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現役書店員芸人カモシダせぶんの日曜に、一冊、読んでほしい本間宮改衣のデビュー作ここはすべての夜明けまえ評判に違わぬ面白さで良かったです。SF小説であり、純文学的要素も多分に含んでいる。物語はある女性の手記から始まる。父親に機械との融合手術を受けさせられ、老けなくなり、長命になった後、だいぶ前に亡くなった父から家族史を書いてほしいと言われたのを思い出したのが、この手記の始まり。家族と地球、そして自分の持ってる愛情を見つめ続ける物語。最初、ひらがなが多め、改行少なめの自由な文章と思わ
*******ベトナム生活を経験したあとだったから、日本の中古物件なんて、むしろ、〝きれいの極みじゃん〟と思っていた。・・・確かに。レトロがマイブームになったお陰で、この〝ジブリ的な〟ボロ屋敷を、オシャレにDIYしたい!と、意気込んでいた。・・・最初は。だがここでの骨の折れる楽しい暮らしは、想像以上に過酷なものだった。窓枠自体が歪(ゆが)んでいるものだから、雨戸は閉まらない。破れた網戸からは蚊が自由自在に行き来し、なぜかこのご時世に蚊帳(かや)を買った。(…っとに、網戸の張
こんばんは。昨日爆睡したせいか、今日は、眠りが浅かったです。身仕度して、コンビニにいきました。アマゾンギフトカードを、買いました。純文学の小説を、買おうかなとか迷ったのですが、ゲーム向きにしようと思い、ドラクエ5と、サラ・パレツキーさんの小説2冊、リボンの騎士を、買いました。いつもなら、なんかしら、純文学を、一冊入れるので、珍しいなあと思いました。ただ、余命も、どんどん、なくなっていくし、余計なことを、やっていられないので、ちょっと、厳しくしようと思いました。サラ・パレツキ
*******そんな、日本では梅雨の嫌(や)な季節。福岡の母が重度の膠原病になり、麦が日本に一時帰国している間、少しだけ大祐と音信不通になった期間があった。彼はラオスに一人で行っていたらしかった。だが、見てしまった。確かに、日本から帰ってきて、ゴミ箱に捨ててあったそれは、見つけてはいたのだ。明らかな、“二人分”の領収書たち。だけど、だとしても、仕事上のアテンドでしょう?ところが7月の終わりのある日。それとそれと、あれとあれが、つながってしまった。「麦さん、素敵な写真が
*******新居での生活がスタートし、二年が経った。コスパ重視の建売にはあまり期待していなかったけれど、一言(ひとこと)で、〝かゆい所に手が届く〟間取りで、なかなか気に入っている。大祐にはこの春、予想通りの辞令が下りた。次はインドネシアだという。まるで熱海に一泊旅行にでも行くようなリュックひとつの身軽なベテラン駐在員を、空港まで送って行ったあと。その足で次は、自宅近くの葉桜に変わりつつある河津桜(かわづざくら)の木をくぐって、駅に向かった。駅の改札には、大荷物を提げた大祐のお母
こんにちは😊訪問ありがとうございます✨去年12月に退職して、現在自宅療養中。統合失調症歴13年メニエール病歴5年エンパス、逆エンパス、HSP気質このブログでは日常のことや思ったこと、感じたことなどを書いています🙂(時にペン字写真や小説を載せます)就労移行支援の見学に行ってから、お疲れモードでしたが、来週体験と利用計画書みたいなのを作成するので、割と早く利用し始めることになりそうです。話しを聞いてみて良さそうなところだなと思ったので、通うのが楽しみです。話は変
*******かたや、ベトナム人の女性は、どうであろうか。基本、ベトナム人の女性は働き者が多い。売店の若い店員は、客に対して笑顔や挨拶は疎(おろ)か、常に携帯をいじっているし、布市場の女性たちなんか、山積みの商品の上で昼寝をしていたけれど。ちなみに、ベトナム人の男性には、「あまり仕事をせず、昼間からコーヒーを飲んでいる」、という諺(ことわざ)みたいなものもあるくらいだから、その点お察し頂けるであろう。スリやぼったくりは多いけれど、凶悪犯罪は極めて少ない国。そして、どこまでも素直で、
こんにちは。美都です。いつもありがとうございます。ステキブンゲイ、ヒューマンドラマ、で、検索。美都の作品が読める、かも。最新作は、「最後に言いたいこと」です。ステキブンゲイ、純文学、で、検索。美都の作品が読める、かも。前作は、「幸せになるクスリ」です。美都の作品をクリックして、美都の名前をクリックすると、美都の全作品が出てきます。さて、ちゅうでんに出す作品の推敲中ですが、毎日作品を読んでいると、飽きてきて、もう読むのいやあ!><;となります。そうなってか
昨日、書いた’24年度、創作活動の戦略・立て直しについての続きになります。この’24年度に、児童文学をメインの位置からは取り下げることについてと、その理由を昨日書きました。で、メインを大人向けの小説に置いて、最低でも2年ほど挑戦してみたいんです。もちろん、同時並行で、昨日の短編童話や、現代詩も書くんですが、あくまでもメインは小説だぞ、と。でも、現状の、ここ8年ほどの、童話も書く詩も書くの、わちゃわちゃした活動をしていると、何も変わりません。創作教室・講座として、とりあえず、
*******大祐の母には、そこいらのお義母さんとは少しだけ違う不思議なところがあった。俗にいう〝嫁いびり〟はちゃっかりする反面、それというのは、息子の大祐ではなく、嫁の、麦一人だけを自分の生活圏に定住させようと仕向けてくるところだった。その意図とは、息子はかわいいが、老後、家事の面では、息子はあてにならないため、ヘルパー代わりになる嫁の方に、寧ろ、白羽の矢が立つ、という考え方のようだった。加え、嫁だけでも近くに置いておくことで、かろうじて、“息子夫婦に見放されてはいない”というメ
*******そういえば、初めてショートカットにしたいと思った20代の頃、表参道のおしゃれな美容室に行ったことがある。中学2年生の時、夏休み明けにイメチェンしようと、近所の〝パーマ屋さん〟で髪をバッサリ切ったら、お猿さんみたいになって大失敗した経験がトラウマになっていて、それ以来ずーっとロングにしてきたこの髪を切るときには、絶対、〝失敗しない店〟で、と決めていた。ミュージシャンやテレビ関係者も通っているらしかったそのハイセンスな店舗は、指名料+カットだけで一万円は優に超えていた。腕前
現役書店員芸人カモシダせぶんの木曜に、一冊、本の話を今回は、高瀬隼子の中編&短編小説集いい子のあくび表題は、主人公の女性が歩きスマホをしてる人を避けずに、ぶつかろうとするところから始まりとにかくこの女性の複雑な心情が終始リアルタイムで伝わってくる良作人間関係における人格の分別や、自分自身の価値観など、一言でまとめきれない思いがぎゅうっと入っていた。また短編「お供え」では、職場もという閉鎖的な空間での人間関係のダルさをしっかり書かれていたり最後の短編「末長い幸せ」は友達の結婚を祝う
*******大祐の事務所は、厳密に言うと現地法人となる為、グェンさんは大祐を“社長さん”と呼んでいた。その、グェンさんという女の子とは、最初に観光地をアテンドしてもらって以来、たまに一緒に出掛ける仲になった。「麦さん、モデルみたいに、カワイイデスネ。写真撮ってもいいですか」彼女は、会うたびに、やたらと大袈裟に私を褒めてくれた。ベトナムの女の子は日本製の化粧品が大好きで。大祐と夏休みやテトに、日本に一時帰国した際には、資生堂やカネボウの洗顔フォームを、よくお土産にプレゼントした
*******『駐在妻は、寧ろ、人間関係のみの世界』…だってさ。機内誌をバッサバッサ読みながらこの国に降り立った日を思い出す。最初はもちろん、麦も不安だった。向こうに着けば、語学力もゼロ、知り合いも…ゼロ。よく耳にする〝ママ友〟問題だって、たとえ、リーダ格の人に目をつけられても、…別にね。“取って食われるわけじゃあるまいし”麦は自身に子供が生まれても、そんな風にドライに生きていくタイプかと思っていた。だけど、海外生活が始まって、考え方が変わっていくのがわかった。レジデンス
*******ノースリーブの肩にあたる生乾きの髪…。日本ではムリだけど、海外では少しだけ、開放的になれた。「チョートーイモッタクシービック」(ビックタクシーを一台呼んでください)まさか私が、生ライチにハマるとは思わなかった。わざわざタクシーを呼んで、六月はよく朝の市場に出掛けた。勿論、短パンと、ノースリーブ姿のまま。この、四季のあるハノイの、一年のうちの、限られた時季にだけ食べられる、みずみずしい果実。田舎の食べ放題のデザートコーナーでは、見向きもしなかった果物。
読書ノートの260回め。近況と読書状況をちびっと。相変わらずローペースの読書ですが、それなりにじみじみと読んでおります。やっぱり紙本の方が時間かかっちゃいますね。積読の山から何冊か引っ張り出したもののページ消化がとろっとろで。(^^;;一方で電子本の方は割とさくさく読み進められているので、読書ノートの方も少し多めにご紹介できるかもしれません。◇◇◇読む方はローペースなんですが、書く方はギアを一段上げました。短編書き継ぎの形ではありますが『永遠の野原』をスタートし、ストックをせ
*******鳥かごランプや中国布のソファーカバー、壁面のドンホー版画たち…。「むっちゃんのレトロカフェ、か」部屋中をわざとらしく見渡すと、大祐が呟いた。「は?なに?」「レトロな家にするんだって言ってたじゃん。」「あぁ…、あの時はね」「古さもレトロになんない?」大の的を得た一言が小さい声であった事をいいことにスルーすると、むっちゃんは昔話の語り部のように、遠い目をして続けた。「今思うと、ベトナムかぶれしてたんだよね。でもさ、レトロな雰囲気って、あの国だからよかったっていうか。毎
*******結婚一年目に、一度だけ流産を経験した。その時は胎児が大きくなっていたので、義理の両親に報告をしたのだが。それ以後も、“私の体質のせい”でこっそり流産し続けていたとでも、想像していたのだろうか。ましてや、不妊治療を検討したり、すでに始めているとでも…?私たちは、セックスレスなんです。もう1年半も。できるはずがないんです、子供なんて。言えるもんなら、言いたかった。声を大にして。気の弱い嫁です。それができたら苦労はしない。*******私には唯一、好きな靴のメー
*******某ホテルの社長が、確かこういう言葉を雑誌の特集に残していた。【家を買うという事は、世界地図に点を打つことなんです】そうそう、魔女の宅急便の主題だって、確か。【自分の町を、自分で決めるということ】だったはず。ねぇ、その土地に、点を打ったんでしょう?それが、線になってきたんでしょう?その決意の裏には、責任もあったはず。お金があれば、いいの?『シンプル』さを求めているとか言って、駅近のマンションに住み替えたりして、結局また、『便利』さを求めているだけじゃない?か
*******当時、大手の介護サービス会社の下請けで請求事務をしていた麦は、自分より後から結婚した後輩が続々と妊娠・出産していくのを何人も笑顔で見てきた。本音を言えばそれが、知らず知らずのうちに深層ストレスになっていたのかもしれない。わかっていた。これは、また押し寄せてきた〝逃げ〟の波だ。仕事自体ではなく、別のストレスからの。日本を離れるという、表面上は格好さえ良い三十ニ歳の“決心”は、三十ニ歳の、その歳特有の、彼女の"逃げ”でもあった。もうひとつ確かなことは。共働きが主流
*******責任。定住地を構えること。点が、線になっていくこと。家と一緒に、老いていくということ。身体の老いと、住まいの老朽化に対峙していくこと。生きること。死ぬこと。その場所で。さぁ、誰と?ハッと我に返ると、堅苦しい手続きの部分はとうに終了していて、白井と大祐の雑談が楽しそうに始まっていた。麦は、受付の女性が運んできてくれた二杯目の紅茶に添えられた茶色い角砂糖をつんつんしたりして、手遊びを始めた。「こいつ、多分、今回の家探しで、不動産にえらい詳しく
【あらすじ】ライチ熱とは何だったのか。大祐という申し分のない夫が居ながら、二人の男性とかかわりを持ってしまった麦。女として一番女でいたい時期に、麦が本当に欲しかったものとは。そして、賃貸派vs.持家派議論に於いて、考え方の多様化と共に“一生賃貸派”が増える昨今、「定住地」を構えるとは何なのかを問い質す。みずみずしい生ライチを食べ過ぎると熱が出る。発熱する、という事は、どこかしら体に異常をきたしているという事の現れなのに。
*******「川沿いの物件は、日本人は倦厭する人が多いけど、中国人には〝リバーサイド〟と言って人気があるんですよ。だからここもきっとすぐ、売れてしまうでしょうね」「そっかぁ。こんな景色、毎日見たいですもんね。ベトナムのお家思い出すなぁ。私は、あの時みたいに、レイクビューの方がいいけど…」「あぁ、確かに、日本人は、湖の方が安心できますよね。津波の心配も、川の氾濫の恐れもないし」麦はすぐ、苦い表情になった。ざわざわと、嫌なことを思い出したときの、あの。大祐は、私が、湖の見え
*******「ご契約ありがとうございます。」35年ローンが始まった。桜庭(さくらば)川横のサイクリングロード沿いに、注文住宅を建てる予定だったけれど、輸入先の伝染病の大流行で資材の調達に見通しが立たなさそうだったので、売れ残っていた建売住宅に決めた。下倉と一度は見学に行った物件の一つ。ボロ屋敷も案外愛着が湧いてきた頃だったけれど、こぼれ種で今年も庭に咲いたオルレアの白いレースが、なんだか先にサヨナラと手を振っているようで気持ちの整理はついた。改装したての東陽住宅サービスの
昨日やその前にぐだぐだ書いてきた、講談社児童文学新人賞への応募原稿のことの続きです。講談社児童文学新人賞への応募原稿は、書式ミスで、元原稿300枚を大幅削除して、225枚にした上での再構成・改稿作業をしてしまったと、昨日、報告しました。もう元へ戻す気力もなく、行間隔を大人向け小説のように、詰めつめで書いていたのを、児童向けらしく、読みやすいように、行を空けにしながら、推敲作業をしていました。すると、259枚になりました。規定が300枚以下だから、86.3%です。基本、いつも
盛夏が過ぎ、残暑が厳しい。そんな当たり前の秋が始まりを迎える。どこからが秋でどこまでが夏だったのかそれは、各々の体感でしかないのかも知れない。ただ、暦の上ではもう秋だった。健太は宣言通り現れない。それは私を更に家に引き籠らせ、何もかもの考えを失わせた。何も考えず、横たわる日々は私を堕落させているに等しいが、しかし、それ以上に堕ちる所もない。窓から見える青空と日の強さが秋を遠く感じさせる。その内、雲が増え、秋の訪れを感じるのだろうか。そんな無為な日々に飽きれば、とも思うがきっと飽きない。何
*******仕事で忙しい大祐よりもすぐ飛んできてくれて、メールの返信もいつも速攻。ごめんなさい。客という立場を利用して、私はこんなにも誠実な下倉に、甘えていたのかもしれない。「レイクビューオアリバーサイド…か。」ベトナム生活での、大祐とのことも、少しだけ話をしてしまった。いや、ずるいのは下倉だった。奥さんとのそんな話を先にされたから。~建蔽(けんぺい)率と、容積(ようせき)率の計算問題~西とは違って、下倉の算数は難しかった。駆け引きと素直が入り混じって、突き放
今江國香織さんの『東京タワー』を読んでいる。久しぶりに江國さんの小説を読んでる。最近は純文学読んでなかったな、ノンフィクション系もかなり好きで、社会問題っていうクソぼんやりの問題を真剣みたいに見せな考える。そんでさっきめちゃくちゃに久しぶりにブログにログインした。少し前の記事に『きらきらひかる』について書いてた自分がいた。まだjkだ。もう4月から大学3回生になる。文章書きたくなるタイミングは江國さんの小説を読みたくなる時と被る。影響を受けた、受けてる人ってまさにこういうことなん
*******この家は確かに、“屋根裏部屋も付いた二階建て”ではあるが、一軒家…というより、マンションの低層階タイプといったところ。バブル期にはおそらく、テラスハウスと呼んでいたのかもしれない。隣人とは、コンクリートではあるが、壁一枚でつながっている、メゾネットタイプの物件。「ボロ屋敷ぃ~っ!」大祐は、珠暖簾(たまのれん)の真ん中あたりの緩やかなカーブにカラコロと頭頂部を合わせるように屈むと、寝起き70%の変顔でいつもの麦の口癖を真似た。「しゃーしいねぇ、真似せんでよ。だいたい
*******結局、その煌びやかな美容室には、お金が続かなくなって(笑)ドロンしたのだけれど…西は、と言えば。「同じ57年生まれなんすね。」お、クールな西にしては珍しく、客のプロフィールを話のネタにしようと持ち出してきた。「えー、西さんもですか?年上に見えちゃいました。そうなんです、夫も私も57年生まれなんです。」「旦那さんも…?やっぱり、同じ年って、いいですか。」「ですね。例えば、二つとかでも違うと、結構音楽の話題がずれてて合わなかったりするんですよね、…意外と。」麦は