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5.プチデート♡月美は星が来るまで、ブラブラと買い物をしていた。pm6:00星からラインが届き、2人は合流することができた。前に何度か立ち寄った駅ビル内の喫茶店に入ると、2人とも抹茶パフェを注文した。「もっと時間かかると思ってたけど、案外早かったね。」「うん。眞木野さんに頼み込んだから。」「お尻は大丈夫?」「全然平気。」「200って言ってたけど、平気なの?」「ちっとも痛くなかった。逆上がりできたから、軽くしてくれたんだと思う。」「そうかぁ。星くん頑張ったもんね。眞木野
2.恒の思惑海は星の存在を疎ましく思い、イライラした気分で家を飛び出した。そのまま何時間か夜道をさまよっていようかとも思ったが、もし悠一が恒に連絡を入れたら面倒くさいことになる。この場合の『面倒くさい』は恒からの長~いお説教+おしおき、もちろん悠一からも怒鳴り飛ばされ、泣くまでお尻を叩かれることになるだろう。海と言えども、今までの経験上さすがに学習したようだ。“こんなときにおしおきされたら、もっと気が滅入っちゃうもん。”今はいろいろと干渉されたくない。ひとりになりたい。放っておい
1.怒られても仕方ない月美にとって、この1週間はとても長く感じた。ドキドキしながら今日を迎え、高鳴る鼓動を押さえつけてヒップハートのドアを開けた。“今日の担当が芳崎さんだったらどうしよう・・・。”電話で眞木野は何でもないことのように、冗談っぽくアドバイスをしてくれたけれど、いざ芳崎と顔を合わせるとなると、ものすごく気まずかった。きっとそう思っているのは自分だけで、相手はまったく意識していない気もするが・・・。お尻を出されて直に叩かれたことはもちろん恥ずかしかったが、それをあん
3.甘えん坊悠一の後ろ姿を見つめながら、海はまだしくしくと泣いていた。「ほら海、行くぞ。裏の駐車場だから、ちょっと歩くぞ。」たかやんは海の顔をのぞき込み、自分で立ち上がるのを待った。「まったくおまえは、甘ちゃんだよな・・・。」海はたかやんの少し後ろをついて歩いた。「拓斗と環太は、大泣きして帰って行ったぞ。杉野先生が「お尻叩くから、パンツ脱ぎなさい」って言った時点で、もうべそかいてたもんな。母親の目の前でケツ丸出しにされて、若い女の先生からおしおきされるのは、相当きついよな。仕
4.空と海チャイムが鳴り、2時間目たかやんの数学が始まった。「日直、誰だ?」と言われて、一瞬沈黙が襲った。海がハッと我に返り、号令をかけた。「気をつけ、礼。」「ボケッとしてるなよ!顔洗って来るか?」「大丈夫です。」“何でこういうブルーな日に、日直なんて当たっちゃったんだろう。”すべてが嫌になってくる。まわりを取り囲むあらゆる物ごとが、自分を攻撃してくる気がしてたまらない。“たかやんの授業には集中しなきゃ。”そう思えば思うほど、頭の中と胸の奥の方がモヤモヤしてきて、
1.落とし物3週間の教育実習は見る見るうちに過ぎていき、残すところ1週間となった。星の果たし状と、よわしからの久々のおしおき、そして講習会において大勢の参加者の前で恥をかかされた月美にいくらか同情したせいか、海が彼女に抱く敵対心は次第に薄れていった。月美の研究授業の発表が数日後に迫っていた。よわしの指導の元、居残りして資料作りやリハーサルを行っているため連日帰宅時間は遅くなり、家でも課題が山ほどあって相当疲れが溜まっていた。よわしは根を詰めやすく手を抜くことができない月美のこと
3.悪い言葉を使わない今日は1年生で取り組む大きな目標を決めた。そして、それを叶えるための前段階として、1学期の目標も言い渡した。星が少しでも前向きな気持ちで臨めるように、本日の家庭教師はいい雰囲気で終わりにしようと思っていたのに・・・。月美は星の目の前に正座して、座っている星の腕をサッと引き寄せた。星はよろけて体勢を崩しながら、月美のひざの上に倒れ込んだ。そのまま腰をギュッと押さえつけられ、間髪入れずにお尻を叩かれた。「納得がいかないおしおきは受けない」と決めていたのに、いざ
3.顔合わせなのに…月美は星のあとについて部屋に入った。部屋の真ん中にテーブルがあり、座布団が2枚置いてあった。ドアは開けたままにして向かい合って座ると、まず月美は改めて自己紹介をした。「風守月美です。大学2年生、20才です。将来は中学の理科の先生か、企業の研究職に就きたいと思っています。月美先生って呼んでね。」うつむき加減の星の顔をのぞき込むように見ながら、ゆっくりした口調で話した。「はい、星くんの番。」「えっと・・・一ノ瀬星です。」星はどのくらいの声の大きさで
2.月美風守月美(かざもりつきみ)先生。今回の物語のもう一人の主人公だ。星の父親が大学時代にお世話になった教授の娘さんで、現在大学2年生。社会勉強を兼ねて家庭教師のアルバイトをしている。人づてに聞いた話では、子供を見てもらっている保護者の間でかなり定評があるらしい。星の父親はその恩師に絶対的な信頼を寄せていて、まだ見ず知らずの娘さんに対しても「教授のお嬢さんなら間違いない。」と太鼓判を押していた。まずは顔合わせということで、3日後の土曜日の午後に予定を調整した。その日が近づくに
2.ピンチ!まさかの・・・海は最近また、便秘がちになってきた。浣腸の苦い経験をしてから、ずっと気をつけていたのに・・・。11月に入って合唱コンクールの朝練が始まり、いつもより登校時間が30分早くなった。そんな日が1週間ほど続き、朝のトイレタイムが疎かになってしまったのが原因だと思う。悠一にはもちろん伝えていないが、4日ぐらい便秘でウンチが出ていない。“浣腸されるのは、もうまっぴら。”という思いから、「うーんっ!」とトイレで強くいきんでしまった。出たには出たのだけど、ウンチ
1.痛いのと、恥ずかしいのと海は昨日、部活中に足がもつれて転んでしまい、思いっきりお尻を打った。尾てい骨の所・・・。朝、お尻が痛くて目が覚めてしまうほど、昨日よりも痛みが増していて、歩くのもイスに座るのも辛い。恥ずかしくて、悠一には言っていない。なるべく普通にしていたが、それでも動作がぎこちなくなってしまい、勘づかれたら面倒くさいな・・・とヒヤヒヤしながら身支度を整えた。「行ってきます」と玄関を出るまで何も言われなかったので、きっと朝の慌ただしさが海の味方をしてくれたのだろう。
1.ハプニング1月半ば、あおいろ中学の2年生では職場体験が行われる。星は市立病院へ2日間行くことが決まっていた。地域密着性を重要視している市立病院では、ここ5年間、毎年中学生の体験を受け入れている。当日の朝、実習する診療科目が言い渡されるのだが、星はクラスの友達、大和(やまと)と一緒に内科に割り振られた。星たちの面倒を見てくれるのは、お馴染みの看護師の坂本さんだった。まず始めに顔合わせが行われた。悠一ともう1人の医師、星と大和、そして看護師のお姉さんたち数名があいさつを交わした
1.トレーニング日曜日、月美は目覚ましが鳴る前に布団から出ることができた。土曜の夜、やりたいこともたくさんあったが、さすがに昨日は夜更かしせずに早めに就寝した。今日は絶対に遅刻することはできないから・・・。眞木野が先週言った、「今日より厳しくしなければなりませんから。」という言葉が頭から離れなかった。この前だってだいぶ痛かったのに、あれ以上されたら我慢できなくて泣き叫んでしまうかもしれない。予約時間の10分前にヒップハートのドアを開けると、いつもなら受付にいるはずの眞木野の姿は
4.もう嫌だ!「何で?」星が驚いて尋ねると、「あっ、うん。ちょっと気になって。時間あったから。」はにかみながら首をかたむけ、顔をのぞき込まれた。いったい月美は、いつからこの場所にいたのだろう?何時に終わるか分からないのに、外でずっと待っていてくれたのか?この辺りは大通りに面しているので暗闇という感じではないが、10月の夜の空気は冷ややかで、1人で長い時間たたずんでいるのは物寂しかったに違いない。中に入って待合室にいてもよさそうなものを、そんなことをしたら、眞木野から過保護だと責
3.悩みごと2人におしおきをしたあと、悠一はこのまま様子を見ようとも思ったが、被害者である月美のことを考えると居たたまれなくなり、たかやんに相談することにした。pm9:00すぎ携帯に電話をかけると、まだ学校にいるようで、電話口からガヤガヤした話し声が聞こえてきた。「高也先輩、遅くまでご苦労様です。ちょっと海のことで・・・。」一之瀬星から果たし状が届いたことを含め、海が月美にした嫌がらせの一部始終を伝えた。たかやんはまったく把握していなかったようで、驚きを隠せない様子だった。「
4.苦手な英語星が待合室で勉強していると、30分ほどして知果がやって来た。「あっ、花ちゃん。おかえりなさい。」「星くん、勉強の邪魔しちゃってごめんなさいね。」「全然大丈夫だよ。」「ほっぺは、まだ痛い?」「えっ?」「真っ赤だから。」「あっ、うん。ジンジンはしなくなったけど、まだボワーンとしてる感じがする。」「そんなに強く叩かれちゃったの?」「生まれてから今までで一番強い痛さだった。」「そんなに?」「うん。注射とか歯医者さんとかケガしたときとか、全部比べものにならない
2.本当に反省できたのか?芳崎はヒップハートに勤めて4年になる。『トレーニング』の方は大学で勉強してきているので、始めからある程度1人でやらせてもらっている。しかし『おしおき』に関してはもちろん取り立てて勉強してきたはずもなく、元々そういった嗜好もなかったので、最初の2年間は眞木野の傍らで様子を見て勉強してきた。どちらかと言えば、人に説教するよりもされる方の人生を歩んできたので、なかなかこの手の業務を習得することは困難だった。ただ単に『おしおき=お尻を叩く』ではなく、その前後の過程も
3.初!お尻丸出し帰り道、学校から家まで歩いて15分。悠一はひとこともしゃべらなかった。2人の間を気まずい空気が漂っている。“帰ったら絶対におしおきされるよね・・・。もう海のお尻、充分痛いのに・・・。あーあ、このまま逃げ出したいよー。”玄関のドアを開け、リビングに一歩足を踏み入れた途端に、「正座!」と静かに冷たく言い放たれた。さっきたかやんに散々叩かれて、正座するとお尻にかかとが当たってズキズキと痛い。悠一に気づかれないように、お尻をちょっと浮かせて座ったが、バレたら怒られそうだ。
1.ダイエット年末のクリスマスイベントで、月美は『ダイエット』という大きな課題を与えられた。お正月は実家に帰り、おせち料理やお雑煮で母の手料理を久しぶりに味わった。その上、元日に家族で出かけた初詣以外は、家の中で1日中ゴロゴロと過ごす日が続いた。頭の中には“やせなきゃ!”という思いが結構な割合を占めていたにも関わらず、それを実行する意識が欠けていた。実家の体重計は電池切れであり、ストックしてある電池を入れ替えればいいだけのことなのに、それすら後回しにして体重を計るという基本作業
1.病院へ昼休み、月美は保健室にいた。喉が少し痛いのと、朝から胃がキリキリして、知果に助けを求めてやって来た。体温計を借りて熱を測ると、38度。それほど自覚症状はないものの、いつもより体が重たくボーッとしている気がする。「知果さん、胃薬ってありますか?」「月美ちゃん、大丈夫?まだ2日目だよ。だいぶストレス溜まってるみたいね。」「先生って大変なんだなってつくづく感じてます。やることは多いし、いろんな生徒がいるし。」「そうよね。実習って、いきなり知らない環境に放り込まれるんだもんね
2.おしおきトレーニングが終了しヒーリングルームに移動すると、芳崎と月美はソファに向かい合って座った。「何か話すことあるか?」芳崎が面倒くさそうに月美に問いかけた。“眞木野さんはあんなに丁寧な言葉遣いをするのに、どうしてこの人はこんな乱暴な言い方しかできないのだろう?”「なければ終わりにする。」“私もできればこの人と話をするよりも、早く終わらせてくれた方がありがたい。”まだ20分も時間が残っていたけれど、月美は帰ろうと思いソファから立ち上がった。そこにタイミングよく、
3.心境の変化店を飛び出した月美は、今自分の身に起こった出来事を頭の中で反芻しながら、「信じられない!」「最低!」「もう嫌!」ブツブツと呪文を唱えるように繰り返した。“お医者さんとか彼氏ならまだしも、何で赤の他人にお尻見られなきゃいけないの!服の上からお尻叩かれるのだってすごく恥ずかしいのに、何も言わないでいきなりパンツ下ろすなんてあり得ない。本当の意味でのおしおきなら仕方ないのかもしれないけど、今日なんて何も反省することなかったよね?それに所詮あそこなんて、『おしおきごっこ
2.このままじゃダメ!土曜日、空も海も部活が終わってpm6:30ごろ帰宅した。リビングには恒がいて、悠一と何かを真剣に相談しているようだった。キッチンのガスコンロには、大きなお鍋におでんの具材がコトコト煮えていた。大根、ちくわ、はんぺん、さつまあげ、こんにゃく、しらたき、ジャガイモ、たまご・・・。だしの香りが部屋中に漂い、食欲をそそられる。空と海が着替えて部屋から下りて来ると、すぐに夜ごはんの時間になった。いつもなら日本酒を熱燗でグイッといきたい大人2人だったが、今日はこの後の大事な
2.モチベーション↑そのあとの30分は誰もトレーニングがなかったので、星はまたひたすら鉄棒に飛びついた。暗くなるまでそんなことを繰り返していたが、さすがに星もこのままではらちが明かないと思い、手が空いた芳崎に「教えてください。」とお願いしてみた。「星、残念だが、春臣さんに「手も口も出すな!」って言われてるんだ。ごめんな。」「じゃあ、どうすればいいの?」「そうだな。直接、春臣さんに聞いた方がいいんじゃないか?」「でもあの人、何考えてるのかよく分からないから。」「おっ、それは
1.悠一と患者さん悠一が働いている市立病院に、海はたまに診察に行く。“内緒だけど、お兄ちゃんの白衣姿を見るのが好き。”家にいるときとは違って、『お医者さん』って感じでかっこいいし、みんなから『先生』って呼ばれている姿はすごく頼もしく見える。「私のお兄ちゃんなんだよ!」って、患者さん全員に自慢したいけど、それは心の中に留めておいて、悠一を取り巻く患者さんや看護師さん、他の先生たちを観察している。今日は学校にいるときから頭がズキズキと痛くて、学校帰りにそのままバスに乗って病院に来
2.先生の立場悠一は家に帰ると、月美が今日病院に来たことを空と海に話した。病状や処置については守秘義務だと言って触れなかったが、「空、おまえ先生と仲良くやってるみたいだな。」ニヤニヤして空をからかった。「何が?」「空くんはいろいろと学校のことを教えてくれて助かるって言ってたぞ。」「違うよ。航希が先生のこと気に入って、つき添ってるだけだから。」「舞衣ちゃんに怒られるから、いくらかわいいからって、おまえはおとなしくしてなきゃいけないぞ。」「そんなこと分かってる。」「気を
1.やめたい…あれから1週間経った土曜日。部活はテスト前で休みに入っていた。朝から星は、家事をしている母親のあとをつきまとい、「やめたい。」を何度も繰り返した。月美の家庭教師のときのように、母親は“またか・・・。”という思いで、「そんなこと言わないで、もうちょっと頑張って。」と軽くあしらっていたが、星はどうしても聞き入れてもらいたくて、しつこく言い寄った。母親に断りの電話を入れてもらいたい訳ではなく、まずはここから説得するのが筋だと思った。今日父親は休みで、リビングのソファに
4.思わぬ展開今回のテストでは英語と数学が同じ日だったので、数学よりも英語の勉強を優先した。今までテスト前は数学ばかりやっていたのに、今回は問題集のつまずいた箇所を見直すことしかしなかった。好きな教科を勉強するのは簡単なことだったが、星はあえて苦手な英語に力を注いだ。ヒップハートであれだけ時間を割いて教わったのだから、今までよりもいい点数を取りたかったし、眞木野を見返すためには避けてはいけない過程だった。眞木野に言われた「次のテストで数学1番をとれ」というお達しを忘れていた訳ではなか
1.悠一のお気に入り職場体験では予期せぬ問題がいろいろと起こったが、何とか2日間を乗り切ることができた。星の場合、2日目は初の入院患者体験となってしまったが・・・。バタバタしていたせいで、病院の先生にチェックしてもらう書類を渡しそびれてしまった。星は翌日の放課後、市立病院に電話を入れた。「今から行ってもいいですか?」と聞くと悠一が、「夜、自宅に寄ってくれれば対応するぞ。」と言ってくれた。pm7:00悠一が帰宅して夜ごはんの支度をしていると、玄関のチャイムが鳴った。ドア
1.星&空の作戦あおいろ中学に実習に来て、今日で5日経つというのに、月美は1度も星と話をしていなかった。校内で2回ほど見かけたが、話しかけられない状況だった。楽しそうに友達とふざけ合っている姿を見て、家庭教師やヒップハートで見せる顔とは一味違い、明るく元気そうで安心した。一方、星の耳には、『月美が実習先のクラスで、あまりよく思われていない』という噂が入ってきた。ここ数日、星なりに調査を重ねて情報を収集したところ、何人かの女子が月美のことを悪く言い、その中心にいるのが海だということ