三階教の開祖信行は,広義の末法思想と如来蔵・仏性思想を基礎として三段階の教え「三階仏教」を提唱した。三階とは,仏陀の生きた時代である第一階「好世界好時好衆生」,第二階「悪世界悪時好時不定衆生」を経て,信行が生きた時代を第三階「悪世界悪時悪衆生」とする考え方である。第三階の衆生は自己を徹底して肯定し,自己と関係ない他者を徹底して否定するという,いわば「自己肯定と他者否定」という病を抱えた人々である。これを解決するため,三階教では「自己否定(認悪)」「他者肯定(普敬)」という実践が行われ,最終的には