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こんにちは、生殖心理カウンセラーの菅谷典恵です。「引き寄せの法則」のようなものを目にされたことがあると思います。心で強く願うと、その願い事が叶いやすくなる、というものですね。心理学にも「認知行動療法」というものが存在します。これは、「自分自身の凝り固まった思考のクセに気づき、もう少し柔軟に考えられたら快適ですよね、一緒に練習しましょう」という心理療法の一つです。うつ状態の治療法として開発されました。スピリチュアル的なもののように感じられる方もいるかもしれませんが、目的は「自分の考えを楽な
様々な治療の甲斐があって、無事に妊娠されたあとも、不安は尽きないことでしょう。エコーの時、診察の時に、皆様口々に「大丈夫ですか、順調ですか」とご質問されます。実際には妊娠中の発育は個人差が大きいのですが、意外と知られていないのは、体外受精児の妊娠初期の発育は、自然妊娠のそれと比べて数日程度(筆者の個人的な主観だと3~4日)遅めに見えることが多いことです。体外受精児が小さいというよりも、週数算定上の差なのかも知れません。ちゃんととったデータではありませんが、現場の実感としては、胎嚢(G
みなさん、こんばんは。ふと、生殖医療解説シリーズを半月も書いていないことに気づきました。最初からこのブログをお読みではない方もおられると思いますが、このブログは一定の更新頻度を守るのではなく、筆者が心から書きたいと思った題材ができた時に書き始め、納得のいく記事ができた時だけアップする、というスタイルで行きたいのです。が。半月はちょっと長いです。これでは読者離れしてしまう。どうしよう。ということで、今日はニーズな高そうな題材に挑戦してみました。過去記事でも類似記事は書きましたが、今日の題材は
あくまでも公式ブログなので、特定の薬剤についてあれこれ書くのは禁じ手であると思ってはいるが、面白い薬なので今日はルトラールとデュファストンについて語ってみようと思います。黄体ホルモンには、投与経路の分類では、膣坐薬、筋注、内服の3種類があり、内容的には①天然型プロゲステロン製剤と、②合成黄体ホルモン類似物質に大別されます。ここで、黄体ホルモン剤については、こちらの過去ログを再掲します。①天然型黄体ホルモン(プロゲステロン)製剤基礎体温は上昇し、P4の検査結果として反映します。【膣
みなさん、こんにちは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズ、今日も番外編です。体外受精においては、自然周期、低刺激、高刺激等の方針があります。中には完全自然周期とか中刺激という用語を使う場合もあります。意外かもしれませんが、これらは、各クリニックあるいは医師が独自に表現・分類しているだけで、「こういうものを低刺激といいましょう」とか、「こういうのを中刺激といいます」という共通の明確な定義はありません。例えば、クロミッドだけを内服
当院では、採卵において、無麻酔、局所麻酔、静脈麻酔(全身麻酔)を使い分けておりますが、無麻酔しかしないとか、原則静脈麻酔とか、医師の考え方によって一部の麻酔方法しかしないクリニックも多いようです。無麻酔しかしない自然周期系のクリニックは、「痛みが少ない極細の針で採卵しております」とか、逆に静脈麻酔メインのクリニックは、「無麻酔なんて信じられない、患者様の痛み緩和を最重視」とか、色々なことを書いたり言ったりします。もちろん、思っていないことは言わないでしょうけれども、採卵の麻酔については、ク
HMGフェリングが出荷停止になってから数カ月が経ちます。もちろん、HMGフェリングが使えなければ代替薬を使うことになりますが、他の製薬メーカーとしても一時的な出荷停止に対して設備投資をして大増産するわけにもいきませんので、各社ともに可能な限りの努力はしているとは思いますが、業界全体に対して十分なHMG/uFSH/rFSH製剤が出回り切れていないのが実情です。以前の記事にも書きましたが、これ以外にも、黄体ホルモン(内服、膣剤)、Gn-RHアゴニスト点鼻、Gn-RHアンタゴニスト製剤、hCG製
外来診療において、もちろん、陽性のお話しばかりたくさんできれば一番いいのだが、妊娠率が100%でない以上、どうしても陰性のお話しもすることになる。その中で一番聞かれるというか、ほぼ必ず聞かれる質問は、「なぜ着床しなかったのでしょうか、何が悪かったのでしょうか」ということである。過去記事「原因を知りたい」についても色々書いたが、原因を究明することは必ずしも容易ではない。もちろん、明らかに途中のホルモン値がよくなかった、融解後の胚の状態がよくなかった、移植後に高熱を出した、子宮内膜が薄かった等
コメントに直接お返事しようかと思ったのですが、1つの記事になりそうですので、書いてみようと思います。採卵時の痛みに関する記事にこのようなコメントをいただきました。「まさに痛みへの恐怖から体外受精に進めません。皆、頑張ってやってるのになんでこんなに弱いんだろうと自分を責めてしまいます...」恐怖がある場合の1つの解決方法は逃避、つまり体外受精をしないという選択であり、体外受精をする選択を持たなければ恐怖を感じる必要はなくなります。しかし、体外受精を考えてはいるのだが、恐怖心が出てきて困
着床の窓についての記事をアップしたところ、ご質問がありましたので回答します。Q)自然周期で着床の窓の検査をしてずれなしの人がホルモン補充で移植しても、やはりずれなしとなるのでしょうか?自然周期で着床の窓けんさをして、ずれがなく、自然周期で移植をし一度陽性が出ています。流産してしまいましたが、その後自然周期で何度移植しても陰性が続き、ホルモン補充の移植を試してみようかと思うのですが、その場合はまたホルモン補充の周期での着床の窓の検査をした方が良いのでしょうか?とても疑問に思いメッセージをさせてい
NIPT登場後、NIPTは、「採血だけで分かる」「お腹に針刺したりしない」「赤ちゃんにもリスクがない」「精度が高い」ということで、大きく話題になりました。では、NIPTの実際の流れはどういったものなのでしょうか。NIPTを受けるきっかけは様々ですが、ご夫婦の希望で自発的に受ける場合と、他の出生前診断(母体血清マーカー検査やコンバインド検査、超音波検査等)で異常があったり年齢が高い等、検査を受ける理由付けが高いと思われる場合があります。NIPTは妊娠9~10週くらいから受けることもできま
排卵してしまったのでしょうか、というのは外来で時々聞かれる質問です。排卵の兆候として皆さまがお感じになるのは、「おりものが増えた」「お腹が痛い」「(排卵誘発中の場合など)お腹の張りがラクになってしまった」などです。では、これらは本当に排卵の兆項なのでしょうか。「おりものが増えた」は、体内のE2(エストロゲン)が増えたことを反映しています。卵胞発育→E2増加→排卵、という流れがありますので、おりものが増えたあと排卵という流れは間違いではありませんが、排卵と直接関連があるわけではなく、あ
みなさん、こんばんは。早いもので4月になりました。関東のお花見は卒業シーズンですが、北日本はこれからが見頃ですね。毎年、日本は縦に長いなあと思う瞬間です。さて、今日は胎児の心拍についてです。前回の記事(妊娠週数の数え方)では、妊娠週数の数え方についてご説明しましたが、一般的に胎児の心拍が確認できるのは、妊娠6週半ば~7週にかけてです。ものすごく成長が早くて妊娠5週末に心拍がかすかに見える方、妊娠8週になってやっと心拍が見える方、それぞれおられますが、いずれも頻度は少なめです。胎児の心拍は
たまには(?)マジメなお話を。今日は胚移植のお話です。胚移植は、今までの諸検査、卵巣刺激(排卵誘発)、採卵、授精(受精)、そして凍結融解を経て、生殖医療の集大成です。胚移植は、する側もされる側も緊張する瞬間ではないかと思います。では、胚移植は果たして難しいのでしょうか。胚移植の難易度に関連する要素としては、1)医師の技術(経験数)2)医師の技術(その医師のセンス、上手さ)3)患者さんの子宮の状態4)医師と患者さん(の子宮)の相性5)その施設が用意している胚移植のカ
今日は11月29日、いい肉の日です。11月11日はポッキーの日、11月22日はいい夫婦の日ですが、外来でコメントして一番皆様の反応がいいのが、この日です。たいして面白いわけではないのでウケ狙いでドヤ顔で言うよりも、ニコリともせず真顔で急にと言うと、不意を突かれて笑っていただけることが多いと気づき、この言葉にはだいぶお世話になりました。ちなみに、「ポッキーの日」は、皆様、ほぼ無反応で、患者さんとクラークの冷ややかな視線がステレオで突き刺さり、寂しい思いをしました。さて、いきなり脱線してし
知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズ、今日では番外編です。「ホルモン補充周期と自然周期の凍結胚移植はどちらが妊娠率が高いか」という、永遠のテーマをお話ししようと思います。まず初めに、相当誤解が多いので、最初に用語の整理をしておきますが、ホルモン補充周期とは、エストロゲン製剤で排卵を抑え、排卵しない形にして、黄体ホルモンは全て薬で補う方法のこと、自然周期とは、ホルモン剤の有無にかかわらず、排卵を起こして排卵後〇日後という形で移植する周期
今日は子宮内膜についてです。以前にも子宮内膜について書いておりますので、もしまだの方はぜひご一読ください。子宮内膜(生殖医療解説シリーズ番外編12)さて、今日は子宮内膜が薄い時についてです。一言で子宮内膜が薄いといっても色々な場合があります。では、どういう時にどういう対処をすればよいのでしょうか。①子宮内膜を薄くする状況がないか確認新鮮胚移植を予定しているのに長期多量のクロミッドを使っているような場合は見直します。②E2製剤の増量ホルモン補充周期で移植している場合、
みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する、生殖医療解説シリーズも、今日で第7回となりました。バックナンバーもぜひご覧ください。月経中にみられる、ある程度大きな卵胞のようなものを、「遺残卵胞」という言い方をすることがあります。今日は、この「遺残卵胞」について解説いたします。日本産科婦人科学会刊行の産科婦人科用語集には、「遺残卵胞」という言葉はありません。というのも、「月経中にみられる、ある程度大きな卵胞のようなもの」は、実際には、色々な内容の
生殖補助医療(広い意味での体外受精)を行うにあたって、避けて通れないのが年齢因子です。リプロダクションクリニックでは、様々な考えから説明の際に年齢が原因であることをことさら強調しすぎないように留意していますが、どうしても卵子も精子も年齢による影響はある程度は避けられません。ところで、年齢が高い場合はこの治療方法がよい、という風に言われることが多い中、特に多いのが、年齢が高いと顕微授精なのか、年齢が高いと体外受精なのか、という論争?です。年齢が高い場合、卵子の数が減るので確実に顕微授精
今日は、知っている人にとっては簡単だろうが意外と質問が多い、卵子、卵胞、空胞について解説します。卵胞は、原始卵胞(0.03mm)→一次卵胞(0.04mm)→二次卵胞(0.07mm)→前胞状卵胞(初期胞状卵胞)(0.2mm)→胞状卵胞(後期胞状卵胞)(2~5mm)→成熟卵胞(18~20mm)と変化していきます。月経中に医師がカウントしているのは後期胞状卵胞です。以前の記事(砂の中の小石)で書いた通りですが、エコーで描出可能なのはせいぜい2mm程度、卵巣のコンディ
「嬉しい報告」はとても人気の高い記事です。アメブロでは、2013.8.29より「いいね」が導入されました。100件以上「いいね」がついた「嬉しい報告」を多い順にご紹介いたします。いいね数5852016.10.26「嬉しい報告」4212017.2.14「嬉しい報告:子供ができてもできなくても夫婦の絆が大切」3922017.2.18「嬉しい報告:遺残卵胞とされていた卵胞で妊娠」3502017.9.18「嬉しい報告:千葉からリプロ大阪に転院」3272014.9.25「嬉し
以前のブログで、理論上ではこうであるというようなことは必ずしも実測統計と一致しない(理論が実態を忠実に示すとは限らない)、ということを説明しました。理論的にはこうなるはずなんだけど、実際にには、そうではない、ということは医療に限らず世の中いくらでもあります。もちろん、実測統計も、その統計の取り方によって簡単に結論がフラフラしますので、実測統計が常に真実というわけでもありません。例えば、吉野家と松屋はどっちが美味しいか、セブンイレブンとファミマはどっちが人気があるか、スーパードライと一
本論文は、ホルモン補充周期における凍結胚移植のP4高値で出産率は低下しないことを示しています。FertilSteril2023;120:597(スペイン)doi:10.1016/j.fertnstert.2023.04.038要約:2009〜2020年にスペインのひとつの大学病院不妊センターで、ホルモン補充周期融解胚移植を実施した3,183周期を対象に、黄体ホルモン製剤(200mg腟剤x3/日、あるいは25mg皮下注射/日+200mg膣剤x3/日)を投与し、移植当日の黄体ホルモ
Q28歳で結婚、現在35歳、妊娠治療歴約3年、PCOS2019年1月採卵、56個卵回収、成熟卵41個、32個顕微授精、初期胚凍結12個、24個継続培養→胚盤胞15個凍結。移植①(4AA)→陰性移植②(4AB)→7w流産(心拍確認前)で手術移植③(4AB)→7w流産(心拍確認前)で手術夫婦染色体異常無し2回流産のため、PGT-A5個実施し、正常胚2個移植④(5BB正常胚)→陰性移植⑤(3BC正常胚)→陰性ERA検査→着床の窓にズレあり(19:00~25:00が最適)→
Q第一子を貴院で授かり2020年10月、40歳で元気な男の子を出産しました。41歳になり第二子治療をスタートしておりますが、先生のご意見が伺いたく質問している次第です。第一子治療時、採卵を繰り返すも全く胚盤胞にならず移植にたどり着けなかったため、貴院に転院。転院後凍結できたのは下記です。38歳採卵(全て体外受精由来):9G2、9G3、4AB、4AB39歳採卵(顕微由来):4AA、6日目3BC移植14AA(第一子治療時移植hCG0.8で陰性)移植24AB(ホルモン補充、G-C
みなさんこんばんは。知りたいけれど、どこかに書いていそうで書いていない内容を解説する生殖医療解説シリーズ、今夜も番外編です。移植の方法については、色々なクリニックや、色々な医師が、色々なことを書いています。多胎のリスクがあるから移植は絶対1個、というクリニックもあれば、許容範囲内での複数個移植に比較的寛容なクリニックもあります。2個以内の移植に限っても、バリエーションとしても初期胚1個移植、初期胚2個移植、胚盤胞1個移植、胚盤胞2個移植、2段階移植(初期胚+胚盤胞移植を中1日で2回行う
顕微授精(ICSI)において、大切なのは精子調整・精子選別と、受精率向上です。精子調整には、いわゆる通常の濃度勾配・遠心分離による方法と、ZyMotのようなスパームセパレーターによる方法があり、一般的には後者のほうが精子選別過程においてDNA損傷を少ない精子が回収できると考えられています。ZyMotなどのスパームセパレーターは、濃度勾配・遠心分離による精子調整の代替であるわけですので、精子選別というよりは、精子調整法の種類といったほうが正確ですが、結果的にDNA損傷がより少ない精子を回収す
ジェネリック医薬品、飲んだことありますか。ジェネリックとは、後発医薬品のことで、いわゆる新薬(先発薬)の特許が切れる10年後から、特許切れの有効成分を使って発売される安価な薬のことです。以前は、10年たつと色々な薬がゾロゾロ出てくるので「ゾロ」「ゾロ薬」などと呼ばれたりもした。ジェネリックは先発薬と比べて同じ有効成分で効能・効果、用法・用量が原則として同一とされている。しかし、主成分が同じというだけで、副成分や剤型、製造方法が完全に同じとは限らないので外見も違うし、人によっては効き目が違う