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名探偵が部屋を出ていってからオレはずっと目の前に並ぶモニターをじっと見つめていた。それからしばらくしてからの事。扉をノックする音が聞こえた。「快斗、入ってもいい?」「ああ、今開けるよ。」応えるとオレは立ち上がり扉を開いた。すると、目の前に立つ青子は両手にトレーを持っていて、その上にはサンドイッチが並んだ皿があるのが目に入って。思わず大きく目を開いたオレに青子が笑いかける。「快斗、おなかすいたんじゃないかなぁと思って。」問いかけた青子にオレは頷く。「うん。そういえば・・・。」
「ちゃんと休んでこいよ。」あいつにそう言って、子どもみたいに脇の下を持ち上げられて椅子から下ろされた後、俺は仕方なく部屋を出てキッチンに向かった。(どうすっかなぁ?)そう思いながら、左手にマグカップの取っ手を掴んだまま右手で頭を掻いた。実際のところ、昨日から眠っていない。だから、自分の体に多少なりとも休息が必要だという事はわかっている。だけど、今この目まぐるしく事態が移り変わる状況の中で、頭はフル回転したままで。こんな状態でベッドに入ったって絶対に眠れるわけがない。そんなわかり切
青子はゆっくりと目を開いた。すると、カーテンの隙間から差し込んでくるおひさまの光に青子は目を細める。ずっと、シャッターが閉じられて、陽光さえも届かない様な場所にいたから、そんな当たり前な事にさえもすごく懐かしく感じた。思わず立ち上がろうとしたところで、自分が何も身に纏っていない事に気づいた。(そういえば・・・。)昨晩の事を思い出し、青子は顔が一気に熱をもち、顔がほてるのを自覚すると、改めて毛布を体にぐるぐると巻き付けた。そして、ベッドの上にぺたりと座り込む。『青子・・・。』そうし
しばらくして目を覚ましたオレは、腕の中の青子を見つめる。青子は気持ちよさそうに寝息をたてて眠っていた。「からだ、大丈夫かな?」そう言いながらオレは青子の柔らかい髪を撫でる。すると、眠っているはずの青子が、猫の様に背中を丸めて気持ちよさそうに口許に笑みを浮かべる。青子の中にもきっといろいろ、積もり募ってきた想いがあったのだろう。ここに来たことで、青子が少しでも安心できるなら。そして、青子らしく、元気な青子で。笑顔でいてくれるなら・・・と。オレは、心から願った。青子のぬくもりが名
「青子、入ってもいいか?」「うん、いいよ。」部屋の前でノックをしてたずねたオレに青子は応えると、すぐに内側からドアを開けてくれた。「どうだ?新しい部屋は。」部屋の中に入りながらたずねると青子が笑顔で応える。「うん、すっごく素敵な部屋で。でも青子にはちょっともったないないかなぁ・・・って。」そう言いながら青子は苦笑して頭をかいた。「そんな事ないよ。」応えるとオレは青子の目の前に立って言った。「ていうか、やっぱりここでも、青子の自由が制限されてる状況は変わらないし、その元凶は、オレ
「おい、着いたぞ。」「あっ・・・わりぃ。」その声に目を覚ましたオレは少し目許をこすり顔を上げた。そして、その直後大きく目を開いた。「これって・・・!!!」「まさか、本当にあるとはな。」半ば苦笑気味にオレが座っている後部座席を開いて目の前に立つ名探偵が上を見上げる。「なかなか立派なお屋敷ですね。」運転席から降りて外に出た昴さんもポケットに手を入れると、細い目を更に細くして。その、あいつが『キッドの隠れ家』といっていた建物に目を向ける。。オレも車の中でいまだ眠り続ける青子を膝にのせ
「だめ。この青子を傷つけたら絶対にダメだよ。」青子ちゃんは立ち上がると、青子を守る様に両手を広げて、あの人の目の前に立った。そんな青子ちゃんを嘲るかの様に、あの人は口許に手をあててクスリと笑う。「まさか君まで来てるとはね。」そう言って青子ちゃんに向かい右手を差し出す。「異世界よりようこそ。中森青子さん。」その言葉に、青子ちゃんは少しもひるむ事もたじろぐ事もなく、差し出された手を取る事もせず、まっすぐあの人を見つめた。青子はやっぱりその人がこわいと思う。だって、顔は笑ってるけど、目
青子はまどろみの中で聞こえてくる声に耳を澄ませた。『快斗からコナン君に伝える様にいわれたの。あのね、青子とこっちの世界の青子は快斗の家の快斗の部屋にいるから迎えに来てくれる?』『うん、眠ってるよ。泣き疲れて疲れちゃったみたい。』『青子の家の近くの公園。快斗達が悪い人達をそっちに引きつけるから、コナン君達は別のルートを使って来て欲しいって快斗が言ってたよ。』優しい声。でも、聞こえてくる柔らかい響きの中に、青子は芯の強さを感じた。この子はきっと、優しいだけじゃなくて、ちゃんと快斗のそばに
昴さんに車を出してもらい、家を出てからしばらくすると、探偵バッジの呼び出し音が鳴った。俺は探偵バッジをポケットから取り出しつつ首を傾げた。「誰だ?」呟いた俺に運転席でハンドルを握る昴さんが問いかける。「どうしましたか?」「いや・・・。探偵バッジを持っているのは探偵団のあいつらと灰原くらいで。探偵団の子ども達には俺はしばらく連絡が取れなくなるからって事を伝えてあるんだ。それに、灰原だったら、よほどの事がない限り携帯で掛けてくると思うんだけど。」「そうですか。しかし・・・先ほどの二人目の
公園の中央に降り立つと、そいつは微かに目を細めた。「やっぱ同じなんだな、ここは。」ものすごく感慨をこもっている様に聞こえるその言葉にオレは小首を傾げる。「何が?」「いや・・・。」応えると軽く息を吐いて、そいつは改めてオレの方を向いた。「それじゃ、あいつらが来る前に。改めまして。オレは黒羽快斗。ヨロシクな。」そう笑いかけると右手を差し出したあいつにオレはその手をとり頷く。「ああ、オレも・・・黒羽快斗。」「知ってる。」応えると、あいつ。もう一人のオレが口許を上げて笑った。「本
「どうぞ。目を開けていいよ、中森青子さん。」そう言われて、青子は目隠しを外され、ゆっくりと瞼を上げる。「ここは・・・。」呟いた青子の目の前に歩み寄る人影。おそらく外国人だろう。青い瞳に透き通るような白い肌。ゴールドに輝く髪は肩までまっすぐ伸びて、見るからに上質のジャケットと相まって、その人をより高貴に見せていた。その人が青子に優雅な笑みを浮かべ言った。「ここがどこだか、わかるよね。君には・・・。」その問いに青子は頷くと、微かに目を細め、視線だけで部屋の中を見回した。そこがどこ
「いかがですか?」リビングで青子の前に並べられた紅茶の入ったティーカップと昴さん手作りのクッキー。「お・・・おいしいです。」「そうですか。良かった。」応えた青子に、昴さんが細い目を更に細めてにっこりと微笑む。「少し落ち着きましたか?」その問いに、青子は両手でカップを包み込むように抱えたまま小さく頷く。「すみません。恥ずかしいところを・・・。」「いいんですよ。気にしないでください。それに・・・。」そう言うと昴さんが少し遠くを見る様な視線で青子を見つめる。「僕にも妹がいるんですよ
バタンッ・・・と。青子が部屋を出た後、そう強い音を立てて扉が閉まった。その大きな音に青子はびっくりして立ち止まり振り返る。「えっ・・・?」その瞬間、スーッと頭が少し冷静さを取り戻していくのと同時に、心の中で湧き上がってくる感情で目許に涙があふれてくるのを自覚する。「快斗のバカ・・・。」呟いた青子はその場で俯くと思わずぺたんと力をなくして座り込んだ。後から後からあふれてくる涙を手の甲で拭って。それからハッとして後ろを振り返り、再び閉まったままの扉を数瞬見つめると、立ち上がり急いでそ
しばらくして、オレはゆっくりと顔を上げた。まだオレの中で、青子との口づけの余韻が残っていて。オレはじっと目の前の青子の少し潤んだ瞳を見つめる。純粋でくもりがなくて。大きくて綺麗な瞳。その瞳に見つめられて、オレはわずかに視線を逸らした。そうしないと、オレの中にある邪(よこしま)な気持ちを見透かされてしまいそうだと・・・。そう、思ったから。青子にもっと触れたい。抱きしめたい。青子にすべてを伝えてから、オレの中で膨れ上がっていくその気持ち。オレのすべてを青子に伝えたい。そして、
『100万ドルの五稜郭』の少しだけネタバレを含みます。また、後日談なので、そのあたりは創作となります。まだ見ていない方、イメージが崩れるのを懸念される方は、ご了承いただいた上での閲覧をお願いいたします。-------------------------------------北海道函館で中森警部が狙撃された事件から2週間ほど、青子は学校を休んで函館の病院に泊まり込み看病を続けた。それから警部は東京の病院に転院したのに合わせて、青子はやっと学校に復帰してきた。「快斗、ただいま。」
名探偵コナンから、平和な2人を端末移行終わらず、、ノータイトル“Youalwaysmakemehappy.”元気に翠達とはしゃいでいる姿を眺めながらふと浮かんだホンマやなぁ、と思う暫く眺めてから、帰るために声を掛けた「おーい、かずはー!帰るでー!」そう言うて、走って来た和葉と一緒に帰る「ただいまー!」お帰りなさい、と言う声に、和葉と顔を見合わせた姉ちゃんと、青子嬢やねん帰る家、間違えたか???久しぶりやね、と喜ぶ和葉「お父さんがね、コナンくんと快斗、連れて
「大丈夫。」青子が部屋に入ると、青子を抱き寄せて、口づけをして。それから少しだけ切なげに顔を伏せた快斗の顔を青子が覗き込むと、快斗はそう応えた。青子はちょっとだけ頬を膨らませると、軽く快斗の頬を引っ張って唇を引いた。「何すんだよ、青子。」ベッドに腰掛けたまま、そう、抗議の声を上げた快斗を正面から青子は抱きしめた。「大丈夫・・・じゃ、ないでしょ?」抱きしめたまま耳元でささやいた青子に快斗がハッと顔を上げると、息を吐き苦笑する。「ちょっと前の青子なら、これで軽く騙せてたんだけどな。」
快斗。覚えてる?初めて出会った時の事。青子は新しい街に引っ越ししてきたばかりで。すごくドキドキしてたんだよ。青子のお母さんは青子が小さい頃に亡くなってたから。青子はものごころついた頃から、ずっとお父さんと二人きりだった。そんな中、お父さんとお出かけする為に、あの時計台の前で一人で待ってた。お父さんはなかなかこなくて。仕事が忙しくていけないかも・・・って。そう、いわれていたお父さんの言葉も思い出して。ひとりぼっちの青子はさみしくなってきちゃったんだ。とても。泣きそうなくら
カーテンの隙間からのぞいて、窓の外を見ていた快斗。(良かった。二人とも無事で。)まだ、あの組織に快斗が怪盗キッドである事がばれたわけではない。だから、二人が何事もなく帰宅してくるのは当然の事なのだが、快斗はその『あたりまえ』が何よりも大事なんだと改めて心から思った。おそらく、一晩中徹夜で働き続けていた警部も、警視庁で仮眠くらいしか取れなかっただろう青子も、そのまま家に帰って休むのだろうと思っていた。だが、その予想と反して、それから間もなくして快斗の家のインターフォンが鳴った。モニター
名探偵コナンから、平和な2人を組織壊滅カウントダウンのお話を描いてみたくて、描きかけて中断していたお話をやり直しです仮タイトル:BlackOut-17ガラスの向こう側に並べられたベッドには、3人が意識不明のまま眠っている高熱と激しい衰弱で、目を覚ます気配は無い特に衰弱が激しい「領域外の妹」については生命の危険がある状況娘も、息子も、綱渡り状況だ今朝方、服部と共に現れた赤井は、ガラス張りの前でじっとしている所属のFBIから監視を付けられていて待合室は不穏な空気満載だ
名探偵コナンから、平和な2人を組織壊滅カウントダウンのお話を描いてみたくて、描きかけて中断していたお話をやり直しです仮タイトル:BlackOut-16「世良ちゃん!!!」青子ちゃんに襲いかかった人影から、和葉ちゃんが引き離し、なおも襲いかかる人影に、オレが銃を抜いた引き金を引こうとして、慌てて止めたのは最初は躊躇していた和葉ちゃんが、鮮やかに人影を投げ飛ばしたから倒れ込んだその身体を締め上げ気絶させたそうしないと、危ない状況だったからだ自殺されないようにして、病院
名探偵コナンから、平和な2人を組織壊滅カウントダウンのお話を描いてみたくて、描きかけて中断していたお話をやり直しです仮タイトル:BlackOut-15「もしかしたら」海外の拠点に狙ったモノが無いとわかったらもしかしたら、国内に戻るのではないか?遠山さん達との打ち合わせで、ふとそう思ったオレは、「会社」の部下に、東都の関連のある施設の監視を命じ合わせて国内にある他の都道府県についても密かに24時間体制での監視を敢行した赤井は遠山さんと服部に行動を止められていて、現在
名探偵コナンから、平和な2人を組織壊滅カウントダウンのお話を描いてみたくて、描きかけて中断していたお話をやり直しです仮タイトル:BlackOut-14漸く動き始めたオレは、まずはストレッチと散策から始めた少しずつ、ランに切り替え、筋トレに移行する予定だが、まだランや筋トレは禁止されているのでね情報収集と精査、溜まっている報告書風見と2人、凄まじい勢いで片付けて行く朝、昼、夕方、夜と身体を動かして行くうちに、少しずつ身体の鈍さが解れて行った梓さんのお腹はこの数日で、
名探偵コナンから、平和な2人を組織壊滅カウントダウンのお話を描いてみたくて、描きかけて中断していたお話をやり直しです仮タイトル:BlackOut-13風見の客間に集結したオレ、風見、遠山さん、服部さん、服部は、蘭ちゃんに気づかれないよう、海外に居る博士達との連絡を持った現在、博士達の警護は、FBIとICPOチームが行っている「実は」数日前、赤井の妹らしき人物が、博士達の研究施設のひとつに侵入したらしいそこは、ダミー施設なので、おそらく彼女が欲しかったであろうモノ
それから快斗は30分ほどパソコンで作業をすると、フッと息を吐いてディスプレイを見つめたまま目を光らせた。「見つけた。」呟いた快斗は立ち上がると、青子に行った。「青子、そろそろ警部帰ってきたろ?家に送っていくから。」「うん。でも、快斗は?」たずねた青子に快斗は目許を細め応える。「オレは行かなきゃいけないとこがあるから。」その言葉に青子は唇を強く引いて頷く。「ちょっと待ってて。」快斗はそう言うと、クローゼットの扉を開けて着替えを始めた。青子はソファーに座ったまま着替えをしている快
名探偵コナンから、平和な2人を組織壊滅カウントダウンのお話を描いてみたくて、描きかけて中断していたお話をやり直しです仮タイトル:BlackOut-12「実は」オレより先にかなり回復した風見が、突然、言い出したら「あほ!さっさと行くで!」「せや、さっさと行き!」服部が、SPもろとも引き連れて、出かけて行った仕事がまた全開になる前にプロポーズしたい、と言い出したんだ完全に全快してから、行こうと思っていた、と言う風見を、いつかは必ず来るとは限らないだろ!と自分だっ
「快斗、コナン君から返事来た?」「うん、一応きたは来たんだけど・・・。」応えた快斗は手の中にあるスマートフォンに視線を落とした。先ほどコナンに、例のSNSについてメッセージを送ったのだが、ただ一行『それは対策済みだから大丈夫、心配するな。』と。そう返って来ただけだった。「対策済み・・・って。ホントにちゃんと見てんのか?あいつ・・・・。」そう呟いた快斗の隣で青子が不安そうな顔で快斗を見上げる。「快斗。この写真がもしその、工藤君と哀ちゃんを狙う組織に見つかった場合、一番危ないのって・・
「入れよ。」青子の手を引いて自宅の階段を上がった快斗は自室の扉を開けると青子に言った。「うん。」応えた青子が中に入ると、快斗はドアを閉めて扉に鍵を掛ける。「念の為な。」それを不思議そうに見つめる青子の手を取ると、そのまま青子の手を引いて、更に自室の壁に等身大といってもいいくらいの大きさで飾られている父親のパネルに掌をあてる。その瞬間パネルが忍者屋敷の様にクルリと回転した。「足許気をつけろよ。」回転したパネルをくぐると、快斗は青子の手を引いて、薄暗い部屋の中を進む。青子は初め
名探偵コナンから、平和な2人を組織壊滅カウントダウンのお話を描いてみたくて、描きかけて中断していたお話をやり直しです仮タイトル:BlackOut-10「ハロも大尉もお利口さんでしたよ?」青子ちゃんが笑顔で2匹をあやしながら、教えてくれた淋しかった日は、黙って傍に居てくれたし、嬉しかった日は、一緒にはしゃいでくれただから、青子も、我慢出来たそう言って、笑顔を見せてくれたオレはまだ、安静にする時間が必要なため縁側のリクライニングチェアに座って、青子ちゃんやハロや大尉の
快斗が青子の家を出て30分ほど経過した後、快斗の家のインターフォンが鳴った。警戒しつつ室内のモニターを覗き込んだ快斗の目に映ったのは、今にも泣きだしそうな顔でじっと前を向く青子の姿だった。「青子!!」」呼びかけた快斗はすぐに階段を駆け足で降りると、玄関のドアを開いた。「早く来い!!」そう言って青子の手を強く引いた快斗に青子は唇をぎゅっと結んで無言のまま頷く。急いで鍵を閉めた快斗が大きく溜息を吐いた。「どうしたんだよ。家から出るなって言っただろ?」その言葉に青子は玄関に立ち