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キスがこんなに切ないなんて初めてだ。シンは腕のに抱いた大事な恋人が離れていくことを感じながら、どうすることもできない自分を罵った。「チェギョン…」唇が離れた瞬間、彼は彼女の名を呟き続けた。このキスでチェギョンの全てを飲み込んでしまうことができたらいいのに。そうすればいつまでも彼女をここに留めることが出来るのに。絡まる2人の唇は、別離を名残惜しむかのようにいつまでも離れない。「シン君…」彼女の細い指が自分の頬をそっと滑る。知らぬ間に涙が零れ落ちていたようだ。彼は目を開けた。そしてチ
無事に7年とちょっと越しのその後物語を書き終える事ができ、非常にスッキリした気持ちです。思えば、宮を見終えてからが始まりでした。2周、3周する内に、続きが見たいと願うようになりました。その後物語はラストだけが頭に浮かんでいてそこに向かって書き出したわけです。最終的な終着はここに。。それだけを念頭に書き始めておいて気付けばあちこちのドラマにうつつを抜かし、寄り道しまくりでなかなか進めなくなり、そうこうしている内に内容を忘れてしまったという救いようがないパボな私が悪い訳ですが…今思えば必
『尚宮お姉さん…どうしよう…』肩にかかる髪が風に揺れる。俯き、拗ねたように唇を尖らせた。『どうなさいましたか?妃宮様…』従うべき主の気持ちの浮沈を敏感に感じとるのも皇太子妃に仕える尚宮の仕事。本音を隠した主人の心の機微を察知するのは至難の技である。特にイ・シンに於いてはコン内官にしか見せない心の内がある。内官の宮での信頼感はそこからも伺い知れる。しかし、チェ尚宮は平然を取り繕う。チェギョンの感情の起伏を平坦にすべく考案したのはチェギョンの悩みについて感情を入れないこ
チェギョン14歳の時のことをシンは話し始めた。「あのとき、チェギョンは『発表会に出るのが嫌だな』ってしょっちゅう嘆いただろ?」「そう言えばそうね」妻が思い出したのだろう、微笑んだ。「あの発表会は、どうしても納得できるだけの演奏ができなかったの。練習が足りなかったから」「難しいって言ってたしね」「難易度が高い曲を選んだからかな」チェギョンは今でもバレエやらクラッシックのリサイタルやらが好きだ。そのために、シンはホールのオーナーであることを利用して、よくチケットを手に入れてやっている。
いざ自分の気持ちに気づいてしまったら、想いが一気に加速したのか、公務の最中もあいつの顔が浮かんできて、会いたくて仕方なかった。だから、出来るだけ早く切り上げて東宮殿へ戻ってきた。なのに…俺を迎えたのは妻の笑顔じゃなくて、あろうことか妻が他の男に抱かれる姿。「何をしている?」瞬間頭に血が上り、気づいた時にはユルの腕を捩じ上げていた。「妃宮に触るな!俺の妻だ。」「シン、誤解だよ。」「煩い!とっとと出て行け。」ユルの腕をそのまま引っ張り、テラスへと引き摺ってい
「え…」チェギョンは喉を詰まらせた。そして突然溢れだした涙。「う、嘘よっ…こ、こんなの信じない」メディアの見出しはどこもかしこも、兄のシン王子の結婚が決まったと書かれている。チェギョンは裸足のまま、自室のドアを開け兄を探しに出かけた。「お兄様は?どこなの?」すれ違う人々に叫びながら尋ねるのに、彼らは誰一人的確な答えを返してくれない。宮殿はただでさえ広く迷路のように入り組んでいるのに、シンは普通の王族が足を踏み入れない使用人たちが使う棟や階段、階下へ気軽に顔を出す人だ。「もぅぅ
どうして手を握ってしまったのか…。だが、自分が出て行くのを止めてくれた事が嬉しかった。シンの幼き日の事を少しだけ知ったチェギョン。まだ5歳だったシンと、親との別生活。普通では考えられない事だ。普通ではない事が起こる。それが宮というものなんだろうか。確かに今、自分が置かれている契約結婚という状況も普通ではない。幼きシンがどれほど親を恋しがっても傍にいてくれない。言いたい事も言えない。やりたい事もできない。そんなシンを思うと切なくなる。これは同情なんだろうか…。それ
『明日ね…』『あぁ、明日…』シンとの電話を切った直後からチェギョンは言い知れぬ不安に襲われていた。『妃宮様?』無言のまま携帯を耳に付け静止した妃宮にチェ尚宮は声をかけた。『妃宮様、どうかなさいましたか?何か心配事でも…』尚宮の声に気付く気配もなくゆるやかに長い髪を不安に揺らしながら主は携帯を見つめる。それから気を取り直したように顔を上げると再び携帯を耳に当てた。『あ…もしもし…お久しぶりです・・コン内官?チェギョンです…。はい。私も尚宮も元気ですよ。え?シン君が画像を?・・ありが
++++「ダメだ」「どうして?」「ルイを裏切ることはできない」「あなたとルイは兄弟よ。構わないわ」「ヒョリン…君の狙いはそれだったのか…?」++++「シン、見て」色とりどりの花を腕一杯に抱えて、幸せそうな笑みを浮かべたチェギョンが部屋へ入ってきた。シンは頭を軽く振り物思いを追いやると、妻の姿を目をすがめて見つめた。「…さながら、春の花の精か、あるいは花のプリンセスというところか」小さく呟くと、妻の腕から零れ落ちそうになっている花に手を伸ばそうと、彼女に近づいた。「さっき、
この物語は、こちらではなくFC2でやっている表ブログで2012年末から書き始めた宮Loveinpalaceのその後物語を全て加筆修正し移しました。かなり時間経っていたので再度ドラマを見直してヤバいくらい宮沼に再どハマりましたねあちらFC2で書いていたその後は宮を見てすぐに勢いで書いていたのでかなり修正が必要でした。仕事や家事育児で離れて途中でかかなくなりましたがようやくゆっくりと書き終えることができました^_^ありがとう😊最近の一言宮のリメイク話…どうですかねー。本当ウネジフニだ
最長老「こんな老人が出張らずとも、ヒョン家のジノン殿がちゃんと決着をつけてくれたが、まあ年寄りの心配性じゃと笑ってくれんかの。本当は久しぶりに姫に会いたかっただけなんじゃが。ふぉふぉふぉ。殿下、うちの“お友達”が姫に会いたがっておるんで、たまには我が家にお越しください。まあ、話しを聞きつけたジジイ共が大挙して押し寄せるじゃろうが。」シン「はい、婚姻後3ヶ月が経ちそろそろ妃宮の訓育も落ち着きましたので、新行を考えていたのですが昨日思いがけず行いましたので、今度は最長老のお宅へ遊びに行かせてもら
シンの滞在するホテルの一室。一際重厚な扉の前には物々しい雰囲気で護衛官・イギサが立つ。チェギョンにも本国では三名の女性イギサが付く。タイへの公務中のシンを訪ねたユルはかつて皇太子だった。僅か5歳の頃まで皇太子として景福宮で暮らした。父・孝烈皇太子が急逝したため第二皇位継承権の叔父が帝位に就くと皇太子の位は従兄弟であるシンへと移行した。そして、母ファヨンと共に宮廷を追われた。それさえ無ければチェギョンの許嫁は本来、義誠君と呼ばれたユルであった。そんな昔に思いを馳せながらシンは口を開いた
『シン!チェギョンっ!』女皇帝陛下になった筈のへミョンは二人に駆け寄った。つい二、三日前に公務に赴く前の挨拶をかわした無表情な弟よりも、久方の義妹、チェギョンに飛び付いた。『女皇帝陛下!陛下がそんな事でどうしますかっ?』柱の影から皇太后が顔を出す。『わ、母上じゃなくて皇太后陛下いいじゃない姉妹の久々の再会よ?ここは家族の部屋なんだから!さぁ、入ってシンも母上とあれ?父上は?妃宮知ってる?』『あ、、はい。あれ?先程までこちらまでご一緒して・・』妃宮はいつの間にか消えてしまった舅を
ささやかな目映い光が部屋の中央まで射し込んでいる。東宮の朝は以前と同じ女官や尚宮、内官が集まり賑わいを見せていた。女官の一人が不安気な面持ちで内官へ駆け寄る。『申し上げます。』『ん?何かありましたか?』『はい…実は…』話し始めた女官を差し置き、昨夜を思い出す内官。『殿下は昨夜雨に濡れた様子であったな…風邪など召されてないといいが……。チェ尚宮、念の為お二人に薬湯を用意しておいた方が良いかも知れぬ…』チェギョンの準備に忙しい尚宮を呼び止めた。『はい。コン内官。すぐに準備させます
乗馬服を脱ぎシャワーを浴びてからシンはラフな洋服に着替え、妻の待つリビングへ向かった。ピンクのワンピース姿の妻を思い出し、自分は水色のシャツと白いパンツを選んだ。二人で並んだら、春の野原のような爽やかさだろう。どうして、こうもチェギョンに興味を抱くのか、自分でも分からない。ただ、彼女の存在を無いものとして扱うことは不可能だ。彼女が自分の妻だからだと自分自身を納得さて見るものの、ここ最近はそれがどうもうまくいかない。もっと違う理由が存在するような気がして。「そろそろ国民の前に二人そろって姿
「ちょっとー!聞いてる?」どんなに説明しても反応のないシンにしびれを切らしたチェギョンが少し大きな声を出した。「きっ聞いてるさ!急に大きな声を出すなっ!それより…何でスーツなんだ」別に理由など聞こうとは思っていなかったが、つい口から出てしまった。「んー。何でだろうね?自分でもよく分からないんだけど…。ホラ、シン君って何でも持ってるじゃない?誕生日だからって欲しい物なんてないんだろうなー?って思ったの。それに欲しい物なんて望めば手に入るだろうし。ま、私もプレゼント
トントントンとドアが叩かれる音で、チェギョンは我に返った。今朝からずっとこんなふうだった。気づくと昨晩、本当の意味で“夫”になったシンの事ばかり考えている。窓際に置かれた椅子に座った彼女の膝の上に、お気に入りの小説が乗っている。けれどもそれは言葉通り“乗っている”だけ。お気に入りの本のはずなのに、一向にページはめくられないままだ。「はい」返事をすれば、パーマー夫人がワゴンを押した女官を連れて部屋に入ってきた。「妃殿下、窓を開けましょうか。外の爽やかな風で部屋の空気を入れ替えましょう」夫
世間の喧騒をよそに、芸術高校では穏やかな日々だった。あの件以降、御曹司達はすっかり大人しくなり、真面目に授業も受けている。まわりとも少しずつ打ち解けて、話しをするようになっていた。自分が変わるとまわりも変わる。最初は敵意しか感じなかったが、今ではクラスの一員として、見栄を張ったり、虚勢を張ったりせずにいられる、普通の友達関係を学んでいるようだった。ヒョリンはどうしてもまわりと溶け込めず、いつも1人でいた。シンはともかく、イン達とも付き合いがなくなった。バレエの技術力の高さは流石のものがある
どうして嫌な事が連日続くのだろうか。目の前から来る人物たちにチェギョンは小さく息を吐いた。「これはこれは、今日も妃宮様はお元気そうだ!」「えぇ、お陰様で」「シンはまだ大学休んでるっていうのになー?」「いえ、殿下はもう熱も下がってお元気です。ですが、執務が溜まっていましたのでその処理の為に…」「要はそれってあなたのせいよね?」昨日と全く同じメンバーが代わる代わるチェギョンに嫌味を吐き出す。チェギョンも黙っていれば良かったのかもしれないが、つい言い返すような真似をしてしま
夜風がタイの街を駆ける。街路には国花でもあるゴールデンシャワーがひしめき咲いている。透けそうな白い茉莉花は風に揺れ夜露が香りを幾分薄め鼻腔を擽る。辺りは水気を帯びた土の香りを漂わせ、一層不可解な夜を創造する。タイ訪問の公務の最中、シンは母国を追われた従兄、ユルと再会を果たした。ホテルの一室、広いリビングに置かれた長いソファに腰かけ、窓辺に立つ従兄を静かに見つめた。『皇太后様が体調を崩されたとは…容態は大丈夫なのか?』本気で心配しているユルをシンは不思議に思う。何故、彼が叔父や叔母で
「誰もいないかな」パーマー夫人には「ちょっとだけ散歩をしてくる」と告げて、チェギョンは以前迷い込んだ回廊に向かった。サンルームの扉を開け中を確かめると、彼女はほっと息を吐いた。一人になりたかったからだ。「じゃあ、ちょっと息抜きしちゃおう」彼女は大きく伸びをして深呼吸をした。少しずつ慣れてきた宮殿の生活。それでも時々息苦しくなることがある。ほんの少しだけ王太子妃『チェギョン妃』を脱ぎ捨てて、ただの『チェギョン・クライボーン』に戻りたいと思った時、彼女の頭に浮かんできたのはこの中庭だった。
しびれを切らしていた。バスタイムだからとそれぞれの部屋に分かれてから、ゆうに1時間がすぎていた。男のシンにとってバスタイムなど、ものの15分程度で終わってしまう。だから辛抱強く1時間待っていた。それなのに、一向にチェギョンが姿を見せない。それから1分ごとに時計とにらめっこ。寝室を抜け、クローゼットルームを抜け―――シンと妃のクローゼットルームは半分繋がっている―――チェギョンの寝室に繋がるコネクティングドアの前で10分は行ったり来たりしていたのだ。―――まるで忠犬だな。ウロウロと歩き回り、
「シン君、起きてっ」ドシンと背中に重みを感じる。うつ伏せで寝ていたシン・バンブスは顔を横にしたまま、わずかに上げた。睫毛が触れる距離に妻のチェギョンのブルーの瞳が見えた。「早起きだな」「うん、そうよ」シンは素早く体を回転させて、チェギョンを組み敷いた。彼女を見下ろすと目をキラキラさせている。「僕としては…もう少しベッドで“楽しんでも”いい気分だけどね」「うぅぅん、ダメダメ!それは今夜に取っておいて」チェギョンが楽しそうに笑い、体をよじりながら答えた。「そうか…それは非常に残念だ
ウフフ。ニコニコと笑い、時折何かを思い出してるのか―――ほぼ100%婚約者の事だろう―――チェギョンは頬を染めている。ソファに座りながら窓の外ばかり気にしているチェギョン。彼女の母のスンレはそんな娘を見て見ぬふりをしながら、手元のデザイン画に手を加えた。チェギョンには内緒にしているけれども、今、スンレがデザインしている一連のジュエリーは娘のためだ。チェギョンの誕生日に結婚することが決まった。学校を卒業したタイミングで、という声もあったけれども、シン皇太子が「どうしてもエリカの誕生日に」と強
おはようのキスで目覚めた。チェギョンは生まれてから一番素敵な目覚めだと思った。目を開けてみると、シンの筋肉質な肩が見えた。「おはよう、起きた?」彼が声を掛けてくれたけれど、チェギョンはまた瞼を閉じ、それから彼にすり寄った。温かな彼の腕の中に潜り込みたくて。そして気づいた。自分たちが裸のままであることに。―――どうしよう。今更ながらに羞恥心が沸き起こる。昨日はあれから3度も彼に抱かれた。クタクタになり、フワフワになり、夢を見る余裕さえないほどぐっすりと眠ってしまった。「チェギョン、耳が
「ねえ」妻のチェギョンが、シンの耳元で小さく囁いた。珍しく何も予定のない休日。使用人たちも、「今日はのんびりするように」と臨時の休暇を与えた。ブランチをシェフに作り置きをしてもらい、自分たち夫婦の寝室へ運んだ。妙に静まり返った家で、シンは愛用のソファに腰を下ろし、前から読みたかった本を開いていた。すると、ほっそりとした腕が彼の背後から伸びてきて、背中に妻の重みを感じた。シンは口の端をあげて微笑んだ。そろそろ可愛い妻が甘えてくるだろと踏んでいたのだ。彼の思った通りの行動をするチェギョンが、
『ちょっと!大丈夫ですか?』『…様っ?』暗がりに甲高い声が耳に飛び込んで来る。どうやら自分を呼ぶ声のようでチェギョンは薄っすらと瞳を開いた。誰かに抱き留められているようで、肩を強く揺さぶられる。『妃宮様っ、大丈夫ですかっっ?』チェ尚宮の声にもう一人が強く反応する。『え。。チェ、チェギョン?』『大変申し訳ございません、あまり動かす事も危険ですのでこのまま…護衛のものが参りますので…』『あら?貴女…チェ尚宮さん?』『あ、あなたは…』『…ん…』妃宮を支える通りすがりの人物に尚宮
「チェギョン!チェギョン・ボーナム!」「ゼイン?」名前を呼ばれてチェギョンが振り返ると、昔、近所に住んでいたゼインが立っていた。チェギョンが彼を“幼馴染のゼイン・レイノルズ”だと認識できたのは、茶目っ気のある黒い瞳と、肉厚の唇、黒いクルクルした髪が全く変わっていなかったからだ。それ以外のところは全く違うけれど。「すっかり紳士になってて、見間違えちゃった」近寄ってきたゼインが、大きめの口を開けて笑った。「チェギョンこそ大人びてて驚いたよ」「当り前よ。あれから何年たったと思っているの?」
最初の最初から、シーンゆえ、こちらから、飛んでください…。あ、ちなみに、すごく久しぶりに、オリジナルブログのほうも、エリーナ&ブラッドの話を更新していますいつか振り向いて8(シンチェversion)-シン&チェギョンversionシンの体が強くチェギョンを突き上げた後、彼は震えそれから妻の体に倒れ込んできた。チェギョンは夫の汗ばんだ大きな体に押され、マットレスに深く沈み込みながら、ひどく満足している自分に気が付いた。シンが経験豊かな夫だからだ。彼に対してよい感情を自分が持っ
ふふふ。チェギョンは思い出し笑いをした。ふふふ。何度思い出しても笑いがこみ上げてくる。5歳のシンが昼寝で世界地図を描いた話が、ふとしたときに蘇ってきて、どうしても笑いが抑えられないのだ。この国の王子であるシンも、可愛い坊やだった時代がある。王室育ちの彼は、年齢の割に落ち着いたところがあり、博識だ。彼と一緒にいると自分がとても小さく未熟だと不安になることも多い。そんなチェギョンを気に掛けてくれた王妃が、時々ティータイムに彼女と王太子妃を招いてくれる。女性だけのくだけたティータイムで、王