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ジョン・バース、ポール・オースター、と現代アメリカ文学を代表する作家が相次いで亡くなった。トマス・ピンチョンも執筆活動はしているのだろうか。同時代性というのだろうか、発表される作品をリアルタイムで読ンで楽しめた。特にジョン・バース。人は物語によって時間と自我を織り上げるのだが、バースはその物語のあり方を多様に組み換え、歪んだ時間と自我からの救済を探る。そうした企てを、人間の域を超えるような知性をもって、密度の高い文体で特別なエンターテイメントに仕立てる。そして中編の悲劇と喜劇、長編のSFと
ハードカバーの小説なんて読むのどんだけぶりだろう?記憶に無いくらい昔なのでもしかしたら初めてなのかも知れないし単に記憶が無いだけなのかも知れない。まあ、そんな事はどうでもよくて、ずっと彼の書く旅エッセイなどが好きでイベントにも行った事があるくらいには好きな作家さんなので、この小説はとても楽しみにしてました。と言いつつ、やっとこさ文学フリマで宮田さんのブースへ赴いてこれを入手したのが発売から随分経った昨年の話で、さらにそのまま積ん読状態になってて、今さらながらに読んだというテイタラク。いや
読み難いと思っていた下巻だが少し時間を置いてから3ページも読み進むと、とんでもない展開ではないか!ページを繰る手が止まらない。野獣のように変貌した少年、さらにその母親…感染者を狂わせる未知のウイルスは家畜から人間まで相手を選ばす感染しネズミ算で増えていく。その元凶は山中に潜むヒッピーグループのリーダー、クイラーなのか?立ち向かうスローター署長、恐怖に負けそうになりアル中に悩む記者のダンロップ、スローターを拘束して武装蜂起するパーソンズ市長。戦場となった街、そして山でウイルスに冒された者どもと戦
小説投稿サイト・ステキブンゲイの冒険ジャンルにおいて、拙作「神を打ち砕くまなざし」が1位、「死霊的爆心地の猟犬」が2位、「血は刹那に燃え上がる」3位となりました。ぜひ、この機会にご一読下さい。いいね、ブックマークもよろしくお願いします。
特殊設定ミステリが流行りではありますが・・・・・さすがにこの設定は許容できませんでした(^^;)人格が入れ替わるとか、タイムトラベルが起こるとか、異世界が舞台だったりとか、それでもまあ、そういうこともあり得るものとして、色んな特殊設定ミステリを読んできましたが・・・本作の「暴走車に撥ねられて気がついたらロボット掃除機になっていた」というのは、ロボット掃除機の頭脳に当たるCPUとメモリに人間の意識が宿ることになり、スペック的に不可能なんですよねー。あり得ない。まだしも「意識不明
『宝島TreasureIsland』1950年ディズニー映画宝島(1950)予告編youtu.be1765年のイギリス西海岸。日本は江戸時代。ベンボー提督亭という古い宿屋を切り盛りしているジム・ホーキンスという男の子がいる。この子は母親に代わりこの店を切り盛りしているのだが、ある船長を匿っている。その船長は、海賊が隠した宝がある島の地図をジムに託し、死ぬ。この港町の医者とその友人たちが、その地図に従い宝捜しをしよう、となる。船長になった人は、料理人として、シルバーと
昨夜、新宿のいつものバーに独りで飲みに行った。8時少し過ぎに着くと、顔見知りの常連2人、西洋人の男女2人、見知らぬおじさんの2人連れの6人の先客がいた。このバーは、音楽をそれなりの音量で流しているが、それとは関係のない音を消した映像を、モニターで流している。流れる映像は、マスターが好きなフランスの自転車レースだったり、スキー大会だったり、スポーツの大きなゲームだったりするが、CNNのニュース映像だけが流れていることが多い。2週間前の夜に行ったときは、ナワリヌイ氏が死んだというCNN
満を持して✨「断わる理由はないな、中佐。どの道を通って行っても、結局は地獄に行き着くことになるのだ。そうだろう?」残っていたコニャックをグラスに注いだ。戦後冒険小説の最高傑作by佐々木譲その佐々木譲氏による解説(というか賛辞)がとにかく熱い🔥その熱い思いが伝わってくる✨ニヤッとすると、目をソワソワと動かし、口辺に狡猾な笑みを浮かべた。「それは、かんたんさ」彼がいった。「彼は、ミスタ・チャーチルを撃つために、部下を連れてやってきたドイツ人だ」鷲
皆さんこんばんは。今夜はお初のお客さん達と楽し一夜でした。さて恒例の夜中の本紹介。「脱北航路」月村了衛笹本さん亡きあと、大きな冒険小説は月村さんだと勝手に思っている私。今作はそんな私の期待にこたえるかの様なテーマ。それは北朝鮮による拉致被害者&潜水艦というテーマ。挑戦するには相応しい内容です。さてどうでしょうか?物語は北朝鮮の陸海空軍による大規模軍事演習の始まる朝。国の威信をかけたこの行事で、北朝鮮の大佐は以前から計画した通り潜水
(ややネタバレあり)グレイマンの異名を持つ元米CIAの非合法工作員コートランド・ジェントリーの活躍を描くシリーズの第12作。新作を出す度に最新の世界情勢をストーリーに採り入れる作者だが、本作ではロシアによるウクライナへの侵略戦争をぶつけてきた。しかも「西側諸国」が世界経済の回復という名目で、ロシアによる占領地域の現状維持を認めて終戦に合意するという踏み込んだ設定。もちろんジェントリーは身を賭して「正義にもとる」大国の思惑に挑んでゆく。ウクライナ戦争で負傷した息子が前戦の劣悪な医療環境と後
「黒髪」三部作の後の息継ぎとして、久しぶりに引出した海外小説がコナン・ドイルのシャーロック・ホームズの名作長編「バスカヴィル家の犬」であった。基本シャーロック・ホームズシリーズは読みやすいのと、推理小説特有の叙情が極力控え目になっているので、すらすらと読み進められる筈であったが、通読するのに実に一週間も掛かってしまった。勿論、早く読めれば良いという事でもないが、少しづつ蔵書も増えているので、自然気持ちが急いてしまうのであるが、日中でも夜であっても文字を見ていると眠気が襲って来た時はどう
影の中の影月村了衛/著あらすじネットから血も凍る暴虐に見舞われた故郷から秘密を抱えて脱出したウィグル人亡命団彼らを取材中のジャーナリスト仁科曜子白昼の東京で襲撃された中国による亡命団抹殺の謀略だしかし警察は一切動かない絶体絶命の状況下謎の男が救いの手を差しのべる怜悧な頭脳と最強の格闘技術をそなえた彼の名は景村瞬一。冒険小説の荒ぶる魂がいま甦る疾風怒濤のノンストップ・アクション日本ブログ村の応援ポチをお願いしますにほんブログ村
誘拐された上院議員の娘の救出に向かった、人質奪還を専門とする民間軍事組織を率いる元海兵隊員のライアン・デッカー。しかし、作戦は自身の仲間やロシアン・マフィアの人身売買の犠牲者と共に、文字通り木端微塵に。FBIに捕われ服役していたデッカーだったが、突然釈放されたかと思うと何者かに命を狙われる事に。そんなデッカーを救うのは、かつて彼に助けられた事があるという女性探偵ハーロウ。彼女の組織とネットワークの力を借りて、失敗に終わったかつての救出劇の背後にあるものを探っていく。デッカーの実直な、
1982年頃発行の冒険小説です。今イチ判らないタイトルだけれども、雑誌掲載時のタイトルは「アフガン血風記」だったとか。こっちの方が判りやすいなぁ当時、ソ連が侵攻していた、アフガニスタンがほぼ舞台のストーリー。ソ連、アメリカ、アフガニスタン、そして日本人それぞれが複雑な事情を抱えつつ、アフガニスタンの荒れ地を舞台に冒険ストーリーが進みます。そう、この時代はソビエトが現役バリバリに敵役だったんだなぁと。話の発端は、薬きょうが要らない自動小銃の開発が成功!って事なんだけれど、この小説書
アガサ・クリスティ向後英一訳創元推理文庫1967年4月初版1977年12月22版久しぶりの出社。通勤時間が最短でも2時間!なのでお供に持参しました。大好きだけど・・もう何年も読んでいなかったこちら既にカバーもなくてボロボロ状態ですどこにあったっけ?と探し出しましたなぜ久しぶりに読もうと思ったか?はい、先日読んだこちら『メナハウス・ホテルの殺人』エリカ・ノース・ノイバウアー山田順子訳創元推理文庫2023年2月発行はい、こちらの前の巻です。『ウェッジフィ
小説小日向白朗熱河に駆ける蹄痕Amazon(アマゾン)500〜7,185円馬賊王になった日本人小日向白郎のヒロイックな冒険小説!面白い!Samurai'sMessage(PartII)Inthemessageofthesamurai,therearefouradmonitionsknownastheFourPrecepts,cautioningagainstthefouremotionsofastonishment,fe
福田和也さんは1989年に『奇妙な廃墟』でデビューした文芸評論家です🆕✏️その後の1993年には『日本の家郷』で三島由紀夫賞を受賞しています💐🏆️福田和也さんの主な著書に『現代文学』、『総理の値打ち』、『日本クーデター計画』等が有ります🔫💥📖福田和也さんの代表作は何と言っても『作家の値うち』でしょう🤗『作家の値うち』の内容は日本の代表的な純文学作家五十人とエンターテイメント作家五十人を選んでその主な小説を百点満点で採点しています📝👓️村上春樹さんや石原慎太郎さんの小説を高く評価する一方で、大
第34回小説すばる新人賞を受賞した『コーリング・ユー』は、シャチたちの会話から始まる海洋冒険小説を読む子どもの頃「わんぱくフリッパー」をTVで楽しく観ていた事を思い出した内容海洋研究所に勤めるイーサンと飼育委員のノアのもとに、国際バイオ企業からある依頼が舞い込んだ。世界環境を救う貴重な保存容器を、シャチを訓練して海底から回収して欲しいという。間もなく訓練用の仔シャチが到着。イーサンはセブンと名付けられたそのシャチが愛情深く、他動物と言語によるコミュニケーションが出来ることに気づく。私がワ
私が幼稚園に入園し初めて紙芝居を見たときこんな素晴らしい世界で自分も仕事をしたい・・・そんなことを思いついたのですが1965年ごろもうTVアニメというものが出ていて紙芝居のように限られた場面の静止画でストーリーを表現する時代はもう終わりつつあったのですね。小学校に入学しても(1967年くらいまで)授業や学校行事で、まだ使われていた紙芝居自分でも描きたくて描きたくて・・・(絵は下手くそだったけど内容には自信があった)給食の準
No.1292021.10.8(金)機龍警察白骨街道/月村了衛/早川書房/2021.8.25第1刷1900+8%機龍警察シリーズに新展開をもたらす本書は、いよいよ『敵』の重要人物の影が見え始め、核心へ向けて大きく舵を切るターニング・ポイントとなったような印象が強い。特に、特捜部の中でも重要人物の受けた精神的衝撃の強さは、今後どのように“機甲兵装”が進化していくのか、また“龍機兵”を巡る秘密が明らかになるのか、興味は尽きない。さらに、文中で語られる“機龍兵”搭乗員姿特捜部付警部の
No.2522016.12.31(金)黒涙/月村了衛/朝日新聞出版/2016.10.30第1刷1600+税「黒警」続編。中国のスパイをあぶり出せ。その命令を受けて発足した特命班に配属された「黒子」石渡。義兄弟の義水盟の沈と相談し、中国人スパイになっている日本人警官のあぶり出しに協力する。そのために沈が日本に呼んだのは、インドネシアの海で育った沈の義兄弟で青年実業家・ラウタンだった。三人の義兄弟が、日本の政財界に張り巡らせた「協力者」を焙り出す!だけど、この書き方でずっ
No.1742015.10.12(月・祝)影の中の影/月村了衛/新潮社/2015.9.20第1刷1600円+8%冒険小説が好きだ。いや、耽溺していると断言しても、いい。アリスティア・マクリーンに始まった冒険小説への傾倒は、当然のように日本にも到達し恐るべき一大ムーブメントとなった七〇年代後半から八〇年代。何事にも屈しない強固な自己を持ち、難題と満載のなか笑顔を浮かべ試練に立ち向かう男たちの挽歌が席巻した。しかし、今やその多くの書き手を失って久しい日本の冒険小説界に降臨したのが
No.0672015.5.5(火・祝)槐エンジュ/月村了衛/光文社/2015.3.20第1刷1600円+税本当に今、この人から目を離せないと確信させるに違いない“冒険小説の快作”。ストーリーも単純なようでいて、中に秘めた作者の強い“独立心への願望”と“今、生きるために何をすべきか”の問い掛けが随所に見え隠れし、息をするのも忘れるほどの激しい傑作の誕生だろうと確信しないといけないようだ。「振り込め詐欺」で自分の名前を騙られて祖母がお金をだまし取られ、ショックで自殺してしまった
No.332015.3.5(木)機龍警察〈完全版〉/月村了衛/早川書房/2014.11.15第1刷2000+税2010年ハヤカワ文庫で登場し一気にスターダムに躍り出た注目の作家・月村。そのデビュー作を全面改稿しハードカバーで新たに上梓した〈完全版〉が本書。「機龍警察」シリーズの記念すべき第一作目。巻末に自らの作品解題ほか特別企画を収録し、本文の他に解説も楽しめる〈お得〉な構成になっている。―テロや民族紛争の激化に伴い発達した近接戦闘兵器・機甲兵装(中に兵員が入り操縦する兵器)。新型
No.0042018.01.08(月・祝)サハラの薔薇/下村敦史/角川書店/2017.12.21第1刷1600+8%これは“トンでもない物語”だ。読み手が最初に思い描くストーリーを、あっという間にひっくり返してしまいその先をどこへ向けていくのか分からない“乗り物”に乗せる。ただし、その乗り物は「らくだ」かも知れない。サスペンスでありミステリーでありアクションであり、さらに本格推理の味も加えた“圧倒的エンターテイメント作品”が本書。始まりは、発掘調査が行われていたエジプトの古墳
THEARK失われたノアの方舟タイラー・ロックの冒険①上下ボイド・モリソン2009.2010年竹書房文庫2013年UCLAの教授で女性考古学者のディララ・ケナーは、生涯をノアの方舟の探究に捧げ、3年前に行方不明になった考古学者の父の友人であるサム・ワトソンから至急会いたいという連絡を受けてインカの発掘調査の現場からロサンゼルス空港に駆けつけたが、そこでワトソンは、父が実物が存在する証拠を突き止めたことを告げ、さらに意味不明な人名や会社名を残し、このままでは数億人の犠牲者が出る
イングリッシュマン復讐のロシア(ハヤカワ文庫NVNVキ14-1)Amazon(アマゾン)${EVENT_LABEL_01_TEXT}銀行員のカーターが何者かに襲われ、攫われる。MI6よってロンドンに呼び出された元フランス外人部隊出身のダン・ラグランは、旧友であるカーターを救うべく動き始める…。イングリッシュマンと呼ばれる元フランス外人部隊(レジオン)出身のダン・ラグランの活躍を描いたサスペンス・アクション。銀行員のカーターは何故、襲われ攫われたのか。この辺り
朝晩、ようやく秋の気配を感じるようになりましたね「秋と云えば…読書」あまりに安直ですが、本日は僕が今まで読んだ中で1位、2位を争う傑作だと思う冒険スパイ小説をご紹介します♪邦題は『雪の狼』著者はグレン・ミード1997年の日本冒険小説協会外国部門大賞受賞の作品です。CIAによる、米ソ開戦の危機阻止のための作戦準備期間を描く上巻下巻では実際の”SnowWolf”作戦(スターリン暗殺)の模様が描かれています。主要な登場人物は…CIAに雇われた狼と呼ばれる暗殺者、アレックス
おはようございます!娘がレッスンに出掛けていったので、しばし休憩です。さて、毎日、カービィの小説を握りしめていた息子ですが、今では、マジックツリーハウスを読んでいる姿をよく見かけます。図書館で借りた本など、色々な本に触れる中でどれも読んでみるとおもしろいと感じることが多いみたいで借りたものやオススメされたものは、とりあえず読んでみる、というスタンスの息子。マジックツリーハウスは、「これ世界中の子供たちに人気のシリーズだから、読んでみて!」とおススメしたらすぐ読みはじめ、あっとい
基本的に翻訳物は苦手なのですが、コチラはとても大好きな作品です。「パイド・パイパー」ネビル・シュート著池央耿訳創元推理文庫(344頁)第2次世界大戦下のロンドン―。その―たぶん英国紳士御用達の―クラブで語られる、老人ハワードの冒険譚―。※※※※もうすぐ70に手が届くという年齢のハワードは、元弁護士です。妻に先立たれ、子供達もとっくに独立しています。リタイア後は、田舎に引っ込んで庭いじりなんかして余生を過ごすつもりでした。そこで勃発した