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潤side「翔くんは?」「今駅まで送って来たとこ…」「そっかぁ」靴を脱ぐのに俯いて顔を上げた時にぃが俺の顔をじっと見つめていた「どうした?」「へ?」「しょうくんとケンカでもしたか?」「ふふっしてないよ?」笑って見せるけどにぃの目はずっと真っすぐで見透かされるような視線に耐え切れず「…俺自分の部屋行くね?夕飯もう少し後でもいいだろ?」「え…あぁまぁそれはいいけど…」まだ何か言いたげなにぃを残して階段を駆け上って辿り着いた部屋
潤side街灯が少し重なる二つの影を作りそれを見ながら歩いていた柔らかい絨毯の上を歩いているみたいそれはしょうくんがくれた言葉の全部が頭の中で何度もリピートしているから完全に日が暮れ木を揺らす風が熱かった頬を冷ましてくれた『…暗くなってきたな』『そう…だね』『帰る?』『帰ろっか…』どちらともなく立ち上がると歩き出したすぐに『しょうくん…手』『ん?…いいじゃん…誰もいないよ?』そう言うとぎゅっと握り直して歩き出す温かく
翔side『おはよう』のメールが当たり前になっていた朝今日の予定は…なんて報告し合ってそれぞれの時間を過ごすこともあれば会う事もあるじゅんとは本当に趣味が合う今度映画を見に行こうか…と約束をしたのは昨日会った時だった本も好きだし…映画も好きそしてゲームも好きなんだと最近知った今日じゅんはにのとゲームをするって言ってたなおれは…何して過ごそうかぐるりと部屋を見渡して…部屋の片づけ…だな天気もいいし思い立った俺は脱ぎ捨ててあっ
智side大きな目潤ませて「にぃ…いつから…気づいてたの?」って…ふふっ可愛いな幼心にも覚えてる『じゅん?どうしたの?なんでないてるの?』幼稚園から帰ってくると母ちゃんに抱っこされながら大きな声で泣いていて『いいこいいこ』そう言って頭を撫でてあげるとぴたりと泣くのをやめて俺の顔を見て手と足を一生けんめい動かして可愛い声を上げて笑うんだその時がすごく嬉しくて可愛くてそれが一度ではなくてじゅんが泣いている時はいつもそうで
智side『いつから気がついていたの』潤んだままの瞳は不安そうに聞くから「…いつからだろうなあ」ってなんて事ない様に答えた誰かを想っていると気づいたのはずっと前の事それが翔くんだと気がついたのは…「…初めて二人でいるのを見た時?」「え…っあ…駅…で?」「ふふっそ」あの日背の高さが変わらない男の人と話しながら歩いていてる潤は嬉しそうに楽しそうであんな顔初めて見た二人の周りだけが温かな光に包まれているみたいだった『
翔side帰り道によったコンビニの弁当を食べ二本目のビールを半分くらいだろうか飲んでじゅんの電話を待っているとぶるぶるとテーブルが震えた『今電話して大丈夫?』ふはっ気遣いと遠慮を忘れないじゅんの文字に笑みが漏れる「いいよ」それからすぐのコール一回鳴って直ぐに耳に当てた『もしもし…しょうくん?』「どうした?」『ん…ぁ…えっと…あのね…』「ふふっ俺の声が聞きたくなっちゃた?」ん?通話きれてないよな?無音に
翔side目が覚めて歯を磨き顔を洗って今日は何して過ごそうかと何となくテレビをつけて考えていた長い夏休みの朝友達もいないわけではないけど会いたいと思うのはただ一人でもう起きてるかな?『おはよう』たった一言メールを送ったそれから五分後『おはよう』と返信が来て『じゅんは今日何してる?』直ぐに次のメールを送っていた『んとね図書館に行こうと思ってる』図書館かぁ…じゅんは本当に本が読むのが好きだな『しょうくんもい
翔side「「ただいま…」」そう声を揃えて帰ってくるのは随分と久しぶりな気がする「しょうくん…手洗って?うがいして?」「はいはい…」脱ぎ捨てたコートを当たり前に拾うと寝室に消えていくいい奥さんだよ…ほんと体調管理も完璧でここ数年潤に合わせた食事で身体もずいぶん軽くなっている部屋着に着替え入れ替わって潤もうがいを終わらせると二人の時間が始まった「しょうくん…今日はいいよね?夜に甘いの食べても」「いいんじゃね?たまには」「じゃあ…どうぞ召
翔sideリハのあと一人別の仕事を終え帰宅するとリビングの明かりが洩れていた帰ってたんだ…「じゅん…」静かにそのドアを開けるとパソコンの前で寝入る潤を見つけたここだと体が冷えてしまう…声をかけると「あっおかえり…寝てたよね?おれ」そんなに大きな声で起こしたわけでも無いのに直ぐに目を開け俺を見つけ申し訳なさそうに眉を下げた「ここ…跡ついてる」「うわぁ…結構寝ちゃってたかも」「こんな時間だしな…」「ごめん…寝るつもりなかったんだけど…」
潤side甘い香りが充満するキッチンの中目の前には五色の小さなココットの器便利な世の中だよねネットで見つけた時『これだっ』って声出ちゃったもんメンバカラーのを見つけちゃうとつい買ってしまいたくなるんだよね…それに調べればレシピだっていっぱい載ってるし「帰ってくる前にしあげちゃおっ」思いの外簡単に作り終わって熱々の器を取り出すと甘い香りが色濃くなった「うう…んこんなに簡単だと申し訳ないから…ティラミスも追加しようかな」今はまだ一人で大き
翔sideでもやっぱりお前の笑顔が俺は好きだ今更メンバーに嫉妬かよそう自分でも思うけどその笑顔を独占したいという欲求がなくなる事なんてなくてでも…こうしてすべてを曝け出して求めてくれるこの姿だけは俺のモノ俺だけが知っている潤だから今宵も熱くて甘い時間を共有して果てるその時もお互いの名前を呼び引き寄せられるように自然と重なった唇に囁いた『『愛してる…』』の言葉はお互いの体に溶けていった「…しょう…く」「ん?身体きつくない
翔sideん?イルカも動かない声もしない…フリーズしちゃったか??「おおーいじゅん?聞こえてる?」「きこえてる…」「ふははっ…なぁ?やっぱお前の顔が見たい」すると画面が変わりイルカを抱いているじゅんに会うことが出来た「しょうく…ん…あ…のさ」「ん?」「今度…いつ会えるかな…」「へ?あ?え?」初めてかもしれないじゅんから会いたいと言われたのは「あ…今日会ったばかりなのに…ごめん…」「ふっ俺も会いたいな…って思ってた」「
潤side何を頼むのか悩むには十分時間があったから席に案内されてすぐに注文できた「美味しそ…」「…だな…」運ばれてきたパスタがトマトソースは俺の前にオイルソースはしょうくんの前で美味しそうな匂いが鼻を刺激する「「いただきます」」「うま…っ」「うん…美味しいね」想像していたそのものの味で二口目も進む「じゅんのも少しちょうだい?」「いいよ」「あ…こっちもうまっ」ほんとすごく美味しそうに食べるね…しょうくん目がきらき
潤side「何食べたい?」「ん…俺なんでもいいよ?」「じゃ…少し歩くけど行きたい店あるんだ…」「うんっそこにしよ?」スマホで行き先をセットしてその店に向ったどうやら細い路地にあるイタリアンのお店らしい途中少し迷いながら辿り着いた時にはお昼も過ぎていたのにまだ結構並んでる…カップルと…カップル…女の子同士男二人で並んでいるのは俺たちだけだった「並んでるね…」「そうだな…名前書いてくるから待ってて?」「うん…ありがと」
潤side「そういえば…」それからしょうくんはテレビで見た映画の事から始まって学校の話勉強の話…他愛のない話をいっぱいしてくれたそれは泣いてしまった俺を気遣ってくれてるんだ…って分かりやすく分かるけどしょうくんとの会話は純粋に楽しくてちくんと胸に刺さった棘の痛みが和らぎ自然と笑顔になっている自分がいたそんな俺の表情の変化をしょうくんはきっとわかってるだからまた「それでさ…」「ふふっうん」外が夕闇に染まりかけ
潤side三人に初めてあげた時の夜は……激しかったというか…じっと俺を見つめる視線が熱くて身体も心もトロトロに溶かされたというか…息つくのも苦しい位激しい波にのまれて果てた後腕を動かす事さえできない俺をそっと抱き締めて『ごめん…ちょっとしたヤキモチ…だ』と教えてくれたあれから何年たったけ…?「ふっははっもう妬かねえから」「えっ?」「まぁ…少しは?妬けるけど」「妬くの…?」「だって…俺に『好きな人からもらった』って自慢すんだぞ?三人と
潤side『じゃ…』『うん…』『送ってくれてありがと…』『ううん…』『連絡する』『うん…』何度もふり返り小さく手を振るから俺も手を振ってしょうくんの姿が見えなくなるまでそこから動くことが出来なかった街灯の明かりが灯る歩き慣れた道のリで今日一日に会った事を思い出していた美味しそうに食べてくれた事を思い出せば今度はまた何作ってあげようかと次に会う日を楽しみにしている自分がいてまだ残る唇の感触を思い出して一人顔を赤くして
翔side掠めただけの唇の感触は一日経った今も僅かに残っている『…っ…しょ』『ダメだった?』『だっていきなりなんだもん…』『じゃあ今度は宣言してからキスするよ』『くふふっそれも…それで恥ずかしいけど』今どき…これ位のキスなら中学生でもはするだろうに…頬を赤らめて忙しなく瞳を動かしてじっと俺の目を見て恥ずかしそうに笑う触れるたびに色んな表情を見せるからもっとずっと深く合わせたら…じゅんは…どんな顔を見せてくれのか自分の
『でもそれでなんで俺がかずの事が好きだって分かったの?』『ぼくとにの…同じだって…気づいたから…』『ん?』『…聞いてもらってもいいですか…』『うん…いいよ…』それから話してくれた二人の関係もその始まりも『潤くんも好きな人いるだ…』『うん…』『にの視線の先にいつも先輩がいた…』初めは思い過ごしだと気にも止めなかったって案外人見知りな俺らは四人で集まる事が多かった『そして先輩の視線も…でも不思議なくらい二人の視線が合わなくて…まるで磁石が反発し合ってるみたいだなって…思っ
翔side家につき真っ先に向った冷蔵庫から缶ビールを取り出しこくこくと喉を鳴らすと炭酸の刺激とほろ苦い香りが喉を通り過ぎた「ふぅ…うま」そして後ろポケットに隠しておいたスマホでじゅんにメールを送った『今日はありがとう』『じゅんのパスタ美味かった』今度は…今日見たじゅんの笑顔を思い出す前にあの泣き顔が目の前に浮かんで『家に作り来て』…と書きかけた文字を消した「ふぅ…」溜息にも似た息を吐くと同時に手元のスマホが揺れ
翔side「ごめんね…」「謝るなって…別にじゅんが悪い訳じゃないんだから」「うん…でも…」いつものベンチで毎週楽しみにしているじゅんの手作り弁当を食べていた色とりどりの弁当箱の中で真っ先に口にするのは卵焼きだ季節は春から夏へと変わりつつあったこれから季節的にお弁当が傷んでしまうかもしれないから夏休みが終わるまで弁当を持ってこれない…ってすごく悲しそうにそして申し訳なさそうに眉を下げた「また…作ってくれるんだろ?」「ん…もちろんっ」
潤side「え…と…それって」「俺と付き合って欲しい」「え…あ…待って…ぁ…どこかにいくの?」「…ふははっ違くて」一瞬大きく目を見開いた後声を出して笑っているだって…「…恋人になって欲しいって意味だよ」真っすぐ見つめる瞳から逸らすことが出来ない「こ…い…びと」俺と…しょうくんが…恋人…もう一度心の中で呟いてやっと今起きている状況を分かり始めた「ふっ驚いてる?」「…お…どろいている」「だよな…」「…ん」「俺言っ
翔side「昨日なにしてた?」「ん…課題して…テレビ見て…かな」俺だけにしか聞こえないくらい小さな声でそして俺の声もじゅんにしか聞こえない程度でぽつりぽつり前を見ながら話しながら歩いていた「俺も…」「ふふっそっか…」「メール…しようかどうしようか迷ったんだ」「おれも…」「今度から俺もメールするし…じゅんもいつでもして?」「…いいの?」「当たり前だろ?いいに決まってる」「うんっじゃあするねっ」「おっ…おぉ待ってる」突然に屈託なない
潤side「なんで水族館なの?」「え?いやだった?」キャプから覗く薄茶色の目は真っすぐ俺を見つめるだけで表情からは読み取れない「ううん…いやじゃないよ」少し笑って首を振った「…いつか行ってみたいと思ってたんだ」テレビで見たんだ水槽の中を泳ぐ魚たちがすごく綺麗で一緒に見たいな…ってずっとずっと前に「翔さんと?」「へ?あ…」「ふふっ」「でも迷ったんだよ?」「どことどこで?」「んとね…遊園地と水族館と…映画館」「あぁ…
翔side「そうだ…」「なあに?」「俺たちの事…雅紀に話したから」じゅんからのメールを見て教室から出る前に肩を掴まれ振り返った『ね…翔ちゃん』『なんだよ』一刻も早くじゅんの元へと行きたかったから我ながら不機嫌な声だったと思う…だけどそれを気にすることなく呼び止めた奴はにこにこと笑っている『俺聞いてないんだけどなぁ…』『何を?』『あぁもお』『ふははっじゅんとの事だろ?』『もぉ分かってるんじゃん…で…伝えたの?』『あぁ…言った
翔side試験も無事に終わり長い夏休みの初めの平日「おはよ」「よっ」俺とじゅんは少し先に駅で待ち合わせていた「ふふっ楽しみだなぁ…」「そうだな…」この日は良く晴れていたご機嫌なじゅんは白いシャツに緩めのパンツスタイルがとてもよく似合っている「あっね…イルカショーもあるんだよ」「そっか」「うん…っあとね…」遠足に行く前の子供みたいに瞳を輝かせてきっとこれから行く所を調べたんだろうな弾む声でいろいろと教えてくれた「しょ
潤side温もりが消え目を開けると視線が重なり「「ふふっ」」笑い声も重なった「すごく綺麗だった…」「へ?」「目を閉じて…キスされてるじゅんが」「は…へ?」「ふははっすげぇ真っ赤になってるし」「や…だってしょうくんがそんな事言うからじゃん…てか暗くて見えないでしょ?」初めてキスした時はオレンジ色に染められていたのに今は薄暗くて楽しそうに笑っているしょうくんの顔だってもっとじっと目を凝らさないとみえないのに…はぁ…も…ぉしょうくんっ
潤side「読み終わったら本もシェアしような?」「うんっ」『本見たいんだけど…付き合ってもらえる?』『もちろん』それぞれ一冊ずつ本を選んで駅に近い書店を後にした「…どうする?」「…うん」せっかくの二人の時間まだ陽もあるうちに帰るのがもったいない気もするけど…「もう少し一緒にいたいんだけど…」「え…うん」『一緒にいたい…』…かそれって…深い意味はないと思っても今日のしょうくんは学校で会うときよりも優しくて甘いだから要らない期待し
翔side…可愛い…な…こんな顔もするんだ…それからお互いの合間に何とも名前のつけようのない空気が流れたまま歩き続け目的の映画館に辿り着いた「チケット買ってくるからここで待ってて?」「え…あ…俺の分…」「いいから」「だって…この前も出してもらってるし」「今日はいつもうまい弁当のお礼…」「そんな…ぁでも…」「な?お願い…そうさせて?」「うん…ありがと」「こちらこそ…いつもありがと」チケットを買って手渡すと『ありがと…でもほんとにいいの?
和side「イルカショー…は…っと」入り口でもらったパンフレットをなんとなく見てる俺たちとショーの時間を調べる為か真剣に見ている翔さんじゅんくんは…「ああっおさかなっ」「こら…じゅん…待てって」水族館だよ?魚がいるに決まっているのにすぐそこの水槽に小走りで駆けて行ってしまった…「ったく…そんなに急がなくても…」と言いってるけどその表情は今まで見たことがない位優しくて「しょうくんっ早く来て?」「あ…はいはい」潤くんに呼ばれ