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マサミちゃんと、ユキちゃんと、思わず顔を見合せました。「ね、見た?」「なに?あれ」お互いに顔を見合せ、青ざめました…その時、階下で、争う音が激しさを増し、一瞬、バタン!と激しい音がした後に、静かになりました。「ね、大丈夫かな?」ユキちゃんが、小声でささやくと、鏡の中で、女の子がほの白く光りました。目のはしで、それを認めると、マサミちゃんの袖を引っ張りました。「なに?」「あれを見て」ユキちゃんとマサミちゃんは、女の子を見つけると、一瞬、ひきつった顔をしましたが、それ
そして、満足そうにうなづくと、振り向きざま、「手を貸して!」と、マサミちゃんは、言いました。わけがわからず、私とユキちゃんが近付くと、「いい、窓をはずさないように、慎重にね!」と言うと、おもむろに、窓枠に手をかけました。ギギギギ…音をたてて、きしみます。それを、ハラハラドキドキしながら、見守ります。(どうか、下の男の人達が、気付きませんように…)私達は、それを1番心配していました。奥の部屋の方へと、足音を忍ばせて移動すると、男たちの争う音と、激
「この家には、いい具合いに、木の枝がすぐそこまでのびてるよ…あそこを伝って、逃げよう!外から地下室へ行けるはずだから、そこから通って、男子に教えてあげればいいよ!」と、マサミちゃんは言いました。切羽詰まった状況の私たちには、これ以上ないくらい、ひどくナイスなアイディアなに、思われました。私たちは、すっかり、マサミちゃんのことを、尊敬してしまい、誰も反対する人は、いませんでした。そこで、おもむろにマサミちゃんは、ドアに耳をつけて、部屋の外の様子を
「ねぇ、どうする?あの人達、ここへ来るかもよ!」ユキちゃんが、震える声で言うと、「このままじゃ、見つかっちゃう!」ヒソヒソ声で話をしていましたが、その声は、段々と、切迫した響きを伴ってきました。もちろん、私たちは、血の気がサァ~っと引いて、どうすればいいのか、頭の中は、パニック状態でした。その時、クラス委員のマサミちゃんが、私たちの顔を見て、「逃げよう!」と言いました。「無理よ!」と言うと、少し考え込んでいた、マサミちゃんが、「いいこと、思い付いた!」と
のぞいてみると、それは、USBメモリのようだった。先生はもう一度、封筒の中をのぞきこみ、封筒を逆さに振ったけれどそれ以上は何も出てこず、呆然として、おばあさんからの手紙と、USBを見つめていた。すぐさま、あらためて見たいけれど、さほどゆっくりする時間もない。先生は、それを再び封筒にしまいこむと、鍵のつく引き出しにしまいこみ、すかさず、鍵をかけた。ついに、死神の手が、おばあさんにまで及んでしまった…心に深い衝撃を感じるのだった。岸本先生は、あの日、七夕の夜、何者か
あれ?と思いつつ、それでも便箋を開くと、便箋の上半分に、びっしりとしたためられているのみだった。しかも、ひどく慌てていたらしく、あのおばあさんらしくない、非常に乱れた文字だった。『岸本先生へお久しぶりです。あの晩は、お世話になりました。突然姿を消したので、驚かれてることでしょう…私はとりあえず、無事に生きています。おそらく、心配されてると思いますが、ご心配なく。実は、最悪の事態が起こりました。ご存知の通
怪訝そうに見る、吉川先生を、チラリと、先生は視界にとらえていた。しかし!一刻も早く、中を見たい!という誘惑には勝てなかった。岸本先生は、大股で、職員室をあとにして、とにかく、一人になれる場所を探していた。誰かに、捕まってもいけない。それはまるで、大切な人からのラブレターのように。そんな自分がおかしくて、おもわず、笑みがこぼれた。(あとで、吉川先生に、聞かれるかなぁ)チラリと、そう思った。先生は、いつものように、社会科準備室の、ドアをあけると、辺りを見回してから、すば
「いや…何もしてないはずだけど…」と、少し不安になりながらいると、やはり自分の方に、向かって来ている。心当たりは、まるでなかった…そもそも、個人的な要件なら、直接、自分に言ってくるはずだ。岸本先生は、戸惑いつつ、事務員さんに近付いて行くと、「先生に、お手紙です」と言って、封筒を差し出してくる。先生は、「は?」という顔になり、「机の上に、置いといて下されば、いいのですよ」そう言うと、事務員さんは、茶封筒を、善行の元に差し出した。果たしてそれは、赤いラインの入っ
そこには、定規を使って書いたような、角角した文字が並んでいた。コレは、わざと筆跡をわからなくするためなのか、うっすらと、鉛筆で線が引いてあり、それにそって、カクカクと字が並んでいた。「お前たちは、すでに、入ってはいけない境界線を、越えてしまった。このまま、危ない目に会いたくないのなら、そっこく手を引け!これは、脅しではない。人のことを、かまう暇があるのなら、自分達のことを、心配しろ。気をつけろ!大事な何かを、失うことになるぞ!」と書いてあった。一同は、シン!となり、
「私は、その手紙をまだ、見ていないのですが…」先生は、遠慮がちに言うと、なんで?という顔で、刑事さん達は、岸本先生を見た。先生は、言い訳のように「だって…影を追いかけていたし…職員室に、電話がかかっているし、それどころでなくて…」と、急に気後れがして、尻すぼみになる。すると、「あんた、見てないのか?」と、怒鳴るように言い、黙っていると、わざとらしくため息をつき、「じゃあ、なんにも知らんのだな?」と言うので、「ええ…まぁ…」と、若干引き気味に、声を発した。学年主任が、