紫の薔薇の人としての彼は、マヤのために毎年クリスマスプレゼントを贈ってきた。それは本当に細やかな真澄自身の慰めであり、幸せなひと時だった。彼女にクリスマスプレゼントを贈り始めて十年・・・10回目のクリスマスプレゼントは、オフホワイトのカシミヤのコートに同色のロングブーツだ。そして、コートに着
SideMasumi「真澄様、覚悟なさって下さいませね。」と、確かに彼女は言った。あの時は長年の恋が実った高揚感で、何でもやってのけることができると思っていた。が、しかし・・・流石に二徹は堪える・・・執務室の時計は午前3時を過ぎていた。俺は目元をグッと指で押さえた後、軽く首を回して凝りを解した。どうにか仕事の目処はつきそうだ。明日の夜、、いやもう今日か。マヤの誕生日を初めて二人で迎えるため、今日の夜にはマヤのマンションを訪ねる事になっていた。バースデーケーキは水城がマ
Rei'seyes...「青木くん、君に相談がある。」まだマヤと速水社長が付き合う前に、マヤには内緒で彼から連絡があった。マヤをセキュリティのしっかりした大都不動産所有のマンションに移したいという打診だった。マヤはずっと私と一緒に暮らして、面倒を見てきたし、私はマヤにとっては家族のような存在だから、マヤに話すよりも先に、了承を取っておきたいとのことだった。その申し出自体は、それほど驚きはしなかったが、秘書や事務所の人間ではなく、速水社長自ら連絡をくれたことに私は驚いた。「マンション
街の舗道、木枯しに金色の木の葉が舞い散る頃にもなると、社交界は華やぎを見せ始める。室内管弦楽の調べの隙間に人々の楽しげな会話が飛び交う中、北島マヤはホールの隅でひっそりと宴の様子を眺めていた。手に持ったフルートグラスのシャンパーニュは、乾杯の時から殆ど減ってはいない。元来マヤはこうした場が得意ではなかった。女優を生業としながらも、一度舞台を降りれば平凡な女性だと彼女自身そう思っていた。今日も後援会の大物役員のたっての要望でなければ、わざわざこんなところに顔を出したりはしない。こんな不
今夜のマヤは可愛い酔っ払いだ。たったシャンパーニュ2杯を呑んだだけなのに・・・。いつものように偶然を装い、「奇遇だな、おチビちゃん。」と、マヤに逢いに行った・・・。今夜、二人の関係が何か変わる・・・そんな期待と予感を感じながら・・・売り言葉に買い言葉のこれまたいつもの嫌味の応酬戦の果て、婚約が破談になった俺を慰めてやるという、マヤの言葉を引き出すことに成功した。マヤ・・・君は、本当に素直な子だね。ロイヤルパレスホテルのラウンジ。際奥のボックス席は、ほぼ個室に近い作りになっている。
鷹宮紫織との電撃的な破局の後、間も無く公にされた真澄とマヤの交際。真澄の危惧した現実が二人を襲った。例えそれが、二人の純粋な長年の想いの結果であろうと、世間はそんな事に興味はない。『大手芸能プロダクションの社長が、紅天女の上映権を狙っての政略結婚』聴衆は真実よりも、自分達が面白おかしく話題にできるゴシップを知らず知らずのうちに求める。そしてマスコミ達はその期待に応え、僅かな真実をもとに壮大なフィクションを構築していく。〜現代の光源氏ー速水真澄は、まだ少女であった北島マヤを手元に置き・
〜紫の薔薇は誰のもの?〜バレンタイン当日。今日は朝から真澄に落ち着きがない。とは言え機嫌が悪い訳じゃないから、仕事はそれなりに捗っている。むしろ普段よりハイペースだ。聖は真澄のサポートをしながら、ただただ、今日という日が無事終わることを願うばかりだ。「なあ、聖。バレンタインって、日本じゃ女の子から男への愛の告白だけど、海外はとくに性別関係ないんだよな。」「そうですね。チョコレートを贈るのも日本だけのようですしね。」決裁をしながら、真澄が聖に声をかける。「真澄様からもマヤ様に何
紅天女の試演も終わり、晴れて紅天女の正式にな後継者となって、1年後の本公演に向けてプロジェクトを立ち上げようとした矢先、北島マヤが交通事故にあった。舗道を歩いていたマヤにバイクが突っ込んできて、全身と頭部を強打して意識不明の重体。医者は今夜が峠だと言う。真澄はマヤの手を握ったまま、彼女の側から離れようとしない。第一報を受けた時の真澄はかなり取り乱した様子だったが、病院に着いて彼女を見た時からは泣くわけでもなく取り乱すわけでもなく、ただ黙って彼女の側にいる。こんなにも落ち着いていられるの
「私・・・紅天女の本公演が終わったらしばらく海外で暮らそうと思うんです。」貴方が誰かと結婚する景色なんて見たくないの・・・そう言えるなら楽だけど。悩みに悩んだ末のマヤの決心だった。現実からも真澄からも逃げてしまおう。それで自分の心が守れるのならその方がいい。マヤは食後の紅茶を飲みながら、静かに真澄に告げた。近頃は、事務所の社長と事務所の看板女優という関係に託けて、時折こうして食事に出ていた。こんなことで、決して満たされているわけじゃない。けれど、マヤと同じ時を一分一秒でも長く共有
・コミックス28巻<”あんな年下の少女のために…!マヤ…!”から”きょうのあなたはヘンですよ。いつもとちがう…”まで>真澄30歳、マヤ19歳真澄は「ふたりの王女」でおれを感動させたらバラの花を贈ろうという約束を守り、マヤに花を贈りました。紫のバラの人からではなく"速水真澄"としてバラを贈る事に成功した真澄でしたが、その結果はどうだったでしょうか?真澄からの花は大都芸能社長としての絶大な威力があって、マヤの今後に間違いなく影響があったはずです。彼女は少しは気づいてくれたでしょうか?真澄はあ
〜prologue〜マヤに初めて逢ったのは、君がまだ13歳の時だったね。月影千草に見出された天才少女・・・いずれ美しく成長して、紅天女になる逸材。俺は強烈に君に魅了された・・・女優として君を一流にすることが、俺の夢になった。そして、その日から君の元に、紫の薔薇が届けられ始めたんだ。それは俺から君への唯一つの愛の印だった・・・〜出口のない暗闇で〜真澄が速水家の養子になって十年たった時、真澄に5歳年下の義弟ができた。亡くなった母の後妻として嫁いだ女性の連れ子だった。真澄は英介に後継
◇Prologue「真澄、お前に最後のチャンスをやろう・・・。」義父の英介が真澄に突きつけてきた条件・・・それは。「北島マヤをお前に惚れさせてみろ・・・。そして、紅天女の全てをその手中にするのだ。それができたなら、鷹宮との婚約は諦めてやる。ただし、期間は三ヶ月・・・その間にお前が、北島マヤを手に入れられなければ、お前は紫織さんと婚約し、結婚をするのだ。そうなればもう、お前には選択の余地はない。その時は、儂があの子にお前の秘密を明かしてやる・・・お前が二度と過去に逃げられないように
Epilogue♪一月も正月気分が去れば、世間は途端にバレンタインムードに包まれる。真澄の周囲でも、それなりではあるが、秘書課の女性たちが浮き足立つ。だが、他の秘書たちはともかくとして、真澄付きの筆頭秘書である水城はこの時期になると、浮き足立つどころか、気分が滅入るのだ。元々、速水真澄という男は、こと恋愛に関してはなんの興味もなく、彼にとってはバレンタインであろうが、クリスマスであろうが、さらに言えば、自分の誕生日でさえ、何の変哲も無い365日の中のただの一日に過ぎなかった。毎年バレン
〜精密検査の結果、北島さんの病気は悪性リンパ腫と診断されます。今後、抗がん剤治療をしていきますが、北島さんの場合、初期段階の発見であり、自己骨髄の採取が可能です。抗がん剤でガン細胞を完全に死滅させたあと、自家移植といって、元気な自分の骨髄を体内に戻してやる治療法です〜紅天女の試演が終わり、後継者の座を手にしたマヤ。ある日、首の付け根に違和感を感じ、病院へいったところ、事態は思わぬ方向へと進んだ。痛みも何もなかったため、そんな生命に関わるような重病を宣告されるとは思いもよらなかった。幸
〜真夜中の極秘会議〜大都株式会社社長室。今のこの部屋の主は、株式会社大都芸能元社長の速水真澄その人である。昨年の春に紅天女の本公演を成功させ、それと平行して鷹宮グループとの提携解消劇を鮮やかにやってのけた後、今の地位に就く。とある日に、主人不在の社長室に集う人々・・・。経営統括部中央秘書室室長社長付筆頭秘書聖唐人。同副室長社長付筆頭秘書補佐兼大都芸能株式会社代表取締役社長水城冴子。大都芸能株式会社経営統括部法務部顧問兼代表取締役社長付M2プロジェクト総責任者藤
「今、天女さまにスパダリ達が夢中!」大都株式会社代表取締役社長の執務室のデスクの上に置かれた、その場にはあまりに不似合いなメンズ向け雑誌。速水真澄が定期的に購読するビジネス誌に混ざって、それが一番上に置いてあった。大都芸能の社長を退いてからも、ある女優の動向だけは欠かさず追っている。何故なら、真澄はその女優から紅天女の上演権を受託し、その総合プロデュースに携わることを速水真澄個人として契約しているからだ。しかし、真澄がその女優を追いかける真の理由は、他にある。確かに以前の真澄は、紅
マヤと恋人同士になって、今日初めて男と女の喧嘩をした。真澄はオフィスの窓から夜景を見渡す。ただ出るのは溜息ばかり。煌びやかな都会の宝石箱も今の真澄には色褪せて見えた。今夜は一緒に食事をする筈だった。本当なら今頃、マヤと一緒に時間を過ごせた筈なのに。明日からマヤは仕事で渡仏し、そのままオフを向こうで過ごす事になっていた。だから本当は少し早めのクリスマスをするつもりだったのだ。しかし、二人が恋人同士になって初めてのクリスマスを別々に過ごす事が寂しくて仕方がなかった真澄は、その気持ちを
◇Prologue◇マヤの・・・あの子のためならば、俺はこの命さえ惜しくはない。俺の肉や血を差し出せと言われれば、悦んで捧げよう。けれど、まさか自分が、こんな形で、不完全な身体にさせられる日が来ようとは夢にも思わなかった・・・。◇◇◇紅天女の本公演が成功の内に終わった後、マヤはロンドンに2年間の留学に旅立った。お互いに言葉には出さなかったが、『真澄と紫織の結婚』から逃げるように距離をおいた二人。できることなら、ロンドンになど行かせたくはなかった・・・真澄は己の不甲斐なさを呪った
Saeko&Shuka'seyes...「貴女とこうしてゆっくり呑むの久しぶりね、冴子。」二人の行きつけのホテルのラウンジ。大都芸能代表取締役社長の水城冴子と北島プロジェクトの総責任者である藤堂朱夏は、久しぶりにゆっくりとボトルを開けて、語らいの時間を持っている。最近、(といってもなかなかこうしてゆっくり二人でここを訪れる事は滅多にないのだが、、、)ここに来ると、マスターが心得たとばかりに、オーダーもしないのに、5大シャトーのファーストを持ってきては、デキャンタージュを始める。そ
MorningSickness・・・昔、ハーバードに留学していた頃、学生結婚をしていた友人の奥さんが妊娠して、悪阻が酷くて大変だと、その友人が話していたことを思い出した。俺はその時、何故悪阻が"MorningSickness"と言われるのか、ピンと来なかった。ただ、当時は興味も無かったからその時の疑問は放置されたままだったのだが、今になってその意味がようやくわかった。マヤが二人目の子供を身籠った。もちろん俺の子だ。この前マヤに告白されて、感激のあまり不覚にも涙が出てしまったが
・コミックス巻9~10巻<夢宴桜から長野県の別荘まで>真澄26歳、マヤ15歳・紫のバラにのめりこんでいく速水真澄「夢宴桜」以降、真澄はマヤに、これまでのようにオンディーヌに勧誘するなどのアプローチをしなくなりました。その代わり、紫のバラの人として金銭的な接触を繰り返してゆきます。真澄の紫のバラの人としての最初の援助は、マヤの師匠の月影千草の入院費用の負担でした。大都の援助を受けたがらない月影夫人を助けるため、マヤのためというより、便宜的?にマヤを通して紫のバラの人として援助した格
ノーブルな空間で極上のワインと料理。そして目の前には婚約者(フィアンセ)が微笑んでいる。誰もが羨む光景の中に当然のように男もまた静かに微笑む。「真澄様・・・紫織は幸せ者ですわ。愛する殿方とあとひと月後には結ばれることができるんですもの。」「それは僕も同じですよ。」さらさらと流れるように紡がれる言葉に、躊躇いはない。自分はこの目の前の女性と結婚するのだ。その事に何の疑問も不安もありはしない。だが、どうしてか、心のどこかに感じる歪み。これは一体何なのだろう?その正体が分からない
Kuronuma'seyes...北島マヤの紅天女は、奇蹟だ。その奇蹟を可能にしたのは、北島の類稀なる才能である事は間違いの無い事実だ。けれど俺は確信している。速水真澄という男の、あの、愛情を抜きにしてこの奇蹟は起こりえなかったと。マスコミの前でマヤを嗾け、ジェーンを演らせた若旦那の魂胆なんぞ、俺にはすぐに解ったよ。あいつ、マヤに思いっきり、右手を噛まれていた。北島に「あんたなんか最低よ、大っ嫌い!」って言われた瞬間の若旦那の瞳を俺は今でもはっきり覚えてるぜ。仕事の鬼、冷血漢と
----マヤと連絡が取れない。----朝、真澄が出社すると、マヤのマネージャーと秘書の水城が慌ただしくしている。「マヤと連絡が取れないってどういうことだ?」真澄の表情が一瞬にして険しくなる。携帯にもマンションの固定電話にも出ず、マンションにも行ってみたが応答がなかったというのだ。真澄はすぐに一旦脱いだスーツの上着を着て、自分の車のキーを持って部屋を飛び出した。水城とマネージャーが真澄の後に続いた。実はマヤには内緒で、マヤのマンションのセキュリティーシステムに真澄の生体認証は登録し
十五夜〜Jugoya〜そして今夜もマヤのいない部屋で秋の夜長を過ごす。一緒に暮らし始めて、こんなにも離れていたのは初めてだった。始めはマヤと同棲ができているという心の余裕から、寂しさも然程感じることはなかったが、流石にマヤに逢いたいという気持ちが隠せなくなってきていた。真澄はそんな気持ちを紛らそうと、シャワーを浴びて、リビングでウイスキーを飲んでいたところに、マヤからLINEが入った。『窓の外を見て!お月様が綺麗ですよ。』言われるままに、窓際に立つと、望月のような月が煌々と輝いていた
「・・・緊張してるの?」速水邸のメインダイニング。マヤは昨夜から速水邸に泊まっていて、今真澄と一緒に朝食をとっているところだった。いつもなら朝から旺盛な食欲を見せてくれる恋人が、先程から口にしているのは、サラダにあしらわれたハーブ数枚とクロワッサンの端くらいだ。そんなマヤに真澄が声をかけた。特に体調が悪いわけではないことはわかっている。今マヤを悩ませているのは、極度の緊張なのだろう。「舞台の上では、なんの苦もなくあんなに大勢の観客を魅了できる君なのに、不思議だね。」メイドが新たに
「マヤちゃん・・・せっかく来てくれたのにごめんなさい。真澄様は昨日の夜から風邪をひかれて、今日はお休みなの。」水城は秘書室でマヤを出迎えた。今日のマヤも何時もの如く、豆台風で受付を突き破り、ここまで一直線に来たようだ。この豆台風には、“停滞”や“迷走”といったものはまるで無いのである。事情を知らない者から見れば、甚だ非常識な迷惑な行動であろうが、大都芸能を襲うこの豆台風の進路は何時も決まっていて、皆それを心得ており、特に誰も被害を受けることはない。むしろ、台風が過ぎ去った後の台風一過
秋の釣瓶落とし・・・就業時間の定時を迎える頃は、もうすっかり日も暮れて、街は夜の帳に包まれる。これからの季節は秋の夜長。心静かに自身を振り返るにはいい。しかし、今の俺は自分の心を見つめ直すのが怖い。それをした時、行き着く先は見えているから。どうしても打ち消せないたったひとつの願いがある。けれど、その願いはどうにも叶わない。叶えようとしたその時に、俺のたったひとつのその夢が壊れてしまうだろう。完全な袋小路に陥っている自分。だから、何も考えなくて済むように、俺は現実から目を背けて
ある日、紫の薔薇の人に君から誕生日プレゼントが届いた。君が十五歳の秋のことだった。何処の誰かも、名前も歳もわからないからと、君は『紫の薔薇の人の誕生日がきたら渡して欲しい』と、その思いを聖に託してくれたんだ。その年の11月3日に届いた君からの贈り物で俺の心がどれだけ暖かくなったか、君には想像もつかないだろな。あの時のことは今でもはっきり覚えている。薄紫色のラッピングを外して出てきたのは、カシミヤの淡いベージュのマフラー。バースデーカードには、「貴方様のお誕生日がもし春や夏だったら、