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そして日曜日。お祖母様から午後来客があると聞かされていた俺は、午前中に学校の課題を片付け、昼食後は本を読みながら静かにその時を待っていた。すると、突然お祖母様が東宮殿までおいでになったんだ。「お祖母様、態々お越しいただかなくても僕がお伺いしますのに…」慌ててお祖母様をパビリオンのソファーへと案内すると、お祖母様は思いもよらないことを仰った。「太子、お客様とはそなたの大切な許嫁じゃ。それ故この私が直接東宮へお連れしたのじゃ。」「お祖母様、今何と仰いました?許嫁…って、ど
僕はバスケットボールが得意だ。決して大柄とは言えない両親から、奇跡のように授かったこの身体…長身な上に長い手足、そして秀でた敏捷性を遺憾なく発揮出来るバスケは、まさに僕のためにあるようなものだ。そして今日も僕はコートを縦横無尽に駆け巡り、立ち塞がる敵を交わしてゴールネットを揺らす。僕には、高校に入学して以来2年間ずっと密かに片思いしている女の子がいる。シン・チェギョン…美術科の彼女は、伝え聞く情報によると結構人気者だ。クルクル動く大きな瞳と、プルンとさくらんぼのように瑞々しい唇
朝の東宮殿。登校の準備を済ませパビリオンで待つ僕の前に現れたお前の、その頭を見て絶句する。「お待たせ、シン君。」お前は無邪気に満面の笑みを向けてくる。その笑顔の眩しさに、僕は一瞬目を細める。しかし、その後に冷たく一言。「お待たせ…って、お前、その頭は何だ?」「へっ?頭がどうかした?」「どうもこうも、何でそんな団子頭なんだ?おまけに何故鉛筆を挿しているんだ?」「なぁんだ、これ?可愛いでしょ?」お前は瞳をくるくる動かして、僕にポーズまで取ってみせる。や
へミョン女皇帝や太皇太后の住む景福宮は朝から慌ただしかった。それは昨夜のコン内官からの報告が発端で、太皇太后、へミョン女皇帝は元より、宮殿内は大騒ぎしていた。『お、お祖母様!!太皇太后陛下!シンとチェギョンに…赤ちゃんが!』朝一番に祖母に挨拶にきた孫娘であり女皇帝でもあるシンの姉へミョンは祖母に駆け寄る。『慌てるでないへミョン…いえ、女皇帝陛下。まずは二人をすぐに呼び戻すのだ……首を長くして待っておったがやはりマカオでのあれは懐妊の兆しだったのだな』太皇太后はチェギョンの異変に心当た
『尚宮お姉さん…どうしよう…』肩にかかる髪が風に揺れる。俯き、拗ねたように唇を尖らせた。『どうなさいましたか?妃宮様…』従うべき主の気持ちの浮沈を敏感に感じとるのも皇太子妃に仕える尚宮の仕事。本音を隠した主人の心の機微を察知するのは至難の技である。特にイ・シンに於いてはコン内官にしか見せない心の内がある。内官の宮での信頼感はそこからも伺い知れる。しかし、チェ尚宮は平然を取り繕う。チェギョンの感情の起伏を平坦にすべく考案したのはチェギョンの悩みについて感情を入れないこ
宮は薄暗い雲に包囲されているようだった。現に後日ある一定の時間、宮の上空の雲が渦を巻いていたと世間を騒がせた。チェギョンはシンや慌ただしく消えたヨナを思い不安を覚えていた。『お前はここにいろですって。。。何よ…ヨナは私の友人よ!』意を決すると立ち上がる。シンはヨンジンなる青年に対峙していた。コン内官も然り。『君は何処からきたんだ?』『どこから…って…まぁマカオに住む前はこの辺りだけど』『先程、姉上からの連絡で分かったことだが、防犯カメラを解析した。この東宮殿へは正門からの訪問では
チェギョンは頬を膨らませ、プリプリ怒りながら戻ってきた。まるでシンの不機嫌がチェギョンに伝染したみたいだ。「シン、すごく機嫌が悪かったみたいだけど、何の用だったの?」「全く…どうもこうもないわよ。あの横暴王子ったら何て言ったと思う?『お前は皇太子妃なんだぞ。俺以外の男とベタベタ馴れ馴れしくするな!二人きりになるな!』だって。」「本当にシンがそう言ったの?」まさか…嘘だろ?あの能面みたいな奴がそんなこと…「そうよ。馬っ鹿みたい…だって俺以外ってユル君だよ?
天井を仰ぐチェギョンは胸が軋み、切り刻まれた様な痛みが襲っていた。紛れもなく今我が身が存在するのは、久方ぶりの【妃宮の部屋】。宮家に嫁し、東宮妃として此処に迎えられたばかりのあの頃と寸分変わりはなかった。だが、今は随分と変わって見える。ここだけでなく、目に映る全てが何処か違って見え心許ない気持ちを味わう。『他人の部屋みたいだわ…』呟くとチェギョンは孤独感を払拭するように臍より僅かに下った部分にそっと手を当て、ホッと一息の深呼吸で精神の安定を図った。シンは新婚らしい夫婦の睦みも味わう前に
この物語は、こちらではなくFC2でやっている表ブログで2012年末から書き始めた宮Loveinpalaceのその後物語を全て加筆修正し移しました。かなり時間経っていたので再度ドラマを見直してヤバいくらい宮沼に再どハマりましたねあちらFC2で書いていたその後は宮を見てすぐに勢いで書いていたのでかなり修正が必要でした。仕事や家事育児で離れて途中でかかなくなりましたがようやくゆっくりと書き終えることができました^_^ありがとう😊最近の一言宮のリメイク話…どうですかねー。本当ウネジフニだ
ようこそ♪こちら「FirstStep」は韓国ドラマ「宮~LoveinPalace」で出会った「シン君&チェギョン」こと…「チュ・ジフン君&ユン・ウネちゃん」が大好きな管理人による戯言だらけのブログです。ふたり一緒にお好きな方~どうぞお立ち寄り下さい何があっても『シン君&チェギョン』は永遠で…何があっても『ジフニウ
公務を終え帰路に着いたシンは静かな筈の東宮の奥から聞こえる不自然な音に不審を感じながら更に歩みを進めた。この広い宮殿の中でも二人の新居となった東宮は珍しく洋風に造られている。周辺は父が帝位についたと同時に入宮し、幼き頃より慣れ親しんだ景色。当然ながら建造物はどれも歴史的な価値がある。丹青の彩と白い砂、赤松、柳、ハンノキ…深き緑に普段なら癒される。妃宮との安らぎの場所でもある。中央のパティオから左右に夫妻のそれぞれの部屋がある。一先ずは原因を突き止めようと妻の部屋に向かう。『!!』入り
むせるような花の香りと水気を帯びた熱い空気が辺りを包んでいた。観衆の見守る中、専用機のタラップを静かに下りる。近付いてきた一人の少女が小さな花の束を差し出す。受け取ると感謝の挨拶をする。少女ははにかみながら笑顔で手を振った。いつか見た光景と重なる。眩しく輝く太陽の下、シンは目を細めた。『殿下、この後歓迎の儀が行われ、パレード、それからホテルへと参ります』コン内官は簡単なスケジュールを伝えた。『あぁ、分かった・・』人々は大きく手を振りシンを歓迎していた。かつては皇太子としてこの国
診察の時間外、静かな待合でヒョリンの落ち着いたトーンの声が響いた。『…順を追って説明するわね。シン、いまの貴方は呆れるくらいに理性的ではないわ。。チェギョンの事だから仕方ないのかもしれないけれど』一瞬見せた寂し気な表情を今度は深呼吸とともに切り替え、凛とした目を向けた。『まず、今日の正午頃、私はインを迎えに行った空港で、すれ違い様に倒れた人がいて助けたの…それがチェギョンだった…』『倒れた?』なんの報告もなかったと無言で鋭い視線を尚宮へ投げるシン『…えぇ』『…尚宮、お前の仕事は何だ
「お兄様…」チェギョンは大きな足音を立て、自分とオスカーが座るベンチへやって来たシンの顔を見て息をのんだ。普段の冷静な兄とは別人。まるで、頭の上から湯気が出ているほど怒りをあらわにしている。「チェギョンに何をした」「何をと言うと?」オスカーの方は余裕な顔で―――何となく楽しんでいるようにも見える―――シンを見上げている。「とぼけるな」震える拳を開くと、シンはオスカーの首根っこを掴んでいた。「お兄様、やめて」チェギョンが兄の手を握ると、彼は鋭い視線を彼女に送った。「チェギョン、
『明日ね…』『あぁ、明日…』シンとの電話を切った直後からチェギョンは言い知れぬ不安に襲われていた。『妃宮様?』無言のまま携帯を耳に付け静止した妃宮にチェ尚宮は声をかけた。『妃宮様、どうかなさいましたか?何か心配事でも…』尚宮の声に気付く気配もなくゆるやかに長い髪を不安に揺らしながら主は携帯を見つめる。それから気を取り直したように顔を上げると再び携帯を耳に当てた。『あ…もしもし…お久しぶりです・・コン内官?チェギョンです…。はい。私も尚宮も元気ですよ。え?シン君が画像を?・・ありが
チェギョンと一緒にいたのは、誰あろう俺の親友の一人…カン・インだった。何故インが…?頭の中は疑問符でいっぱいになったが、それもほんの一瞬のこと。インの手がチェギョンの手を握り締めているという許し難い光景を目の当たりにした俺は、次の瞬間インの胸倉を掴みその頬を殴り飛ばしていた。「きゃ~~~っ!シン君、何するの?止めてっ!」「煩い!お前は黙ってろ。イン、これは一体何の真似だ?」「何って、見ての通りさ。シンがチェギョンを大事にしないから、僕が守ってあげる…そう言って、今チ
無事に7年とちょっと越しのその後物語を書き終える事ができ、非常にスッキリした気持ちです。思えば、宮を見終えてからが始まりでした。2周、3周する内に、続きが見たいと願うようになりました。その後物語はラストだけが頭に浮かんでいてそこに向かって書き出したわけです。最終的な終着はここに。。それだけを念頭に書き始めておいて気付けばあちこちのドラマにうつつを抜かし、寄り道しまくりでなかなか進めなくなり、そうこうしている内に内容を忘れてしまったという救いようがないパボな私が悪い訳ですが…今思えば必
1人東宮殿で残されたチェギョンは除け者にされた様で時間の経過と共に苛立ちが増加していた。『大体、ヨナは私の友達よ?なんでシン君がつれてくのよ…』半ば開き直りで友人を救出に向かう気持ちで邸を後にした。『妃宮様、お出掛けでしたらお車で…私どももお供致します』ボディガードであるイギサの1人がチェギョンの足を止めた。『……ええ。お願いするわ。車回してください』『はい。ただ今』『とりあえず待ってるから早くしてね。あ、それから、私の部屋にある赤い箱を持ってきて貰いたいの』『赤い箱ですか?』
「チェギョン、ちょっといいかな?」「お兄様、なぁに?」チェギョンが振り返ると、彼女の自室の入口で兄のシンがドア枠にもたれて立っている。そう言えば、いつから兄はこの部屋へ足を踏み入れなくなったのだろう。チェギョンはシンを見つめた。今日は公務も宮殿内で済ますのだろう、太めのブルーのストライプのシャツに、ライトグレーのVネックのニット、そして、白いパンツをはいている。「お兄様らしいわ」彼女は頬を緩めた。普通の王子なら、きっと紺やグレー、ベージュなどのボトムスを合わせるだろう。それなのにシン
得体の知れない不安におそわれたままのチェギョンは今しがた去っていった青年ヨナを思っていた。『他人じゃない…』単に弟に似ているだけではない。。夫シンが嫉妬心に苛まれる程、チェギョンの中でヨナという青年にはどこか近しい感覚を覚えていた。しかし、去り行く真際にチェギョンに接近した事で、チェギョンは全くあり得ない事に気付いてしまった。『そう…だってシン君に似てるのよ…似てる訳ないけど…でも似てる…』不可解で霧の峠を歩んでいるように不思議な感覚である。雲の中にいるようで、それでいて意識はハッキ
それからというもの、学校で休み時間にチェギョンを目の端に捉える度に、俺はある行動に出た。あいつに気づかれるより先にヒョリンの傍へ行き、必要以上に体を寄せて親密さを装うんだ。「何なの、シン?」「いいから…」そしてチェギョンが俺を見つけると、必ずと言っていいほど頬を膨らませて俺を睨んだ後、ふん!とばかりに顔を背けて行ってしまうのを眺めるのが楽しくて仕方なかった。あいつ…また妬いているんだな…膨らんだほっぺたが河豚みたいだぞ。すぐ顔に出るんだから…可愛い奴…怪訝そうなヒ
俺はイ・シン、王立大学付属高校映像科に在籍する高校3年生だ。そして、何を隠そうこの国の皇太子でもある。自分で言うのも何だが眉目秀麗にして頭脳明晰…これは決して自惚れでも何でもなく、国民が俺を『完璧王子』と呼ぶのだから周知の事実だ。なのに…その完璧王子であるこの俺が、何の因果かまだ高校生だというのに無理矢理結婚させられたんだ。それも、相手はお祖父様である聖祖皇帝陛下が生前にお決めになった許婚とやらで、およそ才色兼備とは程遠い一般庶民の女だ。何故お祖父様はこんな女を選ばれたのか首を傾
俺はキスをするのが好きだ。誤解のないように断っておくが、キスの相手は無論最愛の妻チェギョンに限定されるのであって、決して誰彼構わずキスしまくるのが好きな訳ではない。チェギョンとのキスは甘くて熱い。俺たちが初めてキスを交わしたのは、あの義愛合での合房の儀の夜だった。離婚した後道端で俺と出会ったらと考えただけで胸が痛いというチェギョンが無性に愛しくて堪らなくなり、気づいた時にはそのプルンとした魅惑的な唇を強引に奪っていた。あの時はファーストキスなのに台無しだとチェギョンに散々罵
24話(最終話)宇宙征服の日まで『シン君に釣り合う人になりたかったのになかなかうまくいかないね』『そうだなお前とは釣り合わない見つめられないくらい眩しかったよそれにお前のおかげで本当の世界を知った』『宇宙征服おめでとう』『何だそれ?』『自分の星を脱出して他の星も見るようになったからきっとすぐに宇宙征服出来るわ宇宙征服を目指してアジャ!』映画E.T.のように人差し指をくっつけ合う仲睦まじい2人そこへ放火犯が捕まったと侍従長が報告する晴
夜風がタイの街を駆ける。街路には国花でもあるゴールデンシャワーがひしめき咲いている。透けそうな白い茉莉花は風に揺れ夜露が香りを幾分薄め鼻腔を擽る。辺りは水気を帯びた土の香りを漂わせ、一層不可解な夜を創造する。タイ訪問の公務の最中、シンは母国を追われた従兄、ユルと再会を果たした。ホテルの一室、広いリビングに置かれた長いソファに腰かけ、窓辺に立つ従兄を静かに見つめた。『皇太后様が体調を崩されたとは…容態は大丈夫なのか?』本気で心配しているユルをシンは不思議に思う。何故、彼が叔父や叔母で
最初の最初から、シーンゆえ、こちらから、飛んでください…。あ、ちなみに、すごく久しぶりに、オリジナルブログのほうも、エリーナ&ブラッドの話を更新していますいつか振り向いて8(シンチェversion)-シン&チェギョンversionシンの体が強くチェギョンを突き上げた後、彼は震えそれから妻の体に倒れ込んできた。チェギョンは夫の汗ばんだ大きな体に押され、マットレスに深く沈み込みながら、ひどく満足している自分に気が付いた。シンが経験豊かな夫だからだ。彼に対してよい感情を自分が持っ
『シン!チェギョンっ!』女皇帝陛下になった筈のへミョンは二人に駆け寄った。つい二、三日前に公務に赴く前の挨拶をかわした無表情な弟よりも、久方の義妹、チェギョンに飛び付いた。『女皇帝陛下!陛下がそんな事でどうしますかっ?』柱の影から皇太后が顔を出す。『わ、母上じゃなくて皇太后陛下いいじゃない姉妹の久々の再会よ?ここは家族の部屋なんだから!さぁ、入ってシンも母上とあれ?父上は?妃宮知ってる?』『あ、、はい。あれ?先程までこちらまでご一緒して・・』妃宮はいつの間にか消えてしまった舅を
ドラマのその後物語を書く時は大体検証もやるんですが、今回の宮Loveinpalaceその後の場合は、物語と検証込みでやってます。例えば、ユルの本音やあの時にシンの行動をユルや私たち(視聴者)からどんなふうに見えていたか、その行動はなぜ起こしたのか。などを語らせてます。14話の終わりにシンは自分の中でチェギョンとヒョリンの違いや恋や愛についての疑問が生まれました。15話ではその答えを検証しながら描いています。宮の面白さは2周目からです。まず1周目から本質が見抜ける人はかなりclever
「ここは…どこ…?」やみくもに走ったチェギョンは、見覚えが無い場所に自分が立っていることに気づいた。この広い宮殿を一人で歩くことなどないに等しい。けして方向音痴だと思わないが、かといって特別方向感覚に優れているわけでもない。「でも、宮殿の中ってことは確実ね」その証拠に、自分は長い回廊に佇んでいるのだから。体の向きからして、自分の後ろから来たのだろう。振り返ってみたものの、やはり見覚えがない。「しかたないわね」夕方になると急に気温が下がってくる。薄手のカーディガンを着ているとはいえ、ブラ
さてさて、、その後物語を進めるために鬼リピする日々の中で新しい気付きがあるんですよね、、物語でそれを語らせるようにはしてるけども、でもこれだけはどうしても検証したいという部分があります。対比と言いましょうか。例えばシンとユル。もうこれは言わずもがなだし、チェギョンとヒョリン。そして宮廷内の人々の対比。ミンVSファヨンなかなかの対比ですし、物語もそうなってます。始まりはチェギョンは宮に入り、最後には出ちゃいましたんでね。そういう意味で非常に奥深いです。物語の箸休め的な感じで検証し